いわゆるアットホーム()な雰囲気で社員は家族()って感じの小さい会社だったんだけど
ある日社長が訳ありの男性(以下A)を連れてきた
話によると朝起きるのが苦手でよく遅刻をするため仕事が長続きしないとのこと
まあそういう体質の人もいるよね、ということで
ひとまず会社の隣に建つアパートに入居すること、事務員の私が出社時に
チャイムを鳴らして起こすことを決めた。
しかしAは我々の想像を遥かに超えていた。
部屋を訪れると明らかに寝起きです〜といった様子で出てきた(女の私相手にハンラで)
そのまま二言三言交わし、よしこれで安心と会社に戻るものの、その後
いくら待っても出社する気配がない
もう一度行くと「二度寝しました〜」…これを繰り返すこと数回
埒が明かないので、ドアを開けて顔を見た後も会社に戻らずにその場で待機することにした
しかし「ここで待ってるから早く準備して」と言っているのに、その状況でも平気で寝る
異性の部屋の中に入るわけにはいかないので
状態になっているのかさっぱりわからないのだが、寝る
チャイムを鳴らすとちゃんと出てくる。そしてまた寝る
ようやく覚醒するころにはもう昼近く。午後になることもざらだった
もちろん私はその間仕事ができない。
もうこいつを起こすことが私の業務内容の半分という感じ
情けなくて泣きたくなったけど上司は何もしてくれない
私がいくら怒っても何も変わらない
ここまで来ると完全に病名がつくレベルだと思うので何度か本人に直球で聞いたんだけど
病気じゃないから病院は必要ないんだってさ…
仕事しないくせに愛されキャラってところに虫唾が走った
とばっちり大変だったね…
Aはびっくりするくらい人懐っこい性格で、毎日この調子のくせに
あっという間に社内で愛されお調子者キャラを確立した
そして徐々に
「Aまだ寝てるの?もう仕方のない奴だな〜☆
…(私)さんがちゃんと起こしてないからじゃないの?」
と何故か私がやんわり非難されるようになった
社長の反応も同様で、専務(社長奥)は
「お嫁さんでも貰って起こしてもらえばいいのに〜」と呑気な感想
しまいにはA本人まで
「(私)さんいつもめちゃくちゃ怖いんですよ〜w」とおちゃらける始末
正直、A入社から数ヶ月経ったその頃にはもう呆れ果てていて
奴がどうなろうと私の知ったこっちゃないと
起こしに行く頻度も1時間に1回程度になっていたんだけど
さすがに虚しくなったので見切りをつけて転職した
数年後、外出先でAとばったり会ったので今も遅刻してるのかと聞いたら
あははwって草生やしてたから多分相変わらずなんだろうけど
あの会社だけ数年間時が止まっているような感覚を覚えてぞわっとした
あんな人間を雇い続ける社長と会社の人たち、Aの神経は一生理解できないと思う
起こせと言われて起こしに行ってるのに、社内の人間味方につけてやんわりイジメてるようにしか思えない。
辞めて正解だわ、お疲れ様。