初スレ立てで、遅筆だが誰かに聞いていて欲しくてスレを立てます。
俺には好きな子がいた。
近所に住む幼馴染の女の子。
いつ好きになったかは覚えていない。
けど、気づいたら好きになっていた。
性格は自分と正反対で、実際良く喧嘩もした。
名前を仮にサキとしとく。
同じ地区の登校グループには同い年の女の子はサキしかいないし、
下の子はサキの妹と弟そして上に俺の姉というグループだったこともあり
自然に彼女との会話は多くなった。
普段は、素っ気無い感じで接していても会話ごとに気分が高まって変なテンションになったりした。
そして、サキの誕生日が12月24日だった。
「私、誕生日がクリスマスだから、プレゼントが纏められるんだ〜。」
「弟と妹はクリスマスと誕生日別々にもらえるのに不公平。」
と愚痴っていた。
だから、小5のクリスマスに俺は半年貯めたお小遣いを使い、姉に助言をもらい
彼女にプレゼントを渡した。
当時流行っていたアーティストのCDと熊のぬいぐるみ。
渡したとき、始めてみるくらいの笑顔を見せてくれた事が記憶に残っている。
当時俺は小学校の野球クラブに入っていたが、サキと帰りたいが為に
練習をサボりまくった。
当然、レギュラーには一度も選ばれなかった。
サキが試合の応援に行くと言い出した。
俺はかなりあせった。
何しろ、サボりまくった付けでろくにフライも取れない。
監督にも再三注意され無視した結果、放置状態。
とてもじゃないが呼べない。
口から出たのは
「あ・・ああ!任せとけ!俺の活躍で優勝するよ。」
という、死亡フラグ。
カッコつけて、いつも練習は行かなくても試合で活躍すればいいと
厨二見たいな事を言っていた結果こんなことに。
監督も「何を今更」と取り合おうとはしてくれなかったが
同級生の主将のHは理由を察したらしく、「まだ時間はあるから死ぬ気でやってみ?」
と言ってきた。
このとき知ったが、
俺がサキを好きということはクラスでは公然の秘密のような扱いだった。
今思い出しても恥ずかしい。
遅れを取り戻せるとは思わなかったが、クラブは人数が少なく六年は
俺を含めて5人しか居なかったからお情けで出してもらえる可能性はあった。
そのチャンスをどうにか活躍、若しくは情けなくないようにしようと必死だった。
そのうち、最初は取り合ってくれなかった監督もアドバイスをくれるようになった。
母親と買い物に行ったスーパーでサキの母親と会った。
家族ぐるみの付き合いがあるので、母親同士が世間話で盛り上がっていたが、
突然サキ母が
「俺君、好きなお弁当のおかずはどんなの?」
と聞いてきた。
「この子ね〜卵焼き好きなのよ〜」
とニヤニヤしながら答えやがった。恥ずかしい。
「そうなの?サキがね、お弁当のおかずに悩んでたから〜」
それを聞き、またニヤニヤする母
「あら!そういう事!」
どうやら、試合の日にサキは弁当を作ってきてくれるらしい。
母がやたらその事でからかってきて鬱陶しくて
「別に何でもない。」
と返していたが、内心は嬉しすぎて変な高揚感で一杯だった
>>1頑張れ。
それからの一週間。今思い出しても俺はウザいテンションで過ごした。
学校でサキと会うと真っ赤になり、しかし他の男子には遠まわしに自慢し、
野球の練習中にはにやけ、同級生のKに殴られた。
Kはサキが好きだったらしい。
それを知ってさらにウザいテンションがあがり、Kにちょっかいを出した。
打球ぶつけられた。
Kひでえwww
そんなこんなで迎えた試合の前日。
練習は早めに切り上げられたので、帰宅後近くの神社で
「明日は活躍出来ますように!」と願掛けをした。
晩飯を食べてると、明日の弁当の事が気になりだし、夜はまったく寝付けなかった。
監督から朝ごはんはしっかり食べて来いと言われたが、食べる気にならなかった。
なぜなら、「サキの手作り弁当」という最強アイテムが待ってるから。
祖母に「朝飯くわな力でらんよ」
と叱られたが、理由を知ってる母がニヤニヤしながら突いて来た。
姉が「ちゃんと、食べたらおいしかったっていうんよ。」
と念を押してきた。
大丈夫、あんたのカレーより不味いものを俺は知らない。
結局、味噌汁を一杯飲んで家を出た。
夜勤なので試合を見てから仕事に行くといい、
他のチームメイトの母親と観戦席に向かった。
サキはまだ来ていなかった。俺たちの試合は第四試合で11時頃になる
と言ったら「じゃあ、それに間に合うように行く」と言っていた。
きっと今頃は弁当を作っているんだと考えるとにやけ顔が治らなかった。
主将にその事をからかわれ、Kに物凄い視線で睨まれた。
俺は<8番ライト>でスタメンに入れてもらえた。
一回戦の相手が格下なので。
というのが大きな理由だが初めてスタメンに選ばれた事は純粋に嬉しかった。
試合開始。後攻だったので守備につく。
外野から観戦席をみるが、サキはまだ来ていない。
バスで来ると言っていたので、
きっと遅れているのだろうとか考えていたらフライを落とした。
回が進んで俺の初打席。
打席に立つ前に客席を見る。まだ来ていない。
いや、見つけられないだけだと自分で言い聞かせた。
その後は試合に集中した。
結果は3打数2安打という嘘みたいな成績を出し、試合を終えた。
近所の神社は王さんでも祭ってるのだろうか。
チームメイトは皆で集まって、保護者会の作ったおにぎりを食べる。
しかし俺にはお弁当が待っている。
主将に後押しされ、チームメイトに冷やかされ、Kの呪詛を聞きながら
客席に向かった。
サキは見当たらなかった。
客席を端から端までキョドリながら歩くが何処にもいない。
心臓をバクバクさせながらうろついているとそれが目に付いたらしく
母が声をかけてきた。
アワアワ言いながら、来ていないことを伝えると一緒に探してくれた。
最初は「振られたんじゃないのw」
と笑っていたが、段々、真剣な顔をしだし
「ちょっと電話してくるから皆のところで待ってなさい。」
と走っていった。
主将が「何かあったんか」
と心配してくれた。
「来てない」とボソッと伝えると「そうか。」と一言だけ言った。
Kは今までと打って変って満面の笑みを浮かべていた。殺意が沸いた。
と進めてくれたが、手をつけなかった。
二回戦も一回戦と同じようにスタメンだったが、
モチベーションは急激に下がっていた。
二回戦は、先攻で初回からチームの打線がつながり、自分の打順が回ってきた。
悔しい。
そう思いながら打席に入る。
初球を空振り。
客席を見る。やはり来ていない。
カウント2−2。
その時、監督がタイムを掛けた。
まぁおもしろいからいいか
俺は物凄い気の抜けたスイングをしていたからきっと怒られる。
そう思って監督に手招きされベンチへ戻った。
戻らなければ良かったと思った。
ベンチには母親。電話を掛けに行ったとき以上の深刻な表情。
「サキちゃんね。来る時事故にあったって・・」
「今から病院行くから」
と手を引かれたが
「何言ってるのか判らん!試合中!」
と怒鳴り声をあげた。
手を振り払い、打席に戻ろうとする。
しかし、監督に首根っこ掴まれ
「あんな気の抜けたスイングして、今度は気を散らしてる奴は出せん。交代だからいけ」
と言われ、ますます困惑した。
と会話の通じない駄々をこねた。
「あんた、行かんでどうするの!」
と母に肩を掴まれ、泣いている母の顔を見て一気に絶望感が押し寄せてきた。
ああ、そうなんだ。と。
母がサキが事故に会ったことしか状況は判らない。
けど、悪いほうには考えるな。
とか必死に励まそうとしていたが、全く身に入らなかった。
ただ、
どうかこれがわるいじょうだんだといい
とぐるぐる考えていた。
俺は待合室の椅子にボーっと座っていた。
何も考えなかった。
ただ、こうして座っていたらサキが何も無かった様に声を掛けてくる
そんな風に思いたかった。
戻って来た母に手を引かれ、連れて行かれたのは集中治療室だった。
サキ母はいつもの明るい表情は無く、目を真っ赤に腫らしていた。
サキ父は憔悴しきった顔をし、よく見ると右の拳が赤くなっていた。
サキ母は俺を見ると駆け寄ってきて抱き寄せた。
その時に聞いた事。
サキはその日の朝、早くに起きて弁当を作り始めたが、肝心の卵焼きが上手く焼けなかった。
何度も作り直し、やっときれいに出来たとはしゃいでいたと。
卵焼きに時間をくってしまったので遅れそうになり、急いで家を出たと。
そして、バス停に向かう途中で居眠り運転の車に撥ねられたと。
トリップつけたほうが良い
書くの遅くてスマン。
思い出すと今でもきつい。
相手はサキを撥ねた事に気づかず、電柱にぶつかった単独事故だと勘違い
したらしい。
救急車を呼ばず、警察だけを呼んだらしい。
結局、その後気づいて慌てて救急車を呼んだらしいが、
応急手当はせず、車の中で震えていたらしい。
このあたりの事情は事故からしばらくして知った。
この事を聞いたサキ父が相手を殴り飛ばした事も。
ドラマでしか見た事の無い医療機器が沢山ある。
でも、サキの姿は見えない。
機器と医者たちに遮られ、彼女の顔は見えない。
いつも、傍で見ていたはずの顔が見えない。
俺は彼女を見失ってしまった。
どうなったんだ!?
さしずめ>>1は先生というところか
漱石乙
病院に到着したとき、サキの両親は医者からこう告げられたらしい。
サキ母は隠さずに俺にもこの事を伝えた。
後ろで母のすすり泣く声が聞こえた。
でも、俺は泣かなかった。泣いたらサキを見つけられなくなる気がしたから。
母が仕事に行くかなきゃいけないから、今日は帰ろうと促してきたが
嫌だと動かなかった。
母は「気持ちはわかるけど、今はどうにも出来ないでしょ?」
と諭そうとしたが、俺は動こうとしなかった。
「私がお家まで送りますから、もう少し居させてあげてください。」
とサキ父が言ってくれ、母はお願いしますと言い、病院を後にした。
俺はそれが何か直ぐにわかった。
お弁当だった。
今日の試合に作って持って来てくれるはずだったお弁当。
包みを開くと、犬の絵の描いた弁当箱と箸と小さなお守り。
近所の神社の必勝祈願のお守り。
弁当箱を開くと、事故にあったなんて嘘のようにきれいに並んだままの
飾りつけで、ご飯と数種類のおかず、そして卵焼きが入っていた。
BADENDだったらショックやわ
「食べてあげて」
とサキ母に促され、弁当を食べた。
卵焼きを一つ食べる。
甘い。
きっと砂糖を結構な量入れたのだろう。
溶けきれなかった砂糖の塊がある。
泣きそうになりながら、それでも泣くまいとこらえながら弁当を食べた。
「おいしかった。」
と声を掛けた。
ガラス越しに聞こえたのかはわからない。
けれど、あのプレゼントを渡したときのサキの笑顔がふと思い出した。
サキ父に送られ家に帰った。
家に帰ると姉が泣きながら俺を抱きしめてきた。
「大丈夫だから。」
と言って部屋に入った。
その日は、眠れなかった。
少し時間がたったからだろうか
一日の事が一気に頭の中に流れ込んでくるような気分だった。
「大丈夫だから。」
何度も自分に言い聞かせた。
学校に行くと教室が静かだった。
どうやらサキが事故にあったことが知れ渡ったらしい。
真っ先に主将が来て「大丈夫か?」と声を掛けてくれた。
一番後ろの席でKがすすり泣いている。
クラスの女子も集まってきて
「容態はどうだったか」とか「サキちゃん大丈夫なの?」
だの質問してきたが何も答えられなかった。
どうやら、その事が深刻だと伝える結果になったらしく、
クラスが一気に騒ぎだした。
だの
「千羽鶴おろう!」
とか発言しだすグループ。
泣き始める女の子を慰めるグループ。
ただ騒ぐ男子グループ。
その中でKがいきなり怒鳴りだした。
「お前が悪いんだ!お前のせいだ!」
そういってKが指差す先には俺が居た。
俺の中で何かが壊れた。
俺が、カッコつけて試合出ようなんて考えなかったら・・・
俺が、卵焼きが好きだなんておばさんに伝えなかったら・・・
俺が、サキにお弁当を作ってもらったりしなければ・・・
おれが、さきをすきになったりしなければ・・・
女子がKを非難してる。
主将がKに掴みかかっている。
囃し立てる男子の声が聞こえる。
騒ぎを聞きつけて担任が教室に入ってきた時、俺は激しく嘔吐した。
その日、どのように過ごしたのかは覚えていない。
放課後、迎えに来た母親がまたサキの見舞いに病院に連れて行ってくれたが
そのときはサキの病室に近づく事が出来なかった。
担任から一部始終を聞いた母は必死に「あんたの責任じゃない」
と言いサキの両親もそう励ましてくれたが全く届かなかった。
お見舞い以外は家からも出なくなった。
周りの全員が「お前のせいだ」
と非難しているような感覚に襲われだした。
母や姉が毎日のように掛ける励ましの言葉も嫌味にしか聞こえなくなった。
一日中、布団の中で過ごし見舞いのときだけ部屋から出る。
そんな感じ。
サキは変わらず危険な状態だったが、一応おちついては来たらしく
回復の兆しが僅かだが見えてきたと医者が言っていた
と伝えられた時、少しホッとした
一ヶ月半ぶりに見た彼女に笑顔は無かった。
手を握るが反応は無い。
ただ眠っているだけの彼女にもう一度
「弁当ありがとう。おいしかったよ」
と伝えた。
面会を終え、病院を出た後激しい自己嫌悪に襲われた
彼女をあんな目に合わせたのは自分だとの苛立ちが強くなってきた。
その頃はただ彼女の見舞いに行くために生きているような状態だった。
そんな俺を見かねた父方の祖父が家を訪れた。
俺の両親は俺がまだ物心つく前に離婚しており、現在は母の実家にすんでいる。
父親は年に1〜2回会えばいいぐらい会っていないが、祖父は俺と姉を大変可愛がってくれ
運動会を身に来たり、お盆には迎えに来て祖父の家で過ごしたりしており、じいちゃんが俺は大好きだった。
かなり激しく抵抗した。
じいちゃんは俺に叩かれ、蹴られそれでも怒らず俺をなだめながら車に乗せた。
車に乗せられ連れて行かれたのはじいちゃんの家だった。
この時もかなり罵声を浴びせたと思う。
でもじいちゃんは
うん、うん。
と頷き、何も言わなかった。
ばあちゃんは俺を見て
「おかえり」
と一言だけ言って晩飯の準備を続けた。
きっと、最初からつれてくる心算だったのだろう。
晩飯は3人分用意されてた。
「いらない」
と受け取らなかった。
ばあちゃんは黙って茶碗を俺の前においた。
結局ご飯は食べなかった。
「仕事手伝わないか」
じいちゃんちは農家だからその手伝いをしろと言う事らしい。
その時もかなり怒鳴りつけた。
「勝手に連れて来ておいて何言ってるんだ!」
とか
「家に帰せ!」
だの喚き散らした。
じいちゃんは一言も反論せず
「ちょっと手伝ってくれんかい?」
とだけ言った。
渋々、手伝いをした。
この頃ろくに食事もしてなかったから当然だが。
ばあちゃんが朝ごはんを用意して待っていた。
お茶碗を黙って目の前においた。
そして、卵焼き。
それを見た瞬間ボロボロ涙が出てきた。
今まで我慢していたのに、涙が溢れ出してきた。
寝れなくなったw
見とくから続けてくれ
あと、現在の>>1のスペックお願い。
>>見てくれている人ありがとう。
じいちゃんはそういって頭をなでてくれた。
ばあちゃんは
「さぁ、食べなさい。ちゃんと食べんといけん」
といい微笑んでくれた。
ご飯を食べるたびに涙がこぼれた。
ご飯をたべ終わると一気に気が緩んだのか眠ってしまった。
夢の中でまたサキと一緒にいた。
彼女は笑っていた。大好きだったあの笑顔で。
目を覚ましたらまた俺は泣いていた。
じいちゃんに
「お見舞いに行きたい。」
と伝えると
「わかった。」
と微笑んでくれた。
「何でも抱え込んだらいけん。誰のせいとかどうすれば良かったとか無い
んよ、これから先でどうしないといけんか、どうしたいかだけ考えなさい。」
と言い聞かせてくれた。
この言葉が、今でも俺の心にしっかりと根をはって支えてくれている。
じいちゃんはいろんな話をしてくれた
戦争体験者のじいちゃんは戦時中のとき
親友に頼まれて部隊配置を代わったらしい。
結果、代わった先が爆弾の直撃を受けてしまったと。
何故あの時交代したのか、当時は散々悔やんだと。
「でもな、過ぎた事を悔やんで引っ張っても底は来ないんよ。
悔いるよりも成すべきことを成さな。」
同じように悔やみきれない事があったと言うじいちゃんの言葉。
誰の励ましよりもあったかかった
すごく心配そうな顔をして駆け寄ってきたが
「もう大丈夫です」
と伝えると
「声でわかるよ。良かった。」
と言ってくれた。
サキに会った。
たった2日来なかっただけなのにすごく久しぶりに思えた。
昨日、クラスの子が持ってきたらしい。
サキの両親も居た。
俺に笑顔を向けてくれた。
サキの手を握ると反応は無いが体温がしっかりと伝わってきた。
「昨日、先生が今は大分状態は良くなっている。いつ目を覚ますか判らないけど
声は聞こえるから声を掛けてあげてって。だから俺君、サキを励ましてあげてね。」
と言われた。
俺が大きく頷くとサキ母はなんども
「ありがとう」
と言った。
本当は俺が言いたかった言葉だった。
最初はクラスメイトから心配のまなざしを向けられたのが辛かったが
すぐにそれは無くなった。
相変わらず、敵意の目をKは向けてくるが
あの日以来、Kはクラスで浮いてしまったらしく、
教室の隅で一人で居る事が多かった。
H(主将)は今までの勉強の所を教えてくれたり、
数日の間フォローしてくれたりと動き回ってくれた。
そして、月が代わり12月になった。