当日、いろいろ手伝いしなきゃだったから早めに行ったんだが
そのとき新郎から
「俺が、自画自賛の自己紹介するからさ。
おまえ、そのとき『嘘をつけ!』って突っ込んでくれよ」
と頼まれた。
今更変更する時間がないということで、仕方なく承諾。
その場で、台詞合わせも行った。
本番では、打ち合わせどおりに俺が突っ込みを入れた。
確かに、新郎の読み通りに、そこで笑いはとれて
その後の新郎のアタフタした演技も非常に面白くて
そこで更に笑いは取れた。
だけど、新郎の自己紹介も無事終わって、ふと周りを見渡すと
明らかに俺を見る目がおかしい。
新婦友人席では、俺を見ながらヒソヒソ話。
新郎親族席のおじさんたちは、露骨に俺を睨みつけてる。
そのうち、新郎母がニッコリ笑いながら俺のところに来て
「ちょっと、お時間いただけません?」
俺は式場外に連れ出された。
「息子がどんな失礼なことをしたのかは存じません。
ですが、今日だけは、どうか息子を立ててやってください。
息子にとって、一生に一度の晴れ舞台なんです!!」
と泣きそうな顔でお願いされた。
ちなみに、新郎一家、新婦一家ともに、
都内に一戸建て+別荘複数の裕福な家庭で
両家とも、両親は大変上品な人で常識人。
きっと「将来の幹部候補」などと持ち上げるのが当然の結婚式で
新郎を貶めるような型破りのヤジには慣れてなくて
新郎は、シナリオについて周りの誰にも話していないんだろうと思った。
とにかく事情を説明。
当然あっさり納得してくれて、
式をぶち壊すつもりなのかと思って取り乱したことや
無作法なお願いを息子がしたことを、また謝罪された。
その後も「結婚式で新郎を辱めるとは何事だ?」
と数人の新郎親族に絡まれたり
新郎従兄弟の大学生から
「もうこれ以上騒がないでください。
そんなことしたら絶対許しませんなから」と凄まれたり
新婦父から
「ちょっといいかな?詳しい話を聞きたいんだが?」
と連れ出されたりと、たった一言のヤジの釈明で、一時間近くを費やした。
親族から何か言われるたびに
新婦友人席などからは白い目で見られた。
俺が新婦友人の座る席のグラスを下げてると、
新婦友人たちから
「もしかして、二次会の手伝いしてるんですか?」と驚かれた。
どうも新郎と俺にドス黒い確執があったように誤解してるようだが
いい加減、釈明に疲れたので
「ええ。
過去には色々ありましたけど、やっぱり今日だけは新郎を立てることにしました」
と答えといた。
酔いの回った新婦友人の一人に手を握られて
「いい人ですね。頑張って下さい。
これから、きっといいことありますから」
と応援された。
新郎の知らないところで、新郎の評判は確実に下がったと思う。
とりあえず乙
バーの隣に座ってたら俺が一杯おごってやりたい
いや、新郎の要望は
できるだけマジに突っ込むこと。
台詞合わせのとき、演技指導も受けた。
その方が、その後の新郎の慌てっぷりが際立って
面白いからってことなんだが。
>酔いの回った新婦友人の一人に手を握られて
>「いい人ですね。頑張って下さい。
>これから、きっといいことありますから」
>と応援された。
この時の新婦友人がいまは俺の嫁である。
と続くのかと一瞬思ってしまったw
残念ながら、予想以上に2次会参加者が人が多かったことと
手伝い担当の男どもが、皆飲んでしまって戦力外になってしまったことで
ゆっくり話し込んでる時間も無かった。
それ本当に面白かったのかな
多分乾いた笑いだったんだろうなぁ。
坊ちゃんの新郎にはそれがわからない、と。
事情を知ってる俺の周りのやつらは
俺の必死の演技を本気で笑ってたけど
確かに、事情を知らない人たちは
失笑に近い笑い方だったな。
でも、その後の新郎のフォローは
本当に面白かったと思う。
結婚式で、過去に確執のある人間から不穏なツッコミをうけて本気であたふたしてる新郎を見て
ギャハギャハ笑える人間はそうはいないわ。
新郎ボケ→友人つっこみ、にしても
もっとやりようあるだろうにねぇ…。
笑いのセンスのない人間が台本考えちゃいかんねw
第三者から見たら、予想以上につまらないからね。