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:忍法帖【Lv=12,xxxPT】2011/09/08(木) 01:42:19.09 ID:sDW+XZlQ0図書室につくといつもの女の子がいつものように静かに椅子に座っていた
俺はおばちゃんたちに挨拶をしてから、佐倉先生にどの子か教えた
佐倉先生は図書委員を見ると「ああ、なるほど」とかなんとか言っていた
どうやら佐倉先生とその子は知り合いらしかった
まあ、佐倉先生は一応先生だから知っていてもおかしくはないんだけど
小中苛められて、高校三年間佐倉先生以外とほぼ会話しない程度には不細工
十分休憩する
佐倉先生が図書委員改め田村さんをよんだ、後から聞いた話だが
田村さんは二年で一年の時に佐倉先生が教科を受け持っていたらしい
「なぁ、お前星とか興味ないか?」
気がつくと佐倉先生は田村さんを攻略していた
ああ、ハルヒに振り回されるSOS団もこんな感じなのかなと久しぶりにラノベ脳を働かせた
こんな感じで佐倉先生の協力で合宿参加者を集めることができた
ちなみに残り二人は田村さんが友達を連れてくるらしかった
興奮した
今思うと金は持ってるはずなのに佐倉先生は本当にけちな人だった
「お前友達いねーのによく学校毎日くるなww」
とか反応にこまること言われたのは良い思い出だ
そんな感じで長く色々あった一学期は終わり、高校一年の夏が始まった
七月は部室でだらだらと過ごした
佐倉先生は暑いからパスと言って
電話一本よこしてこない日もあったが、俺は毎日部活に行った
長期休暇のため自宅からの通学だったが構わなかった、
今思うと何が楽しかったんだろうと思うが
他に生徒がいない校舎で屋上で昼寝したり
望遠鏡で人を観察したりするのは結構楽しかった
一緒にご飯を食べながら合宿での計画を立てた
この季節に見える星等も調べたかったが、佐倉先生が「綺麗ならそれでいい」
というので計画は主に昼間の過ごし方に重点を置くことになった
ご飯は皆で作るとして、昼間は何をするか
冬ならスキーが楽しめるらしいのだが生憎季節は真夏、雪どころか雨すら珍しかった
仕方がないから各自遊び道具を持って現地で何をするか決めることになった
吉井と田村さんには俺が連絡することになり、俺はこの夏初めて携帯電話を買った
当時の俺はアドレス帳にある三件の家族以外の連絡先を見て良くニヤついていた
そんな感じでドキドキしながら七月は過ぎ、
相変わらず佐倉先生としか会わないまま合宿の当日を迎えた
前の日はワクワクして眠れなかった
異性のメアドがある時点でこの>>1はリア充
何回も荷物を確認して、今日の服装がへんじゃないかもチェックした
なんせ家族以外と休日に外に出るなんて小学生ぶりだ、
服も妹に頼んで買い物に付き合ってもらった
三十分も待つと一人目の参加者が現れた
吉井だ
吉井は馬鹿みたいに真っ白なワンピースから馬鹿みたいに太い四肢を出して
のそのそとこちらに這ってきた
額からは汗がだらだらと垂れてまるで蒸気機関車のようであった
天使じゃん
俺は紳士的に控えめに手を振り返した
確かに服は可愛い、服は可愛い
しかしまて、
その服はお前でないと俺に言っている「今すぐ脱ぎ捨ててジャージを纏え!」
本心ではこう言いたかったが、天文部のために休日を潰してまで
参加してくれた吉井を部長として丁重に扱う義務が俺にはあったので
「可愛い服だね、吉井さんはせんすがいいなぁ」
と適当にほめておいた
一緒にバカみたいなことしてさ
切実に思う
集合時間二十分前に田村さん御一行が到着した
田村さんは魔女の宅急便の絵描きの人みたいな恰好をしていて、正直ごちそうさまでした
残りの二人は、一人はハリセンボンのタヒ神に似てて、もう一人はいまどきの普通の女の子だった
確認
吉井、デブ
田村さん、声優の後藤沙緒里さんみたいな感じ、あんなに美人ではないが
木村、タヒ神
内田、普通
佐倉先生は「すまん、ジブリが」とか言い訳してたけど、
珍しくジュースとお菓子を買ってきてくれたから許した
言い忘れたが今回の旅行は佐倉先生の運転で行くことになっていた
正直子供みたいな先生に命を任せるのは心配ではあったが
大丈夫と言い張るので車で行くことにした次第だ
全員一個上
俺は先生の命令で助手席に座らされて先生の話し相手になっていたから参加はできなかったが
他の女性陣達は後ろでトランプなどを行いすっかり打ち解けたみたいであった
観察していると、どうやら田村さんの友達は良い人みたいで
特にタヒ神は明るくトークが中々に面白く見直した
吉井も案外話を聞いていると普通の女の子だった、デブだが
佐倉先生の運転してる様子がやけに一生懸命で可愛かったとか、
高速で届かなくて大変だったとか
出来事と言えばそのくらいだ
なんだかんだで佐倉先生としか会話しないまま車は長野に到着した
都会のゴミゴミした空気とは違い空気が澄んでいるよう気がして、急に気持ちまで大きくなって
佐倉先生の事をさくちゃんて呼んできた、当然すねを蹴られた
田村さんに聞いたのだが、二年女子の間では佐倉先生はさくちゃんとよばれているらしい
デブの書き方に悪意を感じるんだがww
中に入ると少し埃っぽくて止まるには少しあれな感じだった
そこでお昼も近いこともあり登板を決めて掃除と買い出しをすることになった
話しあった結果女の子に買い出しに行かせるのは危ないと
俺と吉井が買い物に行くことになり
その他のメンバーで合宿所を掃除することになった
お店がある所まで徒歩で片道二十分、吉井がいることを考えると四十分はかかると思われた
佐倉先生が車を出せば早いのではと提案したが「疲れた」と言われた
疲れたなら仕方がない俺はそう思った、この頃には俺は佐倉先生の言うことなら
大体許す程度には佐倉先生との上手い付き合い方を身につけていた
かくして、デブを引き連れての従軍が始まった
まさにラノベの世界そのものじゃねえかよクソッ
>>1はいい奴っぽいのになぜ友達いないんだろ
俺もぼっちだったけどぼっちなりに何か珍しいことすればよかった
特に会話の内容も思いつかなかったし吉井と仲良くしたいとも思っていなかったからだ
意外だったのは吉井が案外テキパキと軽快な足取りで歩くことだった、額からは滝のような汗を流しているし
ワンピースも少し透けてて見苦しいのだが、吉井はペースを落とすことなく俺の歩くペースについてきていた
普段なら吉井に気を使うことなんてしないのだが俺は思わず吉井に話しかけていた
俺のいきなりの問いかけに吉井はフゴっとびっくりしたのか鼻を鳴らした
「いや、汗すごいしきついなら少し休憩する?」
立ち止まると吉井はさらに凄い量の汗を垂らしたので、俺は少しびっくりしてつい優しく接してしまった
「ず、ずごじだげ!!」
なんかもう吉井も必タヒだったので俺たちか木陰に行き休憩することにした
あまりに汗が凄かったので、俺はまだ開けていない水のペットボトルを吉井に渡した
水を受け取ると吉井はお礼を言い水を貪るように飲みほした、俺はなんだか申し訳がない気持ちになって吉井にペースを提げて歩く提案をし
それからはなるべく吉井に話しかけるようにした
なんというか、吉井はデブはデブでも好かれるデブのようだった
俺が驚いたのは吉井が自分はデブであることを自覚していて、デブであることを陽気に話してくる明るい人間だったことだ
こいつ生まれる国が違えばもてたのかもしれないなとか考えるぐらいには吉井の事を見なおした、デブだけど
買い物を済ませ往復する頃には吉井とも大分打ち解けたように思えた
そして、もうじきコテージにつくと思われた頃吉井が自分の事を話し始めた
吉井は人には言いにくい内容を俺に話してくれた
それから俺の事を普段誰とも喋ってないから不良なのかと思ってたと笑いながら言った
そんな俺の目に吉井はやけに輝いて写った
多少の違いはあれど似た境遇にも関わらず、笑顔で笑いながら人と関わっていく吉井を見て自分がひどく小さい人間に思えた
また泣きたかったけど吉井がいるから泣くのだけは我慢した
今21、身長は当時は170位で体重は痩せてた
文化系部活で千葉だけど、合宿は長野だった
そして>>1は優しい人間なんだな
誰とも話さないくなったきっかけは吉井にあるよな