77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 21:58:14.51 ID:5NzmtL8y0
退院したからには今後どうするかも考えないといけない 
何人かの人と相談して、俺は高校には行かず大検(今でいう高認)を受けて大学を目指すことにした 
こんな仕事がしたいってビジョンはなかったけど、右ひじの事があるから頭脳労働で食べていくしかないと思ってた

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1315397025/
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:00:54.92 ID:5NzmtL8y0
こうして俺の新しい生活が始まった 
その頃の俺にとっては勉強できることすら喜びだった、綾ちゃんとの文通も続いてた 
お互い交通手段もないし、家から出歩くのもまだ多少キツい状態だから会いに行くなんて事はもちろん出来なかった 
けど、文通のおかげでなんとなく綾ちゃんが近くにいるような気がしてた

そしてその年の11月下旬 
綾ちゃんから返事が来なくなった 

79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:01:26.31 ID:4XPeXF2H0
え・・・?

80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:01:36.28 ID:WgjLXjG30
あ・・・。

82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:02:15.26 ID:+B4pVZ800
っていうか今も入院してるんだけど、他の患者さんとコミュニケーションとれたら楽しいだろうなぁ・・・ 

点滴は上手な人がやればそこまで痛くない、下手な人だとタヒぬほど痛い

83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:02:27.82 ID:5NzmtL8y0
どうしたのかな、調子悪いのかなって思いつつも、ひたすら返事を待ってた 
何となく電話はしづらい感じだったし、親に聞いてもらうのも恥ずかしいような気がしてた 
もし何かで忙しいんだったら、と思うと自分から催促みたいにもう1通手紙を送るのも気が引けた 
結局、返事が来たのは次の年のお正月の年賀状としてだった 
何の変哲もない、よくわからないイラストの描かれた普通の年賀状 
「忙しかったせいでしばらく返事できなくてごめんね!私は元気だよ。また手紙書くから待っててね。」 
みたいな感じのメッセージが手書きで書いてあった 

その2週間後、綾ちゃんがタヒんだ

85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:02:59.56 ID:4XPeXF2H0
嘘・・・だろ・・・?

86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:03:41.68 ID:6A58sESZ0
おい

88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:04:44.27 ID:0jTFjP4e0
あかん、わかっててもあかん…

89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:04:54.69 ID:5NzmtL8y0
>>82 
きっと病棟に談話室とかあるだろ? 
そこ行って本読んでるなり、患者っぽい人に話しかけるなりしてみたらいいと思う 
なんだかんだで入院中って人と話したいし、きっと仲良くなれると思う 

90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:06:06.52 ID:5NzmtL8y0
それを最初に知ったのウチの母親だった 
どういうルートで知ったのかは分からないが、多分入院してた時の知り合い経由だと思う 
俺は父親と一緒に綾ちゃんの家に行った 
家には、憔悴した表情の綾ちゃんの母親がいた 
10月の末から抗がん剤由来の白血病で再入院していた事、あっという間に進行して、ほとんど手の打ちようがなかった事 
心配するから、俺には知らせないで欲しいといわれた事、正月頃にはかなり状態が悪化してたが、数人にだけは年賀状をを書いてた事などを話してくれた

92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:06:57.74 ID:5NzmtL8y0
俺は放心状態でその話を聞いていた 
妙に現実感がなくて、けど目の前の仏壇には綾ちゃんの遺骨が入った箱みたいなものがあって 
綾ちゃんは俺と同じくらい身長があったのに、骨になるとこんなに小さくなってしまうのか、なんて事をぼんやり考えてた 
悲しいはずなのに泣けなかった 

93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:07:25.01 ID:5NzmtL8y0
帰路に父親と夕食を食べたが、2人ともずっと無言だった 
入院中、両親が来てる時はなんとなく照れくさくて綾ちゃんと一緒にいることは殆どなかった 
けど、多分両親は俺と綾ちゃんの事を気づいてたと思う 
その時はそんなこと考える余裕はなかったが、きっと父親は父親で色んな思いが渦巻いてたんだろう 
結局そのまま会話することもなく家に帰って、俺はすぐ風呂に入って寝た 

そして、夜中に目が覚めた 
夢の中には元気な、肩まで髪の毛のある綾ちゃんがいた 
現実に髪の伸びた綾ちゃんを見た事はなかったのに、我ながら変だなと思いながらなんとなく部屋の電気をつけた

94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:07:51.17 ID:0uLBciCY0
メールじゃなくて手紙のやりとりをしてたの? 

97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:08:26.65 ID:4XPeXF2H0
亡くなる直前だったのに元気な風を装ってたのか 
なんていい子なんだ

98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:09:13.98 ID:5NzmtL8y0
>>94 
まだ携帯持ってるやつのほうが珍しかったくらいの時期の話なんだ

99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:09:22.13 ID:bmHbMrm0P
童テイでキモメンな俺ってなんで生きてるんだろ・・・

100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:09:36.58 ID:5NzmtL8y0
俺の机の前の壁にはコルクボードがある 
そこに貼ってある綾ちゃんからの年賀状が目に入った 
白血病が進行して、再入院してるしんどい時期に書いた年賀状だったんだな、と思いながら年賀状を見た 
そこには 

「私は元気だよ。」 

って書いてあった 

それを見た瞬間、一気に涙が出てきた

101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:10:12.69 ID:5NzmtL8y0
>>99 
お前が生きてるだけで親は幸せなんだよ

102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:10:59.48 ID:5NzmtL8y0
本当は手紙もかけないくらいきつかったのに、俺に心配かけまいとして年賀状では元気な振りをしてたんだなってその時ようやく気づいた 
あの子は入院中からずっと俺を助けてくれてたのに、俺はあの子に何かしてあげられたのか 
そんな事を考えて、しばらく涙が止まらなかった 
俺はもう綾ちゃんに会えないんだって事がやっと本当に理解できた

104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:11:54.28 ID:5NzmtL8y0
それからしばらくは何も手につかなかった 
起きて、ボーっとして、ご飯食べて風呂入って寝るだけの生活 
親は何も言わなかったし、何か言われても頭に入らなかっただろうと思う 

10日ほどして、綾ちゃんのお母さんから手紙が届いた 
この間は来てくれて有難う。あの時に話せばよかったのかもしれないけど、俺にだけ伝えるべきだと思ったからって文面と一緒に、綾ちゃんがタヒぬ数日前に話した内容が書いてあった 
夜中の、家族が寝た時間帯に読んだ

106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:12:43.18 ID:5NzmtL8y0
私がいなくなっちゃったら、その後の俺君が心配。あの子気が強いけど繊細なところがあるから。 
私の分まで長生きして欲しい。頑張って学校に行って就職して、楽しい人生を送って欲しい。 
ちょっとの間だったけど、俺君と一緒にいられてよかった。普通の女の子みたいな経験が出来て嬉しかった。 
俺君は再発とか、白血病とかにならないでほしい。私が俺君の分のそういうのを全部持っていきたい。 

そんな事を言ってたらしい 
もう一回滅茶苦茶泣いた 
なんで綾ちゃんなんだよ、他の奴なら良かったのにみたいな事すら思った 

109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/07(水) 22:14:30.23 ID:5NzmtL8y0
それから徐々に以前の生活に戻っていった、勉強時間を増やしていった 
精神的に平穏、とはなかなかいかなかったけど、とにかく俺は頑張らないといけないって思ってて、今の自分に出来るのは勉強くらいしか思いつかなかったから 
つらかったけど、このまま立ち止まってるのはダメだって気持ちがあった 
そして、俺は薬学部を目指すことにした

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