その日は夕食時に義実家に「とにかく来てくれ」と連絡があった
この時点で義父の様子はおかしく、説明を求めても「あまり時間が取れない、目を離せない、下手なことが言えない、刺激したくない、とにかく来てくれ」としか言わなかった
・実は義兄夫婦は不妊治療をしていた
・義兄に原因があり、義兄が頭を下げて義両親も金銭面で支援していた
・無事妊娠し、もう少しで安定期
・しかし義兄が急に「下ろしてくれ」というようになり、そのため緊急家族会議中
と説明された
私達はあまり義兄夫婦とは交流がなくなにもかもが寝耳に水だったし、確かに自分勝手だとは思うけれど、それは義兄夫婦と援助をした義父母との問題で、私達がいてもいいのか…
と思っていたら、私達は義兄嫁さんを実家に送るために呼ばれたらしい
義父いわく「一対一になったら何するかわからない」からと
そりゃそうだよね…と思い了承、隣の市の義兄嫁さんの実家に連絡し、送り届けることに
義兄嫁さんの両親に夫と私で頭を下げた後、気になるし、義父がもし義兄を殴ってたりしたら…と思いもう一度義実家へ
しかしいざ義実家へ着いたら、荒れ狂う義母を義父がなんとか抑えてる最中だった
何処から出したのかエコー写真を義兄の前に突き出して
「言えー!!今から俺がお前を殺すと言えー!!」
「義兄嫁さんじゃないだろー!!お前だお前ー!!お前が殺すんだろー!!」
「すまないじゃないだろー!逃げるなー!!」
「諦めてくれじゃないー!お前が殺すんだー!!」
「氏ねっていえー!!」
って叫んでた
あんまりの事に私達は駆け込んだリビングの扉の前で固まってしまったけれど、義母が義父を振りほどいた時にあわてて夫が飛びついて義父のかわりに義母を抑えた
けれどどこからそんな力が出るのかって思うほどで、傍から見ると夫でも力負けしそうだった
そして肝心の義兄はうつむいてグズグズ泣いてた
しかし夫も義母の肘をあごに受け、その一瞬拘束が緩んで義母が自由になってしまった
エコー写真の赤ちゃんに向って刺せということらしい
義兄はそれでもグズグズうつむくだけ
「刺せー!お前の手で殺せー!!」と義母がハサミの柄で義兄の頭を殴りつけてようやく「できません…」と義兄が小さくつぶやいた
「出来ないのになんでそんなこと言うんだー!!」と追撃を行おうとする義母に持ち直した夫が飛びつき、私も右手に握られたハサミを義母の手ごと握り込んで再度義母をホールド
テーブルの下から義父が「仏間!仏間!」と叫ぶので仏間につれていけばいいのか?と思ったが夫はそのまま玄関へ引っ張っていく「駄目だ!一緒は無理!車!」と言うのでそのまま玄関へ
義兄の姿が見えなくなったら義母の抵抗もほとんどなくなり、私が扉を開けるために手を離したときに一緒にハサミも落ちたのでもう大丈夫か?と思ったが、義兄と同じ空間にいるのが危険なのは変わらずなのでそのまま車に引きずって10分ほど無言のドライブ
コンビニの駐車場で連絡をしたら義兄は大丈夫、家へ返したと言うので義実家へ
靴がないのを確認した義母が「あのバカは?」と低い声で言ったけれど、私達ももう精神がギリギリだったのでスルーして、「脚は大丈夫ですか?」と義父へ尋ねる大丈夫とのこと
心配ではあったけれど、もう私達にできることは義母を刺激しないことだと思ったので早々に義父へ義母を託してその日は帰宅した
翌日義実家から電話があり、どうやら義兄は義兄嫁さん実家に行ってしっかり謝ったらしい
後日義兄夫婦から今回の騒動について、私達へも謝罪があった
今ではあの騒動はなんだったのか、っていうくらい義兄は子供をかわいがっているそうだ
めでたしめでたし、そもそもの発端は覚悟のできない義兄だし、まだ見ぬ孫のためにあそこまでできることはすごいことだと思う
けれどもやっぱり、ちょっとだけ今でも義母は恐ろしいんだ
義父母、義兄夫婦達とGWに一緒に遊びに行くことになったので、ちょっと当時を思い出してカキコ
義兄嫁さんもお子さんも本当に無事で良かった
怒れる時に怒れるきちんとした人だわ。