>>1
当時16歳
女 チビ 眼鏡
男の子
当時17歳
中性的で、端整な顔をしてました
背は普通、痩せてた
恐らく、生まれてから10歳ぐらいまでは、超ド田舎で暮らしていました。
周りにはお爺ちゃんお婆ちゃん、あとは田んぼぐらいしかありませんでした
面倒見がよく、母が仕事で遅い時などはよくお家にお邪魔させてもらいました。
その孫にあたるのが、スレタイの男の子です。
いちいち男の子と書くのも面倒なので、「ゆき」というあだ名を使うことにします。
ゆきは、何もない田舎での、私の唯一の友達でした。
私はもともと、ちょっと勝気なところがありますが、ゆきはその正反対。
いつも静かに笑っていて、私のあとからついてくるような、ちょっとオドオドした子でした。
私はいつもゆきを引き連れ、色々なことをして遊びました。
ゆきのお婆さんも、「孫が二人できたみたいねー」なんて言っていましたw
私が10歳の時、母が街へ出て仕事をしたいと言い始めたのです。
これまでより多くのお給料が貰え、暮らしも安定するはずだ、と。
女で一つで私を育てる母の、苦渋の末の決断でした。
「引越しなんかしたくないぃいいー!!」と泣き喚きました。
しかし、母の決定は変わらず…。
私は田舎から離れ、県の中心部へ引越しすることに。
>>1ちゃんがいなくなったら、俺、誰と遊べばいいの? とか
俺も町に引越しするー、一緒がいいー、などなど。
見てるこっちの涙が引くほど、豪快なだだっこぶりでしたww
私は「何か情けねーなコイツ」と思い、泣きじゃくるゆきを置いて、さっさと引越し準備に入りました。
玄関先でもじもじするゆき。私は、おもちゃの整理があるから早く用件を言え、とかなりツンツンした
態度でしたw
「本当に行っちゃうんだねー」とぽつり。
1「うん。あともう少しで行く」
ゆき「1ちゃん、寂しくないの?」
1「ちょこっとだけwでも、町にはお友達いっぱいいるってママが言ってたw」
ゆき「ここには、おらんもん…」ナミダメ
1「そんなことないじゃん、小学校にはいっぱいお友達いるじゃん」
ゆき「でも1ちゃんはいないもん」
私はそれっきりまた、拗ねたように口を閉ざしたゆきを放って置いて、準備をしました。
衣装ケースを運んでいると、スカートが落ちました。
と冗談を言ってみました。するとゆきは
ゆき「えっ、本当!貰っていいの!?」
と、何故かめちゃめちゃ嬉しそうに。
ゆき「いや、もうこれ貰った。俺のだから触らないで」
ゆきは頑なに、スカートを抱きしめて離しませんでした。
結局、時間になって私は車に乗り込みました。
車から身を乗り出して、「ばいばーい」と叫ぶと
鼻水を噴出しながら
「ばいばいぃいいい゛ぃいい゛」と藤原竜也化していましたw
引越ししてからしばらくは、ゆきから怒涛の電話攻撃、手紙攻撃がありましたw
母は安定し、割と早く家に帰れる仕事になり、私の寂しさは薄れていきました。
だから、ゆきが居なくなった寂しさも、かなり早くになくなりましたw
…のくせに、ほぼ毎日かかってくる電話。
1「またゆきかwwww」
ゆき「そっちの学校、どう?楽しい?」
1「うん。もう友達いっぱいできたよー」
ゆき「…なにそれ、ずるい」
1「ゆきの小学校もクラス替えあったよね?どうだった?」
ゆき「あんまり」
小規模な田舎学校のくせに、なかなか友達ができないらしく…
ゆき「1ちゃん、もう帰ってこないの?」
1「しつこいwwそうだってば」
ゆき「1ちゃんおらんと、楽しくないや…」
ゆきはかなり引きずっていて、とにかくしつこかったw
電話もほとんどしてこなくなり、ゆきの存在はだんだん埋もれていきました。
それでも、年に2,3回手紙は律儀に届きましたし、年に1回くらいは遊びに行っていました。
しかし、それも中学校進学と同時に終わってしまいます。
こう、中学校になるといよいよ大人?という感じで、自然と男女の溝ができてしまいます。
出てみると、ゆきでした。
ゆき「もしもし、俺」
久々に聞いたゆきの声は、あまり変わっていなくて、相変わらず少女のようでした。
1「あ、ああ…。おひさしぶりです」
ゆき「ちょ、他人行儀な」
1「いや…。」
ゆき「俺たち、もう中学生だねー」
1「そうっすね」
ゆき「…元気?」
1「うん、元気」
ゆき「俺も」
1「学校、どう?」
ゆき「まだなんとも言えないわ」
1「だよね」
ゆき「…」
1「…」
<ユキー、ゴハンー
ゆき「あ、呼んでる。じゃあね、**(私の苗字)」
1「あ、うん」
会話内容とかは、かなりうろ覚えですが…。5分もなかったはず。
印象的だったのが、最後に「1ちゃん」ではなく私の事を苗字で呼んだことでした。
それから、彼からの連絡はなくなりました。
はいw最初にそう書いてますよ!
部活には一応、美術部に入り、友達にもまあまあ恵まれました。
派手な女の子、という訳には行きませんでしたが…。
頭は普通だったので、中学校3年生になったとき、高校は偏差値的にも普通のところを選びました。
この3年間、正直、ゆきのことは忘れていましたw
何事もなく、高校生活を送っていました。
そんなとき、お母さんに異変が。
もともと体は丈夫な方でしたが、風邪のような症状が出始めました。
顔色が悪く、いかにも具合が悪そうでした。
家に帰ってきても、疲れているのに眠れないことがよくありました。
過労による、病気でした。
(詳しいことは、なんとなくふせておきます。)
すごくショックでした。私が何も考えず、ただただ高校生活を送っていたのに対し
母は身を削って働いていてくれた。それが身に染みて分かりました。
あの時ほど、自分のことを情けなく思ったことはありません。
母「入院かぁー…。大分家あけることになるね」
1「うん…」
母「ごめんねぇ」
1「何で謝るの」
母「いや、あんたもうすぐ夏休みだけど、どうやって暮らしていくのよ」
1「」
そうです。母子家庭の私にとって、母がいなくなる=ぼっち です。
母の入院は一ヶ月程度、ちょうど夏休みと被ります。
その間、私はどう生きていけば…?
1「…一人暮らし、できるかも。一応家事は全部できるし」
母「ダメにきまってんでしょーが」
子供の浅知恵は、母に一蹴されてしまいました。
1「何の電話」
母「んー、あんたね、**のおばちゃんって覚えてる?」
**のおばちゃんとは、私の親戚のおばちゃんです。
私が以前住んでいた、ゆきのいる田舎に一人暮らししている女性でした。
1「あー、うんうん。覚えてるよ」
母「あんた、そこに行きなさい。夏休みの間、そこで暮らしなさい」
1「えっw」
母「えっ、じゃないが!迷惑かけるんじゃねーぞ!」
なんと。私はおよそ6年ぶりに、あの田舎に住むことになってしまいましたw
まあ、持つものと言えば勉強道具と服と小物ぐらいでした。
おばちゃんは、迷惑そうなそぶりを全く見せず、寧ろ嬉しそうに歓迎してくれました。
しかも私の部屋として、使わない部屋をあてがってくれました。
部屋の片づけが終わると、ゆきの家に行って挨拶をしました。
それとなくゆきの事を聞いてみると、なんと部活に行ってるのだそう。
1「将棋部とかですかww」
お婆ちゃん「いんにゃ、バスケよ」
1「!!!?wwww!?」
ゆきがwwあのゆきがバスケwwあまりにも意外な組み合わせでしたww
ただ、唯一の悩みが「女っ気がない」ということらしく。
中学、高校と全く色気がなかったようでした。これには何となく、納得。
ああ、すみません。書き方が悪かったですね。
恋愛の気配がなかった、ということです! ゆきは生物学上は男ですよww
思わず緊張し、ガチガチになってしまいました。正座のまま、居間にいると
ゆきがひょこっ、と戸から顔を出してきました。
お婆ちゃん「ニヤニヤ」
お婆ちゃん「ゆき、1ちゃんよwwww」
1「ド、ドモ…」
ゆきは、大絶叫していましたww
あまりのテンションの高さにびびっていると
ゆきは興奮した様子で、「大きくなったね!」 「髪のびた!?」 「眼鏡になってるぅうう」
とまくしたててきましたw
テーブルを挟んで向かい合わせになったのですが、深呼吸の鼻息がうるさかったw
私も落ち着いて、彼をよくよく見てみました。
背は、伸びていて、体も少し筋肉質になっていました(それでも、スポーツをやっている人間にしては、ヒョロかったようなw)
問題は顔でした。誰だこのイケメソはwwwwww
もう、ビックリするほど綺麗な顔立ちになっていらっしゃいました。
幼い頃から目が私よりも大きく、顔も小さかったのですが、全く劣化していませんでした。
肩身が狭いwwwうはwww
しかしゆきのマイペースっぷりは全く変わっていなかったw
私が緊張しているのを気にせず、ベラベラと喋る喋る。
(ゆきは昔から、興奮すると早口でまくしたてるクセがあったのでw
1「ハ、ハヒ」
ゆき「俺、中学校に入ってから、色々頑張ったんだよw運動とかも始めたし、勉強も頑張ったしw」
1「ソ、ソデシュカ」
ゆき「いやー懐かしいなー、そういえば1ちゃんは部活何やってるの?」
1「ビ、ビジュツ」
ゆき「ええええ、すっげぇええ!絵、見せて!描いて描いて!」
1「」
正直、苦手なノリでしたww
ゆきからの口撃をコミュ障な返事でボソボソと返していると、何時の間にか夜に。
その日は、ここで夕ご飯をご馳走になりました。
帰るとき、ゆきが送ってくれました。
かえるや、虫の音が懐かしかった。暗いあぜ道を二人で並んで歩きました。
二人でテレビを見ながらスイカを食べていると、ゆきが「部屋を見たい」と言い出しました。
別に断る理由もないか…。と思い、案内すると、何故かゆきは「すげーw」を連発していました。
今思えば、緊張してぶっきらぼうになっていた私を、解そうとしていてくれたのかもw
ゆきは一通り机やポスターなんかを見た後、本棚に目をつけました。
ゆき「1ってこんな難しい小説も読むんだーすげー」
勝手に漁っていくゆき。
その手が、ファッション雑誌の前で止まりました。
すると、今まで口を挟む隙もなく話していた声が、ぴたりと止みました。
ゆきはおもむろに一冊雑誌を抜き、興味深そうにしげしげと見つめました。
ゆき「…すげー、都会の子ってこんな派手な格好してるんだねw」
1「いやいや、ここの女の子もこんな感じじゃないかな…」
ゆき「いやー、多分違うと思うw町には、こんな子いっぱいいる?」
1「うん。皆引くほどおしゃれ」
ゆき「…1も、こんな格好する?」
ゆきが見せてきたのは、花柄やピンク、レースといったいかにも女の子っぽい服のページ。
1「まあ、ここまで派手じゃないけど…」
ゆき「へー。すげー」
な に が ? 馬鹿にしてるのか?
20分くらい、私をほったらかしにして、ゆきは雑誌を読み続けました。
その横顔は、どことなく嬉しそうな、楽しそうなかんじがしました。
雰囲気に圧倒されて、何も言えないでいると、おばちゃんから声をかけられました。
ゆきは、ビクっとして、慌てて本棚に雑誌を戻しました。
少し冗談めかして聞くと、ゆきは何故か眉間に皺を寄せ、「うーん?」と言っていました。
結局、ゆきはそのまま、そそくさと帰ってしまいました。
興奮するよ
ゆきは朝から昼は部活に行き、昼ご飯のころには帰ってきました。
昔みたいに一緒にご飯を食べ、漫画なんかを読んだりしていくうちに、緊張も解けていきました。
ゆきは驚くほど頭がよく、勉強なんかも見てもらいました。
男の子とこんな夏休みを過ごしたことはなかったので、毎日が新鮮でしたw
体育館の外から、ちらっとゆきを見てみると、彼は少し細い体を揺らしながら、一生懸命プレーしていました。
もう、なんというか、かなり格好よかったw
悔しいですが、喪女は簡単に乙女心にwwww
しかし、あれです。ゆきは格好よく、頭もよく、人当たりも良い。
どうせライバルなんて山のようにいるのだろうと思うと、なんか、恋に落ちる寸前で自制がかかりました。
ある日、割と近くで夏祭りがあるのだとおばちゃんが言ってきました。
おば「ゆき君と二人で行ってこんねwwwww」
1「」
おば「浴衣貸してあげるからwwwww」
君のように、勘のいいおばちゃんは嫌いだよ…。
1「あのさー」
ゆき「んー?」
1「××で夏祭りあるみたい」
ゆき「あー、知ってるよ。行こうか」
1「」
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
喪女、初めて男子に夏祭りのお誘いを受けるwwwwwwwwww
1「あ、じゃー行こう」
という全く可愛げのない言葉で返してしまいましたw
夏祭り当日、私は約束どおりおばちゃんに浴衣を借りました。
白地にピンクの花があるやつで、すごく綺麗で高そうでした。喪女にはモッタイネ。
おばちゃんは張り切って、似た生地の巾着も用意してくれました。
さらにさらに、どこで学んだのか、あのうなじが見える色っぽいお団子まで結ってくれましたw
おばちゃん、結婚してくれ…。
恥ずかしくて恥ずかしくて、消えたかったw
ゆきはポカンとしたまま、じろじろと上から下まで見つめてきました。
1「いや、見すぎです」
ゆき「すげー、1ちゃんじゃないみたいww誰w」
1「…」
そりゃ、おばちゃんのお節介で人生初のお化粧までしてますし。
夏祭りの間、ゆきはちらちらと髪を見てきたり、下駄を見てきたり…。
まさか。
いやいやいや、まさかって何だwwww
もう、死ぬほどドキドキしましたw柄にもなくww
ゆきにたこ焼きやら、カキ氷やら勧められても、全く喉を通らないほどでしたw
あああ、思い出しても恥ずかしいですw
気になったのは、ゆきが、ずっと私を見ていること。
たまにゆきの方に顔を向けると、パッと顔をそらすのですが、視線は痛いほど刺さってきました。
ドギマギしながら、おばちゃんの家へ帰ろうとすると、ゆきが申し訳なさそうに言いました。
ゆき「なぁ、1ちゃんまだ時間大丈夫?」
ゆき「いやぁ…。ちょっと家こない?」
1「何で?」
ゆき「いや…」
どうも歯切れが悪いゆき。確かに予定はないので、私はのこのこ付いていきました。
家にはお婆ちゃんがいましたし。
何だ、何だと焦っていると、ゆきはいきなり部屋の真ん中に正座しました。
1「え、どうしたw」
ゆき「…ちょっと大事な話ある」
ゆきは何時になく深刻な顔をして、唇を噛んでいました。
無言のまま、何分か経ちました。
ゆきは私をスルーして、たんすへ。しばらくゴソゴソと中をかき混ぜて
ゆき「…1ちゃんさぁ、覚えてる?」
1「何を」
ゆき「引越しのときさぁ、俺、1ちゃんに服貰ったよね」
ゆきは恥ずかしそうに俯いたまま言いました。
1「覚えてるよ。いらないからスカート押し付けたね」
ゆき「うん…」
1「だから何?」
ゆきの動きがぴたっと止まりました。それからゆっくり深呼吸を繰り返しました。
ゆきはおもむろに、たんすからビニール袋を出してきました。
小さなスカートでした。私が10歳の頃にはいていた、ゆきにあげたものでした。
1「まだ持ってたの?」
ゆきはぎこちなく頷きました。スカートは皺一つなく、綺麗なままでした。
ゆき「…」
ゆきは暫く黙っていました。いらいらして、少し強めに先を促すと
決心したように言いました。
「1ちゃん、その浴衣、俺に着せて」
はい?
面白い
昔から、女の子の服に興味があった
私から貰ったスカートを一回はいてみたとき、その気持ちに気付いたんだそう。
1ちゃんの浴衣が綺麗で、我慢が出来なくなった。
一回で良いから俺もこういうのを着てみたい。
告白かと思っていた私涙目wwwww
もう呆然でした。
ゆき「そうなるね。でも、1ちゃんになら話せると思って」
1「…」
ゆき「ごめんね、引くよね」
1「いやいやいや」
確かに驚きはありました。しかし、嫌悪感はありませんでした。
むしろ、美形のゆきが浴衣を着たほうがいいような…。
1「…いや、別に。いいけど」
ゆき「まっじで!!!!?やったあああ」
1「明日、明日の夕方ならいいよ」
ゆき「うん!ありがとう1ちゃん!大好き!」
ゆきは見たこともないくらい、喜んでいました。
その姿がすごく無邪気で、不思議なくらい納得してしまいました。
「ゆきは、男の子だけど男の子じゃないんだなー」と
窓から直接部屋にあがらせ、浴衣を広げて見せました。
ゆきは、溜息をついて、うっとりしていました。
1「着かた、分かる分けないよね?」
ゆき「うん、分からん…」
仕方がなく、服を脱いでもらって、私が着付けをしました。
恋に落ちかけた男のハダカでしたが、全くドキドキしなかったなw
ゆきは感動したように、言葉を詰まらせていました。何度も何度もくるくる回っていました。
しかし、いくら美形といえども、男にそのまま浴衣を着せたって、ただの「女物の浴衣を着たゆき」で何となく、脱力して笑ってしまいましたw
ゆきもそのことに気付いたようでしたが、化粧やら髪やらは注文してきませんでした。
まだ、少し抵抗感があったのかなー。
ゆき「いや、多分違う。別に、男が好きだとかはない」
ゆき「ただ、女の子の服が着たいだけなんだと思うw」
すっきりしたように、彼は笑っていました。
結局ゆきは自分の女装姿を一時間ほど堪能して、帰りました。
1とのラブコメ期待してた俺はやっぱり純粋な人間だったようだ・・・・