告白から3ヶ月くらい経った頃の話です。
ちゃんと付き合うようになった二人ですが、友達期間が長かった
せいで、どうにも進展がなかったんです。
進みにくかった一因かもしれません。
食べて、深夜までボクの部屋で試験勉強とかしてましたからね。
さすがに母の「ミドリちゃん、お風呂に入っていく?」には慌ててましたけど。
年に一度の大イベント、クリスマスがやってくるわけです。
別にクリスチャンでもなんでもないんですけど。
だから、クリスマスこそは関係を進展させるぞ、と心に誓うボクでした。
主よ、不順な心の我を許したまえ。
母は強しです。
――
「ねー、ユーサク。今年のクリスマスはバイト?」
いつものように並んで帰るミドリが聞いてきます。
「いや、去年はガッツリとシフトに入ったから
今年は勘弁してもらうつもりだし」
「えっ? 去年はシフトって?」
実はクリスマスも、バレンタインも、ホワイトデーもなかったことを。
というか、去年のクリスマスにコイツのDVDの貸し出し手続きをしたのは
ボクなんですけどね。あんなに大量に借りたのに覚えてねーのか?
「そういうことかー、ハハハ」
なんだか嬉しそうに笑います。
「おまえ……人の不幸を笑ってないか?」
「ごめんごめん。そうじゃなくって――」
これまで家族以外とクリスマスを過ごしたことがなかったこと。
そして今年は初めて家族以外、それも好きな人と一緒に過ごせることが
嬉しいこと。
ちょっと複雑な気持ちになっていたこと……
ボクは、ミドリでも元カノの存在とか気にするんだなあとか思いましたね。
元カノといってもマネージャーさんとは、あの事故のようなキス以外は
手すら握ってないんですが……いや、あれはノーコンテストだ。
昼過ぎに待ち合わせをして遅い昼食。クリスマス用の飾りつけや
音楽の鳴る街中を色々と回って、夕方からテーマパークという元気な
10代らしい実にハードな設定。
今なら途中で集中力が切れてしまいますね。確実に。
街中が浮かれた雰囲気なので、こちらも何だか盛り上がります。
陽が落ちる頃からテーマパークです。
寒い冬の日没後にもかかわらず、人でいっぱいです。
わけですよ。
これが真夏だと苦しいかもしれませんが、寒い冬ならではの効果というモノが
ありましてね。
30分も並べばもう抱き合うような感じになりますよ。
その方が暖かいですし、周りがそうですから、ごく自然に。
お勧めです(笑)
ボクも身長が低い方ではないんですが、彼女の背が高いせいでお互いの顔が
スゴク近くなるわけです。
その距離は、もう10cmくらいでしょうか。
周りもそうですから……しつこいって(笑)
これぞファーストキスですよ。正真正銘の。
さすがにガッツリとはいきませんが、軽くでも十分でしょう。破壊力抜群です。
もうなんか色んなことが、どーでもよくなって、わーぃわーぃという感じです。
表現力が乏しくバカっぽいですけど、これが正直な感想です。
その後も長い列に並ぶ度にボクの頭の中は「キスだ、キスだ」
しかないわけですからね。
実際その日は、調子に乗って何回キスしたか分からないくらいしましたよ。
でも、彼女はなぜかずっと黙ってました。ボクの腕に顔を埋めながら……
そして家が見えてきた頃、やっと口を開くわけです。
「今日は楽しかったよ……ユーサク……でも……」
「でも、なに?」
でも?
――
「私達って……今日のことで変わってしまうのかな……」
彼女の不安そうな顔がスゴク可愛かったことを鮮明に覚えています。
あの表情は一生忘れることができないでしょう。脳内アルバムには
今でもしっかりと残っていますからね。
ボクはミドリが大好き、何か変わった?」
「……そーだよね。でも私は少し変わったよ……
ユーサクのことが、もっと好きになった!」
というが早いか、ボクの首に両手を絡めて本日最後のキス……
ちょっと、いや、かなり激しい。
ボクは、なんだか燃え上がってしまって、力任せにギューっと
抱きしめてしまいました。
「んもっ……ぃたぃ……」
ミドリは力の抜けたボクの腕からスルリと抜け出して走っていきます。
「ユーサク、今日はありがとう! それから……大好きっ!!」
と大きく手を振ると玄関の中に消えていきました。
その姿を見つめながら、なんとも言えない幸福感でいっぱいなボクでした。
かわいいでしょ。
――
これでボクとミドリが、めでたく一人前のカップルになった次第です。
次は、現在に繋がる最終章となります。エピローグみたいなもんです。
クリスマスイベントから3ヶ月後。
彼女のお義姉さんの結婚式の前週のこと。
ボクは彼女の両親宅に居ました。お義姉さんに呼ばれたんです。
……
――
その時初めて、ボクはミドリの両親に挨拶しました。
お父さんも、お義母さんも喜んでくれて大歓迎モードでした。
たぶん、色々あったことを聞いているんだと思います。
お義姉さんの核弾頭並みに破壊力のある発言で、ある意味での
ボクの人生が決定されることになります。
面白いから>>1から1時間かけて全部読んできたわ
ありがとうございます。もうすぐゴールです。
――
「今日は、山下さんにお願いがあります」
なんだか悪戯っぽい目が、非常に気になるというか怖いわけですが
彼女はさらに続けます。
妹と一緒に住んであげて欲しいんです」
これにはさすがに驚きましたね。まだ高校生なのに同棲ですか?!
というか、ミドリとは……
いや、まだそういう関係には進めていないわけですし……
あまりに直球なことは言えませんからね。
「えっ?! 一緒に住む? へっ?」
ミドリは顔を真っ赤にして両手をバタバタさせながら、あたふたと暴 れてます。
「妹は友達も少ないし、何かあるとスグに荒れるし(笑)」
育たないとのこと。
今までは自分がその役目だったけど、そろそろ交代の時期だろうとも。
なんでこんな幸せになってんだよ
くそがぁー!!羨ましいぞ!
席順のおかげだと思ってます(笑)
――
「本当は、父さん達と一緒に住めればいいんだけどな……」
お父さんは、お義母さんをチラリと見ながら呟くように言いました。
家族のことは分からないけど、それが叶うなら彼女もお義姉さんも
最初から苦労はなかったんでしょう。
さてさて?
――
ボクの頭の中は複雑でした。嬉しいんですが、なんというかまだ心の準備が
できていない感じです。あまりに急でしたからね。
正直言うと、まだそこまで考えていなかったんですよ。同棲なんてね。
今回は覚悟を決めました。珍しく即決即断です。英断でもあります。
いや、覚悟はあのファミレスで、既に決まっていたようにも思います。
ボクの決意表明に一同「おぉ~」となり、ミドリは大粒の涙をポロポロと
流しながら完全に固まってます。
数秒間動かなかったと思うと、突然号泣しながらボクの胸に飛び込んできました。
「ユーサク……ありがとう……大好き……」
一緒には住まなかったんです。せっかく決断したんですがね。
大学はどうするんだと。それに高校生で、子どもができたらどうするんだと。
一緒に生活すれば、できちゃうでしょうね。若いですから。確実に。すいません。
「高校生で下宿して、生活している子だって普通にいるから」
これがウチの両親の意見でした。正論です。
「あんたが選んだ子なんでしょ? だったら悪い子なわけがない。
一緒に住めばいいじゃない」
この一言で決まりでした。
くれました。金銭面とかあったんでしょうね。詳しくは知りませんけど。
そして、彼女とはボクの家で一緒に生活することになったんです。
やる気起きんわなww
少なくとも家の中ではね。ボクの母との約束があったからなんです。
それは『普通の兄妹がしないことは、この家の中ではしない』でした。
絶妙な言い回しですよね。
虹ヲタが聞いたら、それだけでオカズになりそうです。
ボクの母はミドリを本当の娘として育てるから、大学に行きたいなら
学費はなんとかするし、そのために塾が必要なら、それも何とかする
とまで言ってくれました。なんかスゴく嬉しかったです。
そこまで言ってくれる母を二人は裏切ることができませんでした。
とか言いつつ、実はボクは何度かチャレンジはしたんですよ(笑)
すいません。健康な男子高校生ですから。
色っぽい声で言われたりで、かわされ続けました。
まあ、この家の中でさえなければ彼女も積極的だったりするわけですが……
そして就職を機に、ボクの家から出ていくことになります。
彼女としては、一日も早く独立したかったのかもしれません。
引越しの日は、なんか悲しくてね。泣いちゃいましたよ。情けないですけど。
怖いくらいですよね。
――
それから……
何年か遅れて、ボクも就職を機に実家を出ることになります。
実家からでも通勤できたんですけど……
だって、彼女と二人で生活したいじゃないですか。
そうそう、虹ヲタとメカ夫とは、今でもちょくちょく飲んでますよ。
結婚式にも出席してくれましたし。
奴らはまだ独身です。結構モテるクセに(笑)
彼女は実家です。だからボクは今、部屋で独りなんですよ。
で、どっちの実家かって? もちろんボクの母のところです。
―― 完 ――
結婚式は、身内だけで簡単にしました。
披露宴とかしてません。
ハッピーエンド迎えられて嬉しいよ
幸せになってくれぃ
これで心置きなく寝れるわwww
おやすみなさい
お幸せに!
ハッピーエンドで良かった!
お幸せに!
読んでて楽しかったよ‼
これからもお幸せに( ´ ω ` )ノ
楽しめましたお疲れ様ー
そしてありがとう
ありがとうございました。
ちなみに、コテハンは「バース=誕生」をかけてました。
くだらなかったですね。すいません。
お義母さんは普通じゃないよね??どんな感じなの?
お義姉さんとか、彼氏の母親に娘を預けてお父さんもどういった心持ちなのか、
一緒に生活することが苦手なだけですよ。
憎みあったり絶縁したりは、してませんので。
それ以上のことは、聞かないようにしています。
楽しかったよ!
末長くお幸せに(*´∀`*)
ありがとうございます。
女の子なら、マジでミドリにしようかな(笑)
では、本当に最後です。
おやすみなさい。
>>1ありがとう!
ミドリちゃんとお子さん絶対に幸せにするんだぞ!
お疲れ。 幸せな気持ちを分けてもらったよ。スカっとする話を有難う!
どうか、元気な子が生まれてきますように。