一方、性格は大人しく口下手で泣き虫。背は低く運動音痴。目を引く外見のせいでからかわれ、苛めっ子に泣かされる日々。
「無視してやればいい。Aが泣くから面白がるんだよ」「母ちゃんが、Aはイケメンになるって言ってたぞ」、等々、みんなで慰めたりアドバイスしながら帰るのが日課。
Aは泣きながら「でも、だって」を繰り返すだけだった。
Aは苛められっ子のまま小・中学を卒業。その頃には、ぐんぐん背も伸び、肩幅もしっかりしてきた。
見た目だけなら、完璧な美少年だったんだけど、小学校時代の苛めっ子に相変わらず絡まれたり(苛められては無かったが)
女子も「すぐ泣く女々しいA」の印象が強く、とても地味なやつ、という印象。問題は、高校に入ってからだった。
Aの性格はそのままだけど、座ってるだけで「口数少ないクールキャラ」として人気に。「ただしイケメンに限る」を地で行ってた。
一方、ちやほやされ慣れてないAは、自分を見てひそひそ話す女子の視線を陰口と勘違い、もらうお菓子も「何か入ってるんじゃ…」と怖がっていた。
放課後カラオケに誘われても、お金を巻き上げられるか、馬鹿にされるか、しか想像付かなかったようで、
その手の話は全力で逃げて、話の合うオタク友達と行動を共にしていた。
↑のAの誤解については、小学校からの友人たちで「お前がイケメンだからだよ」と説明しても「みんなまでからかうの?」と泣きそうになったので断念した。
それが面白くなかったのが、Aのことが好きな美少女B子さん。B子さんは男子に蔑ろにされた経験が無かったようで
どんなにアプローチしても逃げ回るAがどうにも我慢できなかったと。で、あるとき、BさんがAを押し倒してキスを迫ったそうだ。
泣きながら俺の所属する部室に逃げてくるA。腰が抜けそうになってるAを引きずるようにして職員室へ行くと、既にB子さんが根回ししてて、AがB子さんを襲ったことになってた。
よく見ると、職員室のソファ?でうなだれてるB子さんの姿が見えた。
Aが来たということで、どう押さえつけようかと考えあぐねていた先生たちだったが、涙と鼻水でぐちゃぐちゃのイケメンを見て気が削がれる。
何か話がおかしいな?と先生も思ったようで、担任と、女性の先生、B子と俺&A(Aが俺を放してくれなかった)とで隣の応接室で話し合い。
B子「はい…急に、後ろから…」
担任「A、B子の言ってることは本当か?」
A「ぢがびばずぅ…Bござんが、あうぇdr」(泣いてて聞き取れない)
俺「俺が聞いた話だと、B子さんがAにキスを迫って、断ると押し倒したそうです」
B子「ヒドイ!私がそんなことできるわけ無いじゃない!」
A「ぼぐだっで、ぞんなごどでぎまぜん!」
担任「う~ん…」(先生もB子を疑ってる風)
B子「俺君は黙っててよ!A君だって男の子なんだから、何するかわかんないです!」
俺「でも、Aの後頭部に、でっかいコブが出来てるんですけど、A子さんが言うように、後ろからB子さんを押し倒そうとしたら
そんなとこにコブできませんよね?Aが言うには、B子さんに押し倒されたときに、床に頭打ったらしいんですけど」
女の先生「(Aの頭見て)あら、痛そうねぇ」
俺「そもそも、Aの性格でB子さんを襲うってのが妙だと思います。先生も、担任なら知ってますよね?いつもAが女子避けてるの」
見る見る顔色の変わるB子。それを見て、担任もB子の嘘だと確信。
Aが頭を打ったこともあり、両方の保護者が呼ばれて、B子両親は深く謝罪。Aの治療費を払うということになった。
そこでB子が「A君ごめんなさい…。でも、私、A君のことが好きで!」とか言ったらA、隣の俺の袖掴みながらではあったけど「僕は君が大嫌い。お願いだからもう関わらないで」と。
Aを好きだったのは本当だったようで、今まで嘘泣きもしなかったB子が、その場に突っ伏して大泣きしたよ。
鼻水と涙まみれでAが飛び込んできたときもびっくりしたけど、最後のAの言い方は、顔が整ってる分すごい迫力だった。
応接室には部外者なのに参加させられて心臓バクバクだった。なんとかAの冤罪と解こうと必死だった。
あと、その後俺とAのホモ疑惑のうわさが流れて、腐女子がノート書いた漫画が俺にまで回ってきて修羅場。
B子は約束どおりAには関わらなくなり、Aは二次元の女の子すらも苦手になり、ガンダム一筋になった。
あーこれだ
一番しっくり
ガンダム一筋ワロス