俺はこのお菓子が大好きで子供のころから食べていたからテンションが上がった。
と同時にそれがすごく食べたくなってきた。
長井に買ってきてもらおうかな。
そう思った瞬間俺は長井に電話を掛けていた。
今日長井バイトかなーなんて考えていると、電話が繋がった。
長井「はい」
俺「もしもし安藤です。元気?」
長井「うんww」
俺「そりゃよかった。えーと、ゲーム返してもらった?」
いきなりお菓子を頼むのは気が引けた。
俺「あ、あーそうなんだ」
ダメだ、この話題は。また悲しくなる。
早く頼もう。
俺「今さ、テレビで長井が住んでる町が映ったんだよ。それ見てたら急に○○(お菓子)が食べたくなってきて・・・。
よかったら学校に買ってきてくれないかな。もちろんお金は払う」
長井「いいよ」
まさかの即答。
俺「マジっすか!?」
長井「うん、じゃあ明日買ってあさって渡すね」
俺「ありがと!」
・・・もしかして長井っていいやつじゃないか?
俺の長井に対する印象が変わった。
休み時間、ハマーはほっといて俺は長井の席へ行った。
俺「持ってきてくれた?」
長井「これだよね?はい」
俺「やった!ありがと」
その後お金を払って自分の席に戻った。
今すぐ食べたいがここは我慢。家でゆっくり食べるんだ。
今まで食べた中で一番おいしく感じた。
夜、ハンターハンターを読んでいると長井から電話が掛かってきた。
俺「もしもし」
やっぱり電話に出るときは緊張する。
でもこの時には
「長井とあんまり話したことないから緊張する」
から
「長井が異性として気になるから緊張する」に変わっていた。
気になるだけで惚れてはないからな!
俺「いいよ」
長井「まだ何も言ってないよww」
俺「お菓子買ってきてくれたから」
長井「そうだったね」
俺「で、お願いって何?」
長井「うん、今ね、私の好きなゲームがキャンペーンをやってて、パソコンから応募するとグッズが当たるかもしれないの」
俺「そのゲームって男友達に貸してたゲーム?」
長井「そうだよ、ドラゴンファンタジーっていうゲーム」
それはちょうど俺が買おうとしていたソフトだった。
ほんとは違う名前のゲーム
長井「知ってるの?」
俺「買おうか迷ってるところ。面白い?」
長井「面白い!買って!攻略本貸すよ!」
長井のこんなに明るい声を聞いたのは初めてだった。
俺「そんなに好きなのかよww」
長井「好き!」
俺は購入を決意した。
そのゲームやりたい気持ちももちろんあったけど、
それ以上に長井ともっと仲良くなりたかった。
長井「ほんと!?」
俺「うん、やりたくなってきた」
長井「買ったら知らせてね」
俺「もちろん。それでお願いっていうのは俺もそのキャンペーンに応募してってこと?」
長井「そうだよ」
俺「オッケー、今すぐ応募する」
長井「ありがと」
なんとグッズ当選者数はたったの3人!
長井がなんで俺に頼んだのか分かった。
一応、応募はしたが・・・当たるかこれ?
俺は奇跡が起こることを願った。
学校で長井にドラゴンファンタジーを買ったことを伝えた。
俺「ドラファン買ったよ」
長井「え!?どう?面白い?」
俺「めっちゃ面白い。雰囲気とか最高やな」
長井「でしょ!音楽もいいからよく聴いてね」
俺「分かったww」
長井「ドラファンは周回プレイも出来るから、初回クリア後かな」
俺「しゃーない、初回は自力で頑張るか」
長井「安藤君にクリア出来るかなー」
俺「俺のゲームテクニックなめんなww」
長井「詰まったらヒントあげる」
俺「おう、頼む」
帰り道ハマーがドラファン貸してと言ってきたが嫌だと断っておいた。
奇跡が起こった。
なんと、なんとドラファングッズに当選したのだ!
今手元にあるグッズが幻じゃないのを何度も確認した。
ってこれは言い過ぎかww
とにかくうれしかった。
なんか長井と運命めいたものまで感じた。
長井とはドラファンを買って以来、
ドラファンのことなどで毎日メールか電話をしてたんだけど、
このことは言わなかった。
明日学校で驚かせるために。
俺が当選グッズを見せると、長井は一瞬固まった。
長井「・・・すごい、当たったんだ」
俺「まあね。はい、あげる」
長井「いいの!?」
俺「いいよ」
長井「ほんとにいいの!?」
俺「いいに決まってんじゃん。そのために俺に頼んだんだろ?」
長井「見せてもらうだけでいいのに」
俺「とにかくあげる」
グッズを長井に手渡した。
長井「あ・・・ありがと!」
俺「どういたしまして」
俺は終始ドヤ顔ww
長井「安藤君大好き!」
はい、いただきました。
今長井に完全に惚れました。
俺「えっ、あっ、おっ、うん」
この時ばかりは動揺を隠せなかったww
授業中、長井からメールが来た。
長井『今度安藤君の家に行っていい?』
俺はドキッとしてななめ後ろの席にいる長井を見た。
すると長井もこっちを向いていた。
口パクで「マジ?」と言うと長井は頷いた。
長井『5日
空いてる?』
俺『だいじょぶ』
長井『ドラファンがどれくらいうまいか見てみたい』
俺『うますぎて腰抜かすぜ』
長井『それはないww』
なんてやりとりをしてると担任に見つかって俺だけ携帯を取り上げられた。
放課後には返してもらったけど。
この日から授業中でも長井とメールするようになった。
ちょっと待ってて
書く
長井 俺と同じくらいの身長 痩せ型
スペック何を書けばいいかわかんないよお
長井が来るということで部屋の掃除をした。
部屋がすっきりすると長井の前に誰かを家に呼びたくなった。
誰かって言ってもハマーしかいないんですけどね。
ハマーが家に来た。
ハマー「おお、片付いたなー」
俺「だろ?今度からはお前んちだけじゃなくて俺んちでも遊べるぜ」
俺の部屋が汚かったからハマーと遊ぶときは基本あいつの家だったんだ。
しばらく遊ぶとハマーが訊いてきた。
ハマー「おい安藤、お前長井とはどうなんだ?」
安藤「えっ!?」
どうって言われましても・・・。
ハマー「最近仲いいじゃねえか。どうなんだよ、どこまでいったんだよ」
俺「どこまでもいってねえよ」
ハマー「さすが未体験だな」
俺「お前もだろ」
ハマー「でも長井のこと好きなんだろ?」
俺「・・・」
ハマー「お前は分かりやすいからなー」
俺「いやあ、まあ、そうだけど・・・」
ハマー「じゃあいけよ!男ならいけよ!」
俺「そんなんじゃねーよ、ただの友達」
ハマー「けっ、ダメだなこりゃ」
ちなみにハマーは今現在も未体験だ。
このことはハマーに黙っているつもりだったけど
言われっぱなしでムカついたからつい言ってしまった。
ハマー「は!?おま、そういう大事なことは先に言えよ!」
俺「うるせー!これ言ったらお前もっとうるさくなるだろ!」
ハマー「ゆるせねえ・・・。おい安藤!スマブラやるぞ!ぼこぼこにしてやる!」
俺「望むところだ!返り討ちにしてやるよ!」
結果、俺はハマーに一勝もできなかった。
あいつのマルスはマジで強すぎる。
学校が終わり長井と一緒に俺の家に行った。
長井「おじゃまします」
俺「ここが俺の部屋」
長井「きれいだね」
俺「きれいにしたの」
長井「ちがうよwwここから見える海のこと」
俺の家の前には海があって、部屋から水平線まで一望できたんだ。
俺「もう見飽きたよ」
長井「もったいない」
俺「そういえば長井が住んでいるところは海がないもんな」
長井「そうだよ」
俺「まあそんなことより昼めし食おうぜ。なんか作るよ。嫌いな食べ物とかある?」
長井「作ってくれるの!?うーん、私はトマトが嫌い」
俺「じゃあケチャップ使えないな」
長井「ケチャップは好き」
俺「なんだそれwwまあいいや、適当に漫画でも読んでて待ってて」
長井「うん、ありがと」
俺はミートライスと野菜スープを作った。
長井はおいしいと言って残さず食べてくれた。
長井は「人がドラファンをやっているのを見るのが好き」と言ってずっと俺がプレイしているのを見ていた。
長井は椅子に座り、俺は長井の目の前で床に座っていた。
長井「結構うまいね」
俺「だろ?たぶん日本一うまいぜ」
長井「いや、私のほうがうまいww調子に乗るなww」
そう言って長井は俺の背中を足で押した。