結婚するまでずっと父と弟と3人で暮らしてきた。
父はフリーランスで働いていたが、結構稼いでいたし
父の実家はそこそこの資産家で、父には不労所得もあった。
そこそこ大きい家だから掃除が大変だろう、家政婦を雇ったらどうか
と言ってくる親戚もいたけど
私は家事は嫌いではなかったし、弟も少しずつ手伝ってくれるようになってたし
特に必要性を感じたことはなかった。
毎年年末だけは業者さんに大掃除を頼んでたけど。
そんなわけで父子家庭とは言っても何ら問題のない幸せな家庭だったと思っている。
私は26のときに結婚して実家の近くのマンションに住み、弟は県外の大学に進学。
そして弟は大学を卒業後地元に戻ってきたが
同じように地元(遠方の土地)に戻った彼女と遠距離恋愛を続けていた。
で、結婚話になった時に、まず先方のご両親に挨拶に行ったそうだ。
そうしたところ、大反対にあったと落ち込んで帰ってきた。
反対理由は片親であること。
そんな小さい頃に母親が亡くなったのに、再婚もしてないってことは
望まれることが無かった=貧乏な家庭、と言う謎の理由だったそうだ。
貧乏だと思ったことは一度もなく、お金に不自由したこともなかった、
家族仲もとても良かったし、と反論したらしいけど
「片親はみんなそういう」と笑われたんだって。
父の仕事についても説明したそうだが、フリーの仕事なんてロクなもんじゃないと。
「で、彼女はどうだったの?」って聞いたら、「ずっと黙ってた」って言うから
「私だったら別れる。結婚しても親の言いなりになる子は男も女もダメよ」って言った。
弟も帰り道、別れた方がいいんじゃないかと思ったけど、
まだ好きだって気持ちもあって迷ってたようだ。
でも決心付いたって言って、すぐに彼女に電話して別れることを告げた。
彼女は納得していないといいながら、かと言って親を説得する気もないようで
遠距離だったこともあって結局そのままお別れだった。
弟の方から別れを言い出したとは言え、しばらくはかなり落ち込んでいた。
大学時代の共通の友人Aと再会して、Aからうちの事を聞いたそうだ。
Aは弟とは同じ高校から進学した男の子で、うちの事も知っている。
ふたりは当然結婚するんだろうと思ってたらしくて、別れたと聞いて驚いたらしい。
そして別れた理由を彼女が普通にしゃべっちゃったそうで、
それを聞いたAが、貧乏どころか〜ってな話をしたらしいんだ。
「Aくんから聞いた。失礼なことを言ってしまったことが分かった。
両親も考え直してるから、もう一度結婚話進めてもいいよ。
とにかく一度そっちに行ってもいいかな?」
弟は丁重に断ったらしい。
「今更何言ってるの?」と言ったら泣かれたらしい。
元彼女は「だったら最初からそういう家だって話してよ」って
ずいぶん弟を責めたそうだけど、殊更裕福だと言うことでもないし
第一それは親であって自分ではない。
それでもご両親の前で、普通の家庭だってことは話したではないか。
鼻で笑われただけだったけど。
そんなふうに言い返したらしい。
弟から話を聞いて呆れるやらなんやら。
2ヶ月も経ってよくそんな理由で復縁話してきたなぁって。
しかも“結婚話進めていいよ”って自分はまだそんな立場だと思ってるってのが
何重にも神経わからん。
正直、そんな子が義理の妹にならなくて良かったよ。
県外の大学にやれることがどれだけの生活ランクなのか分からないって
ちょっとへんな子だね。
付き合いの中で学費稼ぐのにバイト三昧してるかとか分かるよね。
結婚しても何か齟齬が出てきそうな子だ。
金があるなら結婚してやってもいい。片親でも結婚してあげるんだから嬉しく思いなさいとか考えてるんだろうか…