同じく大学生で実家住まいの彼女が俺のアパートに遊びに来て、夕食に餃子を作ることになりました。
普段料理を全く作ってくれない彼女がやる気を出し「餃子のタレは私が作る!」と言うので
ちょっと嬉しくなり買出しに一緒にスーパーに出かけます。
「だいじょうぶ、まーかせて!」「自信はあるんだから!」と言う言葉で不安マックスハート。
が、まぁ醤油があれば最悪喰えるし、こういうところも可愛いよね☆とこのときは思っていました。
漫画に良くある、下手な料理を頑張って食べる→彼女惚れ直す的な夢を見ていたのもあります。
部屋に戻って俺は餃子作り、彼女はタレ作りに取り掛かります。
下ごしらえを済ませて、包む工程まで行った所で彼女に台所を明け渡し、俺はリビングで餃子を製作。
彼女の「作ってるところは見ないでね」の言葉通り、チマチマした作業に集中する俺。
映画を見ながら200個ほど作ったところで彼女のところへ行き、「できたー?」と背中越しに流しを覗き込むと
そこには流しに積み上げられた何かの残骸と、ボウル4個になみなみと注がれている謎の液体が。
「やっ、ちょっと見ないで」ボウルの中味を流しに捨てる彼女。
「あーもったいないから捨てないでwwwでもさすがにちょっと作りすぎだねぇ・・・ぇ?
ええええええええ!?なんでこれ使ったのどうしてなんで!?」
残骸の中にキッコーマンと、見覚えのある醤油の瓶を4本発見。
醤油メーカーに就職した友達が初めて作ったと俺にくれた醤油でした。
冷蔵庫に1本と流しの下に3本隠しておいたのに、全部やられました。
「ちょっとなんで勝手に使ったの!大事なやつだって言ったじゃん!」
「失敗しちゃって・・・つくりなおしてるうちに・・・」
(喧嘩中)
「何で断ってくれなかったのさ・・・」
「だから作り直し・・・黙れ!」
「エフッ!」
彼女の右手が一閃し、ボウルの中味で俺は醤油色に染まりました。
返す刀で二発目が必死にバイトして買ったアクオス20インチに
三発目がXBOX360に直撃。
醤油が目と気管に入り悶絶する俺を残し、彼女はすごい勢いで部屋を出て行きました。
でも意味がないってわかってました、醤油の焦げたいい臭いがしてたから。
後始末は朝までかかりました(塩水で洗うといいようです、新聞紙も活躍しました)
壁の沁みをあきらめたあたりで彼女に連絡。
彼女の携帯はつながらなかったので家電にかけると、彼女のお母さんが出て
「あんたなにやったの!」
いきなり怒られました。疲れた声で状況を説明すると
「ごめんなさいね、あの子が泣きながら帰ってきて部屋から出てこないもんだから・・・」
「いえ・・・いいんです・・・」
「あの子ほんとにダメねぇ、ちゃんと謝らせるからね?」
「いえ・・・ほんともうイイデス・・・」
その日の夜遅くに彼女と彼女両親が醤油臭い俺の部屋に尋ねてきました。
「本当にすまなかった」
「この子にはこれからきちんと料理教えます、だからもう少し付き合ってあげてね?」
「ほんとうにごめんなさい、なんか意地になっちゃって・・・
これからちゃんと料理勉強します。だから別れないでください」
と俺があわあわしているうちに畳み掛けられ
「壊れたものは弁償するから、あと何かあったら何でも言ってくれ」
と、車の中からアクオス28インチと360が出てきました。
アクオスがパワーアップしたことで俺の機嫌はすっかり良くなり
また何事も無かったかのような日々を過ごしていたのですが
結局その3ヵ月後くらいに別れてしまいました
理由は俺の方が料理が上手いから、だそうです。
母さん、男でも料理は出来なきゃダメよ、と俺に料理を仕込んでくれたことを恨みます。
ちゃんと料理仕込んでくれたお母さんに感謝しなさい
むしろ女見る目が無い自分を反省しろ
やめといて正解だな。自分が悪いのに人に醤油かけるってどんだけ~
料理できない私が作る気になったから、何しても許されるとでも思ったんじゃないの?
別れてよかったじゃん!