最近の自分語りスレのように
貧乏生活やらの過酷な人生ではないし、
山もないオチもないだらだらとした話になるから、暇つぶしに読んでくれ。
都合上、仮のフルネームつけとく
俺 山下一次 現在17才高2
従姉 山下みよ 現在28歳事務員
幼心がついた時から、俺は従姉と二人で暮らしてた
とりあえず、俺の記憶を辿って書いていく
小学校入学前にして、ひらがなだけでなく、小1レベルの漢字も読めていた。
暗算有段者であるみよ姉は、俺にそろばんを教えてくれた。
出来がいいと心底褒めてくれて、
俺を撫でたり抱きしめたりして愛情をすごく注いでくれていた。
そんなみよ姉が大好きだった。
両親はしんだと聞かされていたけど、よく理解していなかった。
みよ姉がいるからたいして重要な事ではなかった。不自由なく暮らせていたし。
みよ姉から日頃、礼儀作法には厳しくしつけられていたし、勉強も出来たので、俺は天才だともてはやされた。先生からえこひいきされるのは非常に気分が良かった。
そんな時、初めての授業参観があった。
ちなみに、
みよ姉は授業参観に行けないと言ってたので、教室にみよ姉がくる事は期待していなかった。
けど、他の子達が、自分の親に手を振ってるのを見て、なんかもやっとした。
たくさんの大人に囲まれての授業はすごく緊張した。
けどどの大人も俺のことなんか見ちゃいないんだって気づくとどうでもよくなった。
やっぱりみよ姉に来てもらえば良かった、なんで来なかったんだろう、とかいろいろもやもやした。
そのトドメに、友達が
一次くんのママどこ?って聞いてきた。
「ママとかいない」ってぶっきらぼうに答えたら「えー来てないの?」とかさらに聞いて来たからシカトした。
授業参観が終わって、クラスメイトが自分の親の元に笑顔で駆けつけていくのを横目に見ながら下校した。
この時はじめて劣等感を抱いた。
たくさんの大人がいて緊張した。
けれどいっぱい発表して先生に褒められた。とか、みよ姉が喜ぶ顔を見たくて、
話を盛りつつ会話した。最後に、
みよ姉に来て欲しかった、次の授業参観は来て、と頼んでみた。
みよ姉は あー とか生返事をして、
学校(みよ姉は専門学校に通ってた)やバイトの時間とかぶらなかったらね って答えた。
これは次も来ないなと直感した。
だからしつこく言うのをやめた。
次の日の朝の会で、みんなのうたの「輪になって踊ろう」という歌を歌った。
なんだか泣けて来た。
孤独だなあって感じた。
あれはまじで良い歌。
今でも思う。
だからみんなの前で家族の話をする事は
なるべく避けた。
パパが休みの日にどこどこへ連れて行ってくれた、とか、そういう話を聞くたびに
少し嫉妬した。
毎朝お仏壇に飾ってある父母の写真を見ては、なんでしんだんだろーて思った。
でもみよ姉には聞きにくかった。
俺も子供なりに遠慮してたのかもしれない。
小2になった。
みよ姉は専門学校を卒業し、資格を生かして税理士事務所に務めだした。
みよ姉に勧められ、俺は空手を通いはじめた。
自信をつける為だとか、後から言われた。
この頃から、玄関掃除と風呂掃除、植物の水やりは俺の役目になっていた。
最初は任せられた事が嬉しくて進んでやってたけど、途中から飽きた。
さぼってるのがばれたらみよ姉は当然怒った。
「任せられた事はちゃんとこなしぃよ!それが誠意ってもんよ!」
はぁ?て感じだったけどしぶしぶ続けた。
クラス替えで仲の良い友達とは離れ離れになった。
新しいクラスで友達をつくろうとしたけど、だめだった。
俺に親がいない事は学校中に広まっていた。それプラス先生のえこひいきが原因だった。
そもそも、全校生徒200人程度で、クラスには男女10人ずつしかいない小さな学校だ。
別学年の人からは、好奇の目で見られ、同学年の奴からは異色の目で見られた。
だんだんと学校の居心地が悪くなった。
仲の良かった奴も別クラスで友達をつくっていて、もうつるむ事はなかった。
学校に行っても休み時間は寝てるフリか読書かのどちらかだった。
頭がいいから嫌われるんだと思って、わざとテスト間違えたり、授業の発表も消極的になった。
家に帰っても遊びに行かずに、パソコンをした。
みよ姉に学校での様子とかを聞かれるのが苦痛になってきて、
みよ姉を遠ざけるようになった。
みよ姉は干渉してこなかった。
それで良かったんだけど、少し淋しかった。
みよ姉は成人式に、叔母(みよ姉からすれば母親)のお下がりの振袖を着ていった。
その振袖は祖母が叔母の成人のお祝いに買ったものだそうだ。
その振袖を見せてくれた時、俺は思い切って家族の事を聞いてみた。
どうして親はしんだのか。どうしてみよ姉と暮らしているのか。
みよ姉は「まだ君には早いーね。10才になったら話すけぇ。それまでに一次は見聞を深めて、大人になるんよ」と言った。
自分では、他の同級生より大人だと思ってたから、
そんな事言われるのは悔しかった。子供扱いするな!母親面するな!って怒鳴って泣いた。
今までのもやもやを全部晴らすように泣いた。
ずっとみよ姉のいう事を素直に聞いて育ってたから、みよ姉はすごく驚いてた。
みよ姉は俺を抱きしめようとしたけど、俺はその腕を振り払って自分の部屋に閉じこもった。
部屋でとにかく泣いた。
どうして俺だけこんな不幸なんだろうって考えると、涙は止まらなかった。
ようやく興奮が冷めてきた頃、みよ姉が小さくノックして部屋に入ってきた。
ファンタの缶を二つ持って。
俺はベッドの上で胡座かいていて、シカトしたけど、みよ姉は勝手に勉強机のイスに座った。
ファンタを一つ俺の方に投げてもう一つは蓋を開けて飲みはじめた。俺も真似してファンタを飲みはじめた。
みよ姉はいきなり話をきりだした。
「私の家族は、もう君しかいないんよ。
じゃけぇ、十分の愛情を持って接しとるんよ、君には」
それから沈黙。
俺が何か言おうか迷っていると、みよ姉はまた口を開いた。
「親がおらんで、辛い思いさせるいね…。けど、悲観せんで。
背筋を伸ばして堂々と生きーさいね」
声が震えていて、独り言みたいだった。少し泣いていたと思う。
きっと、みよ姉自身にも向かって言ったんだと思う。
俺も単純なもんで、みよ姉の言葉を聞いて、堂々と生きようと思った。
空手をやめた。だるかった。
みよ姉は、やる気がないなら月謝無駄だし。と言って簡単にやめさせてくれた。
それでも玄関掃除や風呂掃除は続けた。この頃になって、あの時みよ姉が言った言葉が解るようになった。
誠意。
言った事は成し遂げると書いて「誠」。
これは今も忘れずに心止めている。
今日はここまで。
見てる人いたならごめんね、おやすみ
続き楽しみにしてるで
もう俺だめ人間w
何に対しても意欲が湧かないし、ただだらだらと生活していた。
いつしんでもいいやって思うけど、しぬのもめんどいし、楽してしにたいなあとか普通に考えてた。
あーなんでこんなにつまんない人生なんだろう。
それは自分がつまらない人間だから?じゃあなんでこんな風に育ったんだ?
親がいないから育ちが悪かった?けどみよ姉はちゃんと俺を育ててる。育て方が違った?みよ姉のせい?どうしてみよ姉は俺を育ててる?どうして俺は育てられてる?俺は生きなきゃいけないの?しにたいんだけど。
そんな終わりの見えない自問自答を繰り返しては時間を潰してた。
もうね、達観した気でいた。この年にして悟りを開きかけてる俺天才w
とか、ほんのちょっと思ってた。
ぐだぐだ考えていたけれど、10才になったら家族の事を教えてくれるっていう
約束があったから、誕生日までなんとか生きとくかーって結論に毎回なった。
サッカーが上手くてかっこよかったから、クラスカーストでいうトップグループに所属してた。
もちろん俺との接点なんてほとんどなかったから、気に留めてなんかいなかった。
はじめの頃は。
ゴールデンウイークが明けてから、トシはよくキレるようになった。
掃除をさぼってるのを注意されてはキレ、
給食当番でマスクしていないのを注意されてはキレる。
そんな些細な注意でも、トシは机を蹴って椅子で先生を殴ろうとしたりするほどキレた。
「何こいつ怖」と本気で思った。
そのうちトシの父親がちょくちょくクラスに来て、トシの様子を見に来るようになった。
父親の前ではキレなかったので、味をしめた担任は、
トシに影響され悪ぶりだした他の連中の親も呼んだ。
ちょっとした授業参観になりだした。
そんな奴らにお構いなく、俺はいつも通りの生活を送っていた。
中間休みには本を読み、昼休みは保健室で寝た。
その日も保健室で寝ようと思い、保健室へ向かっていたら声をかけられた。
トシだった。
トシ「おう、一次。どこ行くん?」
俺「保健室」
トシ「あー、いつもそこにおるんや。
俺も行っていい?」
俺「いいけど」
トシ「一次友達おらんのんやね。やっぱあの噂まじなん?」
俺「噂?」
トシ「親がおらんけぇお手伝いさんと住んどるって噂。知らんかったん?」
知らなかった。
俺の知らない所でそんな噂が広まっていたとは。てかみよ姉はお手伝いさんとかじゃないし。
俺は家でも学校でも人と話す事が少なかったし、喋る事すら面倒だったから本当
口下手というか話が下手になってた。
だからその噂を訂正しようと思ったんだけど、どこまで話せばいいのか迷った。
俺の言う事が伝わるのかどうかさえ怪しかったから、結局まあいいやってなった。
俺「その噂は嘘やけどね」
トシ「そうなん、でも親おらんのやろ?
なんで?」
結構ぐいぐい来るからうっとおしかった。
けどキレたトシを思い出して、ちょっと
控えめに抗議した。
俺「トシには関係ないやろw俺保健室行くから」
トシ「え、待とうや。ちょっと相談があるんやけど」
俺「え?」
トシ連れられ、屋上にのぼる階段をのぼった。屋上は空いてないから、屋上のドアの前で座り込んだ。
ごめん続きはまた。
歯医者行って来る。
トシに連れられ屋上のドアの前に座り込んだ。当たり前だけど屋上は開いてない。
トシは自分からここへ連れてきたくせに何も話さずずっと黙ってた。
俺もトシと話すことなんてないので沈黙。
ただ屋上のほう見ながらぼうっとしてた。
そろそろチャイム鳴るかなーって時に、
トシがようやく話しはじめた。
トシ「俺の両親、離婚したんよねぇ」
俺「・・・うん」←でっていう心境w
トシ「俺の父さん、ちゃんと働いてなくてバイトをかけもちしとるんよ。
じゃけー家計が苦しくて、生活できんで、
母さんがヒステリック気味で…」
ぽつりぽつり話すトシにただうなずいてた。
みんな辛い思いしてんだなあ、とは感じた。けどかける言葉がわからん。
だからみよ姉の言葉を借りた。
「片親になって辛いんやな。
けどあんま悲観せんでいいと思うよ。
堂々としぃよ、父親を支えてやりぃ」
トシに言っておきながら、
俺もみよ姉を支えなきゃって思った。
トシは俯き、ありがとうって俺に言った。
チャイムが鳴り、二人で教室に戻った。
なんだかトシとの関係が深くなったようだった。
トシは父子家庭になった。
家庭内のストレスが学校で爆発して、
よくキレていたトシだけど、
俺に悩みを打ち明けてからキレる事は
少なくなった。ゴールデンウイーク前の、
サッカーが上手くてかっこいいトシに戻った。
あの日以来、俺はトシとつるむようになった。
傷の舐め合いだなって思っていたけど、
友達ができたのは素直に嬉しかった。
自然にトシのとりまきのグループとも
仲良くなって、俺はクラスに馴染んでいった。
トシの計らいで、わりとすぐ仲良くなれた。以前まで連中の事は冷めた目で
見ていたけど、仲間になってからそんな事はなくなった。
学校で笑えるようになって、冗談も言えるようになって、初めて学校が楽しいと思えた。
トシと俺は二人きりの時、もっぱら哲学的な話ばかりしてた。
しんだらどうなるのか、とか
「強い」とはどういうことか、とか
これって中二病だったんかな?思春期?
よく分からんけど、そういう話し相手になっていた。
そんなある日、トシが俺の家に遊びに行きたいと言いだした。
友達を家に呼んでいいか、みよ姉に聞いてみた。
俺「明日、友達を家に呼んでいい?」
姉「えっ、友達っ?!構わん構わん、あ、
掃除しとかんにゃいけんわ!」
とか慌ててた。友達の話とか全くしてなかったから、
友達いないと思ってたんだろうね。みよ姉が嬉しそうで何よりだった。
祖父がそろばん教室を開いていたので、家の隣にトタン張りの平屋もあった。
新築じゃないから、たいして凄いと思った事はなかったけど、トシはずっと凄い凄い言ってた。
みよ姉はめったにお菓子とか作らないのに、ホットケーキを作ってくれた。
姉「トシ君たくさん食べてねーw
こんなお構いしかできんけどw」
トシ「ありがとうございますw一次の姉ちゃんかわいいw」
姉「うん、知ってるw」
俺「ちょw」
とか、わいわいしてた。
ホットケーキが焼けて、みよ姉がお皿に移す。
姉「バターはお好みでどうぞw」
トシ「はーいw」
トシはあのバター塗るやつでバターを塗った。そして塗り終わった後、バター塗るやつをベロリと舐めた。
そしてまたバター塗るやつでバターをとり、ホットケーキに塗った。
そしてまたバター塗るやつを口に含んで、それに着いてるバターを舐めた。
俺どん引き。
人の家でそれはしないだろ。
トシが帰った後、みよ姉はバターが残っているにもかかわらず、バターとバター塗るやつを捨てた。
みよ姉はそれ以来二度とホットケーキをしなくなった。
でも親がちゃんと教育してないとそういうことって身に付かないからな
しょうがないことでもある
夏休みに入って、トシは俺の家に泊まる事が多くなった。
昼間はみよ姉は仕事なので、俺が昼ご飯を賄ったりしてあげてた。
トシの父親が朝昼晩とバイト三昧なのでろくな食事ができないらしい。
三百円じゃイイもん食えねーよって毒づいてた。
はじめのうちは良い顔してたみよ姉だけど、だんだんストレスになってきているのが目に見えて分かった。
血のつながった子を育てるのと他人の子を育てるのはやっぱ違うんだろうね。
最終的に、トシは自分の父親も俺の家へ呼んできた。
夕方帰って、夜に父親連れて家に来た。
みよ姉は風呂上がりだったからすごく嫌な顔してた。
とりあえずリビングへ二人を上がらせる。
(俺)(みよ姉)
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机
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(トシ)(トシ父)
みよ姉「こんな夜にどうされたんですか。もう寝る準備してたんですけどねえ」
トシ父「いやーごめんね、本当w今日は親子二人で泊まらせて貰えるかな?w」
俺もみよ姉も目が点。
みよ姉「なんでですか?」
トシ父「アパートから追い出されちゃってw
荷物は今車にあるんだけどwとりあえず今日一日だけwホテル空いてなかったんだw」
みよ姉「どうしてアパートから追い出されたんです?」
トシ父「半月くらい払ってなくてw」
みよ姉「でも働いていらっしゃいますよね?」
トシ父「まあそうだけどwいろいろ出費があってwちょっと喉乾きません?w」
みよ姉「全く」
みよ姉はお茶出さなかった。
俺からしてもこの父親はダメだなと分かった。誠意がないんだわ、トシ父。
年は三十才くらいだったけど、俺はトシ父を見下した目でみた。
トシ父「隣に平屋あるでしょ?あそこでいいからw君も女の子だし、さすがにここに泊まるのは悪いw」
みよ姉「そうお思いなんでしたら、こんな夜にこの家庭を選びませんよ。とりあえず、トシ君のお父様のお話を聞く限り急用ってほどでもないので、お引き取りください。私達も余裕のある暮らしじゃないんです」
この父をお父様と呼べるみよ姉すごいなって思った。
トシはずっと黙ったままだった。
みよ姉「でも笑ってらっしゃるじゃないですか。それほど切羽詰まってる感じには見えませんがね」
トシ父「いや、本当。頼むよ」
みよ姉「トシ君から聞いたんですよね?
私達が二人暮らしだと」
トシ父「ああ、そうだよ」
みよ姉「頼みやすそうですもんね、保護者が二十代の女だと」
トシ父「いやいや、そんなことは…」
みよ姉「ねえトシ君、今日はさすがに無理なの。我慢して車で寝てくれる?」
トシ父「いや、車は荷物でいっぱいなんだ」
みよ姉「外に出しといたらどうです。誰も盗みませんよ」
俺はトシと目があった。
申し訳なさそうに見えたけど、本当はどうなんだろうか。これは演技なのか。
みよ姉はトシの様子を察して言った。
みよ姉「トシ君。ハナから他人を頼っちゃいけんよ」
親子は帰って行った。
惚れそうだわ
姉「あー怖かった!」
俺「そうなん?」
姉「だって年上の男の人とタイマンしたん よ!ちびるかと思ったー」
俺「トシに悪かったかなあ」
姉「仕方ないよ、親がああやし。そりゃ就職できんわ。
人に頭下げる事ができないなんてあり得んやろ。
年下の女なら簡単に頼めると思ったんかね?ふざけんなっつうの」
姉は珍しくぐちぐち言ってた。
トシの事が気がかりだったけど、
姉が決めた事だから仕方ないなと思い込んだ。
平屋くらい貸しても良かったんじゃ…と、
少し思ったけど。
次の日の昼、チャイムが鳴った。
トシ親子はまた来た。
みよ姉「昨日の夜はよく眠れましたか」
トシ父「ええまあ。それで、実家に帰る事になりました」
みよ姉「実家に?という事はトシ君、転校するん?」
トシ「はい」
俺唖然。まじか。まじか。
ずっと「まじか」は脳内をぐるぐるしてた。
トシ父「それでですね…あの、実家が石川なんですよwちょっと遠いんですよね」
みよ姉「そうですね」
トシ父「単刀直入にいうと、お金貸して欲しいんです」
みよ姉絶句。
俺ですら、こんな父親ならいらんわって思った。子供の前で金貸せとかwわろすw
ちょっと風呂はいってくる。
おとなしく待ってます。