展示会二日目。 
二日目も割と盛況のようだった。 
シフトはまた午後。 
俺は一日目ほどの緊張はなく、
なんだかゆったりとやれた。 
でも部員の女の子と話すのは避けていた。 

遠藤「おっす!昨日の子来るといいねww」 
「お前はまだそんなことを…」 
遠藤「なんか楽しいんだもんwってかずるいww」

http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1323617346/
97:華丸2011/12/12(月) 03:09:38.67 ID:C73jG/nL0
その時ギャラリーは静かだった。 
受付の俺ら二人と、見てる方一人だけ。 

遠藤「お、あの子来たぞ…」 
入り口付近で遠藤が囁く。 
(うるさいやつだなぁ…) 
そに子「こんにちは…」 
遠藤「昨日も来てくれましたよね、ありがとう」 
そに子「はい、素敵な展示なので…」 
遠藤の対応は予想以上に紳士的だった。

98:華丸2011/12/12(月) 03:13:51.67 ID:C73jG/nL0
「こ、こんにちは…」 
笑ったつもりだったけど
声すら出てなかった気もする、
今となっては。 

そに子「こんにちは、実は今日何回か来てたんですwやっと会えたw」 
遠藤「そこまでして華丸に会いたいのかよーw」 
そに子「い、いえ…」 
正直、この時既に動悸起きすぎて
氏ぬかと思ってた。

99:華丸2011/12/12(月) 03:21:20.20 ID:C73jG/nL0
耐えられなかったので、
とりあえず展示の中に誘導した。 

「お前何いってんだよ…」 
遠藤「いいじゃない、もうファンだよ、ファンw」 
でもファンって響きは良かった。 

そに子「それじゃ…良い展示でした。ありがとうございました…」 
「あ、はい…」 
遠藤「あ〜ちょっと待ってよ!君高校生?」 
そに子「はい…受験生です…」 
そに子「でもこの〇〇大学さんの展示
すごくよかったです。 
ちょっと大変ですが頑張って
絶対〇〇大学に来ます!」 
遠藤「あ、おう、それはありがたい…」 
遠藤が、ちょっとひいた。 

そに子は顔を真っ赤にしている。
なぜそんなことを言ったのか…

102:華丸2011/12/12(月) 03:26:41.17 ID:C73jG/nL0
そに子「華丸さんの絵すっごく気に入りました。
私もああいう絵描きたいです」 
「あ…いや…ありがとうございます…」 
遠藤「わざわざ二日間来てくれる人なんて、
きっといないよねー」 
遠藤「せっかく来たんだし、
連絡先くらい交換したらどうなのよ?」 
遠藤のぶっぱが炸裂した。 
そに子「いや…でも悪いですよいきなり」 
「だよね…」 
遠藤が俺の足を踏む。
103:華丸2011/12/12(月) 03:31:25.44 ID:C73jG/nL0
(いって…なんだ?) 
まあその足踏みが
何を言ってるのかは分かった。 
「じゃあ…アドレス交換…しとく?
これも何かの縁だし」 
そに子「いいんですか…ありがとうございます…!!」 
まさかこんな事になるとは思わなかった。 
高2のあの日以来、
初めて新たにできた女友達だった。 

そに子「また連絡します!絵のこと教えて下さい!」 
そに子は笑って帰った。 
遠藤「……」 

104:華丸2011/12/12(月) 03:38:24.71 ID:C73jG/nL0
遠藤「く、俺とも連絡先交換してくれると思ったのに…」 
「いやそれはねーだろ」 

遠藤「だってJKだよ?いいなあ、おかしいよ…」 
確かにオカシイ。
今自分の身に何が起きてるか
よくわかってなかった。 

俺は興奮してたのか、
その日の作品搬出の作業で
貧血で倒れそうになったので 
ほとんど力になれなかったw 
結果ずっと遠藤と話していた。
と言うか搬出に男が遠藤しかいなかった。

105:華丸2011/12/12(月) 03:45:58.06 ID:C73jG/nL0
でもこの出会いは、すごく嬉しかった。 
異性不信だった俺が凄く頑張れた、って
本当に前向きになれた。 

その後喜んで板尾に報告した。 
板尾「やったじゃねえかww
きっとお前にとってその子は 
どんな形であれ重要な存在になるよ。
ゆっくり向きあっていきなよ」 
「え、でもどうしようwwJKだよwww」 
板尾「焦る必要はないよww
それに来年同じ大学になるかもしれないんだろ?w 
ゆっくりメールでもしてろよ」

106:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 03:47:30.63 ID:P77FgRo90
高校部活やってて貧血とは・・・
えらく作品製作に根詰めたな
107:華丸2011/12/12(月) 03:48:52.97 ID:C73jG/nL0
>>106 そうなんだよ、とにかく大学に来てからの俺は貧弱の極みなんだよね。 
108:華丸2011/12/12(月) 03:54:32.89 ID:C73jG/nL0
それからそに子と俺は
ちょくちょくメールをやりとりする仲になった。 
割と定期的にって感じかな?
でも会うことはなかった。 

久しく女の子とメールなんてしてなかったけど、
メールだと本当楽しく話せた。 
どうやら彼女は本気で
俺のいる大学を目指すことにしたらしい。 

俺はといえば、
板尾と一緒にコミケに申し込んで、 
本格的に同人を始めることにした。 
それが、大学1年の夏だった。

109:華丸2011/12/12(月) 04:00:32.50 ID:C73jG/nL0
さすがに人減ってきたかな? 

俺はそれから板尾と一緒に
コミケに向けて頑張ることにした。 
各自一冊ずつ本を刷ろうってことにした。 
板尾は上手いから
個人でイラスト本刷っても多分全然イケる。 
でも俺はまだまだ…って感じだった。 

板尾は親友だけど
それ以上に憧れや妬みもあった。 
板尾くらい上手く描きたい…そう思った。

110:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:01:27.16 ID:GQSvVsZpO
みてます
111:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:03:09.42 ID:/igzkP0g0
眠れないー 
112:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:05:21.58 ID:P77FgRo90
いきなり一冊はきついだろ? 

ページ数決めて、イラストの質上げるほうが良いと思うけど

113:華丸2011/12/12(月) 04:07:03.45 ID:C73jG/nL0
>>110 >>111 ありがとう! 

この頃割と板尾に対して
ただの親友って感情以外も、 
絵に関わると
妬みとかの感情も抱いてた。 
馬鹿だなぁって今になって思う。
俺は馬鹿だった。 

でもちょっと上手くなってきて
初心者の頃と違うから、 
色々分かっちゃうんだよね。
それが辛かった。 
大学1年の夏〜秋は
毎日泣いて絵を描くこともあった。 

板尾に追いつきたいって、
すごい必死だったとおもう。 
絵を描くのが辛かったな、この時は。 
もう当初の目的とかも忘れてたよ。

114:華丸2011/12/12(月) 04:08:51.48 ID:C73jG/nL0
>>112 まあそうなんだよね。
過去の俺に言ってやりたいw
115:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:09:58.02 ID:GQSvVsZpO
今言われてもねw 

この頃は1日何時間くらい描いてたんですか?

116:華丸2011/12/12(月) 04:13:00.41 ID:C73jG/nL0
俺にとっては、
絵に関して言えば板尾が全てだった。 
板尾がいなきゃ絵に出会えなかったし、
立ち直ることすらなかったかもしれない。 
だからこそ壁に感じてしまった。 

板尾「そんなに焦らないで、
自分なりの絵を探せばイイよ」 
そう言ってアドバイスしてくれた。 
でもそれすらも焦れったく感じた。 

よく、優等生な兄弟に
劣等感抱く人とかいるだろ? 
多分そんな感じだったんだと思う。 
必死こいて、板尾がびっくりするような本を描こうと頑張った。

117:華丸2011/12/12(月) 04:14:51.64 ID:C73jG/nL0
>>115 大学サボることもけっこうあったし、
一日10時間は描くようにしてたと思う。 
でもその割に全然上手くならないから
焦ってたんだと思う。
118:華丸2011/12/12(月) 04:18:54.21 ID:C73jG/nL0
この時、俺は辛くなった時、板尾じゃなくて 
割とそに子にメールとか
するようになってたと思う。 
元々絵がきっかけで知った子だったし、
絵のことを相談しやすかった。 

そして、コミケには落ちていた。
板尾は落選した。 
サークル参加はできなくなった。 
なので、板尾の大学の友人のスペースに
委託で本を置かせてもらうことにした。 
サークルチケットも3枚あるので、
俺と板尾と板尾の友人の3人で 
売り子はできそうだった。

120:華丸2011/12/12(月) 04:25:06.76 ID:C73jG/nL0
初めての同人誌制作は
なかなかキツかった。 
板尾に色々教わりながら、
印刷所のことや原稿の形式とかを覚えた。 

ジャンルは創作だった。
これは絵を描き始めた時から決めてた。 
オリジナルの女の子を描く。 
俺は20ページ、オンデマンドで
フルカラーのイラスト本を刷った。 
50部。果たしてはけるのか。 
板尾はオフセットで
フルカラーのイラスト本を100部。 
お互いはけるか
どうか凄い不安だったと思う。

122:華丸2011/12/12(月) 04:28:15.52 ID:C73jG/nL0
今思うと、なんでこの時
二人で合同本を出さなかったのか 
それが今でも分からない。 
自然にそうなってしまって…
この時は二人で個人本を出すことになっていた 

そに子は、なんとコミケに来てくれると言った。 
実はあれから一度も会っていない。 
こっちは絵を描くのに必死だし、
こっちから会おうなんて言わないし… 
向こうは向こうで
受験勉強ですごく忙しそうだったからだ。

123:華丸2011/12/12(月) 04:29:52.08 ID:C73jG/nL0
このへんでエピソードの
やっと3分の1終わったくらいです。 
すいませんこの話けっこう長いです。
125:華丸2011/12/12(月) 04:34:42.06 ID:C73jG/nL0
5時まで書き続けたら一旦休憩して、
また明日の夕方くらいに再開します。 

コミケの直前、12月の終わりくらいに
嫌なことが起こった。 
俺はコミケムード、そに子のこと、
完全に浮かれていた。 
アイツから連絡があったからだ。 
1年半も音信不通だったのに。

126:華丸2011/12/12(月) 04:37:12.44 ID:C73jG/nL0
美保「久しぶり、元気?」 

メールだった。 
ちなみに俺は中3の頃からアドレスを変えていない。 

なぜこのタイミングで…? 
俺はとにかく嫌な予感がした。 
返信を返すべきか、2日くらい迷ったと思う。

127:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:40:06.05 ID:VmBJfaGO0
>>1頑張れー 

行動力って本当に大事だよな 
自分も大学3年の同い年だけど最近本当に思う 

やってみないと分からない事ってあるからな 

よし、寝る

128:華丸2011/12/12(月) 04:41:22.44 ID:C73jG/nL0
それと同時に、
コミケ前だというのに凄く体調を崩した。 
メシが食えなくなった。
あの時と同じである。 
トラウマって、やっぱすげーんだね。 

さらに、知ってる人は知ってると思うんだけど 
この年のクリスマスイブに
フジファブリックってバンドのボーカルが亡くなったんだよ。 
すっごく好きなバンドだったから
俺はそれも凄いショックで、 
クリスマスは家で一人で寝込んでたんだよ。 
本当この年のクリスマスは色々と最悪だった。

129:華丸2011/12/12(月) 04:42:28.35 ID:C73jG/nL0
>>127 ありがとう。明日も見てくれると嬉しい
130:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:43:50.16 ID:P77FgRo90
しかし、怖ええ女だな 
131:華丸2011/12/12(月) 04:47:56.79 ID:C73jG/nL0
とりあえず俺は、 
「元気にしてるよ」 
とだけ返しておいた。
返信しないならしないで
角が立ちそうだったからだ。 
でもこの選択で
のちのち色々面倒なことが起こるのだが… 

俺はこの時初めてそに子に電話してみた。 
勇気を出して電話したと思う。
それほど何かにすがりたかった。 

書くほどでない内容のことを
話しただけだと思う。 
勉強頑張ってる?とか
コミケなんて来て平気?とか。 
そに子はひたすら、
「なんとかなるんだよ」 
としか言わなかった。 

この時のこの一言に
すごく元気づけられたのは今でも覚えてる。

135:華丸2011/12/12(月) 04:54:40.07 ID:C73jG/nL0
「異性不信」だった俺を、
そに子が現れたことによって 
ただの「美保不信」に
変えてくれたのかもしれない。 

とにかく俺の中でそに子の存在は
どんどん大きくなっていった。 
そう、もうこの時点で
だいぶ異性不信はイイ方向に向かっていた。 
あの時、美術部に思い切って籍を入れて良かった。 
展示会に出て良かった。

136:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 04:54:53.70 ID:CQ6F6M0FO
1の文章が上手い故に
トラウマ女に吐き気をもよおして来たが最後まで見るぞー
137:華丸2011/12/12(月) 04:58:55.81 ID:C73jG/nL0
>>136 ありがとう。 

俺はそに子のお陰で
なんとか点滴を打つまでにならずに済んだ。 
病は気からとはまさにその通りだ。 
今は板尾もいるし
そに子もいる。なにせ絵だってある。 
俺は意気揚々とコミケ当日を迎えた。 

自分の本が早く見たい。
苦労して描いた。 
どれくらいの人が俺の本を見てくれるかな。 
憧れの作家さんに会える。 
そに子は本当に来るのかな。 

もう、なんていうか楽しみなことしかなかった。

138:華丸2011/12/12(月) 05:06:33.56 ID:C73jG/nL0
ビッグサイト到着。 
みんな大好き国際展示場である。 

俺、板尾、板尾の友人の三人は、
サークル参加。 
サークル入場だから
スムーズに入れるのである。 
やぐら橋の前には
ものすごい数の人の群れがある。 

板尾「うはwwwこれ全部一般参加かwwwすごいなwww」 
友人「あっちにはホストっぽい集団もいるよ…あれオタク?」 
「色んな人がいるんだね…w」 

見た目完全なオタクから
ホストっぽいイケメン集団まで、
なんていうか本当に 
色んな人がいた。
なにより人の多さに圧倒された。

140:華丸2011/12/12(月) 05:12:27.80 ID:C73jG/nL0
スペース…!!
俺達のスペース…!! 
俺たちは創作ジャンルだったから西だった。 
とりあえず机の上にあるビラをどけて、
椅子を下ろして… 
スペース作り。
俺も板尾も興奮気味。 
板尾「ちょwwwダンボール来てるww俺の本www」 
「落ち着けよwwあ、俺のもあるよ!ww」 
友人「…w」 
板尾の友人は経験者なので、
至って冷静だった。
142:華丸2011/12/12(月) 05:17:37.32 ID:C73jG/nL0
コミケ行ったことない人は
分かりにくいかもしれないけど 
コミケはサークル参加者ってのが
いわゆる本を売る側。 
スペースって言って
自分たちの場所が与えられて
そこで本を売る。 

一般参加者の人たちは
それを購入しに来る人達のこと。 
ちなみに俺と板尾は
このコミケの前の夏コミに二人で一般参加した。 
板尾はひたすら創作を、
俺は創作ととらドラとかの同人を漁った。

143:華丸2011/12/12(月) 05:24:48.83 ID:C73jG/nL0
初めて自分の本を見た時の感動はすごかった。
言葉に出来ない。 
これが…これが俺の初めての本…呆然とした。 

その後俺は、
コミケが開場する前の準備時間に
ひたすら憧れてる作家さんのところに挨拶へ行った。 
絵を描く上で影響になった人は数多い。 

そして、スペースに戻って 
「おい、板尾」 
板尾「お、どした…今ポスタースタンド立てるのに手こずって…ハァハァ」 
「いつもあなたの絵見てます、憧れです。これ、僕が描いた本です、良かったら…」 
板尾「なにそれwwww」 
「」 
板尾「はいはい、ありがとう。これ、俺の本。俺だって華丸の絵は好きだよw」 

俺たちは何やってんだw

144:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 05:26:24.94 ID:GQSvVsZpO
師とライバルと友人全て兼ね備えてる板尾いいなぁ
145:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 05:26:42.85 ID:Speg+5ny0
あほかわいいなww
146:華丸2011/12/12(月) 05:27:05.55 ID:C73jG/nL0
さて、みんなありがとう。
さすがにもう見てる人は減ったよね? 
そろそろ、今日の夕方に持ち越しますか…
147:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 05:30:47.20 ID:Speg+5ny0
>>146 
お疲れ様ー 
楽しみに待ってるね
148:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 05:33:16.39 ID:GQSvVsZpO
乙です
149:名も無き被験体774号+2011/12/12(月) 05:35:19.75 ID:ze7E89Fc0
お疲れ 
続き楽しみにしてるノシ
150:華丸2011/12/12(月) 05:45:46.74 ID:C73jG/nL0
みんなありがとう、では一旦休憩します。 
また今日の夕方あたりに〜ノシ
151:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 11:00:12.07 ID:NcucXF050
やっと追いついた!また見にきます。続きが気になる…文才もある>>1の同人誌読みたくなってきたw 
152:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 12:38:14.97 ID:V7u3SwGI0
寝る前に見かけて気になってたので昼休みに一気に読んだよ! 
続き楽しみにしてます!
153:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:19:16.61 ID:C73jG/nL0
みんなこんにちは〜 >>151 >>152 ありがとう。
是非最後まで付き合ってください。 
今回から名前にトリップをつけることにしました。 

ではぼちぼち続きを書いていきましょうか。

154:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:23:35.35 ID:C73jG/nL0
とにかく、俺と板尾にとっては
初コミケってこともあって本当に緊張だった。 
スペースの準備が終わると、いよいよコミケ開始である。 
「…只今より、コミックマーケットを開催致します」 
パチパチパチパチ…!! 
場内アナウンスと共にコミケが始まった。 

板尾「うおお…始まるんだな…」 
「こええ…」

155:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:28:35.17 ID:C73jG/nL0
「…ォオオオオ……!!」 
遠くから地鳴りのようなものが聞こえる。 
板尾「これが…俗に言う…!開幕ダッシュ…!!」 
友人「なんだよそのテンションw」 

こういったものを味わえるのも
サークル参加の面白いところであった。 
果たして、俺たちの本を買ってくれる
お客さん第一号はどんな人なのか。 

ドキドキ…女性がいるわけでもないのにやたら動悸がした。 
正直けっこうしんどかったけど、
板尾たちには黙っていたのはいい思い出だ。

157:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:39:30.67 ID:C73jG/nL0
開幕して5分、10分…くらいだったか。
板尾は割と自身のサイトでも
宣伝していたことがあり 
早々に一発目が売れた。 
俺・板尾・友人「ありがとございます!」 
人のよさそうなお兄さんが買っていった。 

板尾「おお、お…売れたぞ…この手で…直接…売った…」 
板尾は感極まっているようだった。

158:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:44:18.55 ID:C73jG/nL0
俺もただ感動していた。 
本当に、自分の絵を気に入ってくれた人に 
直接向い合って、
直接自分の作品を渡す… 

板尾はやっぱり繁盛で、
すぐに二人目が来る。 
「板尾さん…ですか?いつもサイト拝見してます…」 
俺たちと同年代くらいの、若い男の子だった。 
板尾「マジですか…ありがとうございます…!」 

その時の板尾の笑顔がとても嬉しそうで、
今でも時々フラッシュバックする。 

159:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 16:47:00.63 ID:acwXBqVwO
美大にいて時間もたっぷりあって、
漫画家目指してるのに
この一年頑張れたって自信持って言えない。 
4月にこのスレに出逢いたかった… 

>>1が泣きながら絵描いてたと読んで
本当に自分が情けないorz 
がんがる! 
ありがとう!!

160:名も無き被検体774号+2011/12/12(月) 16:49:05.93 ID:yUkk6pvd0
見てます。追いつきました。 
俺も絵描きなのでとても興味深いです。 
がんばってください
161:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:50:03.87 ID:C73jG/nL0
>>159 いえいえこちらこそありがとう。 
159みたいな人にこそ
是非見て欲しい話なんだ。 
時間が許すなら本当、
最後まで付き合って欲しい。
一緒に頑張ろう。
162:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:51:14.88 ID:C73jG/nL0
>>160 ありがとう。長い話なんだけど、
最後まで付き合ってくれたら嬉しいです。
163:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 16:57:31.26 ID:C73jG/nL0
俺は予想以上に落ち着いた。 
このまま仮に一部もはけなくてもいいな、なんて思い出したのを 
今でもよく記憶してる。 

でも、そんなことはなかった。 
俺はこの時サイトやPIXIVで
雀の涙ばかりの宣伝をしていた。 
それが功を奏したのか。 

俺より一回りの歳の離れた男性だった。 
客「あなたが華丸さん…ですか。
新刊一部お願いします」 
「え、おお…は、ハイありがとうございます…!」

165:華丸 ◆vk8BsG8fow2011/12/12(月) 17:02:15.55 ID:C73jG/nL0
客「楽しみにしてました(ニコッ」 
そう言ってその方は去っていった。 
記念すべき、初めてのお客さん。 
この記憶はもう一生忘れられないだろう。 

「ちょちょ…み、見た!?
俺の本!!売れた!売れたよ!!」 
板尾「良かったなあ。ほんと、
俺たち頑張ってよかったなあ」 

自分の描いた絵を、
誰かが確かに見ていてくれた。 
その事実が本当に嬉しくて、感極まった。 

この時の体験が、
のちの俺を支える本当に貴重な体験だった。

PickUp!