ちょっと吐き出したかった。
ちなみに叩かれるのは承知の上だ。
とりあえず俺には前妻との間に出来た
小6の娘がいる。
俺が引き取った。
離婚の理由は、前妻の浮気。
その時に娘は2歳。
娘は妻の事は覚えてない。
父子家庭でやってきた。
といっても娘の世話は、俺のお袋に丸投げ状態だった。
仕事が忙しいのが理由だったが、今思えば
これがいけなかったんだと思う。
娘はいい子に育ってくれた。
でも娘は、若い女の人が苦手だった。
お母さんみたいに、またどっか行っちゃいそうだかららしい。
2年ほど前に、俺に彼女が出来た。
当時俺が40で、彼女が24歳。
この辺も批判の対象になりそうだが
普通に友達の紹介で知り合って
一緒に飲むようになって、それで付き合った感じ。
彼女は、俺の娘にも優しくしてくれた。
娘は初め、彼女に対してかなり警戒していたが
彼女はいつも笑顔で娘に接してくれた。
その甲斐あって、娘と彼女は本当に仲良しになった。
それは俺も嬉しかった。
娘の世話をしてくれた。
娘も、彼女の事を、お姉ちゃんと呼んで
本当に楽しそうにしてた。
情けない話だが、俺のお袋は家事が出来ない。
定年になる前に働いていた場所が激務だった為
ほとんど家の事はしてこなかった。
お袋が作る、娘へのご飯はこんな感じ。
朝・ミスドのドーナツ2個
昼・素麺
夜・レトルトのピザか、マック
こんな感じだったので、娘は好き嫌いが多くて
かなりの少食だった。
身長も小さいし、体はガリガリ。
心配もしたが、お袋に全て投げていた。
そんな娘を見て、彼女は俺とお袋を怒った。
これでは娘が病気になってしまう!と言い
娘の為に毎日ご飯を作りにきた。
彼女の料理だけは食べた。
その内、娘はご飯をおかわりするようになったり
嫌いな魚も食べるようになった。
一年で、あっという間に身長が伸びて
体重も平均に増えた。
外食にいくよりも、娘は彼女のご飯が食べたいと
毎日はしゃいでいた。
俺は嬉しかった。
ここまで書いたら、色々思い出して泣きそうだ。
掃除や洗濯もしてくれた。
ゴミ屋敷に近い俺の家を、彼女がピカピカにしてくれ
かなり住み心地が良くなった。
お袋は、家を掃除されるのを嫌がっていたが
俺は許した。
しかし、今度は彼女に全てを丸投げした自分が
いけなかった事に後々気付く。
その内彼女は、俺の家で暮らすようになった。
娘はすごく喜んでいて、毎日一緒にお風呂に入ったり
一緒の布団で彼女と寝ていた。
娘にとって彼女は、お姉ちゃんでもあり
初めて出来たお母さんだった。
彼女がいってくれた。
俺も参加したけども。
クラスで、彼女はかなり浮いていたと思う。
何せ、周りの母親達よりも十歳は若い。
後に彼女は、周りの母親達から嫌がらせを受けていたみたいだが
彼女は何も話さなかったのでわからなかった。
娘は、彼女が学校に来てくれて本当に嬉しそうで
周りの友達にも自慢していた。
ちょっとぐちゃぐちゃだけど、ごめん。
上手くいっていたかのように思える生活。
このまま、俺は彼女と結婚して
娘に、本当のお母さんを作ってあげたかった。
が、ここから俺のせいで、全てが終わる。
俺はある事件を起こした。
酔っぱらって、器物破損をしてしまった。
しかも壊したのは、今の彼女と付き合う前に
付き合っていた女の車だった。
あんまり覚えてない。
飲んだ帰りにフラフラ歩いていたら
前に付き合ってた女の車を偶然見つけた。
この女には、かなり金を使ったのに
いざ結婚となったら、子供がいる人とは結婚できないと言われ
振られてしまった。
俺に子供がいることはわかってた癖に。
俺はかなりムカついた。
忘れようと思ったが、酔っぱらって、女の車を見つけたら
その時の感情が蘇ってきた。
その辺に落ちてた鉄のパイプを拾い
フロントガラスをめちゃくちゃに叩いて逃げた。
今も思う。
何故、俺は我慢出来なかったのか。
ここから三ヶ月、俺は留置場にいる事になる。
面会に来た彼女に、めちゃくちゃに怒られた。
泣きながら罵倒された。
当然だと思った。
しかし俺は彼女と別れたくなかった。
虫のいい話だが、彼女を失ったら俺はどうしていいかわからない。
警察から出たら、精一杯の償いをしようと思った。
三ヶ月後。
俺は当然の様に、長年勤めてた会社を首になり
無職になった。
代わりに彼女がバイトを増やして働いてくれた。
職を探したが、40歳を越えての職探しは本当に大変だった。
何もしない日々が続く。
俺は虚しさをまぎらわせる為に、趣味にぼっとうしていった。
朝からビールを飲み、好きな映画を見ていた。
俺は長年働いていたきたんだから少しくらい
ゆっくりしていいような気もしていた。
休んでる間に、バイクの大型免許もとった。
彼女にはかなり叱られたが、俺の夢だった。
今思うと、俺なにやってんだろうと
毎日後悔してる。
本当にしなかった。
娘の世話すらしなかった。
彼女の体に、限界が来てるのも知らなかった。
やっと探した仕事はタクシーの運転手。
前の仕事より、給料が半分になった。
この仕事はかなりストレスだった。
せっかく就職出来たのに
俺は酒の飲みすぎで、アルコールチェックに
入社一ヶ月で二回引っ掛かり
早くも首にリーチが掛かった。
この頃、彼女とは喧嘩も増えていた。
娘は完璧に彼女になついてて、俺の味方はいなかった。
彼女も彼女で、色々たまっていたんだと思う。
それでも俺は彼女と結婚したかった。
夏の日だった。
それっぽい感じはあったけど
まさか本当に出ていくと思わなかった。
仕事から帰ったら、彼女の荷物も何もなかった。
娘は帰ってきて泣いてるし。
娘をなだめても、お父さんのせいだ!
としか言わない。
完璧に娘に嫌われた。
その頃、俺のお袋にガンが見つかり、入院にもなった。
娘も、彼女のいない寂しさやストレスから
体調を崩して入院した。
彼女がいた時は全て上手くいってたのに
いなくなった瞬間から、俺の周りはボロボロになった。
俺は彼女を恨んだ。
彼女がいなくなったから、俺達は不幸になったんだと思った。
悪いのは全て彼女。俺は自分のしてきた事を、棚にあげて
彼女を恨んだ。
娘の世話は、俺一人では無理だった。
お袋や彼女に全てを丸投げしたせいで
俺は家の事が何一つ出来なかった。
娘も、そろそろ思春期に差し掛かろうとしていたし
とにかく不安だった。
彼女が戻ってきてくれれば、また全てが
うまくいくような気がしてた。
俺は、今まで悪かったと、本当に心の底から謝り
彼女に連絡した。
家の前で、彼女が仕事から帰ってくるのも待ち伏せた。
しかし彼女からの返事は冷たく
今度待ち伏せたら、警察に言う。
ス㋣ーカーとして連絡する。と言い出した。
俺には、前の器物破損で執行猶予がついていたため
次に何かやらかしたら本当にブタ箱行きだった。
それだけは避けたかったが、彼女の事も諦められなかった。
何とか彼女に思いを伝えようとしたが
全て無駄に終わった。
ガンが進行し過ぎて、手術してもダメだった。
それと同時に、娘は親戚に引き取られた。
娘の希望だった。
俺みたいな親父とは暮らしたくない。
お姉ちゃんの所に行きたいけど、行けないから
親戚の家に行くと言い出した。
俺は一人になった。
自分の親も、娘も、彼女すら失った。
一人で起きて、仕事に行って、帰ってきて寝る。
あの時、彼女の話を聞いて、ガムシャラに働いていたら
こんなことにはならなかったのに
と後悔してる。
娘はまったく顔を見せないし
俺はもう空気になってる。
見てるぞ。
ありがとう
もう昔の話なんだけど
今でも思い出す。
彼女は娘の世話をしてくれた。
それなのに俺は、彼女に恩を返すどころか
裏切ってばかりだった。
彼女が出ていってもうかなりたつ。
俺はバイク屋にいった。
そこでふいにバイク屋の兄ちゃんに
愚痴をいってしまった。
何でかはわからない。
ただ俺の話を聞いて聞いてくれる友達も
もう、誰もいなかったからかもしれない。
何と彼女の友達だった。
もう会わなくなった彼女の話を
俺は聞くことができた。
彼女は最近、結婚したそうだ。
それを聞いて俺はかなりショックだった。
まだやり直せると、どこかで思ってたからだった。
兄ちゃんに聞くと、彼女は
けっこう金持ちの家に嫁いだそうだ。
兄ちゃんも、彼女の旦那と会ったことがあるらしく
淡々と話してくれた。
今思うと、兄ちゃんは俺の事を彼女からの聞いていて
俺に腹が立っていたかもしれない。
だから、当て付けのように教えてくれたのかもしれない。