前記事⇨女の子「いつも一緒にいるのに、どうして私をみないの?」俺「へ?」→急激な展開にwww【2/7】
板尾の本はペースを保ち続けて売れていった。
流石である。
俺はといえば
鳴かず飛ばずかと思えば、
案外ぼちぼち売れていった。
昼過ぎ…くらいだったか。
そに子が来た。
本当にきてくれるなんて…
実に半年ぶりの再会であったが、
すぐに気付いた。
ドキッとした。
でも普段の動悸とは違うものだってすぐ分かった。
コミケには来ようか迷っていたらしい。
そして俺もいるし、
結局来る決心をしたんだとか。
そに子「新刊一部、ください」
彼女は笑いながら言った。
俺も吹き出して、
「いやいや、お金はいりません」
なんて言ってそに子に本を渡した。
そに子「うわ、すいません…ありがとうございます…」
急に真面目になるそに子。
「いや、ほら、いつも言ってる…」
板尾はすぐに察してニヤッとした。
そに子は赤いマフラーを巻いていたが、
そのせいか顔も赤くなっているように見えた。
板尾「あなたがそに子さんか…!
話は聞いてるよ。
これ良かったら俺の本、あげるよ」
そに子「あ、とっても上手い…!!」
俺は少し嫉妬したw
そに子「ええ、まあ…w適
当に見て回って、帰ろうかなって。
今まで勉強詰めだったので、
今日くらいは少しだけ遊んじゃいますw」
そういうと板尾がコッチをぎろっと見た。
言いたいことは分かっていた。
俺と、板尾と、友人の三人で
メシを食おうってことになってた。
それで俺と板尾は地元が一緒。
時分は年末も年末。
なのでそのまま二人で帰郷しよう、
という流れになっていた。
そして、板尾はそ
のコミケ終わりの三人のメシに
そに子も呼べ、と言いたかったのだろう。
センター試験があまり関係ない。
なのでまだそれなりに余裕があったんだろう。
「あ、あのさ…そに子ちゃん」
そに子「…はい?」
顔が見れない。色々と辛かった。
「コミケ終わったらさ、
俺たちメシ食いに行くんだけど…
良かったらさ、そに子ちゃんも来ない?
…ほ、ほら勉強とかも教えられるじゃん」
最後の一言は余計だった。
でもこうやって言い訳したのを覚えてる。
嘘みたいに笑ってくれた。
ビックリして心臓止まるかと思った。
そに子「それに…
一応勉強道具とかもあるんですよね
なんか必要ないけど
普段から持ち歩いちゃう…
この気持ちわかりません?w」
(マジか…そこは冗談だったんだけど…さすが受験生…)
板尾「決まりじゃん。
じゃあ閉会までまだ時間あるし
見たいとこまわっておいでよ」
「そうだね…寒いし、
風邪引かないように暖かくしてね」
そに子「閉会時間頃にまたここに来ますね!」
何をしていたかと言うと
彼は新刊を落として
ペーパー頒布だったので、
終始俺らの売り子を手伝ってくれていた。
板尾「すっげえいい子じゃん、顔赤くしちゃって」
「そうだね…」
板尾「お前にはもったいないな。で、トイレ行かないの?」
「いや、全然快調。吐き気とかしないよ」
板尾「成長したな」
板尾の本が完売した。
あいさつ回りにも行ったから、
実質80部くらいだったと思う。
板尾は泣いていた。
ぐしゃぐしゃになってた。
俺も泣きそうになったが耐えた。
俺の本も実質40部弱、
そろそろ完売しそうだったからだ。
高校で出会って、
バレー部で3年間共にして。
自分の感情には素直な奴だった。
間違いだと思ったら、
例え相手が先輩でも食い下がるし。
試合に負けたりしたら大泣きして、
勝ったらお祭り騒ぎをする。
そんなヤツだった。
完売したら板尾は泣くだろうなあと予想していたけど
やはり俺もつられて泣きそうになる。
でも頑張って耐えた。
けっこう時間経ったのかな…
よく覚えていないけど
俺の本もその時を迎えた。
俺の最後の一冊を買ってくれたのは
俺より一回り小さいくらいの女の子だった。
名刺を渡してくれたのを覚えてる。
「あ、ありがとうございます…!最後の一冊です…!」
女の子「本当に?やった、ラッキー。これからも頑張ってくださいね」
か、完売した…!?
パチパチパチ…!
周りのスペースの人たちが
拍手をしてくれた。
隣の方「若いのによくやったねえ。おめでとう」
「あ、ありがとうございます…うえ…」
「い、板尾ぉ…」
板尾「おう、よくやったな…俺たち…うええ…」
二人で大泣きした。
よく覚えてないけど、
けっこうな時間泣いてた気がする。
でも一瞬だった気もする。
もうよく覚えてないなあ…
その間板尾の友人が
笑いながらスペース片付けたり、
「スケブする?」とか聞いてきた気がする。
コミケ前に絵が上手くいかなくて
板尾に少しイライラしていたのを悔いた。
やっぱり板尾はすごいし、憧れ。
でも俺は俺なりの絵を描けばいいんだと、思えた。
そうなるともう嬉しくて仕方なかった。
それ以上に、こんなにも一緒に
感動を共有できる板尾のことを
一瞬でも「アイツはずるい」とか
「邪魔だ」と感じてしまった
自分が情けなくて仕方なかった。
もう自分でもなんで泣いてんだかよく分からなかった。
最後まで見てます
俺達も少しフラフラした。
スペースでは板尾の友人が
スケブを描いていた。
友人「俺はここにいるから、二人は色々見てきなよ」
いいやつすぎる。
コミケも佳境に差し掛かっていたが、
作家も、買い手も目を輝かせていた。
この時見た景色は今でも忘れらない。
ビッグサイトの、あのバカ広い会場の中で
板尾と二人で歩いた。
まだ全体の3分の1終わったかどうかくらいだけど
最後まで見てくれると嬉しい。
本当に大きかったんだなって
今でも思う。
「以上をもちまして、コミックマーケットを閉会します…」
パチパチパチ…!!
板尾「終わったなあ…」
「いやー気持ちいい」
友人「お疲れさん、二人とも」
そに子がやってきた。
そに子「ごめんなさい…みんな撤収しちゃってて、迷っちゃいました…」
相変わらず顔を真っ赤にしていた。
「いや…全然大丈夫だよ」
板尾「面白い子だなwそれじゃみんな揃ったし、
ここにいるのもアレだから
とりあえずビッグサイトから出るか?」
「腹減ったーメシいこうメシいこう。」
そに子を交えて晩飯タイム。
俺は意気揚々としつつ、
いつも通りでいられるか不安だった。
一つの事を確信してしまう。
ビッグサイトを出る。
りんかい線に乗る。駅に着く。
俺はその間ずっとそに子を見ていたし、
そに子を気にかけていた。
コミケの帰りって、
ビッグサイトから国際展示場駅まで、
怒涛の人の流れなんだ。
俺はその中で絶対はぐれないように
そに子だけを誘導していた。
自分でも確信してしまった。
間違いなかった。
動悸がすると言っても
今までの異性不信からくるものではない。
異性不信だった俺が、恋である。
俺はそう確信して、
ビッグサイトから
メシの場所に到着するまでの間、
すごく嬉しくなってしまった。
下手したらもう
2度と無理かもしれないと思ってた恋に、
今自分は落ちたんだなあと思うと、
ワクワクして、急に嬉しくなった。
それくらい、
今までの異性不信にずっと悩んでいた。
そに子にまた直接会って、
色々とはじけた気がした。
まあ大して時間もなかったし、
板尾も疲れてたから
安く、たくさん食べたかったんだろう。
板尾「そに子さんも、絵を描くの?」
そに子「ええ、少し…でもまだまだ下手っぴですよw」
俺「頑張って練習してるもんね。絶対すぐ上手くなる」
板尾「ふーん…なるほど…」
最初のうちはわりと板尾も
穏やかな感じで会話を始めた。
大学受験終わったら
華丸と一緒に一度ウチの美大おいでよ。
色々楽しいよ」
そに子「ありがとうございます…!華丸さん、行こうね…!」
多分この時俺は顔真っ赤だったんじゃなかろうか。
だって、突然好きな子が隣にいて、
自分の方見て話しかけてるって状況になってるんだ。
メシ食べるのもなんか
無理やり行儀よく食べようとしたりしてた。
は、始まった。
板尾の悪ふざけタイムである。
昔からこういうお調子者気質な所が彼にはあるのだ。
テンパッてる俺を見て
面白くなったんだろうなw
そに子「い、いえ…別にそんなわたし…」
板尾「そに子ちゃん実際学校とかでモテるんじゃないの?」
そに子「いえわたし女子高だし男子いないんで…w」
板尾は俺に気を使って
場を盛り上げようとしているようにも見えた。
俺も頑張ってそに子に色々話しかけた。
そに子は終始笑ってくれていた。
とても楽しい時間だった。
でも俺たちの一日はまだまだ終わりではなかった。
東京ってことは芸大多摩武蔵造形のどこかだろ?
科にもよるがすげぇな
今でもハッキリ覚えてる。
板尾とそに子と
美大に遊びにいく約束をしたことも。
ただ、なんてことないものだと思っていた。
当然いつか実行できる約束だと思っていたし、
何より浮かれていた。
この時交わしたこの何気ない約束が、
のちのち俺の人生をまた微妙に変えてしまう。
どこかってのは言えないけど凄いと思う。
俺と板尾は
故郷に向かう電車にのりこんだ。
少しだけ、長旅が始まる。
窓の外は真っ暗。
一日の終わりだ。
板尾はなんだか静かだった。
板尾「ふう…今日一日マジで疲れたな!!
本、完売してよかったわあ」
俺「だよね。本当、
なんつーか最高の一日だったよ。
多分一生忘れない。」
>>1の絵見てみてぇ!
見届けてやるぜぇ
俺「ん…?」
板尾「ここまで来るまで長かった」
板尾は泣いていた。
どうしてそうなったのかよく分からなかった。
板尾「お前が初めて
トラウマの事話してくれた時、
俺どうしようかって思った」
板尾「女性に関われないって悩むお前見て、
本当にどうにかしてやりたかった」
板尾「俺は絵を薦めた。
言葉とか励ましよりも、
とにかく何か夢中になれること
見つけて欲しかった。」
俺「そうだったね。
本当、絵描き始めて良かった」
話が完結したら
簡単な絵をうpしてもいいかとは思うんだけど
うpろだとか、ここに絵をあげる方法が
よく分からないのよね…w
本当は良かったのかどうか
ずっと悩んでたんだ…昔言ったろ?
絵を描き始めてから
華丸は人と距離を置くようになったって」
俺「確かに高校の時よく言ってたね」
板尾「絵を薦めたものの、
それが本当に華丸にとって良く働くのか。
俺は無責任なことをしたんじゃないかって
ずっと悩んでた。」
俺「……」
板尾「でも、それが…」
こんなにコミケ一緒に出るくらいまで上達した。
まぁまだまだ下手だけど…」
俺「泣きながらそれ言うかねw」
板尾「それでそに子ちゃんだよ。
あの子が現れてくれて…
異性不信だったお前が
また女の子と普通に楽しく接せられるようになって。」
板尾「本当によかったよ…本当に。
お前あの子大切にしろよ…」
板尾はずっと顔を隠して泣いていた。
俺もだんだんつられて、涙目になった。
ずっと板尾に
「ありがとう、ありがとう」
って言ってた気がする。
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◎あぷろー!( http://upro.tv/送信先:up@pita.st (画像・動画兼用 追加可)
※送信先に画像添付でメール送信したらURLが送られてくる
とりあえず話完結するまで考えとくね。
コミケ編は一段落。
俺は実家に帰った。
実家といえば天国、
大晦日は紅白見ながらコタツにいれば
自動的に料理が出てくるw
俺はしばし実家を堪能することにした。
でも俺は肝心なことを、忘れていたんだ…
そう、あのメールを…
「久しぶり」
というメール以来メールをしてこなかった。
でもその音沙汰の無さっぷりが、
逆に不気味に感じられた。
一体何が目的だったのか…
大晦日の実家のコタツで、
俺は自分のケータイを見ながら悶々としていた。
おれはそに子や板尾たちに
あけおめメールを送ろうと必死だった。
5,4,3,2…
俺「よっしゃ年越し!ジャンプ!!」
兄「うるせえな」
俺は毎年年越しの瞬間にジャンプをする。
ウチは毎年年越しの瞬間は
ジャニーズのライブのテレビと決まっていた。
新年を迎えた。
去年は色々進歩の年だった。
今年はいい年になるだろうか…
これから良い事なんて
何一つ無いとは知らずに、
当時の俺はのんびりそんなことを思っていた。
年を越した瞬間、
携帯にたくさんメールがきた。
メールはそに子に、板尾に、高校のクラスメイトに…
美保もいた。
なんとなく予想はしていたが…
もっと体調が悪くなると思ったが、
実際そうでもなかった。
なんでだろう、今でも分からない。
年明けテンションなのか、なんなのか。
俺はそのメールに返信してしまった。
ただ、スルーしておけばよかったのだ。
異性不信もすっかり良くなっていた。
だから思わず気を許しちゃったんだろう。
送ってくるメールの内容も
ひたすら普通だったし、当時のことも
本当に悪いと思っているようだったから。
ただ、相手は
自分を異性不信におとしめた根源だってことを、忘れてた。
正月ってヒマでしょ?
割とみんな、社会人も。
だからメールとかすごいしちゃうんだ、無駄に。
美保とのメールで、
けっこうな事を話したと思う。
今行ってる大学、美術部にいること…
基本普通な子だと思ってた。
だからきっとあの時は何かの間違いで、
彼女もおかしかったんだ…
そう思ってた。
というか、そうであって欲しかったんだと思う。
このメールしてた時は、
美保は普通な子だったんだ、
だからあのトラウマももういいんだ、
っていう証明みたいなものが
欲しかったんだと思う。
う〜ん、わかりづらくてゴメン。
この時の心境は、
自分でもよく分からないんだ。
またすっかり美保からの連絡は止んだ。
俺はほっとしていた。色んな意味で。
その頃だったか。
3月にまた美術部で割と小規模だけど
また展示会があることを聞いた。
さらに、板尾と二人で次の夏のコミケに
サークル参加の申し込みもした。
よし、またお絵描き頑張ろう。
色々動き始めている気がした。
なんていうか希望や展望に満ちてた。
ちょいと晩メシ食べるので
30分ほど時間あきます。
すいません、30分後にまた再開します〜
私も大学生で絵を書くので、
すごく興味深いです。
続き楽しみにしてます!
ではまた続きをマッタリ書いていきます。
俺は生まれ変わったようだった。
色々やりたいことが見えてきて、
ワクワクしてた。
まず、心配だったのはそに子の受験だった。
私立なので2月に受験だと言う。
なので連絡もあまりとれなかったが、
定期的に、本格的に勉強のことを
質問してくる電話がかかってきた。
一生懸命だし、頼ってくれるのは
とても嬉しいことだった。
俺も展示会に向けてまた絵を頑張ろう。
それからはそに子の心配をしつつ
自分もひたすら絵を描く日々だった。
そに子が大学に受かっていれば、
そに子も展示会を見にこれる。
前回は板尾に頼ってばかりだったけど、
今回は自分一人で
描ききって、板尾をビックリさせてやる。
俺の大学の入試の日だった。
俺は力になってやろうと思って、
キットカットを買って
スケッチブックを持って大学へ走った。
走ったと言っても電車に乗って行ったのだが。
生活リズムのおかしかった俺は、
久々の早起きで
息上がりまくり、
貧血気味でフラフラだった。
そに子に電話した。
俺「はあはあ…今…どこにいる感じ?」
そに子「さっき駅出て…もうすぐ大学に着くよ」
俺「そっか…頑張ってね…」
(よし、このまま正門で待ち伏せだ…)
スケッチブック一冊くらい。
しかし、合格祈願とか、
そういったイラストではなかった。
最初はむしろ渡すつもりも毛頭なくて、
好きに落書きしていた。
でも、この絵を
そに子に渡したらどうかな…と脳裏によぎった。
合格祈願とかそんなんじゃなくて、
試験前とか休憩中に、
俺の絵見たら少しはリラックスできるんじゃないかな
と思ったのである。
なので俺はスケッチブック一冊
好きに落書きしたものを、
当日そに子に渡そうと決心したのである。
そに子「うわ!華丸さん…どうしたの?」
俺「これ…あげるよ…頑張ってね」
そう言ってキットカットと
スケッチブックを差出す。
そに子は怪訝そうな顔をして
スケブをまじまじと眺めた。
でもすぐに笑顔になって、
そに子「何これ、バカみたいw」と言って笑った。
俺「いいから、頑張れよ」
俺は少し恥ずかしかった。
そに子「ありがとう、頑張るね…」
そに子はそういって校門をくぐっていった。
緊張が解けたようで嬉しかった。
続きwktk
俺は恋に落ちると
好きになった相手しか見えなくなるフシがある。
そして少々やりすぎてしまうことがある。
この件もそうだった。
でもそに子は俺にひくどころか喜んでくれた。
本当に良かったと思う。
受験っていう緊張感もあったからか、
なんだか非日常の世界にいる気がした。
たくさん絵を描いたのも、
駅から大学まで走ったのも、
そに子を待ちぶせたのも
全てが楽しかった。
バカなことしてるなあと思った。
でも、そんな自分が
なんだかかっこよく思えて、
そに子と自分だけの世界があるような気がした。
本当に恋してたんだと思う。