同期の中で一番仕事覚えるのが遅かった俺はその人に目を付けられてた。
先輩のお言葉
「この仕事向いてないよ、出来ないなら一時間でも二時間でも早く来て終わらせなよ」
「真面目にやっててこの出来ならむしろ迷惑、いなくていいわ」
「残業代出したく無いし帰っていいよ、いなくても終わるから」
他にもまだまだある
周りもその先輩に尻尾振って見て見ぬ振り。
その先輩は上司相手にも言い返すし、何度言っても後輩いびりを辞めないんで
上司も諦めてる感じだった。
その先輩のせいで辞めて行った人を少なくとも4人は知ってる。
やられっぱなしも嫌なんで、いつか社長室に乗り込もうと思って録音だけは続けてた
毎朝エレベーターの中でスイッチオン、帰りのエレベーターで保存
それを毎日繰り返した。
でも俺が社長室に乗り込む事は無かった
その先輩は仲間と雪の中スキーに行って二度と帰って来なかったから。
少し経った頃、先輩の両親と彼氏を名乗る男が荷物を取りに来た。
生前の横暴さをみんな忘れたのか
「仕事熱心な人でしたよ」
「頼りになる人だったんです」
とか言いながら片付けを手伝てった。
上司まで
「安心して仕事を任せられました」
「リーダー格がいなくなってしまって悲しい」
とか言ってた。
俺はこのまま、先輩の過去の横暴が無かった事になって、
頼れるみんなのリーダーとして送り出される事にどうしても納得出来なかった。
先輩の両親と彼氏が最後のあいさつに来た日
俺は今まで撮り貯めた録音をディスクに焼いた物を持って行った。
そして「生前の娘さんの声が入ってます、これしか残って無いんですけど」と言って
両親に渡してしまった。
その日から毎日、両親が泣きながら職場に電話を掛けてくるようになった。
内容も「何であんな物を」「娘の最後の記録があんな、あんな、、、」から始まったけど
数日後にはでただ大声で泣き叫ぶだけになった。
俺は逃げるように辞表を出して辞めて、その後は知らない。
ただ先輩への恨みだけでやってしまった事だけど
あの人を英雄として送り出すのは絶対に嫌だった。
後悔はしていないけど、もし出来るならあの日の自分を思いっきり殴ってやりたい。
おおぉ…これが胸ラーか
先輩は亡くなったのにそれだけじゃどうしても溜飲が下がらなかったんだな…
でも親御さんに罪はないからな、なんかやるせないわ
ラーっとした。でも「あの日の自分を思いっきり殴ってやりたい」なんて
あなたいい人だね。
パワハラモラハラマンマンとそんなくそったれな娘を育てたクズ両親ざまぁwww
すっきりしたわ
もし出来るならあの日の先輩を思いっきり殴ってやりたい。
テレビ見てる時は、取り敢えず『可哀想にな』と思うけど、その人がどんな人だったかなんてテレビ見ただけの俺らには分からん。