ん?何だあ?と思って近付くと強面のオッサンで思わず後退り。
「あぁ、ちょっと話を聞かせてください。」って警察の人だった。
ここに住んで何年になるか、とか、同居人はいつから居るか、とか聞かれた。
しばらくして管理会社の人間が来た。
管理会社の奴が、一人暮しとしてご契約頂いてますが、と言ってきた。
警察は「とにかく開けろ」と言うからとにかく開けた。
いつも通りに電気の消えた部屋に明かりを点けるとこれまたいつも通り。
と言うと、警察が詰め寄ってきて
「そんなはずは無い。昼間に何度も現任している。」と言う。
鑑識とかも待機してたようで部屋に入り切れないほどになり、近所の人も出てきて
パトカーもゾロゾロ。
警戒線まで張られて俺は任意同行で近所の署まで連れて行かれた。
続きはよ
すまん、寝てた。
警察で取り調べ室みたいなとこに通されてあれこれ聞かれた。
ひたすら質問の中心は同居人の存在とアリバイみたいな話だった。
同居人は居ないと何度言っても信じてはもらえない感じは
話の内容としつこさで解った。
しかし警察の調べた時間はいつも夕方までで、俺が帰る頃から後の時間で
俺以外の存在は確認されてなかった。
そこを指摘すると向こうは次に、誰かに部屋を貸してないか、と言い出した。
そうこうするうちに車で一時間ほどの距離に住んでる両親が呼ばれて来た。
唯一部屋の鍵を持ってるのが母親で、月に一度は部屋の掃除や食料の補充をしてた。
その母親が昼間に来てた時に
不審な奴が部屋を訪ねて来てたと言ったもんだからまた混乱してた。
拘束は3日続いて、その間に部屋の指紋とかが全部取られて
俺以外の指紋が母親以外に3つ出たと聞かされた。
警察は昼間に俺の部屋を出入りする奴が
ヤクの前持ちだったのを見つけてマークしてたらしい。
俺が拘束された日の昼間にもそいつが居て部屋を出たとこをパクって
部屋の持ち主が帰るまで待ってたんだと。
真相は、俺が入居する前にそいつの知り合いがその部屋に入ってた。
そのアパートは入居者が変わる時に鍵のシリンダーを交換しないってのを偶然知って
コピーキーを合わせてみたらビンゴ。
俺の居ない昼間にヤクの取り引き場所に使ってた。
その間2ヶ月ほど。
俺は帰って寝るだけの生活だったので、また母親が来たのかな程度だったから
気付かなかった。
売人も関係者もみんなパクられて俺との関係が無いのが解って無事釈放。
会社でも事の真相が明かされるまで俺はヤク中扱いされてたけど、小さな会社だった
おかげで誤解はじきに解けた。
今は平穏に暮らしてるが大変な目に遭った。
でも、引っ越して半年程は休みの日の午後に窓の外を見たら不自然な駐車をした
セダンにオッサン二人で乗ってるのを見かけたよ。
完全には信じてもらえてなかったんだろな。
あれから5年。
今でも休みの日に窓の外を確認してしまう。トラウマ。
乙
部屋の中で鉢合わせしなくて良かったね
一度だけ調整休で平日に家に居たんだよ。
そしたら何度かドアホンが鳴った事があった。
古いやつだし煩わしいから音も小さくしてたし
隣なのか近所なのかも解らなかったけど、あれもそうだったんだろな。
ヤク中と鉢合わせなんて今思うと背筋が寒くなる。
よく冗談で
「幽霊でも居れば寂しくない」とか言うのを地でやってたほどだしな。
一人暮しの寮に居た頃に、夜中に室外に向いた壁に向かって寝てたら
壁をコンコンと叩く音が毎晩した。
最初は怖かったけど、叩き返すとまた返信するように叩いてくるので毎晩やってた。
今は焼けて倉庫になってるけど、連続して自殺者の出た地元じゃ
有名な事故物件だったんだと。
リアルな怖さはやっぱ公権力だと痛感するよ。
殺人事件のあった部屋より殺人犯の住んでた部屋のが怖いと聞く。
現実的には死人さえ出てないけど犯罪の現場に住んでる方が怖いやね。
5〜6千円はするんだよね。
出入りの激しい物件で毎度完全交換してたら経費もかさむ。
ましてやマスターのかかった鍵だったりするとオーダー品だしもっとかかるんだよ。
多くは予備を用意しといてそれと入れ替えして使う。
オートロック&ディンプルキーでかなり安心出来るレベル。
真面目に替えてる方が少ないかも。シリンダー交換費は取ってるのにね。
春の引っ越しシーズンなど、内見の度に、いちいち鍵の貸し借りをするのが面倒臭いからって、
鍵を紐で吊って、新聞受けの中に落とし込んでるのもある。
業者のシリンダー交換は、信じちゃダメだよ。