前記事⇨俺「女の子だらけの学校に行って青春するぞ〜wブヒブヒw」→ 俺「思ってたのと違う…」バラ色の高校生活のはずが…【3/6】
仕方ないので佐倉先生の持ち場を手伝いに行くと、先生は「どうだった、どうだった?」
とまるで中学生みたいなお出迎えをしてくれたので俺の涙は引っ込んで佐倉先生に呆れてしまった
それから皆で掃除を済ませ、買ってきた食材を吉井とタヒ神が先頭に立ち料理して皆で食べた
食べた後、佐倉先生は一人でお昼寝をしてしまった
俺たちは持ち寄った遊び用具の中から俺の人生ゲームを選んで静かに楽しんだ
長野なのにやってることは普段の天文部とあんまり変わらなくて少し笑った
佐倉先生のこだわりでご飯は飯盒炊飯にしたんだけど、当番の佐倉先生がやり方を知らず
ぼっちな俺も過去の学校での知識が全くないため天文部二人組は大人しくテレビを見て待っていることになった
佐倉先生は「あんなもん大人になりゃつかわねーよ」と言っていたが失敗して少し気を落としていたのを俺は見落としていない
先生が落ち込むのは初めて見たけど、カレーを食べる頃にはすっかり機嫌が直っていたので単純あ人だなーと思いあんまり深く考えるのをやめた
カレーは普通に上手かった
天体観測といっても地面に川の字になって横になり皆で星を見ただけなのだが
何というか都会のゴミゴミした空とは違い、広い空で見る星は格別だった
先生も吉井も田村さんもその他も、みんな声を静かに空を見上げてでも楽しそうに星を見ていた
なんか、青春してるって思った
合宿所に戻ると、俺は一応用意してきた活動日誌に教の活動を記録し風呂に入って寝た
女性陣達はなにやらガールズトークに華を咲かせているみたいであったが、俺は無理はしないタイプなので突入などは特にせず
紳士的に女の子の話声に耳を傾けながら眠りについた
今までは気がつかなかったが俺はどうやら修学旅行はワクワクしてしまうタイプらしいことが分かった
二度寝はどうにもできそうになかったので外に出て散歩することにすると、外に田村さんがいた
どうやら田村さんもワクワクしてしまうタイプの人間だったらしい
改めて思い返すと、田村さんとはあいさつする程度の仲でしかないので急に緊張してしまった
お互い特に会話がないまま朝を迎え田村さんはそそくさと合宿所に戻って行った
俺は少し泣いた
寝巻のせいか吉井やタヒ神にまで少しドキドキしたのは秘密だ
田村さんとは相変わらず気まずかったけどあちらは気にしていないようで笑顔をこちらに向けてくれた
佐倉先生は当然として起きてこなかったので電話を執拗にかけ続けてみた
しばらくして起きてきた佐倉先生に蹴られたのはいうまでもない
俺もバイトと大学が両方女ばっかだから初めのころは苦労した
まぁイケメンリア充野郎にとっちゃそんなことないんだろうけどよ
充分リア充じゃん
ニートだけど
久しぶりに愉快な気持ちになった
残り少しだけどお付き合いください
遅筆だから長くなると思うけど
佐倉先生が「昨日はこいつ役に立ってないだろ」と言い始めてたので、俺と佐倉先生が朝食当番になり暗黒物質を作ったり
今日やりたいことを合宿当日に会議したりしたからである
会議の結果午前中は、山道のハイキング、お昼(三チームに分かれてお互いに評価する)
午後は近所の色々体験できるところに行き自作のキャンドルを作る、適当に遊ぶ、晩御飯もチームごとに分かれて作る
そんでもって夜は天文部らしく天体観測という流れであった
俺は料理なんて目玉焼き程度しか出来なかったし、佐倉先生に至っては味噌汁しかロクに作れなかったからだ
後で聞いた話だが、佐倉先生は実家に住んでいるらしく、当時は家事の大半を母親にお願いしていたらしい
まあ、今もらしいが
結局俺たちは俺が固い目玉焼きと、佐倉先生が薄い味噌汁、二人でキャベツだけサラダを作った
俺は一人だけの自室に戻り今日のコーディネートを考えた、まあ考えるもなにも服に関しては妹の取り説がついていたので組み合わせについては考える必要はなかったのだが
「うーん、少しちがうかなー」
とか一人でファッションショーしてまるで普通の学生みたいなことしてニヤニヤしてた
どうやらお互いの服について意見し合っていたようだった
今日の服は、吉井がなんかフリフリのスカートで田村さんもワンピースになっていた
残りの二人は普通
なんかこの頃になると俺の心はかなり広くなっていて、なんかもう吉井のフリフリスカートから這い出るボンレスハムみたいな四肢でさえ可愛く思えた
そして、なにを思ったのか俺は朝気まずくなったばかりの田村さんに話しかけていた
「え、ありがとう」
「に、似合ってますよ」ニヤニヤ
「は、はい」
このように大変短いやり取りを田村さんとしたのを覚えている、今思うと田村さんは気持ち悪がってた気がしてならないが
当時の俺はなぜか「きまった!!」と、お花畑な脳みそで感動していた
佐倉先生は部屋に呼びに行くとまだ服を選んでいた、「運命の出会いはいつ来るかわからないからな」
とか言いながら真剣な顔をして服を選んでいたのが可愛かった
結局俺の意見でスカートを穿いて頂いた
長野は地元より少し涼しいこともあり、のんびり歩く分には気持ちが良かったし
自然の中を歩くと自然と心が穏やかになって皆との会話も弾んだ
まあ、俺は荷物持ちで会話にも入ってなかったから「楽しいの?」と聞かれたら答えに困るが
人が近くにいて、楽しそうに会話してるのを見るだけで俺もなぜか楽しかった
佐倉先生は最後尾でタヒにそうになってた
流石にみんな疲れたのかコテージにつくといっせいにソファーに倒れこんでいた、吉井はジュース飲みに行ったけど
佐倉先生はもうタヒにそうだった、途中からは立ち止まってしまい中々歩きださなかったくらいだ
今考えるとちっこい先生だから歩幅もちっこくて大変だったんだと思う
当時の俺はそんなことには気がつかずに、「がんばりましょうねー」とか言っていつもはクールな佐倉先生をいじって遊んでいた
朝の会議でチームに分かれて作ることは決まっていたので、とりあえずチーム分けをした
結果として、俺はタヒ神と組むことになった
他には、先生と吉井、田村さんと内田さんという組み合わせになった
俺たちのチームはタヒ神が以外とできる女だったので結構テキパキと調理が進んだ
といっても、俺がやったのは精々芋の皮むき程度だったのだが
他のチームよりも早く調理が終わってしまったのでタヒ神とタイマンで会話にも挑戦してみた
俺は終始気持ちが悪かったと思うがタヒ神は案外優しくて俺とも楽しそうに会話してくれた
「せーの!」でそれぞれの作品を見せ合った
お互いの作品を見て最初に俺が抱いた印象は茶色の一言であった
俺&タヒ神、肉じゃが
先生&吉井、生姜焼き的な何か
田村&内田、煮魚
という感じであった
俺たちの肉じゃがも無難な味をしていたし、生姜焼きもいい味だった
特に煮魚は思わず惚れてしまうくらい美味しかった
みんなでお互いの料理に意見したりしながら昼食は楽しく進んだ
佐倉先生は自分の作った料理を自慢げに俺に見せてきたけど、吉井のおかげであって佐倉先生はあんまり関係ないんだろうなと俺は思った
まあ、楽しそうだったから何も言わなかったけど
キャンドル作りの体験教室に行くと俺たちの他にも子連れの家族やカップルなどが数グループ体験場に集まっていた
それから説明を聞き、少し苦労しながらキャンドルを作った
キャンドルを作っての感想だが、意外だったのだけどキャンドル作りが案外簡単で初心者でも結構綺麗なキャンドルができたことだった
透明な蝋に着色して海みたいにしたり、ビーズを入れたりして俺たちは思い思いのオリジナルキャンドルを作った
なんか可哀そうだから手伝ってあげて一緒にもう一つ作ったのも今となっては良い思い出だ
とまぁ、そんな感じで合宿二日目のキャンドル作りは大盛況のうちに終わった
みんな楽しそうにしていたし、形として思い出に残るものができたので俺も嬉しかった
そのあと、コテージに戻った俺たちはすっかり機嫌が良くなった佐倉先生の提案でかくれんぼとかをして晩御飯までの時間を楽しく過ごした
あとオレたちを鬱にしない話しだよな期待
みんないつもの距離感に戻ってしまうんだよな…
俺は佐倉先生と組むことになった、結果については言うまでもないと思う
晩御飯を食べ終わるとみんなで第二回の天文部天体観測に出かけた
二日目ということもあり、皆は会話をしながら天体観測を楽しんでいたようであった
天体観測を始めてから一時間ほどが経った頃だっただろうか、佐倉先生が突然「きもだめしだな」
と意味不明なことを言い始めたので肝試しをすることになった
二人組で行くことになったけど「お前と女の子を夜道で二人きりにするのは心配」
という佐倉先生の粋な計らいもあり俺は真っ暗な中一人で肝試しをすることになった
他のメンバーは二人組と三人組を組み肝試しに臨んだ
俺は三組中の三番、ラストの出発となった
お前だけ散歩じゃねーかwww
田村さんが可愛い声で怖かったと言っていたので少しだけちびりそうになった
今思えば友達のいなかった俺は夜間に外出することなど一回もなかったので、あんな時間に散歩をしたのは始めてだったような気がする
歩き始めてすぐになるほどこれは確かに怖いなと思った
なぜなら道には外灯が殆ど無く、たまにある明かりが公衆電話だったりしたので更に恐怖心を煽られた
正直言って怖かったので途中でコースカットすることも考えたのだが、コースカットはコースカットで怖いのかったので正しい道を恐る恐る道を進んだ
ビビったが猫だ猫と自分に言い聞かせ後ろを見ずに前へ歩き続けた
俺と同じビビりなら分かると思うが、夜道で後ろを振り向くのはなんか怖いだろ?
当時の俺もそんな感じでガサガサは気になっていたが振りむけずにいた
俺はどうしたんだろう思い、怖かったが無性に気にもなってしまった
凄く怖かったが自分の中で好奇心と恐怖心が対決し結果的に好奇心が恐怖心に勝ってしまった
そして俺は恐る恐る後ろを振り向いた
遠くの方に白い服を着た女がいた
最初は吉井か?と思ったが良く見ると吉井ではなかった
遠いので顔は良く見えなかったが明らかに吉井ではないことを俺は確信した
白い女は痩せていた
しかし、直後白い女がなぜか猛ダッシュで俺に向かって走り出した
当然俺も猛ダッシュで逃げた、100メートル16秒の快足で風を切るように無我夢中で走った
しばらくすると前にコテージの姿を確認することができた、コテージの前で田村さんたちが笑顔で手を振っていたが俺には手を振り返す余裕なんてなかった
無我夢中でコテージまで走り切った俺は田村さんたちに口早に「腹が痛いので部屋にいます」と言って自室に戻り震える体を布団に包んで泣いた
田村さんは心配そうに声をかけてくれたが、恥ずかしくて泣き顔は見せられなかったので布団の中から返事だけを返した
今思うと声で泣いてることなんかばれてたんだと思うけど、当時の俺はそこまで頭が回らなかった
三十分くらいすると今度は佐倉先生が部屋を訪ねてきた
なんか聞いたことのない位優しい口調で「花火するぞ」って言ってきた
俺はお腹が…と言って抵抗してみたが、業を煮やした佐倉先生に布団を剥ぎとられて半ば強制的に外まで連れて行かれた
それから佐倉先生が花火を持ってきて皆で花火をした
俺は終始ビビりまくって隅の方で辺りを警戒しながら花火をしていたけど、みんなは楽しそうに花火をしていた
佐倉先生は「もう若くもないからねぇ…」と言いながら俺の横にちょこんと座って蛇花火をしていた
二日目はそんな感じ、花火が終わったら俺は怖くてすぐに寝た
白い女の正体は未だに分からない、もしかしたら佐倉先生だったのかもしれないけど恥ずかしいので未だに聞けないでいる
つまりさくちゃんはいつでも聞けるような距離にいるのか
昼までは適当に談笑や写真撮影などをして、お昼過ぎには地元に帰った
集合写真も撮った、俺は嬉しくて部室に飾った
楽しい合宿はこんな感じに終わった
そして俺たち天文部は部の存続をかけて学園祭への準備を始めた