立ったら書く。
途中までは書き溜めしてある。
学校は市内の三つの小学校の生徒が集まっていた。
小学校の時に特に仲良かった友達とは別のクラスになっちゃったけど、同じ習い事をしていてそれなりに仲良かった他の小学校の子と同じクラスになってそこから新しい友達も増えて楽しく過ごしていた。
大抵がタバコやっているなどのDQN系の噂だったけど約一名、噂の毛色が違う人がいた。
○○小から来た亜沙希(仮名)って子はおかしい、変わってると言われていた。
隣のクラスに在籍していて、廊下ですれ違った時に友達が「あの子が例の亜沙希だよ」って教えてくれた。
家自体は徒歩5分もかからない近さだけど学区が違ったので別の小学校だった。
それでも集団登校している時にすれ違ったりしていたので顔だけは知っていた。
ふくよかな体型とやたらキョロキョロしてる落ち着きのなさが目立っていた。
そしてめったに人の悪口を言わないおっとりした友達が
「同じ小学校だったから言えるけど彼女にだけは関わらない方が良いよ」と真剣な顔で忠告してきたのを覚えている。
部活で吹奏楽部に入部した私は、まだ演奏出来るほどの腕もないので先輩方が市内の祭り?のような行事で演奏するのを観客として見ていた。
同じ部活の友達と私たちも練習したらああいう風に吹けるのかなーとワイワイ見ていた。
新入生が固まっている一角から少し離れた所に派手なショッキングピンクの服を着た子がいた。
何か派手な服着てるなーと目をやると亜沙希だった。
中1のガキなのにOLが着るようなスーツ、しかもショッキングピンク。
小太りぐらいの体型だったのでパツンパツンだった。
そのくせ靴はダンロップとかそれ系のどこにでもあるスニーカー。
やたら長いつけ爪、しかも途中で落としてコンタクトを探すように地面を這いずり回って探していた。
極めつけは化粧だった。
明らかに肌の色と合ってない白塗り、真っ赤な口紅とチーク、左右で全然形の違うアイライン、こち亀の両さん並に太く書かれた眉毛…。
化粧とかしたことのない当時の私でもおかしいと分かるぐらいおかしかった。
その時の演奏はもう覚えてないのにそっちは鮮明に覚えてるぐらいインパクトが凄すぎた。
親はとんでもない恰好をして外出しようとする娘を何故止めないのか。
友達の忠告の意味が分かった。
一人になってから家までのルートは何種類かあった。
その日は母にスーパーで買い物を頼まれていたので亜沙希の家の前を通るルートを使った。
彼女の家の門前を通過したら背後でドアが開く音が聞こえた。
振り向くと亜沙希が満面の笑みで私に向かって突進してきていた。
ここが彼女の家なのかうっかり前を通ってしまった人生オワタ\(^o^)/と本気で思った。
「はぁ…」
「ねぇねぇこれから家に遊びに来ない?ね、いいでしょ?ね?ね?」
何故初対面で家に誘うのか。
「いや私買い物頼まれてるしちょっと…」
断ると亜沙希の態度は急変した。
「何よ!私のことが嫌いなの?みんな仲良くしないといけないって小学校で習ったでしょ!明日先生に言うから!」
と道路の真ん中で号泣しだした。
通行人の視線が私たちへと集中する。
そして「おかぁさぁ〜〜ん!!」と泣き叫びながら家へと入って行った。
訳が分からないまま買い物を終えて帰宅した。
翌日登校して友達に亜沙希と会ったことの一部始終を話した。
あちゃ〜という顔をされた後、「マヤちゃん、絶対に亜沙希のターゲットになっちゃったよ…」と
非常に深刻そうな顔で宣告された。
以下、彼女が小学校の時にしでかしたことを箇条書き。
・お気に入りの子は必ずNOと言えなさそうな大人し目の子になる
・相手を決めるととにかく束縛、束縛
・少しでも気に入らないことがあると泣き喚く、先生や親には事実を歪めて自分は悪くありませんと言う
・小学校の時にターゲットにしていた子は最終的に不登校になり卒業と同時に県外に引っ越し
・両親に私もその子と同じ所に引っ越すと泣き叫ぶも叶わず
・中学で新たな生贄が見つかるだろう、気の毒にと言われていた
そのせいか、自分に好意を持って近づいてくる人間に対して拒絶を示すことが出来なかった。
私から漂うそういう雰囲気を嗅ぎ付けて近づいてきたんだと思った。
亜沙希に対しては勇気をもって拒絶の意思を示そうと決心した。
昼休み、亜沙希は私が友達と楽しく弁当を食べているところに突撃してきた。
「マヤちゃ〜ん!お昼一緒に食べよ〜!」
でも私たちの学校は用もないのに別のクラスに入ることが一応禁止されていた。
亜沙希と同じ小学校だったクラスメートからは哀れみの目で見られた。
でもクラスにいたDQNががなぜか助け船を出してくれた。
「おい亜沙希、てめーは隣のクラスだろ!自分のクラスで食えよこのデブが!とっとと視界から消えろ」
暴言でも有難かったしGJと思った。
しかし絶対に私の側から離れない亜沙希。
DQNは私たちがいる所まで歩いてきた。
「おいマヤ、ここではっきり言っておかないとお前これからずっとこいつに付きまとわれるぞ。それでもいいのか?」
「なぁに、マヤちゃん!あたしのこと好きだから離れたくないんでしょ?一緒にお昼食べたいんでしょ?わかってるもん!ぐへへへ(^q^)」
顔を必要以上に近づけてニヤニヤ話しかけてこられて、あ、こいつ生理的に無理だわと思った。
「私はあなたとお弁当を食べたり仲良くしたいとは思いません。自分のクラスに戻っていただけますか?」
なぜか敬語になってしまったけどはっきりと言った。
「ほらマヤもそう言ってるだろ?とっととクラスに帰れ帰れ!今度来たら本気でボコるからな」
DQNに加えて彼女と同じ小学校だった男子も加わり、帰れコールに発展した。
するとお約束通り顔を真っ赤にして号泣、先生に言う為に職員室に走って行った。
小学校から話がちゃんといっていたのか私が呼び出されることはなかった。
あとこの事件で私は亜沙希の次なるターゲットとして学年で有名になった。
練習の時も部室に侵入して私の練習する様子をじっと見ていた。
ヤンキー系の先輩が部外者は出て行ってくれる?ときつめに言うと号泣からの職員室コース。
私まで先輩に目をつけられかけたけど、相手が亜沙希と分かると同情された。
上級生にまで悪名を轟かせているとは…。
亜沙希はバスケ部に入っていた。
最初は同じく朝が早いのは私のストーカーではなく、朝練目的かと思ったけど私の部活についてくるのでぞっとした。
その後、私と同じ吹奏楽部に入ろうとしたけど顧問が一癖も二癖もある人で転校生以外は入学当初の入部しか認めない主義だったので亜沙希の号泣攻撃でもどうにもならなかった。
顧問には本気で感謝している。
以降はもう休み時間の度に教室に押しかけ何度も聞いた話をコピペのように話してくる。
こっちがどんなに拒否っても、軽く押しのけても生理前で本気でイラついて口汚く怒鳴っても全部好きの裏返しと思っている。
けど、彼女に絶対知られてはならない最後の砦があった。
それを破られなかったら中学卒業までは我慢しようと思っていた。
不幸なことに私も大好きだった。
でもそれだけは知られたくなかった。
バレたら一緒にライブに行こうとか言い出すに決まっている。
非現実的でかけがえのない空間まで亜沙希と一緒にいるなんでおぞましすぎる。
だから一切そういう話はしなかったし、家族と極少数の親しい友人しか知らなかったし口止めしていた。
この年の夏にGLAYは幕張で20万人ライブを開催した。
母親もファンだったので東京への旅行がてら行くことになっていた。
亜沙希も行きたかったようだけど親からだめと言われたらしく行けなかった。
毎日ライブに行きたい行きたいと喚いていて、心の中でざまぁwwと思っていた。
そう思わないとやってられなかった。
私は無事にライブと東京観光を楽しんで帰ってきた。
体育祭も、文化祭のクラス発表の準備中も部活発表のマーチング練習すら亜沙希に粘着される日々が続いていた。
ノイローゼ気味だった。
母はそんな私に気分転換をしてもらおうと、年末にまたGLAYを見に東京へ連れてってくれた。
カウントダウンは取れなかったけど、LUNA SEAとの対バンは取れた。
GLAYほどではないけどLUNA SEAも好きだったので2階スタンドでも本気で嬉しかった。
亜沙希がGLAY見たいよ〜テレビじゃなくて生で見たいよ〜と嘆いてるのがメシウマだった。
クラスごとに経験者、初心者と別れてコーチングを受けた。
私は経験者だったけど亜沙希はこれが初めてのスキーだった。
でも私と受けようと指導の最中に抜け出して普通に滑っている私の方へと向かってきた。
当然まともに滑れないしこけるし立ち上がれない。
助けて〜という叫びを無視して放置した。
結局亜沙希は諦めて自分の所で練習してたけど、上達が他の子より遅くて足を引っ張りまくったため最後はワンツーマンで指導を受けていた。
夜も私の部屋に来るかと思われたけど引率の先生が部屋で見張っていたので来なかった。
心休まる林間学校だった。
小学校の時一番仲良かった子と同じクラスになれた。
亜沙希とは別のクラスになった。
その上、彼女の担任は学校で一番怖い、去年まで生活指導をしていた先生だった。
彼が睨みを効かせてくれてストーカーがましになったら…と淡い希望を抱いたが無駄だった。
でもちゃんと亜沙希を連れ戻そうと私のクラスまで来てくれた。
「先生は私とマヤちゃんの永遠の友情を邪魔するの?悪魔!鬼!人でなし!」
顔を真っ赤にして泣き叫びながら、一緒に来た女の先生に自分のクラスまで引きずられて行った。
でも続き見たい>>1がんばって
DQNが多い学年で、タバコや酒が見つかっただのトイレでボヤ騒ぎだので学年集会でマイクが壊れる音量で怒鳴りつける印象しかなかったので悪いことをしていなくても怒られる気しかしなかった。
でも当たり前の話だが何もしていない善良な生徒には優しかった。
私は涙ながらにGLAYとかのことは伏せつつ今までのことを訴えた。
亜沙希は私の友達には暴言を吐くようになっていた。
「あんたなんかより私の方がマヤちゃんのことをずっと知ってる私たちは前世からふじこ」
前世ってなんですか?あ、中2だから厨二病を発症したんですね分かります。
恋人繋ぎで手を繋いでくるのも気持ち悪かった。
それでも変わりなかった。
厳密には面談の翌日だけ亜沙希は一度も私のもとに来なかった。
つまりその翌日からは通常営業だった。
亜沙希の親からは一度も謝罪も、逆にモンペのような理不尽な言いがかりもなかった。
でもこの一年はライブも何回か行けたし、結構前の方の席で見れたし、亜沙希は行けなくてメシウマだった。
当時のGLAYはファンクラブに入っててもチケットは取りづらかった。
入会していない亜沙希が全然取れないのもそのせいだった。
「マヤちゃんは〜どこの高校に行きたいの〜?」
「決めてない」
「あたしはねぇ〜、○○女子高校かなぁ〜」
そこはお嬢様進学校として県内はもちろん近隣の県からも進学してくる生徒も少なくないぐらい有名だった。
専願でも求められる学力はかなり高めだった。
そこを目指す亜沙希は成績いいんだろうな〜と思った。
本人には聞いてないけど性格は破綻してるが頭だけはいいって噂だったし。
吹奏楽部がかなり強いことで有名だったし、成績的にも射程圏内だった。
「あそこの吹奏楽部は地方大会の常連だし、全国に行ったこともあるんだよ!マヤちゃんも一緒にそこ行こう!あたしも吹奏楽部入る!」
絶対嫌だった。
亜沙希と一緒の高校に行くぐらいなら部活を捨ててでも他の所に進学する。
正直もやもやしながら中3になった。
ありえないことが起こった。
亜沙希と同じクラスになった。
目の前が真っ暗だった。
クラス分けの紙を見て涙が出てきた。
よーく見るとなぜか男女問わず学年のDQN系問題児と不登校の8割強がこのクラスに集まっていた。
明らかに余りものの寄せ集めだった。
友達にしがみついて声を出して泣いた。
一年間一緒だねいっぱい仲良くしようねとキスをしかねない勢いで抱きついてきた。
学校に行きたくなかった。
中2の頃から部活はともかく普段は友達とあまり話さないようにしていた。
一緒にいると亜沙希に暴言吐かれたり、機嫌悪い時は暴力沙汰になるから。
私一人が犠牲になった方が良いと思っていた。
今から思うとそれも良くなかったけど。
私へのボディタッチはさらに激化した。
休み時間に机に座っているといきなり髪の毛のうなじを触ってきたり耳元に顔を近づけて息をすごい勢いで吹きかけてきた。
寒い冬に冷え切った手を首元に突っ込んできて胸を揉もうとしてきたこともあった。
本人はこれも友情の一環だと思ってるからたちが悪い。
テストの時に出席番号順に座ると私の席からは亜沙希がよく見えた。
彼女はすごい勢いで問題を解くと見直しもせずにテストが終わるまでずっと挙動不審にしていた。
は?見直しもしないでいい成績取ってんの?と正直信じられなかった。
結局頭がいいというのはただの噂で、実際は平均点〜ちょい上しか取れない平凡な頭脳の持ち主だと分かった。
志望校なんて夢のまた夢レベルだった。
見直しの習慣をつければいいのにと思ったけど、そんなことをして成績を上げられて同じ高校に進学されては困るので何も言わなかった。
より勉強を頑張ったら絶対高校は離れる、それを励みにした。
クラスごとに別の民宿に泊まった。
カラオケの設備があったので夜は歌いたい奴が歌っていった。
亜沙希がGLAYを歌った。
やばいぐらいの音痴だった。
途中でDQN連中が強制終了させた。
「私の歌が上手すぎるから嫉妬したんだよね!高校行ったらアイドルとして歌手デビューするんだ!紅白出るんだ!」
自分の歌を録音して聞き直せ、話はそれからだ。
部屋は厳正なるくじ引きで決められ、違う部屋になった。
当然私の部屋に来たが、担任からうまく言いくるめられた後にレディースに入る女が
世話係?のようなものになって本気でドスの効いた声で脅して連れ戻しに来てくれた。
「おい亜沙希、いい加減にしとけよ。DQN連中に回されるか部屋に戻るか選べや」
亜沙希は泣きながら帰って行った。
亜沙希もなぜか同じ高校になっていそうなフラグ
夜中の3時頃だったと思う。
布団に違和感を感じた。
隣で寝ている友達が寝ぼけて入ってきたんだと思ってまた寝ようとした。
胸を揉まれた。
首筋を舐められた。
絶対おかしいと思って布団を蹴飛ばして電気をつけたら満面の笑みの亜沙希がいた。
本当に怖くて怖くて、悲鳴をあげてしまった。
担任が飛んできた。
夜中にも関わらず担任が本気で怒鳴って亜沙希は顔を真っ赤にしてわめいていた。
私はあまりのショックで涙が止まらなかった。
でも亜沙希は私が怖い夢を見たのだと最後まで思い込んでいた。
亜沙希が頑張ったか、>>1にまさかのことが起こったか
前にもちらっと書いたが亜沙希の水着姿はひどかった。
くびれなんて存在しないドラム缶体型だった。
その割に貧乳。
男子の中でズリネタにならない女子ランキング堂々一位に輝いていたらしい。
最後の自由時間で、プールサイド近くにいたら不意打ちで上からダイブされてさらに水中で抱きつかれて上にあがろうにも亜沙希の体が重すぎてできず本気で溺れかけた。
スキンシップの一環だと言い張ったけどこっちは死を覚悟したぐらい苦しかった。
私は元からの志望校は大丈夫だろうと塾でも学校でも言われた。
亜沙希も同じ高校に行くと言い張ったが、担任に呆れられた。
「マヤちゃんが内申点を私にあげるって言ってたから、それなら行ける!」
なんて言ってたらしいがそんなこと言ってないし一点もあげたくねえよ。
これで高校は離れることが確定した。
無事に私は志望校に合格した。
亜沙希は結局、自宅から自転車で通える平均レベルの公立高校に入った。
卒業式はもう号泣した。
亜沙希は私が離れるのが嫌で泣いていたけど、私はもうやっと解放されると思うと嬉しくて涙が止まらなかった。
最後のHRの後、亜沙希に絡まれるのが嫌で友達との最後の交流を犠牲にしてでも走って帰宅した。
友達とは後日遊びに行ってその埋め合わせをした。
書き溜めは中学編までです。
高校編からは遅くなりますが宜しければお付き合いください。
まだまだ粘着は続きます。
怖ろしい
専門の施設に入れとけよな
南海のしずちゃんみたいなイメージなんだが
芸能人で似ている顔は思い当たらないです。
目が細くてしもぶくれで平安顔っぽいとしか表現できません。
めでたく高校は離れた。
これで中学の時とは違う普通の学校生活が送れる。
GLAY好きな友達が出来たらいいな、とか思っていた。
思っていた…。
まず私がそこに進学を決めた大きな理由の部活。
実は私の学年の合格発表があってから顧問が街でセクハラか何かで捕まって解雇されていた。
吹奏楽部目当てで入った新入生は落胆した。
新しい顧問は中学時代にちょっとかじっただけのほぼ素人だった。
一応入部したものの、先輩方は元顧問の教え方や情熱に共感して辛い練習でも頑張ってきた感じだったらしい。
顧問が変わり部内はバラバラ、空中分解を起こしていた。
結局雰囲気も悪く、先輩方も次々に退部していって私も仮入部したけど入るのをやめた。
一応GLAYに憧れてエレキギターをかじっていたので入ろうと思った。
しかしここは最低限のバンド構成の人数が揃わないとダメだった。
中等部から内部進学できたバンドは二つあった。
一つはガールズバンド系、もう一つはバンギャが集まった典型的なV系。
V系にも何一つ抵抗なかったので後者が良かったが、
どちらも既にツインギターにキーボードまでいて定員オーバー。
高校から入ってきた人+内部進学だけど高校からやりたい人を合わせても三人。
私がギターを弾きながら歌ってもよかったが、そこまで器用じゃないので無理。
結局帰宅部になりました。
そんなある日、地元の駅まで帰ってきて改札を出て私は凍りついた。
亜沙希が待っていた。
「マヤちゃ〜ん会いたかったよぉ〜!!」
人目を気にせず抱きついてきた。
思わず渾身の力で突き飛ばして、駅前に止まっていたタクシーに飛び乗って帰宅した。
帰ってからも震えが止まらなかった。
折角離れたのに、粘着される日々が続くのかと目の前が真っ暗になった。
入学してしばらくして、友達も出来たけど私は一言も自分のことを話せずにいた。
亜沙希のことがトラウマになったのか、自分の好きなものを言うことが本当に怖かった。
GLAYファンの子はクラスにはいなかったけど他のクラスには数名いた。
でも切り出せなかった。
もしあの子が亜沙希みたいなのだったら…と思うと無理だった。
向こうのことを何も知らないのに失礼だなと思われても仕方ない。
そのまま卒業までGLAYのぐの字も言わないままだった。
きっと周りは私のことをつまらない子だと思っていただろう。
次の日も改札を出ると亜沙希がいた。
最寄駅まで自転車で来ていたので本気で無視をして自転車を飛ばして帰った。
次の日は亜沙希も自転車で迎えに来ていた。
完全に無視をして帰った。
思えばとっくに亜沙希は私の自宅を特定しているのに不思議と一度も来たことはなかった。
今日学校でこんなことあんなことがあっただの話してくる。
心底どうでもいい。
それに一応進学校だから宿題や小テストも多い。
話している暇があれば机に向かいたい。
「じゃあ、あたしの家で一緒に勉強しようよぉ〜マヤちゃん頭いいから分かんないとこあったら教えてほしいな〜」
私はてめーの家庭教師じゃない。
けど嫌な予感がしたので私は部屋にあったGLAYのCDやビデオや雑誌類やポスターなどを
全部別の部屋に移動させた。
するとあろうことに亜沙希が一緒にエレベーターに乗ってきた。
「な、何?」
「えへへ〜マヤちゃんの家に遊びに行くの〜」
「は?来んなよ。呼んだ覚えない。」
「んも〜今日夢の中で『これから毎日私の家で一緒に勉強しよ♪』って言ってくれたのだぁれ?」
知らんがな。
最悪家の前まで来られても敷居をまたがせる気は全くなかった。
鍵を開けて、目の前で頑張って突き飛ばして急いで鍵を閉めた。
そしたらドアをドンドンしながら
「開けてよ〜私が何をしたんだっていうのよ〜ご近所のみなさーん!
マヤちゃんは自分で家に呼んでおきながら締め出す極悪非道な人間です〜注意して下さ〜い」
なんて叫びやがった。
もう怖すぎて泣いてしまった。
家にいた母も状況を把握してくれたみたいでドアの外に出て亜沙希をマンションの下に連れ出して
いろいろ話をしたみたいだった。
帰宅した母は「んもー何なのあの子。全っ然話が通じない。キ××イだわ。
明日親御さんに電話してみるから安心してね」
と言ってくれた。
あまり争いごとを好まないので中学の時は全部担任に任せていたが、これは自ら動かないとだめだと思ったのだろう。
でも亜沙希が勝手に話す中で、両親が共働きで昼間はいないと話していたのを思い出した。
それなら今日電話すると約束してくれた。
夜、何となく会話を聞きたくなくてヘッドホンでGLAYを聞きながら勉強していた。
音楽を聴きながら勉強するのは効率が悪いとか言うけど、その日だけはそうしていたかった。
亜沙希と同じ高校に行った友達にメールで聞いてみた。
聞くところによると、私が粘着されるのは本当は中学で終わりだったらしい。
でも高校ではいいターゲットが見つからず、
「歌って踊れるアイドルになるの♪」
とダンス部に入るも、元々運動神経が人並み以下で孤立し先輩から軽くいじめられ結局退部。
学校に居場所がないから私の元に戻ってきたのだろうと言われた。
冗談じゃない。
私は高校で新しい環境で今度こそ楽しい学校生活を送りたかった。
何で私ばかりこんな目にと思った。
共学なんだしせめて高校で彼氏とか作ればいいのにと思っていたが、あいつはGLAY以外の男は私みたいな高嶺の花と付き合う資格はないなどと言っていた。
ちなみにこの時点で亜沙希が大好きなJIROは結婚していました。
一言でいうと亜沙希の親は娘に対して盲目すぎな毒親だった。
自分の娘はミス日本候補だの、そんな子に好かれているんだから光栄に思えだの…。
「キ××イの子はキ××イね」
と普段どんなに理不尽なことがあっても暴言を吐かない母に毒を吐かせたレベルだった。
絶対うちの敷居はまたがせないから安心してと言ってくれた。
こういう時、母が専業主婦でいつも家にいるのは心強かった。
こりゃ手に負えん
メンヘラよりも質が悪い気が
感覚が麻痺してきたのか、一日中一緒だった中3の頃に比べると最寄駅から家まで、会話を含めても30分だけなんだからまだましだと思うようになっていた。
放課後はすぐに帰宅せず、下校時刻まで図書館で勉強することを覚えた。
でも亜沙希はずっと待っていた。
遠方の学校に進学した上部活で遅い時間に帰ってきた友達曰く、体調を崩して学校を休んだ日は夜の9時近くになっても駅で待ってたらしい。
そして亜沙希の学校の方が一週間ほど早く試験週間になり午前で下校になっていた。
わざわざ電車に乗って校門前まで来た。
同じ高校に行った友達がメールで知らせてくれたので、下校時刻になったら裏門から帰った。
この時期は図書館が異常に混むので帰宅して勉強することにした。
すると亜沙希は直接家に来た。
母が応対した。
しばらく言い合っていたし亜沙希の絶叫する声まで聞こえたが結局帰って行った。
どちらにしろ家に来るなら…とやっぱり図書館で勉強することにした。
夏休みになった。
進学校の宿題はやはり多い。
でも毎日少しずつ配分したらそこまで大変でもなかった。
勉強しつつもネットをする時間も増えた。
当時流行り始めていたGLAYの携帯ファンサイトというものを私も作ってみた。
魔法のiらんどとかそういうサーバーでランキングに登録して訪問者を増やしたりするあれだ。
メンバーの名前の漢字と自分の名前を足した痛い名前をつけてやっていた。
雑誌から写メった画像をうpしたり肖像権のかけらもないことをやっていた、ごめんなさい。
亜沙希の父親がIT関係で家にはwindowsもmacも両方あるってぐらいパソコンには親しんでいたようだった。
万が一のことを考え、名前は自分の本名とは何一つ関係ない名前を、自己紹介には○○地方某所としか書かなかった。
少しずつ訪問者は増え、サイト管理人同士で交流したりしていた。
同学年の私が一方的に顔を知っているGLAYファンのサイトだった。
日記に新しい制服☆と題して顔は隠してあったが私の高校の制服がうpされていた。
そしてBBSを見た。
亜 沙 希 が い た 。
下の名前だけだが、本名で書き込んでいたので多分ビンゴだと思った。
最初の方の書き込みで、○○市に住んでるんです、結構近いですね〜と書いていたし。
何より亜沙希という名前は仮名だが、本名も結構珍しいのでほぼ確定だと思っていいだろう。
結構な常連のようで、今日から試験なんですね、頑張ってください(^0^)/とか書いてあった。
何も言わないのに私の試験期間や書いてないけど各種学校行事を把握してたのはこのせいか。
そしてよ〜くBBSを見ると亜沙希の名前欄がリンクになっていた。
飛んでみると亜沙希の日記だった。
日記の最初はかなり古く、中学入学当初から毎日のように書かれていた。
元々亜沙希の日本語はどこかおかしかった。
中3の時、薬物防止のビデオを見て感想文を書いたことがあった。
亜沙希に読んで〜と言われ渋々目を通してなんだこりゃと思った。
「私は覚せい剤やシンナーをする人間は大嫌いです」
ここまではいい。
「もう絶対にあんなことはしたくないと思いました」
これじゃ前科持ちの反省文じゃねーか。
それは置いといて、日記には毎日がとても美化されて書いてあった。
私を粘着し続けた日々がいかにもバラ色の日々であるように書かれていた。
担任に呼び出された時は私たちの仲をひがんでると書かれていた。
ヒガミとかお前は女神あーたそか。
とにかくこれは、亜沙希がいつGLAYのライブに行くとか貴重な情報源になる。
即ブックマークした。
超こわいんだがwwwww
そのため毎日高校の自主参加の補習に通って、プラス個別指導の塾通いもして私と会うのを我慢して学力アップに専念しているらしい。
動機が何であれ、家に突撃してこないのは嬉しい。
新しくできた友達と遊びに行ったり普通の夏休みを過ごした。
怖すぎワロリンヌ
新学期になっていつものように粘着の日々が始まったがマンネリなので割愛。
秋になり文化祭になった。
私の学校はお嬢様系女子校、しかも幼稚園〜大学まで敷地が固まっていることもあり、口リコンから普通の変質者まで幅広い範囲に対応していたためそっち系のマニアの間では聖地扱いされているらしい。
更に幼稚園〜小学校は共学なのでショタにも対応している。
そんな背景もあり、文化祭はチケット制だった。
私は亜沙希を招く気なんて全くなかったので家族の分しか貰わなかった。
当日、友達と校内を歩いていると誰かに肩を叩かれた。
亜沙希だった。
絶叫しながら首に抱きついてきた。
マジで息が出来ないので勘弁して下さい。
ななななんでここにいるの?チケット制なのに。
校門で変質者が来ないが睨みを効かせている生活指導の教師は何をしている。
聞くと例のサイトをやっているGLAYファンの友達にチケットを貰ったらしい。
そこからずっと半分抱きつかれながら校内を回った。
死んだような目で抱きつかれながら歩く私はみんなの目にどう映っただろうか。
コェェェ
そしてきめぇw
1が不憫すぐる
更衣室で着替えて、体育館裏で最後の練習をしてステージに上がる。
亜沙希は更衣室も、体育館裏での練習タイムにもついてきた。
「あたしマヤちゃんのマネージャなんですぅ〜」
と言い張っていた。
その上、歌う曲が知ってる曲だったので大声で音痴な声で一緒に歌うという迷惑行為付き。
発表本番は客席から私の名前を絶叫して応援するというKYぶり。
ここはライブじゃない、クラスごとの練習の成果を静かに見る場だ。
翌日から私はクラスで孤立気味になった。
変に関わって自分まで粘着されたら学業に支障が出るということで以降私に近づく子はいなかった。
唯一仲良くしてくれたのは同じ中学から進学した友達だった。
GLAYファンの子は自分がチケットを渡したばかりに…と事の経緯を説明して謝ってくれた。
もう亜沙希はパソコンも携帯もBBSアク禁にしたし、近隣に住んでるGLAYファンの子には注意するように言っておくと約束してくれた。
サイト見てたから知ってるとは言えず、済んだことだし…と責めることはしなかった。
恐ろしいんじゃない、おぞましいんだ
以降は孤立した生活だった。
普通に友達と楽しく喋って、放課後馬鹿みたいな話をしてみたいだけ。
何も贅沢は望んでいないのに何で私だけこうなるのだろうと思っていた。
でも神様は見捨てなかった。
普段が暗黒である代償か、ライブの席はやたら良席、神席が来た。
でも今日に至るまで一度もGLAYではピックの類はゲットしたことがない。
亜沙希は高校になりファンクラブ入会が許されたみたいだった。
でも何日に申し込んだとか日記にきっちりと書いていたのでそれを避けて、時には地元ではなく違う地方に申し込むことでライブでの遭遇はしなかった。
孤立した寂しさも大学こそは亜沙希と離れてやると言い聞かせて全部勉強へのエネルギーに変えていた。
そんなに特筆することもなくまた秋が来た。
半分諦めていた私は亜沙希が文化祭に来ても来なくても一緒だと思ってた。
どちらにしろ一緒に回る友達はいない。
同じ中学から来た子もクラスが違うので発表の準備やらであまり一緒にいれない。
やっぱり亜沙希は文化祭にやってきた。
今度はチケットをヤフオクで落としたらしい。
変態共と競り合ってでも行きたかったのか…。
関わったら最後とかホラーじゃんwwww
すげーな
売る方も買う方もw
自分も黒歴史で暴走したことがあったけど
上には上がいるんだな。
文化祭が終わったら修学旅行だった。
孤立した私と一緒の部屋になってくれる子なんていねーよ最後まで余るんだろ?とひねくれていた。
そしたら同じクラスのバンギャ集団(全員軽音部)が声をかけてくれた。
どうやら入学当初に軽音部に見学に来た時のことを覚えていてくれたみたいだった。
一学年400人超だったので三つに分けて修学旅行へ行った。
昼間の観光時間などは他クラスの友達と一緒にいれるが、唯一の友達とは日程が分かれてしまっていた。
でも軽音部のみんなが色々話しかけてくれて助かった。
「あの時部室にあったギター弾いてたけど結構上手かったよね?
何となくマヤさんからバンギャっぽいオーラがあるなって思ってるんだけど実際どうなの?」
と言われた。
一応音楽に目覚めたきっかけはGLAYではなくhideだったのでそっちの話をした。
Xも好きなので嘘はついてないしいいかと思った。
V系トークでホテルで深夜まで盛り上がった。
久しぶりに学校生活で心から笑えた。
泊まったホテルにしょぼいけどカラオケが入っていた。
行くのは禁止されていたけど夜中にこっそりみんなで行ったのがいいが、古すぎてXすら紅とENDLESS RAINしか入ってなくてGLAYも誘惑あたりまでしか入ってなくて最近のV系がなくてしょぼすぎワロスww
よ〜し私156(現161)の真似やる!なっはぁ〜ん!とかバカやって笑っている所を担任に見つかって怒られた。
バンギャ集団は前から時々やんちゃ?してたけど今回はその中に私もいたことで結果的にただの真面目だと思われていた私の印象が変わったのか前よりは話しかけられるようになったので良かったと思っている。
もちろん亜沙希にはお土産なんて買ってない。
受験が現実味を帯びてくる時になった。
日記と亜沙希が勝手に喋ってくる内容を加味すると、どうやら地元にある女子大に行きたいらしい。
高校で散々男子に嫌がらせされてやっぱりGLAY以外の男はカスだな!と日記に書かれていた。
あと、彼女には弟がいた。
弟は亜沙希を反面教師にしたのか、本当に性格も頭も出来た人間だった。
中学から全国に名前を轟かす超進学校に行き、将来は医者になると言っていた。
実際今は旧帝医学部にいる。
亜沙希の両親は弟のためならばと塾代も惜しまず出したため、とても亜沙希には私大+下宿をさせるような金銭的余裕はないらしい。
ならば私は地元を離れようと思った。
簡単に行けない範囲の大学に行けば亜沙希もそう易々とストーカーしてこないだろうと思った。
地元から離れた地方とまだ絞りきれてない志望学部と学力を加味して10校ぐらいに絞り込んだ。
母と亜沙希を避けるためと母の趣味の旅行を兼ねてライブで色んな地域に行っていたので何となくここに受かったらこの街に住むのかーというのは想像できた。
亜沙希が国公立に行って下宿するという危険はなかった。
とにかく女子大に行きたい、女ばかりの環境で勉強したいという思いしかなかったみたいだから。
その年の夏、大阪でGLAYのデビュー10周年記念のライブがあった。
亜沙希は早々に受験のため欠席を日記で書いていたので気兼ねなく楽しめた。
サイトをやっていて知り合った方とリアルで会う経験もした。
またなんかくるんだろうけど
さすがに高3になるとお互い塾やらで忙しくなって粘着はやんだ…ように見えた。
次は亜沙希の手紙攻撃が始まった。
毎日学校であった事を手紙にしたためて、マンションの一階にある集合ポストに投函してきた。
「マヤちゃんも○○女子大が第一志望だと聞きました。学部はどこに行きたいの?
私は○○学部です。マヤちゃんもそうだよね、私たち運命の赤い糸で結ばれてるもんね」
「マヤちゃん会いたいよぉ…会えないから毎日卒アルの写真を見ています。
勉強しんどい。模試D判定だった。私の学力が足りないせいだよね死にたい死にたい死にたい」
日が経つごとに段々メンヘラが入ってきた。
読みたくなかったけど、web日記の更新頻度も落ちてきていたしGLAYのライブに行くとか書かれてたのに読み落としてた…なんてのが怖くて毎日流し読みしていた。
「何で返事くれないの?私のこと嫌いなの?違うよね、忙しいんだよねごめんね。
会いたくてしかたない自分に罰を与えたくて初めて手首切っちゃいました。
今日はその血でサイン書くね 亜沙希」
なんて血文字で書かれた日にはもう恐ろしくてしかたなかった。
今までの粘着とは違った意味で怖くなった。
絶対離れたいと思った。
まじでこわいわ
よく耐えれたな・・・
怖すぎる
そう思い直した。
結果、ダメもとで指定校推薦に校内出願したところ、第一志望に決まった。
二学期早々に進路が決まった。
留年などしない程度に勉強すれば大丈夫だ。
あとは亜沙希がどこでもいいからこの地域の大学に合格すればいいだけの話になった。
土日にこっそり下宿先を決めた。
センター試験で亜沙希が絶対家にいない日を見計らって引越し屋さんに来てもらって9割ぐらいのものを新居に運んだ。
1月から払うことになった家賃も亜沙希とさよなら出来ることを思えば安いものだった。
亜沙希は行きたいと言っていた女子大に合格した。
私は全然違う地方の大学に進学することになった。
これでもう大丈夫だと思った。
高校編おわり
今からお風呂に入ってきます。
明日は仕事なので続きは書きませんが、出てきたら眠くなるまで質問には答えます。
彼氏は大学入ってからです。
中学は亜沙希のこともあって孤立気味、高校は女子校で新しい友達も結局出来なかったので…。
そうです。
ライブの当落発表の日は本気でガクブルしてます。
明日も見に来るわ
ありがとうございます。
書き溜めが終わった途端遅筆になって申し訳ないです。
現在も付きまとわれてるとか
今も形を変えて粘着は続いてます。
詳しくは明日。
ねーよwwwwwwwww
おいばかやめろ洒落にならない
koeeeeeee
文章を打ちながらこれがネタだったらどんなにいいだろうってそう思います。
笑顔で突進して抱きついてくるより
ありがちなメンヘラ血手紙のが安心する不思議
これで6年。
あと9年の歴史があるわけだな
28歳になった亜沙希が今も変わらず付きまとってると想像すると涙出てくるw
ええええぇぇまだ6年なのか…
ずいぶん長いこと付きまとわれてるな。
同情するわ
性格にはこの春で13年ですね。
中学に入ったのが1999年の春なので。
これからも数年は続くだろうとちょっとサバ読んじゃいましたごめんなさい!
今はある程度、幸せなのだろうか…
怖すぎワロタ