地元に最近出来た山越えの結構広めの道路がある。
そこを夜中に嫁と家路に向けて走ってた。
その道路というかその地区は幽霊が出るって噂がチラホラあって、
ビビリの俺はおっかなびっくり走ってた。
ちなみに嫁は寝てた。
そしたら100mくらい前に街灯に照らされた人影が歩いてるのが見えるんだよ。
近づくにつれ子供を抱えてるのが見える。
なるべく見ないように急いで通り過ぎたんだよ。
「止めて!」って叫んで、びっくりして急ブレーキをかけた。
嫁は人影の方をじっと見てる。
早くその場から離れたい俺に嫁が
「戻って!早く!」とまた俺を怒鳴りつけるんだ。
幽霊も怖いけど嫁も怖い俺は言われるがまま涙目でその人影に近づくと、
嫁は車が停止する前に飛び降りてその人影を車の後部座席に押し込んだ。
そして「出して!早く!」の怒声で来た道を引き返しました。
よく見ると幽霊と思った人影はやつれた女性でした。
なんだか服装も薄着で靴もぼろぼろだった。
嫁は泣きじゃくる女性にずっと「もう大丈夫だから」と励ましてた。
繁華街に出て街の灯が明るいところに駐車して女性が落ち着くのを待って
事情を聞くと、どうやら嫁ぎ先から子供と夜逃げしてきた模様。
荷物は財布だけで着の身着のまま逃げてきたそうです。
とりあえず夜も0時を過ぎてたのでその日はうちに一泊して、翌日
人通りが出てきたのを見計らって駅まで送りました。
実家まで送ろうかと言ったけど飛行機の距離だったので無理でした。
嫁ぎ先で奴隷のように扱われていた。
娘が生まれると後継じゃないと酷い仕打ちを受けた。
義弟にセクハラまがいのことをされ続けていて、旦那や義家族は見て見ぬふり。
実家に連絡を取らせてもらえないし、連絡があっても電話に出させてもらえない。
手紙も出させてもらえないし、来た手紙も捨てられる。
娘に高熱が出てもほっとけば治ると病院にかからせてもらえないことを機に、
このままでは娘共々殺されると思い逃げてきたとのこと。
明治とか大正時代かよと思いました。
後日その女性からお礼の連絡があり無事に離婚ができたとの報告。
あの時車に乗せてもらえなければ本当に捕まって殺されていたかもとのこと。
後で嫁になんであの時引き返して助けようと思ったのか聞くと、
夜中に子連れの女性があんな薄着で泣きながら山道を歩いていたから。
あと前から猛スピードで車が来てたからと。
というよりあれ見て何にも思わなかったあんたがどうなの?って怒られたのが俺の修羅場。
着の身着のままで逃げ出した話は幾つかあるからそのせいじゃね