特にオチっぽいのはないけど暇な方聞いて下さい
ちなみに同性の親友?
今から五年くらい前の話。
高校卒業してすぐ、自分は専門進学の為に他県で一人暮らしを始めた。
知り合いなんて一人も居ない町で一人暮らし。
学校が始まる二ヶ月くらい前から引っ越して来ていたので、一ヶ月半くらいコンビニの店員としか話さない日々が続き、さすがにさすがに誰かと話したくなってバイトをする事にした。
始まりはここ。
自分はなんというか、今までいじめられた事はないし、友達も多い方だと思うが人間関係に妙に冷めた所があった。
いつからこうなったかはよく分からないが、高校時代に他人の裏切りや浮氣、悪口や噂などを散々見てしまい徐々にだと思う。
どんなに仲良くしてても、根本からは人を信用出来なくなっていた。
無意識にだけど。
高校時代に一度だけ友達から
「1には…なんかラインがあるんだよね。壁ってほど固くはないんだけど、ここからは入ってこないでねーってピーっと引いてある線みたいな」
と突然言われて物凄くドキっとして、そこでやっとそうかもなと自覚した。
高校以前に出会った親友は数人居るし、もうそれ以外はいいや、と思うようになった。
学生のうちで既にそう思っていたので、社会に出ればますます友達なんて出来ないんだろうなて思っていた。
先に働きだした先輩なんかからは、仕事では学生の頃みたいな友達なんて出来ないよ、とよく愚痴を聞かされていたし。
しかし、一ヶ月半も誰とも話さなければ、友達は無理でもせめて世間話くらい出来る相手が欲しくなる。
なので家の近所で求人を出していた居酒屋で働く事にした。
志望動機、人と話したくて…
接客好きだと勘違いされて採用された
そこの居酒屋の人はみんな明るくて優しくて、楽しい人達ばかりだったが夢の雑談はまだ出来なかった。
そこはめちゃめちゃ忙しい人気店だった。
もう入って一週間ちょいは覚えるのに必死。
雑談どころじゃなかったが、合間に交わす業務的な会話でも人と話せて嬉しかった。
みんなフレンドリーで話しやすい人だったので、何もしなくても向こうから話し掛けてくれる。
業務的な会話だけだったけど、少しづつ打ちとけて、こっちからも話し掛けられるようになった。
そんなメンバーの中、一人だけ話し掛けずらいめちゃめちゃクールな女の人が居た。
それが後の親友であった。
めちゃくちゃ仕事も出来て、超クール、そして同性でもちょっと緊張してしまうほど美人。
Aさんは暇になったら一人外で煙草を吸っていた。
仲いいスタッフとは楽しそうに話していたが、まだ入って一週間くらいのペーペーにとっては近寄りがたい存在だった。
自分の目的は不特定多数とただ雑談する事。
それ以上の事は別にはなから期待していなかったので話せる人と話せればいいと思って別に気にしていなかった。
バイトを始めて二週間くらい経った。
その日はたまたま暇で、一人レジ前でぼーっとしていた。
他のバイトの人はまだ誰も来ない。本当にぼーっとしていた。
気が付いたら真横にAさんが居た。
素でビックリして、リアルに喉がヒッ!!と鳴った。
いつの間にAさんが!!と混乱していると、Aさんが突然いつものクールな口調で一言声を発した。
「今日お昼ご飯何食べた?」
更に混乱した。
この日がAさんとまともに雑談した初めての日だった。
「ざるうどんです」
Aさんはクールにいいね、と言った。
Aさん間近でこんなに見た事ないので、やっぱ美人だな〜と思っていたら、Aさんが二言目を発した。
「1、男いないの?」
「え!」
(また喉がヒッて鳴った)
「今まで何人くらい居た?」
「え!えへへ!?」
「どういうのが好き?」
「えー、Aさんは?」
「おおさわたかお」
Aさんは唐突な人だった。
まだ昼飯の話が終わってないうちに男の話を始めたのである。
また後で書きますが、Aさんは中二男子並に下ネタが好きな人でした。
この時はまだ知らなかったけど。
とにかく、この日からAさんって、なんか面白い…と思い始めた。
「1、名字なんていうの?」
また唐突な…と思ったけど、ここの居酒屋の人は初日から自分を下の名前で呼んでいたので知らなくても仕方ないかと思った。
「名字は〇〇です。」
自分の名字はとある有名人と同じだった。
でも別にそこまで珍しい名字ではない。
しかしその名字はAさんのポイントを突いたらしい
(以下、分かりずらいので名前付きで会話)
Aさん「へー、〇〇△△(有名人)の〇〇?」
自分「はい〇〇△△の〇〇ですよ」
Aさん「じゃあ今度から△ちゃんって呼ぶわ」
自分「△ちゃん…」
こうして、Aさんによって自分には本名と全く関連性のないあだ名が付いた。
このあだ名は後に、他のスタッフ、店長、姉妹店店長 、社長にまで浸透し私の本名だと思ってる人も出るほどになる。
△ちゃんじゃ分かりずらいのでどんな感じか説明すると
仮に私の名字が「篠原」だったとして
篠原
↓
篠原涼子
↓
りょーちゃん
みたいな。
有名人と同じなのは名字だけなので、下の名前は本名と一切関係ない。
なのであだ名の由来を知らない人に説明するのは結構面倒臭かった。
二人はタメの大学生男
一人一つ上の専門男
元々サバサバした下ネタ好きの性格のAさんはノリのいい男の子達とすぐに打ちとけて、それに便乗して私もAさんとますます仲良くなっていた。
一人で話し掛けるより、男の子達と一緒にAさんに話掛けるほうが緊張しないので。
でもまだ、バイト内だけの付き合いで個人的に連絡先を交換したりとかはなかった。
けど正直、私はこの時点でAさんともっと仲良くなりたいと思っていた。
誰よりも話して楽しかったし、仕事の合間だけじゃなくゆっくり話してみたかった。
しかし、六個上の人を自分からは誘えなかった。
すると、とある金曜日、片付けをしてる時に、Aさんが私に聞いてきた。
Aさん「学校って土日休みなの?」
1「休みですよ」
Aさん「じゃあ明日飲みに行くよ」
Aさんは飲みに行かない?じゃなくて飲みに行くよと言った。
やっぱり唐突で、強引だった。
めちゃくちゃ嬉しかった。
Nさんは当時23歳。
NさんとAさんは二人でよく飲みに行くとの事だった。
最初から気さくに話し掛けてくれてNさんも好きだったので、メンバーがこの三人でほっとした。
その日は三人で色々話した。
その日知った事は
・Aさんは同じ居酒屋の厨房で働いているTさんという人と付き合っている
・AさんとTさんが付き合っている事はバイト内では内緒である(Nさんは知っている)
・理由はAさんはBさん(同じオープニングスタッフの女の人)が苦手だからBさんに知られたくない、という事だった。
この店にも色々あるんだなと思いながら、その日は朝近くまで飲んだ。
凄く楽しかった。
この日からAさんと鬼のように飲みに行き、急速に仲良くなる日々が始まる。
最初はクールでポーカーフェースなカッコイイ女の人と思っていたが仲良くなってからのイメージは、一言で言えば悪ガキ大将みたいな人だった。
そして酒が目茶苦茶強い。
未だに、男女含めてAさんより酒が強い人に出会った事がない。
Aさんはいつも居酒屋の開店前にビール洗浄の隙を見てジョッキ一杯分くらいビールを拝借していた。
機嫌がいいと私にも一杯分けてくれた。
一回社長に突っ込まれていたが、シレっと煙草を吸いながら
「ジンジャーエールです」
と言って一気に飲み干していた。
そんなAさんだったが、仕事に対しては真面目で、Aさん以上に出来る人なんていなかったので、周りはみんな容認していた。
でも仕事以上に周りにそうさせるのはAさんの人柄だったと思う。
明るくて、そっけないながらも誰にでも優しい。上辺の態度や言葉が嫌いで真っ直ぐ。
よく歌なんかに「太陽みたいな人」とか歌詞があって、なんじゃそりゃ、とか思ってたけどAさんを見て太陽みたいな人ってこういう人の事なのかと初めて思った。
バイトの仕事自体も楽しかったし、何よりAさんと居るのが楽しかった。
先輩達は学生の頃が楽しかったと言っていたが、正直自分は高校の頃よりも素の自分でいれた。
そうなったのはいつでもAさんが本音で接していてくれたからだと思う。
高校の頃は、みんな建前があって、揉め事に巻き込まれないようあたりさわり無く過ごしていたから
楽しいちゃ、楽しかったが、いつも虚無感があって毎日が薄かった。
今の生活が楽しい分、4月から始まっていた専門が遠くなっていた。
専門にも友達は出来ていたが、そこも高校みたいな感じで、私の生活は完全にバイト優先になっていた。
一日中言っていた。Aさんにカレーを食べさせてあげたいが私はカレーを持っていない。
どうしようもないので食べたいですね、と相槌を打ちながら、その日を過ごし仕事が終わった後グラスを洗っていたら
Aさんが冷蔵庫、と呟いた。
何だ、と思って冷蔵庫を開けたらタッパーに入ったカレーが入っていた。
Aさんに「どうしたんですかこれww」と聞いたら
「作ってきたから持って帰って」とカレーをくれた。
でも一日中カレーが食べたいと思っていたのはAさんで、いいんですか?と聞いたらAさんは
「1が作ったカレーが食べてみたいのよ」と言った。
なんかよくわからんが、私は嬉しくなって、その日の夜カレーを作った。
高校の頃、なんとなく過ごしていて、やりたい事もなにも無くて、ただ一人暮らしがしてみたくて他県に進学してみた。
小さい頃に絵画を習っていたので、なんとなく選んだデザインの専門学校。
特に将来なりたい職業もない。今はただ通ってるだけ。
学費はバカ高い、卒業生の大半はデザインに関係の無い仕事に就いてる。
カレーを煮込みながら考えていた。
Aさんに教えてもらった焼酎の名前。どんな酒がどんな料理に合うか。居酒屋でのチームワークの大切さ。
もっとAさんと働いてみたい、と思った。
7月上旬、一学期付けで私は専門を辞めた。辞める事を担任に伝えた時に、「辞めてまともに働いてる人は少ないよ」と言われたけど、「大丈夫です」とだけ言った。
それから週4だったバイトを週6に増やして、毎日Aさんと働いた。
Aさん
カレー以後も、マキコさんとのおかず交換は続いた。
結局マキコさんがカレーをくれた理由は、私が、いつも昼飯なにを食べたか聞かれた時「ざるうどん」と言っていたので、まともな物を食べてないんじゃないかと心配したらしいw
おかず交換の時に私が普通の物を持ってきたので安心して告白してくれた。
マキコさんは実はシャイな人です
その辺りから、飲みに行くのがマキコさんと二人きりではなくなった。
マキコさんの彼氏、Tさんも加わり、三人で飲みに行くようになった。
Tさんは当時22歳。居酒屋の厨房で働いていた。
前に書いたように、マキコさんとTさんが付き合ってるのは内緒。マキコさんがどうしてもBさんに知られたくないらしかった。
私の目から見ればマキコさんとBさんはそんなに仲悪くは見えなかったので、なんでマキコさんがそんなにBさんを苦手としてるのかその時はわからなかった。
Tさん(マキコ彼)とBさん(マキコ苦手)安価で仮名お願いします
Tさん
・この居酒屋がオープンしたのは当時から五年前、当時スタッフは女性ばかり10人くらい居たという。
・その頃の雰囲気は今と全然違い、女の園で、他店から引き抜きされたBさんがリーダーみたいな感じだった。
・当時のBさんは気に入らない女スタッフを何人もハブにしていき、何人もの人がそれを理由に辞めていった。
・一時期マキコさんがターゲットになった事もあり、ずっとシカトされて、いつもトイレで泣いていたらしい。
・結局、オープニングスタッフでBさん以外に残ったのはマキコさんだけ、次に新人が入ってマキコが最年少じゃなくなった途端に、Bさんによるマキコさんへのシカトは無くなった。
・むしろオープニングスタッフが辞めていくにつれ、Bさんはマキコさんに親しげに接するようになった。
・マキコさんはそういうふうに、状況によって態度を変える人が大嫌いだったので、この人にだけはプライベートに触れて欲しくないと思った。
というのが理由だった。
でも一つよくある話ではないと思ったのは、こういう場合大抵マキコの立場にある人はBさんの立場にある人と仲良くなってしまう。
もしくは、マキコさんの立場にある人も同じように下の人間に接してしまう。
私の周りに居た人は皆そうだった。
でもマキコさんは違った。Bさんの下には付かない。でも仕事も辞めない。
そして自分より下の人間には優しい、飲みに誘ってくれる、家でわざわざカレーを作ってきてくれる、腹から思ってる事を話してくれる。
マキコさんは言っていた。
「自分がそんなふうされたから、絶対に絶対に、自分はそんなふうにしたくない。」
ここから、私の中で少しづつ人間関係に対する価値観が変わっていった。
つまらないけど聞いてくれてた人いたらありがとう
明日また書いていきます