体の異変は俺の出張前、飲みに出たころから気がついてたの?
気がついてたから行為を拒んだの?
手術とかがんばろうよ?
いてくれなきゃこまるよ。
なんでそんなにあきらめてるんだよ。
なんかやれることあるでしょうが!
本当に大事に思ってるのに、なんでそんななの?
もう何を言いたいか分からなくなってた。
忙しさにかまけて、ちょっとほったらかしてたらどんどんひどくなるので、しかたなく受診したところガン発覚。
しかもけっこう進行してて転移もある。
ガンの旦那を裏切った自分への報いだから仕方ないねと、変に往生際がいいの。
俺が鈍感から気がつかなかったんだけど、ものすごい薬の量なんだぜ。
医者に頼んで入院を俺が帰るまで待ってくれって。
ふざけんなだよね・・・・
あたしはしちゃいけないことをした。
その報いがこれならしかたない。
それでも、あなたと一緒に生活できて幸せだったんだよ。
感謝の気持ちでいっぱいだもん。
そんなこと言ってたよ。
で、いつどうなってもいいように寝室の収納の中にある封筒持ってきてくれって。
言われるがままに家に帰って踏み入れたことのなかった寝室に初めて入ったんだ。
ベッドサイドに旦那の写真があったんだけど、その横には俺と撮った写真飾ってあったな。
封筒を回収して病院に持っていったら中から通帳出てきたんだ。
俺が渡してた給料から必要経費除いた分全部貯金してたらしい。
すごい金額なの・・・・
旦那が亡くなった時に残りのローンは保険で一括支払いされるんだって。
だから必要経費なんて食費と光熱費だけなのよ、って。
あなたの人生のためにしっかり使ってくださいって笑ってるんだよ。
なんなんだろうね、この人・・・・
医者に掛け合って手術できないかとか、彼女の説得とか、とにかくもう本当に一生懸命だったんだよね。
貯金全額つかってもいいから!って保険適応外の薬とか調べたりしてさ。
結局彼女は手術だけは同意してくれたよ。
保険適応外の薬は絶対に嫌だって。
でもさ、生きててほしいかったんだよ。
なんでわかってくれないのって、泣いたんだ。
でもダメだった。
結局手術だけはしたよ。
開けて閉じただけ。
家のことは上の娘がやってくれてるから大丈夫だったんだけど、大学生で遊びたいだろうに俺が家事あんまり得意じゃないからって、まっすぐ帰ってきてた。
俺もっとしっかりしなきゃって思ったなぁ。
彼女含む3人を守ろうって思ったわけだから、収入なくすわけにはいかないし仕事はしてたんだけど、あのころの俺ってマジひどい給料泥棒だったと思う。
外回りなのにサボって病院いってたりしたもの。
俺が34なったばっかりのころ。
日曜日に付き添っててたんだけど、いろんな昔話するのよ。
手を出してほしかったのにぜんぜんきがつかない鈍感なんだから!とか
あたしからホテルに連れ込むのとか、すごく緊張したんだから!とか
まぁ鈍感については申し開きできないくらい鈍感だよね。
半年の間なにも気がつかなかったんだから。
鈍感もいいかげんにしないと、いろんなとこでうらまれるよ~ってちゃかされたりもしたよ。
それが今から2年前のお話。
彼女が最後に言った言葉は、
鈍感を指摘してあげたのに、まだ気がつかないのね
あたしのことは気にしなくていいから、ちゃんと考えて答えてあげてね
でした。
喪主ができず、表立って葬儀に参列できない立場なのが本当に悲しかったよ。
いろいろなことで多忙に押し流されて、どうにか生きてたわけだけれども、彼女の最後の言葉が分からないまま納骨を終え半年くらいすぎたかな、上の娘から告白されました。
彼女の最後の言葉に合点がいったわけです。
彼女とは一回り離れてたけど、娘とも一回り離れてて、俺の気持ちを抜きにしたって、一回りって年齢差は、簡単に埋まるものじゃないとか考えて、彼女もずっとこんな気持ちをもってたんだな~と実感してしまいました。
冗談ぽくごまかして、ちゃんと好きな人見つけなさいって諭しました。
母親と娘とかそれどんなエ口ゲって感じだしやっぱり保護者でいるべきだと思った去年でした。
今俺は36歳。
相変わらず、一緒には住んでますが戸籍は独身です。
変な関係ですよね。
今日は彼女の命日でした。
上の娘から一通の手紙を見せられました。
懐かしい彼女の字です。
要約すると、上の娘に対する僕と彼女の馴れ初めから旦那に対する裏切りの告白と懺悔でした。
上の娘は、彼女が存命中に僕への気持ちを彼女に相談していたらしいのです。
僕と彼女の関係を全て理解した上での告白でした。
首を立てに振らない場合はこれを渡してくださいと彼女の字で書いてあり、俺宛の手紙もありました。
ちゃんと考えてあげてください。
あたしたちの事を知って、それでも告白したなら本気なのでしょう。
娘の相談を聞いたことで、あたしの役目は終わりました。
とっても大好きであなたに抱かれたいと思っていたのは本当だけど、あなたと娘と、将来ある2人のことを思うとあたしはもうあなたに抱かれることはできないという結論だったのです。
あのころ何回もことわっちゃってごめんね。
本当はいっぱいしたかったんだよ。
病床でこんなもの書いてたらしいです。
明日までに答えを出そうと思います。
長々ありがとうございました。
ちょっとどうするべきか冷静に考えたく、語らせていただきました。
実話ですが、信じる信じないはお任せします。
僕の彼女に対する気持ちは本物でしたが、いろんな意味で大変な出来事に付き合いました。
まだ彼女のことを思うと泣ける自分がいますが、娘達の保護者として生きるか、それとも別の選択をするか、どちらにしても後ろ向きばかりではいられません。
吐き出す場があってよかったとおもいます。
ありがとうございました。
特に娘ももう24なんだろ?ぜんぜん問題ないな