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:1 ◆yT5YRa9V0k2012/04/23(月) 04:39:29.28 ID:H5v4l5vW0なんとなくだけど希望に満ち溢れてる気がした
あの夏が最後の花火になってしまったと思ったのに…
まわりの皆に「今年最後の花火だね」って言われて、俺はそんなことを思ってた
いくつになってからでも花火は打ち合えげられるんだ、なんて
そんなクサイことを考えながら皆と一緒に花火酒にウットリしていた
会社の飲み会にもよく顔を出すようになり
会社の同僚たちともよく遊ぶようになった
ほとんど話したことのなかった会社の女の子たちとも関わるようになり
気持ちひとつでここまで世界が変わるのかって思った
その間も碁会所には通い続けた
爺さんの娘さんのお腹が少しだけ大きくなってきたり
大学生君やマスターの娘さんたちともたまに顔を合わせ
俺の毎日は、急に楽しくなった
俺はその子と懇意になっていった
休日何してるんですか?と聞かれて恥ずかしそうに
碁会所とか行ってるw と行ったら予想外に食いついて来たのだ
碁会所にもその子を連れて行ったりして
顔なじみのお客さんに茶化されマスターに笑われ
この時点で秋もすぎて冬だったかな
爺さんに出会ってから、俺の毎日は目まぐるしく変わった
ごめん、ちょっとスレを離れるね
いってら!
生活もちゃんとしてて立派だな。
俺なんか毎日ギリギリまで寝て、始業直前に出勤。
休日はダラダラ…。
まずは規則ただしい生活と、余暇の有効利用からだな…。
朝支度か?w
仕事は朝早いのかな?どんな仕事してるんだろ?
いつも楽しみに読んでるよ。
朝支度だったすまんw
いつもってわけじゃないが朝早いのは満員電車避けたい一心だねw
読んでくれてありがとう
多分今からは書けないけど
今夜には終わると思う
ホントに踏み出してしまえば簡単なことなのに、なかなかできないよね
俺も一歩踏み出してみようかな。
>>1ありがとう!
とてもとても
その年のクリスマスも人生で初めて異性.と過ごした
後輩は、とてもいい子だった
碁会所で、クリスマス会なんぞもあった
忙しい合間をぬって、俺は行った
小学校の頃の「お楽しみ会」を思い出すかのようなアットホームぶり
ほとんどの人が、碁会所でしか会わないのに
昔からの友達かのようにとても親しげに楽しそうに、
俺は、この碁会所に来て生まれ変わった
俺に楽しみをくれたし、若さをくれた
こんなお年寄りたちに若さをもらうなんて、なw
もう、すっかり娘さんのお腹も大きくなってきていて
家の中は幸せな空気そのものといったところ
俺の目の前にも洋々とした未来が広がりだしたなって思った
爺さんしきりに孫が生まれるぞいいだろいいだろ、って言うんだw
そんで俺君にも子どもが生まれたら私の孫だって言うんだw
ほんと、憎めない人だよw
俺も仕事が忙しかったし
まあ何もかもが順風満帆な気がしたし、仕事は辛くなかった
たまーに碁会所に行っても爺さん家の誰かに会うこともなかった
娘さんもそろそろ大変だろうし、色々とバタバタしてるんだろう
子どもが生まれるってどんなんかなあって俺は楽しく想像してた
ちょうど地震があってさ
どうなっているだろうって碁会所に様子を見に行ったんだよ
なんとか皆無事だと聞いて、安心した
碁会所には爺さんの娘さんの旦那が来ていた
俺は「爺さん最近どうしてるの?」って聞いた
なんでも、地震の揺れに驚いてつまずき、少し足を悪くしたらしい
だからしばらく来れないとか
俺は少し寂しくなるなーって思った
娘さんと旦那さんが碁会所に子ども連れてきていた
元々が仲の良い碁会所
みんな寄ってたかって子どもをみたがり軽い祭り状態
俺も「お〜よちよち〜」とか言ってたw
もうね、赤ちゃんってね、マジ可愛いんだw
ただそこに嬉しそうに笑ってるはずの爺さんはいなかった
よっぽど足悪くしたんだろうな、残念だ
仕事も楽しいし、友人ともうまくやってた
恋の方も順調で、碁会所にも通い続けていた
まあ相変わらず2ちゃんやらネットも存分に続けていたw
でも、相変わらず爺さんたち一家はパッタリ来なかった
こっちからはあまり連絡をとったことがなかったし
今までも自然に碁会所で会う感じだったから、とても拍子抜けだった
おかしいなあおかしいなあって思いながらも
俺はいつか来るだろうって思って待ってた
爺さんがいるはずの隅の席が寂しく見えた
コーヒー、淹れてやるのにな
マスターに聞いても「何も聞かされてないんだ」って言う
こんなことは初めてらしかった
なんとなく嫌な予感がし始めたので
俺は爺さんの家の電話に連絡しようかと考えた
でも携帯とは違うし、あくまで碁会所だけの友人である俺が
いきなり自宅に電話かけるってのもあれだし…って思ってずっと悩んでた
みんな分かるだろ?大学の頃の10倍時の流れが早く感じる
仕事やら実家のことやら、色々追われていたらあっという間に夏が終わってた
あまりに一瞬だった
あれ?夏いつだった?って思った、コミケも行かなかったし
夏が終わろうと相変わらず来ない爺さん一家
もうどう考えても何かあったとしか思えなかった
俺は爺さんの自宅に思い切って電話した
思えば、電話なんぞ初めてした
だって今までかける用事なんてなかったしなw
今でも忘れんな、あの時の奥さんの電話のトーン。
電話したら、奥さんが出たんだ
「どなた?って」
だから俺です、って言った
そしたらものすごい勢いで感激して「久しぶりねえ!」って言った
そして今までまったく碁会所に顔出せなかったことをひたすら謝られた
「会えなくてごめんね、ごめんね」って
そしたら少し黙って「今は家にいないのよ」って言われた
俺は「え?」と思ったがなんとなく覚悟はできてた
聞いても、あまり深くは答えてくれなかった(今思えば当然だが)けど、
爺さん胃癌になっちゃって病院に入院してるらしい
俺は、それでも冷静で、そうなんですか。って言ってしまった
電話切った瞬間一気に力抜けて、とても悲しくなった
泣きなんてしないけど、なんだか頭の中が真っ白になった
祖父母を幼い頃に亡くしてたし、親父も学生の時亡くなった俺にとっては
本当のおじいちゃんであって親父のようであったし
こんなに心の通じる友はいないって思ってたから
いなくなるのがとても怖かった
それからは毎日何やるにしても気が気じゃなかったな
でも癌だって治る人はいるし
俺はそれを信じてた
爺さん頑張れ(´;ω;)
俺が電話してからしばらく経った日
奥さんに都合のつく日を教えて欲しい、と言われた
俺がもしできたら会いに行けませんかって言っておいたのだ
そして俺は爺さんの病院に面会へ行った
もう、秋もだいぶ深まっていた11月初旬くらいのことだったろうか
俺に軽く会釈してくれたっけ
「お久しぶりです」って みんななんか神妙な面持ちで
病室に入ると寝てる爺さんがいた
変わり果ててしまっていたな
正直、こんな姿は見たくなかったって思った
もう、意識もあるんだかないんだかで
「久しぶりです、俺ですよ、分かりますかー」って言っても
「あーうん…あー…」としか言わないんだ