当時私は19歳。彼氏は20歳。
同棲していたけど彼の女癖が原因の喧嘩が絶えなくて私が実家に戻って一ヶ月が経った頃だった。
合鍵でドアを開けると…お決まりのパターン。
その日まで親友だと思っていた女と裸でイチャつく彼氏の姿。
もう全てがスローモーションで彼氏の『待て、これは…』女の『やばっ』という台詞が頭に遠く響いた。
カーテンの陰に隠れる女を引き釣り出して無言でビンタ。泣いていたが気にならない。
彼の『二人とも俺のせいで争うのはやめろ!』という言葉に「あぁ、コイツこの状況に酔ってるな」
と悟り一気に冷めた。
すすり泣いて裸で謝る女とドラマみたいな台詞ばっかりの彼にもう一発ずつビンタすると自宅に帰った。
私は終始無言だった。
夢じゃない、全てを信じてた私が馬鹿だったんだ、と急に涙が溢れて止まらなくなった。
女はおそらく私を友達とすら思ってなかっただろう。二発ビンタしたから後はもう無視するだけ。
彼だけは許せない、仕返ししたい…最初はアパートに火を付けてやろうとか思った。
でもそんな男の為にお縄になるのは割に合わない。
一週間後、彼が私の自宅を訪ねてきて土下座で詫びた。
もともとプライドが高く俺様気質の彼が玄関に額を擦り付けて『俺は二人の女を不幸にしてしまった』
と泣く様子はまさに「悲劇のヒーロー」。気持ち悪くて仕方がなかった。
彼は更に『こんな俺で良かったら俺を幸せにしてくれ』とすがってきた。
この期に及んでどんな根性してるわけ?
そんな台詞で私を誤魔化せると思ってるんだろうな…
ナメんなよ!!と、私の中で何かが弾けた。
自分に惚れてると計算した女がとっくの昔に自分以外の男と恋愛を始めていたら彼のプライドは
ズタズタだろう。(本当はこんな気持ちを抱えたままじゃ幸せな恋愛なんて無理なのにねw)
でも私は彼に「私はまだヨシ君(彼)が好き、でもやっぱり信じられないから…」と
敢えて友達以上恋人未満の関係を提案した。彼のダメージを大きくするために。
私はそれから二ヶ月くらいは積極的にコンパや飲み会に参加して出会いを求めた。
半年くらい経つとこんな事やってる自分が虚しくなった。復讐心があるうちは彼を忘れられない、
そう気が付いてから彼がどうでも良くなった。
関係が変わってからも彼は事あるごとに『奈央(私)は俺に惚れよるけん』と、
自慢だか遠回しに気持ちを確かめてるんだか分からない発言をしていた。
浮気が発覚してから一度もセックスはなくなった。気持ち悪くて触られたくないから。
彼がまだ私の親友だった女と切れていない事も知っていた。
どうでも良くなると自然に会う回数も減り、メールを返すのも億劫になっていった。
「前の彼に浮気されて…今はまだ恋愛が怖い」と正直に告げると、同期(以下ミツ)は
『じゃあ飲み友達になろう』(←私はお酒が好き)と…
それからのミツは恋愛感情を表に出さず、飲みに行っても口説いてくるわけでもなく
会社の愚痴やペットの話などの話題をして、私は楽しい時間を過ごす事ができた。
それまではあまりプライベートで話す機会がなくて気が付かなかったけど
共通の趣味があった事やミツの魅力が分かってきて一緒に居る時間が嬉しくて仕方なかった。
それから三ヶ月ほどして、私はミツに告白しようと思った。
告白すると決めてから、元カレと切れてないままじゃミツに失礼だと思って
久々に彼に電話をかけ「好きな人が出来たからもう連絡取り合うのをやめたい」と切り出した。
ヨシ(元カレ)は『俺より好いとうと?』『お前は俺に惚れとった筈…』と半狂乱。
「前は好きだったけど今は冷めた。悪いけどもう会わない」とキッパリ告げて電話を切った。
こんな自信過剰な男を本気で好きだった時期もあったんだなぁ、
と他人事のように思いながら眠りについた。
電話は上司からで『お前の元恋人を名乗る男が鉄パイプを持ってロビーに居座ってる
危険だから出社しないで自宅で待機してろ。後で詳しく話を聞くから』と…
馬鹿な私はそれを聞いて居てもたってもいられなくなり速攻で会社に向かった。
ヨシ『奈央と付き合ってる彼氏ってどいつじゃ?』
上司『お引き取り下さい、警察を呼びますよ』
ロビーに行くとそんな押し問答が繰り広げられていた。
ヨシは私の姿を見つけるなり『こんの腐れ女ァ俺をコケにしくさってー!!』と
鉄パイプで襲いかかってきて…とっさに頭をかばった右腕からゴキッと音がした。
おそるおそる目を開けるとヨシは上司とその場にいた社員に押さえ付けられていた。
呆然としていると上司がてきぱきとk察と救急車を呼び、ぎゃーぎゃーわめいていた
ヨシも観念したかのように人目も憚らず号泣しはじめた。
騒ぎを聞き駆けつけたミツに『大丈夫か?!』と聞かれ急に右腕に鋭い痛みが走る。
骨折していた。上司の位置からは私の頭に鉄パイプが振り下ろされたように見えたらしく
念の為に、とただの骨折で救急車で運ばれた(ハズカシイ orz)
私は仕返しが怖くて事件にする勇気がなかったけど
ヨシは会社から迷惑行為で被害届けを出され、大学も辞めて故郷の九州に帰っていきました。
ヨシが会社に乗り込んだ理由は『自分がした浮気の腹いせに好きになった男とはもう付き合ってると思った』
『会社関連しか男と出会えないだろうから会社に行って相手に挨拶したかった』と。
どこまで物騒な男なんだろうと自分の見る目のなさに嫌気が差します。
私のせいで会社に迷惑をかけたのもショックで辞表も考えたけれど、幸いにもお咎めはナシ。
会社と上司には本当に本当に感謝。
ミツとはその後うまく行き今年で五年続いて来月には入籍する予定です。
今思うと痴話喧嘩みたいであんまり修羅場らしい修羅場じゃないかも。
携帯からなので読みづらかったらゴメンナサイ。
午後から用事があるから書き逃げみたいになりますが以上です。
> 今思うと痴話喧嘩みたいであんまり修羅場らしい修羅場じゃないかも。
いやいや、鉄パイプ持って会社に殴り込んでくる男なんてそうそういないだろうから
十分修羅場だと思うw
鉄パイプは怖いね。