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:ヘタレ葬儀屋 ◆fcEtU5f4EA2013/11/14(木) 22:09:55.17 ID:3SPcr4tqiこの一線は越えられないし越えるつもりもなかった。
俺「わかりました、では喪主様の仰る通りの見積りを取らせて頂きます」
母親「助かったわーwww」
何から助かったんだ。あんたは。
先輩「おい、」
俺「大丈夫です。」
それからの見積りは多分先輩から見たら完全に先輩が教えてくれた葬儀屋たる素養は皆無だったのだろう。
会館に戻ってからかなり叱られた。
それでも嫌だったんだ、あんな母親が喪主で自分可愛さで娘を貶める様な式を立てるのが。
それでも残された人間はタヒんだ者の意思を継いでいかなければならないと思う。
色々な事情やしがらみで出来ない事は沢山あるが、人のタヒに自分の傲慢を乗せて焔に消し去ろうとする事は許されないと思った。
それだけだ。
葬儀屋の地獄の一つを垣間見た気がした。
終
メンヘラは母親だったよ(´・ω・`)
娘さんはわからないが、自杀殳までしたのならそうなのかも知れない。
そうで無いと信じたいが。
変タヒ体は笑いとは疎遠な内容ばかりだしね。やはり坊主は笑えるネタ満載だから書きやすいわwww
どうしても引き取りは表には出さないけど主観が入ってしまいがちでダメだね。
シリアス、笑いどちらでも特定の範囲を越えなければ答えるし書くよ。
なんか葬儀とかでどこまで感情をだせばいいのかわからない。みんなどんな顔で葬儀に参列してるの?
いたねー。
声掛けにくかったのを覚えてる(´・ω・`)
あまり見なかったけど愛情が人一倍だったんだろうなと思うよ!
葬儀は非日常の塊だからそんな事があってもおかしくないよ!
深いね
何はともあれお疲れさま
自分はやっぱり笑える話の方が好みかな(´・ω・`)
また書いてくれたら嬉しい
会館に出勤したら何故か社長が来ていた。
社長「お、俺君待ってたよ」
俺「お久しぶりです、社長」
何しに来たんだ?この人来たらろくなこと無いんだよな…(つд`)
社長「早速で悪いんだけど、都会の国立病院まで御遺体の引取りをお願いしたいんだ。」
来たよ…。都会なんて超が付く程大手の縄張りじゃん。
俺「御遺体の引取りは分かりますけど何でウチなんですか?」
社長「いや~他所さんからたらい回しにされたみたいでねーwww」
wwwじゃねーゃ。
俺「もう話は受けてしまわれたんですよね」
社長「勿論」
俺「詳細を教えて下さい。寝台と機材の準備するんで…」
社長「おうこれだ。後は頼んだぞ?搬送だけの簡単なお仕事ってやつだ。」
それを他社は投げたんでしょ…簡単とかやめてくれよwww
俺「流石に道や搬入路が分からないので都会の道に詳しい新人を借りたいんですが」
社長「好きにしなさい。」
俺「アザーす」
新人「」
二人で楽しいドライブの始まり始まりwww
俺「おい新人、今運転中だから詳細読み上げてくれ」
新人「え?社長から聞いてなかったんですか?」
俺「あの場を早く切り上げないと色々うるさいだろ。ただでさえ変な仕事なのに、これ以上の面倒はゴメンだわ」
新人「それもそうですね。あの人よくわからないです」
なかなか正しい反応だwww二代目なんてろくなもんじゃねぇwww
(二代目で頑張る社長さんごめんなさい)
俺「んで、詳細は?」
新人「県警霊安室って書いてますけど…」
はあァ亜ァァああァ⁈
あの社長、俺が嫌がるから適当な事抜かしやがって!
(後あと考えると俺が逃げる様に出るのも全て計算だったんじゃなかろうか…コナクソ)
俺「あー、そうなの?w」
新人「動揺してますね」
俺「…お前も嵌められたんだぞ」
新人「僕は俺さんに嵌められたと思ってますけどっ」
俺「」
仕方ない、高速を一つ手前で降りて県警に行こう…(´;ω;`)
(ここの霊安室、ホント苦手なんだよなー…)
すべからく警察の霊安室とは異質な空間で、地下に降りた時点で総毛立つ。
県警ともなれは尚更だ…。
詳細は頭に入っているから問題ない。
要は白骨タヒ体を引取り、ある地域まで移送するだけなのだ。
俺「おい、気合入れとけ吞まれるぞw」
新人「もう吞まれてます…((((;゚Д゚)))))))」
だろうなwwwそんな俺ももうヤバイwww
俺「○○会館の俺と申します御遺体の引き取りに参りました。」スッ書類
受付「……どうぞ」
俺たち葬儀屋も大概だが相変わらず警察は態度が悪いw
県警の霊安室は地下一階。
リノリウムと打ちっぱなしの廊下を歩く
カツーン…
カツーン…
ホント心臓に悪いわwww
俺「失礼します」
新人「失礼します…」
担当官「お疲れ様、此方のAがそうです。」
相変わらずひでーなw
警察の霊安室で複数のご遺体があると、A・B・Cなどの札が置かれ、納体袋の中を指定された札の所だけ確認する。
つうか大体見てもよくわかんないんだけど。
俺 合掌
「失礼します」
ジジジジ…。
うん、見事な白骨タヒ体……
ていうかくっせぇー!⁈
何で⁈何でこんなに匂うの⁈
つうか匂いの元の肉がない。
俺「…⁈」
新人「ぐはっ…⁈」
これは今までに無い位の刺激臭だった。
(骨の中の組織がまだあるのか?)
担当官「早く引き上げなさい」
俺、新人「すっすびばぜん」
再度ジッパーを上げ、簡易納棺をして霊安室を後にした。
(なんなんだこれ…)
俺「俺が知るか!俺も初めての御遺体だわ!」
裏手の駐車場から寝台車にご遺体を乗せて指定された当家まで移送を開始した…。
俺「来る時下り混んでたよな」
新人「話しかけないでください、呼吸するのが苦しいので…」
あまりの匂いに簡易納棺をする時に目張りをし忘れたのよね…。すまん新人(´・ω・`)
あれよあれよという間に車間が詰まり出した…。コレハヤバイwww
俺「あー。あれだ。暑いしエアコンつけようか」
新人「結構です。出来たら窓を開けたいんですが」
俺「いいぞ」
ウィーーん…
嗚呼、そよ風の心地よさよwww
いよいよ車間が詰まり完全に詰まってしまった。
後続車から会話が聞こえ出した。
女「なんか臭くなーい?」
男「うぇっ何だこれ⁈」
更に後続車からも臭いの連呼www
男「おい、あの前のバンからじゃね?」
女「そうかも~w」
そうかもじゃねぇよwww当たりだよwww
ウィーーん
新人「何するんですかっ‼︎」
カチっカチっ
スマンwwwロックさせて頂きますたwww
新人「開けてください!マジで吐きます!」
俺「うっさい。このままだとこの車に白骨タヒ体が乗ってるのバレるだろ」
ちょっと知識があれば寝台車かどうかはすぐわかるけどねwww
新人「ぐぬぬっ」
俺「渋滞抜けるまで我慢しろw」
新人「俺さん鼻おかしいんですか?こんなの御遺体には悪いですけど無理ですっ」
ばんっ
こんにゃろっ!ドア開けやがった!
面白おかしく書いてるけど、何度も言うが亡くなられた方が居ることを忘れないで欲しい。
新人「なら窓を開けて下さい!」
俺「それは出来ん相談だ!我慢しろ!このゆとりが!」
新人「ゆとりゆとり言いますけどね!理不尽な圧力こそ老害ですよ‼︎」
おれ「ざけんな!誰が老害だ!俺ぁまだ31だ!こんにゃろ~!そんなに嫌なら辞めちまえ‼︎」
新人「それが老害なんでげdgtg@ふじこ‼︎」
うぷっ
頼むから吐かないでwww
新人「なら最初からして下さいよ」
俺「ぐぬぬっ」
新人「でも何で白骨タヒ体がこんなに臭いんですか?…前の時はここまで臭いはしなかったじゃないですか」
俺「流石に俺の下に居ると解って来たなwww」
新人「解りたくもないです。」キッパリ
(可愛くねーな、相変わらず( ゚Д゚)ゴルァ)
俺「推論だけどな、この御遺体多分白骨化するまでの期間を経てないのかも知れん」
新人「は?」
俺「発見された状況(詳細は伏せる)からして野犬なり動物に肉を喰われた可能性が高い。でなけりゃ俺でも説明が付かん」
新人「その割りにはかなり綺麗に骨格があるじゃないですか」
俺「だから推論だと言ってるだ…」
パーンぷァーん!‼︎
男「おい!くせーぞそこの車‼︎何してんだ‼︎」
……すんません
しかも鳴らしたのは対向車線のトラックの運ちゃんだったwww
俺でも「バレたものは仕方ない、おい新人www同罪覚悟で全開行くかwww?」
新人「無論です」
サーセン皆さんwww俺たちも正直限界なんすよwww
ウィーーん…‼︎
ぎゃああああァぁぁああ‼︎
直後方の車から女の悲鳴がwwwザマアwww
俺と出会った事に後悔しやがれクソッタレwww
信号や停車の度に後続車、対向車、歩行者から大変厳しい視線を頂いたが、高速で全開やらかしたら一線超えちゃいましたw
無事到着して引継をした時もすんごい目で見られましたwww
俺は違うよ?後ろの御遺体だよ?
新人は終始タヒにそうな顔をして全く役に立ちませんでしたwww
大口叩いた割りにはやはりゆとりだなw
人を老害扱いするからだこんにゃろ~。
追記
スーツをクリーニングに出しに行ったら拒否られますたwww
終
例えるとどんな?
仕事先の近所のマンションで亡くなった孤独タヒっぽい腐乱遺体の搬出に偶然出くわしたことあるけど、
日頃道歩いててたまにどこからとも無く臭ってくる動物のタヒ体のあのニオイに酸っぱさを足した感じだった
そうだねー。遠巻きなら夏場台所に二日出しっ放しにした豚バラに近い酸っぱい感じかな。先輩の話だと人間の腐敗臭は人間が1番嫌う臭いの構成で出来ているんだと。
至近距離になると口には形容し難い臭いだわ。先輩の話もあながち間違いではないのかも。
豚肉を腐らせたことがあるけど、それに酸っぱいのを足した感じか。
今の所10割バッターだwww
臭いだけで分かるなんて
焼タヒ体自体は何度も引き取ってるから違う話は書けるかもです。
これも引き取りのみの変わった仕事。
しかも何故か俺指名で他支部から依頼があったんだ。嫌がらせ以外の何者でもないはwww
ではポチポチ書きます
俺は休みになるとよく釣りに行く。
川釣りも磯釣りも大好きだ。道具に金を掛けなくても何とかなるし、一日1000円以下で楽しく遊べるから経済的で気に入っている。(あと食費の足しになる)
ある日鮎が解禁になったので車を走らせて山間の川に行った。
(あれ、水が多いし濁ってる…上で降ったんだろうか)
最悪だ。久々の休みに釣りが出来ないなんて…。
(とりあえずポイントまでは行ってみよう。ダメなら帰りに温泉もあるし)
ダメだ…。全く釣れる感じじゃないし遊漁料も馬鹿にならん。帰るか…。
ん?人集りが…。
何だ?釣り客もいるぞ?釣れてるのか?
近くに行くと消防団やら何やらで騒然としていた。
(溺れたのか?こんな状況で釣れるはずないのに可哀想)
結局、その日は温泉に入り帰路についた。
自分が釣られたとも知らずに。
prprpr…先輩の携帯が鳴った
先輩「はい。おー久しぶりだな‼︎何だ?俺君?代わろうか?」
先輩「おい、シャクレ君からお前に電話だ」
俺「?シャクレさん?○△支部の?」
シャクレさんとはウチの支部とはかなり遠方、うちの会社の創業者の膝下、いわゆるエリート集団のいけ好かない奴だ。もちろんシャクレ返っているのでシャクレだ。
以下シャクレ。
俺「はい、代わりました俺です」
シャクレ「あー、君が俺君か!チョット頼みたいことがあってね」
てめー、先月の営業会議で会っただろうが‼︎シャクレてんじゃねーぞコノヤローガ!
まー土曜も日曜もなく
結婚式と違い予約もなく飛び込みのみで
通夜の対応もしてくれる
現在社会の基準として金かかるのは仕方がないな
といきなり親戚が亡くなって葬式に参列してる俺が思う
木材港で水タヒ体が上がったがうちの支部では引き取る人出が足りない。俺なら一人でも大丈夫だろうよろしく頼む。だそうだ。
はいはいシャクレシャクレwww
て、ふざくんな‼︎
面倒なだけなんだろ?はっきり言えよ!
覚えてろよあのシャクレ野郎‼︎
勿論本部に近い支部の依頼を断る力もないので仕方なくお迎えに上がる事になってしまった…。
俺「えっと、誰か一緒に来てもらえませんかね…(´・ω・`)」
先輩「今日は新人の司会の試験するからパスな」
新人「残念ですwww」
嘘こけ!
俺「古株さんは…?」
古株「さ、当家参りの準備や、忙しい忙しい」
俺「」
わかりましたよ、わかりました!
俺一人で行きゃあいいんでしょ⁈
てめーら覚えとけ!
とは到底言えない…www
行ってきます…。
納体袋に安置するのも一苦労なのだ。
(これはフル装備にプラスして行こう。どうせ式も入ってないんだドライアイスもごっそりいっちゃえwww)
何があるか分からないので準備をするに越したことはない。
木材港までは40分程かかる。
しっかり準備をして不備の無いようにせねば…
ぼっちだし…(´;ω;`)
すぐそばの警察署に引き取りの手続きをしに行く。
前に書いたので霊安室までの道程はカットだwww
ガチャリ…
俺「ご遺体の引き取りに参りました…」
担当官「あれ?一人?大丈夫?」
俺「え?」
安置台に乗せられた御遺体はほぼ人間の貞を成していなかった。
ここから閲覧注意です。
担当官「流石の我々もねw」
霊安室の担当官が苦笑いする程に凄い事になっていた。
まず、皮膚の色が薄緑色なのは溺タヒ体にはちょくちょくあるのだが、色素が、というか透けてるんだ。皮膚が。
実際に触ると分かったんだが、水膨れを通り越してスライムの様になっていた。
俺の感覚だと、変タヒ体の危険度は皮膚が保存若しくは維持されているかに大きく左右される。
この御遺体はその基準から大きく掛け離れたモノだった。
皮膚だけではない。薄暗い霊安室の安置台の上に乗っているにも拘らず、体内に魚のタヒ骸が無数に残っているのが見えた。
海に流された時点で穴子の様な根魚に眼球や口腔、鼻腔に至るまでほぼ侵入されて餌にされる。
外皮は蟹や貝類に食い散らかされるのが常でまともな状態で岸に上がることはあまりない。
勿論この御遺体も例には漏れてはいなかった。
担当官「お勧めはしないね…」
Deathよね~…。
辛うじて安置台の上に乗っている。そのまま天板からスライド(滑り流す)させて移乗しようと試みた。
俺「すいません、お手伝い願って」
担当官「仕方ないよ、仮に二人来ても手伝うつもりだったからね」
あんた、いい人だ~(泣)
俺「いきます」
せーの、
ズルズルぬらぬら…ずじずず…
ベチャり…
何これ(´;ω;`)
(マジか…)
仕方ないので手分けして元あった型に近い状態に納体袋におさめるしかない…
ゴム手袋越しでもぬらぬらしてるっ!
いやぁあぁああ!
ぶりんっヌルッ ベチャっ
ごめん、御遺体さん…(´;ω;`)
一通り袋に納めてからありったけのドライアイスを詰め込んだ。
体組織であったスライムを固めてしまうためだ。
以前引き取った御遺体はこれで何とかなったんだが…いけるか?
担当官「それではよろしくお願いします」
棺は一応持ってきていたがこれは…。
一度会館に立ち寄るべきか?
シャクレんとこ行こうwww
引き取りは完了したんだし当家に引き渡しがあってもこのままでは無理だしな。
忙しいらしいが誰か一人くらいいるだろw
行きますよ御遺体さん!もう少し我慢してて下さいね?
せめて会館で簡易納棺だけでもしないと気が気ではない。
あと、臭いも相当の代物だったからだ。
(新人もいないし窓で揉める事もない…w)
最短を走り抜け、目的のシャクレ支部に到着した。
お?車あるじゃん式も入ってなさそうだし…そんな事だろうと思ったがなっ‼︎
だからワザワザ来たんだよ!
俺「ちわーす」ガチャ
シャクレ「⁈」
はい来たこの反応www
御遺体さんもう少し辛抱しといて下さいね(´;ω;`)
シャクレ「ははは」
俺「簡易納棺しますんで桐棺出して下さい」
シャクレ「え?向こうでしてこなかったの?」
俺「基本単独引取りで霊安室ではやりませんよ。」
シャクレ「そ、そうなんだw」
俺「後、御遺体の当家の宗派教えて下さい」
ひとしきり注文を出して道具を用意させた。その中に樒(しきみ)も頼んでおいた。
(かー、やっぱここの会館いい樒使ってるわwww)
御遺体を納棺し、樒を入れる。
全然足りね~wwwケチるなやwww
俺「ありったけお願いします」
シャクレ「」
意外と知られていないが、樒には防臭防腐効果がある。
いくら目張りしても中からの腐敗や臭いは抑えるのに限度がある。
なら、宗旨に見合った樒でそれを補うのが当然である
シャクレ支部の樒を全部使い切って綺麗に納棺が出来た。
樒の値段?知るかwwwシャクレ宛につけといてくれやwww
シャクレ「お疲れ…」
勿論シャクレも納棺に立ち合わせ、手伝わせたw葬儀屋たるものこれしきの事で疲弊するとは情けない。ウチのクソ新人の方がいくらかマシだwww
きっちりこの事はウチの支部で面白おかしく話させてもらうからなw
このシャクレがっ‼︎
この後、帰りの車で気付いた。
(あっ詳細のコピー持ってきちまった…ま、いいかwww)
コンビニでコーヒーを飲みながら一服を入れる。やはり気になって詳細に目を通して驚いた。
あの日の釣り客…。
多分そうだ。ニュースでも遺体が見当たらないって…。
まさかなwww
調べてみたら本当にその釣り客だった…。
世の中何処で繋がって流れ着くやら分からないものである。
終
てか、変タヒ体あたりすぎではw
ちなみに複数人同時の葬儀はある??
あったよ!
大変だよ…最大3人の式のサブで入ったけど本当混乱するwww
それが変タヒ体⑤の話なんだが、これ以上は無理www
あ、それが⑤でしたかw
4人の式を見たことあるんだが、棺が並ぶと尚更切なくてね…。
切ないよね…悲しみの量も言わば悲しみ×棺の数+αだからね…。
思い出すだけで辛くなるよ…。
相方は今までチョイ役だった古株さんだったんでやり取りが漫才臭くなるかもwww
まぁ毎度の事ながら需要があればだが。
ゆっくりでもいいからお願いします。
入ってひと月位経った頃の話
まだ先輩から本格的に仕事を仕込んで貰う前の話だ。
その当時、比較的暇な古株さんが平時は色々教えてくれていた。
古株「自分、仏さん触るの何ともないんか?」
俺「正直慣れて来ましたね、流れがわかってきたのでw」
古株「そうかぁそりゃ良かったわ、この業界はすぐ辞めるヘタレばっかりやさかいな」
少し寂しそうに俺に話してくれた。
聞いた話では、古株さんが目をかけた新人は悉く早期離職してしまい、新人教育から外されてしまったそうだ。
(そんなに厳しい人ではないんだけどな。先輩さんのがよっぽど怖いし…)
この後、先代タヒ体処理専門員の本領発揮をみるのだが、全て話すには余りに話が多すぎて割愛する。
つうか俺の霊安室処初体験は中々にハードなモノになるw
古株「はい○○会館でございます。はい、はい、わかりました。それでは宜しくお願いします」
(電話の時は標準語なんだよな(^_^;))
古株「警察引き取り入ったわ、自分着いて来るか?あんまりワシは気が乗らんが相方いるさかいな…どや」
俺「いつかは必ずやってくる仕事ですし、遅かれ早かれっすよ!」
ホントは超帰りたいんすけどwww
古株「…そうか!なら一緒に行こか!何かあってもワシに任せとけ!な?」
俺「はい!お願いします!」
丸投げする気満々ですが(・∀・)ヨロシク!
俺の人生で初めて、地下結界(ウチではそう呼んだ)を破る日がやって来た。
古株「ええか、霊安室は空気が違う。今までの病院引取りと同じに考えたら空気に呑まれるでw気ぃ付けや」
俺「押忍!気ぃ引き締めて行きますんで宜しくお願いします!」
帰りテェwww
引取り用の準備をしながらそんな会話をしていた。
古株「これTVで見た事あるやろ」
おもむろに手渡されたモノはかの有名な納体袋である。
正直いきなり現実を突きつけられたみたいで固まってしまった…
古株「自分、大丈夫か?」
俺「いや、本物見ると実感湧いてきますよねw」←勿論強がりですwww
古株「せや、実感しながら冷静に仕事するんがプロや。ほんなら行くで」
あー、カッコいい事言ったけど全く安心しないんですがwwwどうしよwww
強がっちゃったよ……(´;ω;`)
もう引き返せない空気の中、会館から程近い警察署に着いた。
免許の住所変更や遺失物届け出など、平時訪れる空間にまさかあの様な空間が在ろうとは…。
古株「ほな引取り様にバックで停めるから後ろ見ててや」
俺「オッケーっす」
車を降りてバックを見ようとした。
下りのスロープ⁇こんなのが裏側にあったのか…。薄暗れぇな…。
俺「オーライ、オーライ、OKでーす」
ゾクゾクゾクっ…。
はっ
振り返るとそこには薄暗い灯りの中に青色のペンキで塗られた二枚扉があるだけだった。
(こえぇ…っ!何だか分からんがこれが呑まれるって奴か⁉︎)
正直この時点で玉ヒュンヒュンしてましたwww
二枚扉に近づくと
古株「ちゃうちゃうwそこは仏さん連れて出て来るトコやw反対から入る奴なんかおらんぞ~w」
笑ってねーで先に説明しといて下さいwww何か新人教育外されたのわかって来た気がするwww
ホントに霊安室手前の再確認の内線まで完全に記憶が欠落している…。しっかり呑まれてしまいましたwww
しかし、まだ序の口なんですよねwww
古株「中に入ったら仏さんの確認、自分してな?経験やさかい」←シレッ
俺が返事をする間もなく勝手に扉を開け放つ。
ガシャン、キィィィー。
古株「失礼致します」
(までマテまて‼︎心の準備がっ…!)
古株「ほら、はよ」
あんた、新人教育向いてないよ(´・ω・`)
古株(しゃーなしやで)
と言わんばかりに担当官とやり取りを始めた。
ジジイ‼︎俺の心の準備とか考えろよ⁉︎
と、今では余裕のツッコミも入れられるが、あの当時俺の○玉は体内に引っ込んで出て来ない位、俺のメンタルと同調しまくりのシンクロ率130%超えを叩き出していたはずだwww
古株さんがアゴで早く確認する様に催促して来た。
俺「しっしつるいなやてひやゃすっ」
噛みっ噛みで納体袋を開け様とすると…
担当官が脚にタグが付いているから足元から開けるように、と指示して来た。
ジジジー…。
(足だけなら…)
⁈⁈⁈…‼︎
オェェェェェ…!
吐いちゃいました☆テヘッ
だって足だと思って開けたら…。
思いっきり顔ですやん。めっさ見てますやん(爆泣)(´;ω;`)
薄暗いのでタグを見ようと顔を近づけて開けたから、かなり濃厚な距離でご対面してしまったからもう大変…(;´д`)
辛うじてご遺体には吐瀉物をぶちまける事はなかったが、壁際で盛大にマーライオンの様に吐いたのは今となってはいい思い出だ。
古株「なんや、吐いたんかいな。スンマセン、チョット外させますわ」
お前のせいだお前のっ!
担当官も酷いが俺の心の余裕を根刮ぎ持って行きやがってっ‼︎
当時はそこまで考えが至らなかったが、数ヶ月間は古株さんに心を開く事は無かった。
勿論外れた後も泣きながら仕事をし、会館に帰ってから先輩に散々笑われてしまった。
二度と古株さんの親切っぽい行動を信用しないと心に誓った瞬間だった。
(本気の仕事の時は顔から笑がなくなるが自分が楽したい時はニヤニヤしてるからなっ)
終
もっと書いてくれい
一般的に坊さんは地域の世話役であったり人格者が多いイメージだが、この坊主に限っては俺の中の坊主のイメージを完全に覆す変人だった。
用事しながら書くから更新遅いかもです。
夕方に引取りが入り、自宅へと御遺体を移送する事になった。
俺「このまま担当するんですかね」
先輩「そうなるだろうな、自宅に仏壇もないらしいし、何処かしらの寺院を紹介しないとな」
俺「宗派によりますけどね…何宗かわかるんでしょうか」
先輩「それは当家次第だな、新宅だしこればかりはな。」
御遺体を自宅へとお送りし、一般的な枕飾りを完了してから今回導師を勤めて貰う寺院の話になった。
俺「ご宗旨はお分かりでしょうか」
喪主「全くの無信教なもので…」
喪主「そういえば…○○寺にお墓があるとか。」
俺「では浄土系の寺院様ですね、先輩。」
先輩「……。」
俺「先輩?」
先輩「あ、いや、その寺院は存じておりますが…」
喪主「何か?」
先輩「あまり檀家をお持ちではなくて我々もあまりお付き合いがない御寺院なので」
喪主「なら尚更檀家になり易いし、故人の累々の墓もあるし、そこの御寺院にお願いしたいのですが」
俺「わかりました。連絡を取ってみましょう」
先輩「…」
先輩「○○寺はマズイw」
俺「何でですか?」
先輩「あそこは寺とは言わんwろくな式にならんぞ⁈当家に説明出来ん程破天荒だからな…」
俺「では他の御寺院を紹介しましょうか?他にも色々ありますし」
先輩「当家がそうしてくれたらな…」
先輩の心配は的中した…当家としては故人縁の寺である事と何か繋がりを持ちたいという感情から、頑なに首を縦には振ってくれなかった。
まぁ、最初に俺が軽い気持ちで乗ったのが悪いんだが…。
とりあえず、枕経に来てもらいましょう。
先輩、心配しすぎっすよwww
坊主「はい、もしもしぃ?」
お「○○寺様でしょうか、私○○会館の俺と申します。」
坊主「何や、要件は?今野球見てるから忙しいねん」
(は?)
俺「ご当家様から故人様縁の御寺院だと伺いまして、枕経、延いてはご葬儀の導師をお願い致したく…」
坊主「えぇでェー、野球終わったら行くから9時半位やな。ワシ呑んでるから自分迎えに来てやwww後お前堅苦しいわ!」
※坊主の会話はほぼフェイクなしのガチ○コだwww
ええぇェええ~…(;´д`)
何なんだこの坊主…。先輩、俺イキナリ禿げそうです…。
すんごい長い名前の支部があったりしてカミそうになった事数知れずwww
会葬客ほぼ全てが勤行上げるから会館が地鳴りするよね。
俺「お迎えに上がりますので、お酒は控えてお待ち下さい」
坊主「だから堅苦しいっちゅうねん!酒飲もうが何しようがワシの勝手やないかい‼︎そんなん言うたら行かへんぞ!」
俺「すいません…」
坊主「な?そうなってくるねん。わかっから文句言うな」ガチャリ
俺「」
えらいとこに依頼しちまったぁ~!
俺「どーしよ、先輩(泣)」
先輩「俺は知らん。枕経と見積りは付いてやるが後はパスだ」
マジか…またもやぼっち。
かーちゃん、俺、若禿げるよ…(;´д`)
(やべーゃ…どう考えても変人じゃねーか…どうするべ…(´・ω・`))
地図と記憶を頼りに旧市街地の中にある寺へ到着した。
ぼろっ‼︎なんじゃこれ‼︎廃寺かよ⁈
という位下草は伸び放題、障子は外れている。
何よりも山門の位置が明らかにおかしい…
山門とは寺に入る時の潜り門の事なんだが、普通は山門から見て本堂は必ず正面にあるものなんだ。
京都観光でもした時にでも国宝の東寺や清水寺の様な広い寺、なんでもいいから見て見てくれ。必ず正面にあるから。
でも生臭寺(スンマセン)の山門から見る本堂は、左に寄っていて歪な形をしていた。
住職の性格と同じなのか…(;´д`)
えもいわれぬ心地悪さで坊主のいる場所へ…。
俺「こんばんは、○○会館の俺です。先程は電話で失礼しました~」
ちょっと明るめに挨拶をするが返事がない。
(?)
俺「失礼しまーす…」
靴を脱ぎ、上がり框を上がるとそこには酒を飲んで爆睡する坊主の姿がwww
何してくれてんだこの坊主…(;・`д・)
坊主「んー?んぁあ…ぁ」
坊主を揺すって起こそうとした。
クッサッ‼︎酒くせぇ~!呑むなっつっただろこのクソ坊主っ‼︎
坊主「誰やお前…」
俺「○○会館の俺です、電話で枕経のお願いを…」
坊主「お?おーおーそうやったw忘れてへんで?用意するから車で待っとけや」
今、完全に忘れてたろ…!
今揉めても仕方ない。素直にここは外で待とう…。
数分後…
坊主「おー、待たせたな。ほないこか」
バタン
俺「宜しくお願いします…」
(くっせぇ)
前途多難だよかーちゃん…(´・ω・`)
(大丈夫なのか、このおっさん…)
当家に到着し、車を降りてもらう。
あれ?あの草履…雪駄じゃねぇ⁈
ビーチサンダルじゃねーか!!
頼むよ~勘弁してくれよ~(泣)
坊主「こんばんわ~ぁ!」
そんな元気な枕経読む坊主が何処にいるwww
坊主「邪魔するでェ~」
喪主「ふぁっ⁈」
散切りの坊主頭に伸びた髭、ヨレヨレの袈裟に擦り切れた扇子と勤行帳。
酒焼けした声と真っ赤な顔…。
何よりも酒臭い…www
故人の枕元にどかっと座り、一礼した。
胡座なんですか…(´・ω・`)
坊主「ブッセツアミダキョ~ぉ…」
雑すぎ…。
まぁ枕経が始まれば少しの間だけは葬儀屋は用無しだ。外に出て待機しよう。
俺「先輩の言うとおりの変人でした…」
先輩「だからあれ程言ったろうに…」
二人して肩を落として煙草を吸おうとした
時…
ペタペタペタペタ…
坊主「おーい、済んだから帰ろか~、兄ちゃん送ってくれや」
はい?
コントでも何でもなく、ガチ○コだからなwww
俺「仏説阿弥陀経でしたよ!雑でしたけどっ!」
坊主「何ぶつくさ言うてんねん、はよせーや!お、お前先輩やんけwまだこんな仕事しとるんかwwwwww」
先輩「お久しぶりです、先生。枕経は…」
坊主「あんなんみんな分からんやろwテキトーに切り上げて来たったw」
最悪だ…。
俺「斎場の確保も御座いますし…もうすこし…」
坊主「かめへんかめへんwwwワシ暇やから電話で教えてw眠たいねん、はよ送って」
先輩・俺「はい…」
当家の敷居を跨ぐの怖すぎ…(;´д`)
当家も自分達が半ば意地で生臭寺を押した処があったからお互い気まずい空気になってしまった…。
中にはこんな坊主もいるよな
これが後あと響かなければいいんだが…。
俺「お疲れっした、先輩…」
先輩「おう。ドッと来たわ」
…生臭坊主め…
先輩「飯行くぞメシ。明日は通夜だから余裕あるだろ、呑むぞ!」
俺「え~?車ですし…」
(代行料出してくれたら行くビーム照射!)
先輩「代行料出してやるから来い」
俺「あざーすw」
翌日の通夜に向け、先輩なりの優しさだったのかもしれん…ならヘルプ入って…(;´д`)
しっかり呑んでしっかり寝て、意識もシッカリだ。(先輩あざっすw)
坊主以外の段取りでヘマをするわけにはいかない。
だいたい当家とのあの微妙~な距離感を何とかしたかった…。
俺「頑張るぞー」←元気一杯
古株「お、生臭ンとこの式持ったらしいなwww当家からちゃんと支払してもらえる様に頑張れよwww今んとこワシが知る限り4勝2敗やwww」
俺「頑張るぞー」←元気なし
マジかよ…支払い拒否とかないわ~萎えるわ~。帰りてェ~。
古株さんに激励(?)されて益々仕事に取り組んだ。
まずは通夜。
やるしかあるまい\(^o^)/
(お前暇なんだろ?時間なんて何時でもいいじゃねーか)
と思ったが揉めても仕方ないので当家も快諾してくれて何とか開式までこぎ着けた。
んが。坊主がコネ━━(゚A゚;)━━!!
開式まで後5分もない…(;´д`)
あいつ、忘れてんじゃねーだろーな…。
開式時間になっても一向に来る気配がない…。館内BGMは既に開式用に切り替えてしまった…。
ガチャリ。
坊主「いやー、遅れてすまんすまんwww始めとってくれても良かったのにwww」
お前が居なくてどうやって式すんだこのヤロー‼︎‼︎
必タヒにアナウンスを入れる俺www
寺打ちどころの話じゃねー‼︎
何の念仏唱えるかすら分からん‼︎
こんな時に限って献茶はどすこいさんだ。
ドスコイ「どうしましょうね」
俺「とりあえず念仏の内容を確認したら指示します、気を抜かないでください!」
ドスコイ「よろしくー」ドスドス
(静かに歩けんのか…)
坊主「仏説~阿弥陀経ぉぉ~」
俺「正信偈じゃないのかよ、まぁいいやこれで大体の進行方向は分かった。」
(こいつ、阿弥陀経しか知らんのではなかろうか…)
俺「どすこいさん、巻きでお願いします」
なぜ巻きなのかと言うと、昨日枕経を適当にほっぽり出して帰った前科があるからだ。
そんな事を通夜でやられたら発狂ものだ。
だから坊主のタイミングよりも此方のタイミングを重視した。
(どうせ打合せなんてしても無駄っぽいし)
俺正解www
案の定坊主は文言をバッスバス飛ばし出したwww
バカめ‼︎こっちは勤行帳持参で目で追ってんだよ‼︎手抜きかまして逃げんじゃねーよ‼︎
俺「厳かなる読経の流れる中…」
本来もっと後の鐘の合図で読まれる焼香アナウンスをぶち込んでやったwwwざまぁwwww
坊主「チッ」
え?www今舌打ちしました?www
マイク素通しですけどねwww
焼香が始まれば会葬客が通路に立ち、坊主には逃げ場がなくなる。その間はおとなしく念仏を唱えるという寸法だ。
ドスコイ「どうぞ~どうぞ~」
この時ばかりはゆるい動きのドスコイに感謝したわwww
何て思ったが甘かった…。
ガコッガサガサ
念仏唱えながら何か前でやってる?
か~~ん‼︎
へ?
何?
何の鐘?
坊主「はい‼︎終わり!終了オツカレ‼︎」
ダンバンガコっ
ペタペタペタペタ…←またもビーサンw
会場全体(………)
えぇぇええぇぇええぇぇえ⁈
きちんとした最後を迎えたけりゃ、日頃からの寺社との付き合いは大切なんだなぁ、と痛感するわー
じいちゃんばぁちゃんが寺への奉仕熱心にしてた事、少し理解した気がするよw
本当にやられたんだ…。
親に怒られた幼児か貴様っ‼︎‼︎
俺…放心状態…
はっいかん!
俺「御導師様退席に御座います。誠に…(割愛)」
もうそこには坊主の姿はなかった…。
喪主さんも呆然として喪主挨拶を代行で俺が代読する事になった程だ。
こんなので明日、乗り切れるんだろうか…(;´д`)
明日の乗り切る為の秘策は打ってはいるが、今日の事は報告上げないとな。
続く
通夜振舞いの準備をドスコイに任せ、先輩に電話する。
俺「助けて下さい」
先輩「やだ」ガチャリ
prrrr…
俺「助けて(`;ω;´)」
先輩「…はぁ…どうした…?」
俺「かくかくしかじか…」
先輩「」
流石の先輩も絶句である。
先輩「明日一本持ってるから本葬の時だけヘルプ入ってやる」
俺「ありがと…ございまず(泣)」
先輩「泣くなwww後、古株さんとオバちゃんには声掛けたか?」
俺「はい…」
先輩「分かった…フルキャストで行く。司会は俺だ。献茶は二人、ドスコイはサブな」
俺「そのつもりで話してます」
先輩「テメー、最初からそのつもりで電話して来やがったな…」
俺「さーせんw」
対生臭対策の秘策とは、ウチの支部でも上位の腕利きでトラブルに対応する事だ。
基本一人一人が違う担当を持っているのが殆どだが、今回は上手い具合に皆さんに渡りがついた。
新人?は?何それ、美味しいの?
と、言う訳で生臭包囲網を完成させた俺は意気揚々と帰路についたのである。
我々葬儀屋には数多の式の一つでしかないが、当家にとっては一生に一度の式だからだ。
つうかこれ以上生臭に掻き回されたくないのも正直な感想ですwww
俺「おはようございます、昨夜はゆっくり眠れましたでしょうか」
喪主「なかなか眠れないものですね…」
俺「そうですね、無理の出ないように気楽に構えていて下さい」
喪主「あの…お寺さんは…」
俺「今日はウチも人数を増やして対応させて頂きます。司会は腕の良い者を呼びました。出来るだけの対応をさせて頂きます」
喪主「よろしくお願いします」
喪主も自分が押し切った感がある為、あまり強くは出て来ない。
(よかった…変な喪主じゃなくてw)
俺「先生には早めに会館に来ていただくように私がお迎えに上がります」
喪主「お願いします」
流石に昼間っから酒は無いとは思うが、またギリギリに来られも困る。これも秘策のウチだ。
勿論坊主には内緒だし、開式から逆算して寺に張り込む予定だwww
(逃亡犯を追いかける刑事かよ…)
オバ「俺君、大変なトコにあたったんだって?ドスコイちゃんに聞いたわよ~」
俺「オバちゃん、ホントヨロシクw」
オバ「出来るだけの事はするわwこちらこそ指名ありがとw」
熟女キ○バクラじゃねーんだからwww
でもバンバン指名しちゃうぞ☆
ドスコイ「え~私は~?」
貴様は国技館が指名してるからwwwなるべく摺り足で頼む。テッポウは他所でやれwww
俺「ドスコイさんも頼りにしてますよ☆」
ドスコイ「マジで~?頑張るわ~」
程々になwww
献茶に当家情報と今日の予定を伝えると、古株さんが来た。
古株「ワシを補佐で指名とは偉なったやないかwww」
俺「スンマセン、もしもの時に古株さんしか親族関係の相手出来る人思いつかなかったンスよ」
古株「分かってきたやないかw」
俺「あざっすw」
適当によいしょしとかないとすぐこの人も逃げるからな…(´・ω・`)
新人「おはようございます」
俺「は?」
呼んでねーし‼︎誰だ連れてきたの!タヌキの古株か⁈
俺「どうしたの」
新人「あらかさまに嫌そうですね…」
俺「嫌だ」
新人「先輩さんに電話してヘルプ要らないって連絡入れますがwww」
俺「テメェっ!」
新人「冗談です。先輩さんは担当当家に寄って来られるのでその間僕がヘルプです」
何のヘルプか…。先輩め要らん気を回してくれる…。
本葬40分前には生臭寺に着くように会館を車で出た。坊主を迎えに行く途中に先輩の看板車とすれ違う。先輩には段取りを電話で確認しているから時間的にもいい感じだ。横に新人さえいなければ…!
新人「俄かに信じがたい坊主ですね…」
俺「変タヒ体よりタチが悪い」
新人「俺さんにそこまで言わせるとは…」
俺「とりあえず坊主の機嫌だけ損ねるな。後あと面倒になる。」
新人「わかりました」
本当かよ…天然で神経逆撫でする才能を持ってるの自覚してんのか?
相変わらずボロい…昼間見ると尚更。
屋根瓦に雑草とかwもう日本昔話レベルwww
新人「うわ…僕整理的に無理です」
俺「お前、顔に出すなよ…」
変タヒ体取りに行ったら大体開口一番言うよな…その台詞w
新人「大丈夫ですよ、心配性なんだから」
俺「俺はお前のカーちゃんかw」
などと話しながら坊主の住む離れへ…。
俺「おはようございます○○会館の俺ですが~」
「…」
あれェ~?入れ違いか?そんなに早く出るとは思えないしな~…。
新人「酒臭くないですか?」
俺「⁈」
まさかっ!
ドカドカドカ…!
坊主「かーっ…zzzZ…」
マジでっ⁈
そこには昨日から飲み散らかしたであろう酒瓶の数々とコンビニの惣菜が食い散らかされいた…。
俺「先生っ先生っ」
ゆさゆさゆさっ
ガシガシガシっ
ビシビシビシっ
頭カチ割ってもいいかな…
坊主「んがっ⁈ぶっひゅああぁあ」
くっさっ⁈
俺「先生!今日は本葬ですよ⁈何してるんですか!」
坊主「え?何?お前誰やねん」
もうそのやり取り飽きましたから…
(あんた以外は安泰だがなw)
坊主「念仏挙げたら文句ないんやるろぉえぃ。」
俺「左様でございます」
坊主「左様も模様もあるかいw行ったらええんやるぅろがぃwww」
俺「左様でございます」
(もう疲れた…)
新人「先生、お水をどうぞ」
坊主「おう、若いの気がきくのう」
ゴクゴクゴク…ガラガラぺっ!
新人「」
もう時間もない。ふらっふらだか連れて行くしかなかろう(´;ω;`)
俺が運転手、新人が助手席、坊主は後ろで大の字。
辛うじて昨日の通夜での衣装一式を抱えて会館へ急ぎながら先輩へ連絡を取った。
俺「先輩に泥酔若しくは三日酔いだと言え」ヒソヒソ
新人「わかりましたが、こんなんで読経なんて出来るんですか?」ヒソヒソ
俺「わからん、とにかく連れて行くしかない」
正直なところ、とても読経なんて出来る状態じゃなかった…。
もーどーにでもなぁーれ☆
もう俺の手には負えないよwww
勿論正面からは坊主を入れる訳にもいかず裏口から入った。
坊主「ここどこやねん!ワシ誰やおもとんねん!」
俺「すいません、打ち合わせがありますのでこちらでお待ち下さい」
坊主「酒」
新人「え?」
坊主「酒持って来い。茶はいらんからなっ」
俺「お酒は葬儀が終わってからが…」
ガラガラガラ…
先輩「失礼します。先生」
坊主「お、先輩久しぶりーw」
先輩「お久しぶりです」シレッ
おととい会ったろうがw
先輩「先生、今日はどうします?」
坊主「あーめんどくさいから正信偈ぇ」
先輩「わかりました。適当な処で焼香入るんでこちらからまた合図します。」
坊主「あい。」
先輩「では失礼します」
え?そんだけ?めんどくさいから正信偈って何?大丈夫かょお~先輩~。
坊主は新人に任せてすぐさま先輩の所へ。
俺「あんな適当なので大丈夫なんですか?
」
先輩「適当も何も多分マトモに読経なぞ出来ん。最悪途中で切って古株に坊主を退席させる」
前代未聞www葬儀屋が勝手に念仏切って坊主を退席させるなんて…出来るのか?
そんな心配は必要なかったが…。
どうなることやら…。
司会は先輩、サブで古株さんと俺。
献茶メインはオバちゃんと新人。
裏方はドスコイの配置。
ついでに言うと霊柩車は俺が自社のを運転する手筈になっていた。
先輩「(長いので割愛)御導師様の入場でございます。」
ペタペタペタペタ…。
坊主「どうも~。」フラフラ…
メイン通路を千鳥足でフラフラと祭壇前まで歩く…
ザワザワザワ…
そりゃ一般客もざわつくわwww
坊主「どっこいしょw」
オバ「失礼します」マイクカチリ
滑り出しは上々。飛ばしも間違いもなく始まった。
これで安心する程皆甘くは無い。
喪主を含め、ピリピリした様子で念仏を聞いていた。
坊主「んわっはんっ‼︎…あーアカン気分悪いわ…」
マイクマイクっ!素通しだって‼︎‼︎
勘弁してくれよ~(´;ω;`)
読経がはじまってから5分程経った頃だった。
ガタンっ
かーん、かーん、かーん!
坊主「終わりっ成仏してやっ!な?」
は?
先輩「⁈」
全くと言って良い程のタイミングで読経を切り上げて帰ろうと立ち上がる坊主。
流石の先輩も面食らい、固まってしまった…
まさかのぶった切り…(´;ω;`)
そんなに念仏するのが嫌いか!
ペタペタペタペタ…
古株「先生、まだ火屋勤行も収骨勤行もありまっさかい…もうちょっとおって下さい…」ヒソヒソ
坊主「んあ?ワシが帰る言うたら帰るんじゃ!骨は寺に持って来い、還骨勤行はきっちりしたるわい!」
そんな問題じゃないでしょ…(´;ω;`)
先輩 ゴホンッ「御導師様退席に御座います…」
無理あり過ぎwwwつうかこれどーすんのwww
幸い本葬はほぼ身内だけで内情を知る者ばかりだったが、空気は最低のドス黒さを醸し出していた…。
お気付きだろうか…
出棺まで後50分もある事を…www
これから何しよう…(´;ω;`)
ほしゅ
葬儀屋は深く理解出来て当然だが、流石に会葬客にも「あれ?おかしくね?」という空気になり出した。
先輩「ヤバイ…ヤバすぎる…」
俺「まじっすね…どうしましょうか…」
古株「すまん…」
オバ「とりあえず焼香案内をしましょう」
ドスコイ「焼香台だしますね~」ドスドス
いくら焼香や電報の読み上げをしてもざっくり30分は残る…その間に残り時間の浄化法を考えねばっ‼︎
思いつかね~www\(^o^)/
先輩「した事ないけどな。30分は。」
古株「ワイもw」
俺「じゃあどうするんすかっ⁈何か手でも?」
先輩「何とか後5分はアナウンスで延ばしてやる。お別れでも何でもいい、やれる準備してこい!」
先輩かっこよ過ぎwww妊娠したwww俺男だけどwww
古株「わし、花切りの準備しとくわ、時間掛けるんやったら切り盆ようけ要るやろ」
オバ「椅子捌けの段取りしますよ、ドスコイさん」
ドスコイ「はーい」
新人「あの、僕は何をすれば…」
あ?居たの?www
俺「とりあえず霊柩車回してこい。俺が最悪乗れない場合はお前が行け」
新人「斎場乗り付けなんてした事ないですよ~(´;ω;`) 」
先輩「黙れ!皆最初はそうだ!やれ!」
新人「」
ざまあwww
にも関わらずお別れはホンの3~5分しかないのだ。
なら、心行くまでお別れをして頂こうと…w
まぁ、思い付きなんですけどねw
しかしてお別れの時間がやって参りましたwww
ノーマイクで親類縁者に声を掛け、棺の前に集まってもらう。
勿論祭壇の崩し、花準備は古株さん。はえ~わwww流石!
オバちゃん&ドスコイも無音で椅子を除けて棺の花道の準備を完成させた。
それ程に完璧な段取りをしたにも関わらず、坊主の余韻は未だ覚めやらず…。
どうしてくれる…‼︎
皆すすり泣き、最期のお別れをしていく。
祭壇、お供えの花から献花用に切り取った
花束を順に棺に入れながら最期のお別れを各々済ませていく。
あれ?もう終わり?
そう。皆最期のお別れは献花をしたら最後、なかなか二回行こうか、もう一度顔を見ようか、などとは思わない。
献花も手向けの言葉も皆心に決めて臨むものだからだ。何度も行くようなものではない。
また、後少し…もう時間がないっ…という背景があって初めてあの臨場感が出るのだ。
この葬儀をしてから骨身に染み渡る程理解しました…(´;ω;`)
え~と…何だが皆さん棺から一歩引いてしまってますが…w
俺「これが今生の別れで御座います、今一度…(割愛)」
え~……何だがセリフが安売り叩き売り?
どうするべ…まだ10分位出棺まであるし…。
ピコーン‼︎そうだっ‼︎
親一(親族一同)切っちゃえwww
祭壇最内にある一際高くて煌びやかな花。
あれは実は喪主が出した供花なんですよ。
あれ以上豪華な花は他者は出せない様に牽制や威厳を兼ねて出してもらうんだ。
どうせ最後には花束なり自宅に届けるんだから別に構わないだろwww
てなわけで俺はハサミを持って一番目立つ白百合を切ろうと高い場所にある親一に手を出した。
さくっ…
あれ? プシュ
痛っ⁇⁇
いだぁあぁああああぁああぁお!⁇
純白の白百合は俺の穢れた血で真っ赤に染まりつつあったwww
古株「なにしてんねんw!」
笑いながら叱るなよ(´;ω;`)
俺「すんまぜんん…やっちゃいました…」
古株「わしが最後締めるからサッサと下がれ」
俺「ヤです。」
古株「アホかお前、血ィだばだば出して何を言ってんねん」
俺「最後までやります。霊柩車は新人に任せます、お願いします」
古株「…わかった。終わったら病院すぐ行け」
俺「うす!」
先輩「先っぽあったぞwww氷で冷やしトマトみたいにしといてやるwww」
鬼め‼︎(;´д`)
悲劇すぎる…
(いでェ~…超いでェw指の感覚なくなってきたwwwつうか骨逝ったんじゃねwww)
棺を親族が持ち上げ、先導する時には手を組換えて前組みしながら顔面蒼白で、これまた顔面蒼白な新人の待つ霊柩車まで辿り着いた。
俺「後出棺に御座います!皆々様合掌、礼拝お願い申し上げます!」
(俺もう限界…www)
先輩「お車にて斎場に向かわれる方」
オバ・ドス「バスにて斎場に向かわれる方」
古株「見送りの皆様は再度合掌願います!」
俺、そのまま裏口まで走って軽く気を失いましたwww
坊主用に組んだシフトが俺のチョンボのフォローのために活きるとはwww
みなさんホントにすんません…病院行ってきます_| ̄|○
指は先輩が凍り付けにしてくれていたので少しの傷で縫えましたw実際は小指側1/4程をこそぎ落とす感じで8針程で済みましたwww
終
大分わかりにくくなってきたけど落とした所は感覚ないですよwww針刺しても痛くないしwww
今日は会社でペンキ塗りしたんでまだ緑が残ってるけど決して壊タヒしてる訳ではないですwww
わかりにくいかなwww
生臭寺には檀家が居ない。と聞いていたが、実は一軒だけあった。それが今回の故人。もちろん喪主はお寺を乗り換えて別の心優しい(?)坊主の元へ移られましたwww
ので、本当に檀家のない生臭坊主の完成です。
何故あんなクソ坊主が住職を出来ているのか宗教の深い謎を見たwww
スレも少ないし手短に。
あぁあ嗚呼…。
新人もそろそろ担当を持つ様になってきた。
生意気だが、仕事の負担は減るからな…。
まだまだ司会や花挿しなどの技能が必要な仕事はさせられないが、引取りや見積りだけでも正確にやってくれるなら有難い。
新人「俺さん、時間ありますか?」
俺「ん?もう帰るつもりだったんだが…」
新人「引取り入ったんですが、初めての病院なんで搬入路とか分からなくて。」
俺「引取りだけならいいぞ。業者呼ぶと課長も煩いしなw」
二人で病院行ってきますwww
俺「ここにバックで着けてインターホンはあそこだ」
新人「おー成る程」
少しは役に立ったかな。後は引き取ったらそのまま看板車で帰るだけだしな…www
余所事を考えてるとロクな事はない。
霊安室(処置室的な所)に入り、挨拶をする。故人は高齢男性で体も小さくなった感じの方だった。
新人「この度は誠にご愁傷様で御座います」
喪主「よろしくお願いします」
喪主の奥さんは憔悴仕切った状態で娘さんの肩を借りなければいけない程だった。
娘「少し母を休ませたいのですが…」
俺「構いませんよ、故人様は寝台車に乗って頂きますので手続きが済むまでゆっくりしてくださいね」
娘「よろしくお願いします」
さて、サッサと移しましょう。
新人「はい。この部屋気味悪いですし」
確かに雑然とした部屋だ。ナースの立会いがある訳でもなく、タヒ後処置の機材がそこかしこに置いてある。
いくぞー
せーの
いち、にの、さん
御遺体「ァ亞ぁ嗚呼亜ァああァ」
⁈‼︎⁇⁈☆@#?
遺体が喋った!
(まぁ俺は経験あるんで驚かないが…)
新人はあまりの事にパニックになり手を離してしまった…
お前…頭だぞ…打ち所悪かったらどうするんだ…。
がんっ!
ストレッチャーの手摺の角で激しく御遺体をぶつけてしまった。
あの~…御遺体さん大丈夫っすか?
事前にそういう事もあると茶飲み話ではしてあげていたんですがね…(´・ω・`)
マズイよ~…御遺体傷つけちゃいかんだろ…(´・ω・`)
新人「どうしましょう…」
俺「仕方ないドライアイスで固めて止血だ」
当家には内緒で寝台布団の枕下にドライアイスを仕込んで御遺体を安置し、自宅まで送り届ける算段だ。
大体タヒ後の身体から出血が止まらないなら間違いなく頭蓋骨に亀裂は入っているからだ。
担当は新人だし引取りだけだから大丈夫だろ。俺はwww
当家には気づかれないまま何とか斎場まで隠し通せたらしいが、ドライアイスの当て方が悪かったのか打ち所が悪かったのはか分からないままだった。
終
出まくりますよwww
人体が生命活動を停止した瞬間から腐敗は始まります。
葬儀屋の感覚では脳が一番腐敗進行が早く感じますね。
なので頭、耳元をドライアイスで囲い、腐敗進行を抑えると供に凍らせて垂れを防ぐ目的もあります。
もちろん詰め物も同様の効果がありますし、虫や異物の侵入を防ぐ目的もあります。
次に内臓、胃の内容物や体液が逆流しないように胸元をドライアイスで同様の処置をします。下腹部も排泄物などが筋力が失われた事により流れ出てきますから予防としてドライアイスの処置をします。
誰しも一度くらいは怖い思いはしてるんじゃなかろうか(´・ω・`)
俺は特別多い部類かも。老舗ならではだな。
老婆の御詠歌
冬真っ盛りの寒い日に山奥の集落へ応援に出る事になった。
古株さんからの依頼で自宅葬の外回りの設営を任された。
そこは生花で供花を出さず、花輪を供花として出す風習のある地域だった。
勿論、花輪は自社の倉庫や近隣の業者から借受けて設営する。
雪がしんしんと降りしきる中、何度目かの追加注文を受け、自社の倉庫で花輪の準備を一人で黙々としていた。
(サビ~w手がかじかむし花輪デカイし…まだ時間あるかな…)
余りの寒さに耐えかねて近くの自販機までコーヒーを買いに出た。
あれ…。
倉庫は山間の畑に囲まれた見晴らしのいい場所にあったのだが、その畑の畦道を二人の老婆が引磬(いんきん)と鉦鼓(しょうこ)を鳴らしながらゆっくりと歩いていた。
(もしかしたら通夜の為にわざわざ歩いて来てくれてるのかな…)
その時はその程度にしか思わず、コーヒーを片手に仕事へ戻った。
ふと不安に駆られて倉庫から気になって畦道を見た。
(いない…。)
国道の方にでも抜けたのか。
時間も差し迫ってきたので急いで設営に戻らねばならない。
冬場の通夜は早く暮れるし足元も雪で悪くなる。会葬客の誘導を頼まれていたのを思い出した。
しんしんしん…
雪は絶え間無く降り続ける。
会葬客は自宅の広間に入りきらない程ではなく、ゆっくりと焼香をしてもらう事が出来た。
キン…キン…キン…
鉦鼓の音がする。
(あの2人組かな?えらく早い到着だな。)
御詠歌は通常この地域では通夜終わりでする筈だが…。
なぜかその2人は当家の向かいにある小川のヘリに座り御詠歌を歌い出した。
(なんだ?風邪ひくどころじゃねーぞ?)
気になって畦道を抜けて呼びに行こうとしたが、焼香台の種火が消えかけていたので種火を取り替えて振り向いた。
いない。
それでも引磬の高らかな音と鉦鼓の鐘の音は通夜が終わるまで鳴り続けていた。
俺「古株さん、今日ずっと式中に御詠歌流れてましたよね。あの二人呼ぼうにも何処にいるのか分からなくて…すいません」
古株「?そんなん全くなかったぞ?お前ワシのすぐそばおったやないか。」
俺「え?聞こえてなかったんすか?」
古株「お前…見たな」
俺((((;゚Д゚)))))))
古株「ワシも一編だけ見たわ。紬来たバーさん二人やろ、先頭が引磬で。」
俺「はい…」
古株「そうか~…」
それから古株さんは何も言わずにコーヒーだけ投げてよこした。
結局のところあの2人組はなんだったのかは分からないし古株さんにもあれから一度も聞き直してはいない。
聞き直してはいけないような気がした。
終
俺もそう思っている。誰を迎えにかはわからんが故人を迎えに来たと信じたい。
葬儀屋になって何年かは忙しく、なかなか自分の身内の墓参りも覚束なかい日々が続いていた。
親戚「たまには墓参りにでも来い。皆待ってる」
その一言で重い腰を上げる事にした。
※葬儀屋絡みではない話だお(´・ω・`)ついでだ、聞いてくれ
夏も終わりに近づいた頃、油蝉と日暮が織り成す喧騒とうだるような暑さが俺の田舎のイメージだが、全くその通りの様相だった。ただ一つ違うのは盆参りから日が離れていること位か…。
叔父に墓の麓まで車で送って貰い、そこからは坂道をひたすら山奥まで登らなければならない。そこは田舎の本家が持つ山だった。
(アチ~。久々だから油断したわ…(´・ω・`)そーいやこの先に水車小屋あったよな…)
坂道は竹林や栗林に行くために幾つか分かれていた。
(どっちだったか…格好つけずについて来てもらうんだった…(´;ω;`) )
水車小屋を見つけ、水を飲んで一休みする事にした。
(あー、日が傾いてきたか…急ごう…)
ん?
そういえば墓の帰り道に地蔵堂があったはず。その地蔵堂が水車小屋裏手のつづら折りの坂から見えていた。
(ラッキー、ワープwww)
小屋裏から急な斜面を登り、地蔵堂にショートカット出来た。
(これで後は坂を一つ越えたら墓だw)
地蔵堂の中の地蔵尊菩薩に参拝し、墓を目指して歩く。
(あら?((((;゚Д゚)))))))
さっき来た水車小屋だ。
(?((((;゚Д゚))))))))
(やべえ…葬儀屋のヤバいセンサーがビコビコ鳴ってる…)
水車小屋からは墓まで一本道のはず…(;´д`)
歩くしかねーな…(´;ω;`)
やっぱり地蔵堂についた…。
本当なら水車小屋→墓→地蔵堂のはず…。
ショートカットがまずかったか…?
いやいやwwwそんな訳…あるかも((((;゚Д゚)))))))‼︎
今までのオカルト経験値が高い俺はやたらと順応性が高いと今では思う。
地蔵堂で必タヒに拝み倒し、一旦山を降りる決意と猛ダッシュする決意を固めた。
俺「なんかすんませんなんかすんませんっ(泣)」
走りながら泣きながら山を駆け降りた。
叔父「何泣いてんだお前…w」
俺(´;ω;`)
叔父に帰りの車の中で話をすると、意外とアッサリ信じてくれた。
昔々、水車小屋ができる前の山は沢が崩れたり流されたりで山に水を汲みにくる子供が何度か亡くなったそうだ。
そこで水車小屋とその先の沢に地蔵堂を立てたらしい。
だから油断して危ない行為をした俺は、どうも地蔵さんのお怒りを受けた様だ。
叔父「お前、葬儀屋でよかったな」
俺「?」
叔父「無作法者は山から降りて来れんとの話だからなw」
笑いながら言われたが…全く笑えないんですが…。
日々坊主の念仏を耳にタコが出来るくらい聞いていて唯一得した気分になった。
終
まだあるがどうしようか。
俺、思い返してもオカルト経験値稼ぎまくりだな。(´;ω;`)
もともと、霊的な感覚が鋭いの?
全くなかったんだがなwww
葬儀屋始めてから一皮ムケた感じだ。
最近は薄れたかな。
面白いかったぞ地蔵噺
どうしようか。
勝手に書いて1000越えたら怒られる?
やめとこうか。
先輩と2人で遺体引き取りに出ることになった。団地で孤独タヒした老婆を会館まで連れて帰る。腐敗程度は皆無でヘルパーさんが発見したらしい。
親類は遠方から来るため、引受は親類が来るまで待つ事になった。
俺「そうっすね~」
これでは夜中になってしまう。
ストレッチャーを横目に団地を見上げた。
古い団地だ。外壁の何度も補修された後が縫い傷の様に見えた。
先輩「とりあえず階段の幅の下見しに行くか」
俺「暇ですしね…」
今考えれば何故そんな発想が出たのか…
2人で階段を登る。
コツコツコツ…。
狭いし急だ…。打ちっ放しの壁と薄暗い電灯が続く階段。
目的の階に着くと端まで薄暗い電灯と玄関灯が並んでいた。
俺「これは降りるのホネですね…」
先輩「だな…」
さて、まだ親類も来ない事だし降りるか…。
「⁈」ビクッ
先輩「何だ⁇」
俺「いや…なんでしょ…」ヤナヨカン…
振り返ると一番奥(御遺体の部屋前)の玄関灯が切れていた。
先輩「やな感じだ…」
(ですよね━━(゚A゚;)━━!!)
先輩の予感は的中した…!
バチバチバチバチっ…!
奥の部屋から街灯が消え出し、暗闇が走って来るっ
俺「マジかっ」
先輩を放置し、猛ダッシュで階段を駆け下りる。(だってヤベェんだもんw)
先輩「テメー!」
だだだだだだだだっ
鬼の形相で追いかけて来る先輩w
でも今はあんたよりヤバい空気が迫ってますからっ((((;゚Д゚)))))))
先輩「テメェ…やってくれたな!」ゼェゼェ
俺「何の事やら」ゼェゼェ…
二人の中年が息を切らしてしゃがみ込む。
ふとさっきの階に目をやると電灯は全て点いていた…。
(やっぱり…(´;ω;`) )
これで一気に引取りのハードルが上がってしまった…。
先輩・俺「…」
出来れば今すぐ理由をつけて帰りたいが、そうするとリアル鬼ごっこが確定する…。
これは親類を待つしか…(´;ω;`)
先輩「おい。」
俺「何すか。」
先輩「じゃんけんだ。」
は?頭イカレタカ?
負けた方が1人で戻り、さっきの現象を確認するという事だ。
(恐らく俺なんだがな…黙っとこw)
じゃーんけーん…
ぽん‼︎
先輩「ぐぬぬっ」
先輩、お疲れっす(つ∀`)タハー
先輩は1人で階段を登り、目的の階まで辿り着いた。
何も起きねε-(´∀`; )ヤッパリ
俺確定www笑えない…。
と思っていたら先輩の猛ダッシュの足音が…www杀殳されるwww
先輩「ヤベェ…初めて見た…」
どうもそれらしきモノを見たらしい。
やめてくれよ…( ;´Д`)
正直二度と登りたくない…。
先輩の話だと、黒い何かがドアの前で立っていたらしい。
そうこうしたらやっと喪主が到着した。
怪奇現象の事は伏せて、挨拶と段取りを話す。
先輩「では…」
神妙な顔をしているが正直ビビリまくりである。
しかし意外や意外。いや、予想通りと言うか…。
喪主が到着した部屋まで、一度も怪奇現象は起きなかった。
勿論引取りの最中も、会館までの移動もだ。
喪主と俺が寝台車に乗り込み、会館まで移動した。
詳細は身バレするので割愛するが、中々故人とは会えないすれ違いの生活を送っていたらしく、来月こちらにやっと引越す予定が出来た矢先だったそうだ。
喪主が来るまで誰にも近づけたくなかったのかもしれん…。
そうでなければビビリ損もいいところだ。
終
あの出来事以来、無神論者の先輩がコッソリと禊をした腕輪念珠を買ったのは内緒だwww
どうしよ(;´д`)
次スレとか大それたモノを…。
つうか俺、初スレ立てだったんだがwww
需要があるなら任せます。
身ばれしない程度にフェイク入れながら書けるだけ書くよ (`・ω・´)
今日は寝ます。ではでは(´・ω・)ノシ
基本ビビりな自分だけど、文書が上手で引き込まれるんです~
葬儀屋さんのペースでいいので、マターリと綴っていただきたい♪
需要は間違いなくあると思うから、また気が向いた時にでも次スレ立ててくれればいいと思うよ
ちょっと間を置いて鋭気を養ったり、内容を推敲したりした後でも全然構わないぞw
人のタヒで金取るなとか言う奴がいたけど
葬儀屋は絶対必要だし、万一の時はいないと困るし助かる心強い存在じゃんか。
そんなひどいこと思ったこともないよ。