吹奏楽部だったんだけど上の学年が引退する時に私が次の副部長に選ばれた。
先輩達が私を副部長に指名した理由はぶっちゃけ「どこのグループにも属してないぼっちだから」
というのも当時、私の学年には部員に慕われてるカリスマ女子が二人いて
そのうち片方が部長、もう片方がコンマス(コンサートマスター。楽団としてのまとめ役)に就く流れだったんだけど
まぁ女子集団にはよくある話でこの二人は犬猿の仲であり部内でそれぞれ派閥を作っていた
今のところ表立った問題は起きてないけど、もし何かの拍子にバランスが崩れたら
部内の女子が部長派とコンマス派で真っ二つになって部が空中分解しかねない
それを危惧した先輩達がどちらの派閥でもない私を緩衝材として副部長に指名した…というわけだった
私は鈍いので二人の間に入っても特にストレスを感じることもなく副部長やってた
二人の意見が食い違って口論になった時なんかはどっちにも付かずそれなりにバランスとれてたと思う
でもやっぱり演奏会とか近付くたびに二人(というか両派閥)のぶつかり合いやいがみ合いが多くなって
いつか大爆発するんじゃないかって空気は感じてた
もしそうなったら私にはうまくまとめられる自信なんてなかったけど
でも私が副部長に選ばれたのはそのためなんだから、いざという時は間に立たなくちゃって覚悟はしてた
3年生に上がってすぐ、コンマスの子のお母さんが亡くなられた
もうずっと病気だったらしい。そんなの全然知らなかった
コンマスは母子家庭だったから祖父母のお宅に引き取られることになった
同じ学区内だったので転校とかはせずに済んだし、部活も継続
コンマスはそれまで以上に部活に打ち込むようになった
でもやっぱりどこか覇気がない。部長の子と口論したりケンカすることもめっきり減った
二人が対立しないから取り巻きの派閥同士もなんだか調子が狂うみたいで全体的にいまいち活気がなくなっていった
思い詰めた顔で「私は部長にふさわしくない、みんなに部長として必要とされていない」と言い出す
「そんなことないよ、みんな頼りにしてるよ、だから部長に選ばれたんでしょ」と口々に励ますと
今度は「みんなから部長としてのプレッシャーをかけられてつらい」と言う
どんなに言葉を尽くしてもネガティブな方向に取るので私も他の子もお手上げ状態
部長はだんだん部活に来なくなり、学校にも来なくなった
後から聞いた話だけど部長のお母さんは少し心を病んでいたらしく(話を聞く限りでは今で言うメンヘラっぽかった)、
部長もそれにひきずられるように心のバランスを崩してしまったようだった
不登校になった後は鬱病と診断されて精神科に入院したらしいとか自サツ未遂したらしいとかそんな噂だけ聞こえてきた
学校の先生は詳しく教えてくれなかったし、まだ携帯メールがそんなに普及してない時代だったから本人と直接連絡とる術もなか
った
部活は部長不在になったわけだけど
もうすぐ引退時期だしってんで新しく部長を立てることもなく
なし崩し的に私が部長代理になってみんな普通に練習に励んだ
大会が近かったから他のこと考えてる余裕がなかったのもあると思う
練習の甲斐はあったのか大会でそこそこ優秀な成績をとって私の学年は部活を引退した
それで終わりになるはずだったけど
私の学年が引退したことでそれまでかろうじて繋がってた何かが切れてしまったのか
その後吹奏楽部は退部者が続出し一度廃部になったと聞いた
私が覚悟していたような修羅場は起こらなかったのに
表面上はいつもの部活のまま色んなものが静かに崩壊していくのをリアルタイムで体感したのが修羅場。
しかも渦中にいる時は全員これといった危機感も無く状況を受け入れていたのも今考えると修羅場
あと、いつも明るくてみんなに慕われてて凄いなと思ってたコンマスと部長が家庭ではいろいろ悩みがあって
二人の板挟み役になるはずだった私が一番のほほんとした環境にいたという事実も私的に修羅場だった
ちなみに部長やコンマスの子が今どうしてるかは知らない
誰かに聞けばわかるだろうけどあえて聞く機会もないし禁句扱いになってて聞きにくい
今日アルバム整理してたら最後の大会の時の集合写真が出てきたので吐き出してみた
当時、部長が受け取りに行くはずだったトロフィーを受け取りながら感じた何とも言えない気持ちは今でもたまに思い出す
お互い家庭がしんどくて部活が寄り所だったんだろうな>部長とコンマス
対立してる方がイキイキしてるなんてのはよくある話だがここまで落差が激しいと中学生女子には重かろう
二人が修羅場だったのは間違いないだろうが>>77もそんな二人の間に立たされてもどうにもできんわな
乙でした