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:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/03(土) 23:46:28.16 ID:KAq5yshu0俺は身をよじって必氏に抵抗した。
何度も背中から地面に落ちたがそれだけは嫌だった。
しかし逃れられそうにない。
俺はポケットから携帯、財布、鍵を出して地面にぶん投げた。
先回りしたいとこ2が“そこ”にションベンをしながら笑っている。
そして、俺は、“そこ”に。
──団地の周りを囲う水路、に落とされた。
でも這い上がったらまたやられるから、そのまま水路で半立ちになっていた。
そしてそのままの態勢でいると、奴らは俺の原付のシートにガムをはいて、
団地の階段を登っていった。
俺の身体はしょんべん臭いし鼻血は出てるし歯茎は切れてるし背中は痛いし最悪だった。
まあでもこのくらいですんでよかった、と思い
急いで財布や携帯を拾って原付に乗って帰った。
帰るとお風呂が沸いていた。
どうやら彼女が沸かしておいてくれたらしい。
自分の不甲斐なさに、また風呂の中で涙が出た。
でもなぜか、やってやった、このくらいで済んだ、と思えた。
むしろそう思わないと苦しかったから泣きながら笑った。
外国人編おわり
家もバレてるし。
というかなんというか土地柄なのか、警察に行く、という発想があんまりない。
自分もいいことばっかりしてきたわけじゃないから(いや逮捕とかされたことはないけど)
自分からボコられました、って警察にいく気はしないです。
仕返しとか復讐も怖いしね。
最近ご近所付き合いもしてるし、そんなことでご近所さんとかから悪目立ちしたくない。
次
>>512
をkwsk
彼女は役たたずじゃないよー。
それに親がちょっと有名というか、スキャンダルとか
まずい仕事だから、警察沙汰とかにはできない、
ってことを理解してくれてるんだと思う
など、か。
安価は絶対だもんね
じゃあ、ボコられてはないしボコしてもないけど
そんな感じの面白かった話でもいいかな?
面白くないかもしれないけど
じゃあ中学生の乱闘の話で。
その日は休日で、同い年の友人の江戸と散歩をしていた。
江戸はニート歴4年で、バイトすらしたことがないガチニートで
親から金をせびって暮らしている。
江戸「なんかおもしろいことないかなー」
俺「そだなー」
江戸とは小学校からの仲で、
俺たちはいわばウシジマくんと柄崎のような仲であった。
893
暴走族
チンピラ
当たり屋
DQNカップル
外国人
で残り2回が「など」じゃないの?
しかしそんな江戸はよくぷらぷらしてるせいで、中学生たちと異様に仲がよかった。
最近では、悪に憧れる中学生たちに、コンビニでタバコを万引きさせていた。
江戸はそんなクズだが優しいいい奴なので、俺は嫌いではなかった。
すると江戸の携帯に電話が入った。
>>549
あとは全部チンピラみたいな感じです
ああ、江戸の女か、と思って聞いていると案の定そうだったらしい。
江戸は中学生でエン交をしてるような槍万をだまくらかして
よく家に連れ込んでいるのでそのうちの一人らしい。
ちなみに俺も会ったことがあるが森三中並のブサイクなので壁を殴る必要はない。
江戸「今から公園で中学生が戦うらしいよ」
俺「マジか見に行くか」
左腕をギプスで固めた少年(以下 森くん
スウェットを着たイケメン(以下 モバ男くん
が向かい合っていた。
その周りには俺の出身中学のジャージをきた中学生共。
江戸はここでも名が知られているようで、
つくなり中学生共が
「江戸ー元気かー?」
「おら!江戸!チョップ!」
などといじられて囲まれていた。
するとベンチに座っていた高校生が言った。
高校生「そろそろやれよー」
高校生は携帯をいじっている。
なるほど。いわばこいつが立ち会い人のようなものだろう。
江戸「なんでケンカなん?」
高校生「あ、えっと、なんか、森がモバ男の彼女とったみたいで」
どうやらそんな事情があるらしかった。
モバ男がギャラリーの一人に「携帯持ってて」と携帯を投げた。
江戸「でも森くんギプスじゃん」
俺「確かに」
高校生「なんかそれでもやるらしいっすよ」
しかし森くんはとても強そうには見えない。
むしろモバ男はイケメンのうえにそれなりに身長も高くて、
どうして女は森くんと付き合ったんだろうと思うと不思議で仕方がない。
ていうかむしろ、
今時の中学生って、こんなケンカしたり、彼女作ったりとか、
携帯買ってもらったりとか、進みすぎじゃね?って思った。
俺が中学生のころは隠れキリシタンの如く、彼女がいることは隠していたし、
携帯も買ってもらえずにヤフーメールでやりとりしていたというのに。
まあ高校生になったら携帯どころか制服すら買ってもらえなかったんだけどね。
森くんとモバくんの喧嘩が始まった。
まずモバくんが森くんの髪の毛を掴み、足を蹴った。
森くんはすぐに崩れ落ちる。
ざわめく中学生共、高校生、江戸。
江戸「おらー!森立て!」
モバくんが余裕の表情で森くんから離れる。
森くんもなんとか立ち上がるがどうやら足を負傷したらしい。
最初から左腕使えないのにさらに足まで負傷したら
もうダルマみたいなもんじゃないかと思ったが、誰も止める気配はない。
そして、そこからモバくんが一方的に森くんをボコボコにしていたが、
そこで俺の隣にいた中学生の持っていた携帯が鳴った。
そして中学生はモバくんに携帯を渡した。
高校生「おいまじめにやれよ!」
そういう高校生は、携帯でテトリスをしていた。
モバくんがいきなり高校生のところに来た。
モバ「あ、あのもう親が晩ご飯なんで帰ってこいって言ってるんで帰ります」
高校生「あ、そう。わかった」
まあなんだかんだ言って、結局中学生は中学生なんだな、という話。
次>>600
落ちが
長々とありがとうございました。
>>628
●臭いしおばさんばっかなので速攻やめた
でたー得意のバックレ!!
やっぱ速攻辞めてて安心した
暴走族もTシャツを着てるときの話だった。
その日俺は、隣の市の友達まむしと遊んでいた。
まむしの本名は知らない。
実際まむしではないが、ある日本の蛇の名前で呼ばれている。
まむしは、江戸がSNSで知り合ってそこから俺と知り合ったという、
いわば共通の江戸しか友達がいない謎の男であった。
その江戸もまむしのことはよくわかっていないらしく、
その隣の市に住んでいるということも最近知ったのである。
まむしは、蛇のあだ名さえついているが
物凄くイケメンで、16のときから家を出て歌舞伎町でホストをやっていたらしい。
もちろん嘘か本当かはわからない。
まむしは嘘つきで、おまけに平気で悪意のある嘘がつけるタイプの人間だった。
よく2人組の女の子に声をかけられることが多かった。
「今から4人で遊びませんかー?」
勿論、まむしも心得たもので、うまくお金を出させて
運がよければうまく食べてしまう。
女を女と思ってない割には彼女がいないと落ち着かない。
読書が趣味
元ホスト
そういう微妙な共通点が重なって、俺とまむしは意気投合して
もはや江戸抜きで遊ぶことが多かった。
これはまむしと二人で駅前で遊んでいたときの話である。
・・・・・・
まむしは破天荒な男で不意にわけのわからない行動をすることが多かった。
その日も駅前でぷらぷらしていると、
まむし「暇だね」
俺「そうだね」
まむし「よし、じゃあそこのヤンキーにペプシ買ってもらおうよ」
俺「ヤンキーにそんなこと頼むなら俺が買ってあげるよ」
まむし「いや別にペプシが飲みたいわけじゃなくて
コーラじゃなくてペプシを探させたいだけ」
俺「なんだよそれ」
まむしがいきなり駅前に並べてあったコーンを、数えながら
サッカーボールの如く蹴り飛ばし始めた。
通行人は口をあんぐり開けて某然としている。
もちろん俺もあいた口がふさがらない。
まむし「サッカー部っ!入りたかったんだよっ!
スパイク買えなかったっ!からっ!」
でも俺はまむしのこういうところが好きだった。(友情的な意味でね
結局こういう行動が仇になるんだけど。
まむしのキチっぷりを分かってもらえたところで次に進む。
そして駅前でぷらぷらしたのち、カラオケに入って、あっという間に夜になった。
まむしは隣の市なのでまた電車に乗るため駅に帰る。
まむし「じゃーね」
俺「おうまたあそぼーね」
そのとき。バイクの音が聞こえた。
「ブンブンブンブン!」
というのも、(これで分かる人には分かりそうだけど
駅周辺が有名なヤンキー輩出学校の学区にあたるため、
いわば駅はそのヤンキーたちの地元なのだ。
ちなみにそのヤンキー学校(A学校)の伝説
・仲良くなった友達がA学校出身だったから、普通の人だと思ってたら背中に青龍を背負ってた。
・A学校の生徒とたまたま肩がぶつかってしまったが、とてもいい子で笑って許してくれた。
しかし、その晩、バイク20台が家に来て一緒にあそんでいた友人もろともボコられた
・A学校周辺では893やトラックの運ちゃんなど、怖い格好をしてる人ほど襲われやすい
・A学校の生徒にケンカを売られたので鉄パイプを持って行ったら、相手は日本刀を持ってきた。
逃げようとしたら後ろにもいた。
学生です。
つまり駅周辺の不良や暴走族は、そこらへんの893なんかよりよっぽどたちが悪いのだ。
俺の友達も何人もボコられているし、俺も実際
A学校絡みのごたごたに巻き込まれたことがある。
まむし「お、ゾッキーじゃんゾッキー(笑」
俺「いやお前ここAんとこの学区じゃん」
まむし「は?どこそれ」
俺「話すと長いけどマジでやばいよ。
ハンターハンターでいうとキメラアントくらいやばいよ」
まむし「wwwwwwwww」
*まむしはハンターハンターが大好きですよく、店に入ると
お冷に物を浮かべて水見式を試みる。
まむし「よし、じゃんけんで負けた方が石投げよう」
まむし「いいじゃん。帰る間際にこんなのくるなんてラッキーだよ」
俺「おまやめ
まむしは俺が静止する間もなく、持っていたペットボトルをぶん投げた。
このペットボトルというのが、空ではなく、どこかで使うといって、
カラオケでまむしが小便をいれたペットボトルである。
その小便ペットボトルはバイクの集団のもとへ転がっていった。
俺「バカ俺もう知らねwwwwww」
俺がまむしをおいて逃げようとするとまむしは既に逃げていた。
一般人でも起こるわ
まむしは大声をあげて笑いながら駅前を疾走していた。
やっぱりこいって頭おかしいんだな、と思いながらまむしとは別方向の、
駅の中へ逃げようとすると、後ろから衝撃。
俺はそのとき、衝撃波を食らったのかと思った。
後ろを見ると、息を荒らげてる暴走族くんがいた。
服装はだぼだぼで、なんだか貧弱そうに見えたが、勿論、
バイクのエンジンをふかす音は駅前でまだ聞こえていた。
暴走族くん「○○なめてんじゃねえぞお前」
俺「え、俺じゃないです。マジです」
暴走族くんは明らかに年下だったが、俺は敬語を使った。
これはひどいとばっちりだが、小便の入ったペットボトルを投げられたら
ブチギレるのも当たり前なので俺は事情説明をしに行くことにした。
なんで>>1の名前しってるの、その暴走族は?
バイクにまたがってブンブンやってた。
暴走族くん「連れてきましたー」
バイクは10台ぐらいだがほとんどのバイクの後ろに
似たようなヤンキーが座っているため、人数はほぼ20人くらいだった。
俺は駅前で囲まれた。
ガチで囲まれた。
一応賑やかな駅前で、こんな奴らに囲まれるだなんてことがあるんだ、と思うと
俺は既にチビりそうだった。
それにみんな暴走族なのにバイクを降りていた。
暴走族なのにバイクは降りるんだ・・・と思ったのをよく覚えている。
誰だろ。いろいろ言われる
一番嬉しかったのは玉木宏
>>746
○○はチーム名。
かなり有名で人殺しで引っ張られた人もいる
俺は話すら聞いてもらえないのかなー、と思ってると、
その中で一人、背は高くないんだけど異様にがっしりした人が俺の胸倉をつかんだ。
名倉「ツレ呼べ。投げたツレ」
ドスの聞きすぎてるその声からするに
俺と同い年くらいなんじゃないかな、と思ったが俺はもう怖くてチビる勢いだった。
いや、むしろお腹が下痢気味でチビる寸前だった。
俺は昔から心配事や不安なこと、過度のストレスに晒されるとお腹を下す習性があるのだ。
ちなみに日本のサルにもそういう習性があるるし。
文末、あるるし、じゃなくて、あるらしい、です。
ちなみに名倉は胸倉をつかんできたから名倉です。分かりやすいでしょ?
どうやらこの人は気づいでいたらしく、俺は電話でまむしを呼ぼうと思った。
周りで
「スピーカーにしろよ!」とか
「ぶっ○してやる」とか、そんな罵声が聞こえた。
でもまむしを呼ぶのは躊躇われた。
ここでまむしを呼ぼうが、呼ばまいがボコられるのは確定している。
俺がボコられずにすんでも、まむしがボコられるのは目覚めが悪い。
俺は呼ばないことにした。
俺「投げたの・・・今日街で
名倉「あ?」
俺「今日街で会ったやつだから連絡先とか知らないです・・・」
名倉「おめーよぉー舐めてんのかおい」
名倉「そんなの通じるわけねえだろ!」
そこからバイクに囲まれてゆっくり高架下まで連れて行かれる。
チンピラのときもそうだったんだけどさ、こういう連中って
囲んでなんかするのが大好きらしい。
車やらバイクでやたらエンジンふかしながら、真ん中に俺をおいて
俺に合わせてゆっくり進むんだよね。
後ろのバイクのヘッドライトで照らされてるから、周りの人たちも
俺が囲まれてるってわかってるはずなのに誰も助けてくれさない。
逆に警備でもされてるような気分だわ!
暴走族はバイクを止めて、みんなで俺をぐるっと囲んだ。
今度は名倉じゃなくて別のヒゲ生えたヤツが前に出てきた。
ヒゲ「今からお前シメるけど、警察行ったら家燃やすから」
俺「・・・はい」
ヒゲ「投げたヤツは?」
俺「マジで連絡先知ら
ヒゲ「○○舐めんじゃねえぞ!」
ヒゲが俺の腹を殴った。
強烈過ぎるボディブロー。
今思い出してもマジで気分悪くなる。
ワンパンで倒れた。その時に見たヒゲの迷彩ズボンが印象深い。
知らんやつ「はい次ー」
次のヤツに俺はそのまま引き起こされて今度は膝を入れられた。
「どんどん回せよオラーwww」
「やりかえしてこいよ!」
縦に列ができてることに気づいたのは
何人目かに引き起こされてアッパー食らったときだった。
意識が飛んで、引き起こされて殴られて、ある程度でまだ気絶して、
殺されるのかなーって思った。
もう痛いわ苦しいわでガチで死にたくなった。
「なんもせんとぶっ殺されっぞ!」
デブに怒鳴られたから、殴りかかってくるデブに
殴りかかったけど、簡単にいなされて喉を殴られた。
しかし、その時誰かが言った。
「おいマッポじゃね?」
俺は倒れてたから見えなかったけど、暴走族があわててバイクで逃げる音がした。
もしかしたら駅前の時点で誰かが通報してくれたのかもしれなかった。
それにしても遅過ぎた。
しかし、
警察にバレる→被害届出させられる→暴走族逮捕→殺される
という最悪のパターンが頭をよぎったので、高架下の柱の陰まで這って移動した。
もう涙と鼻血と泡と砂利で顔がぐっしゃぐしゃだった。
あの暴走族たちも、誰かと誰かの間に望まれて生まれて来て、生まれた頃は
みんなに期待されてた可愛い赤ちゃんだったんだな、とか。
俺も生まれたころは、こういう暴力とは無縁な生き方を
両親に望まれて生まれて来たはずなのに、とか思うと、
地べたで這いずり回ってる自分が情けなかった。
パトカー3台は近くで止まった。
そこらへんで懐中電灯をもった警官共がウロウロしていたが
ものの15分もするといなくなった。
来たときと同じようにサイレンすら鳴らさずに。
携帯で友達に迎えに来てもらった。
友達は苦笑いしてたけど何も言わなかった。
ただ、漫画のように片目の周りが真っ黒になった挙句、身体中
痣と擦り傷だらけでしばらく、彼女には会いたくなかった。
まむしとは今でもよく遊ぶけど、あのときのことはお互い何も言わない。
この暴走族事件の次に会ったのは、たまたま駅前で会ったんだけど、
まむし「おーす」
俺「うーす」
まむし「最近なにやってるー?」
俺「ん勉強」
まむし「えら。また遊ぼ」
俺「うん」
こんな感じだった。
やってないです。
趣味は読書です
好きな作家は舞城王太郎と京極夏彦です。
聞いてませんか。すみません。
皆様、長々とありがとうございました。
最後に胸糞悪い文章を投下させていただいてお終いとさせていただきます。
彼女の家に挨拶編
夏の終盤。
いつも通り俺の家で彼女とごろごろしていたときの話。
彼女「ねえねえ」
俺「はい」
彼女「この前、また親に彼氏に会わせろって言われた」
俺「へー。でもこの前ので顔傷だらけだしもうちょっとあとでいいんじゃね」
大切にしてやれ
なんだかんだで出会って付き合ってもう長い。
尽くしてくれるしお金もくれるし、優しい彼女だけど、
なにを焦ってるのかやたら俺を親に会わせようと色々模索していた。
彼女「挨拶も来ないガキだとか言わせたくないから来てよ」
俺「家は嫌」
彼女「ならどっか店でいいから」
俺「ならいいよ」
正直気は進まなかったがそう言った面談関連は苦手ではなかったので、
そろそろ挨拶をしておくことにした。
しかしなんで女はやたら親にそういう事を報告したがるのだろう。
いや俺の彼女が親離れできていないということもあるけど、
そういうことってよくある気がする。
彼女「お母さんスタバ好きだからスタバでいいよ笑」
彼女の母の話は何回か聞いていた。
しかし、2ちゃん脳の俺は、専業主婦と聞いただけで、
専業主婦=わがまま
夫の金でランチ
夫の金でショッピング
夫の金なのにお小遣い(笑
とかいった偏見共がざわめき出してしまう。
そのためあまりいい印象は持っていなかった。
偏見は視野を狭くして人生をつまらなくするのであまりしないようにしているのだが。
そしてその日がやってきた。
彼女の母は先に待ってるらしい。
彼女「めっちゃ楽しみにしてたよ」
そういいながら、大型ショッピングセンターの駐車場に彼女が車を停めた。
そして二人でその中のスタバに向かおうとすると、
彼女が財布から樋口一葉さんを取り出した。
彼女「はい。お金ないんでしょ?」
その通り。
俺は学費やら食費やらの支払いでそのとき既に450円しかなかったうえに
そのお金はあとでタバコを買うためにとっておくつもりだったのだ。
むろんスタバではメニューだけ見て過ごすつもりだった。
俺はありがたく5000円を頂戴した。
彼女「だからそのお金でおごってよね。お母さんの分も。いいとこ見せなきゃ」
俺「ありがとねいつも」
彼女「ううん」
俺はその5000円を財布にしまった。
そして財布に5000円をしまったとき、あることに気がついた。
あれ?5000円あればもっと美味しいもの食べれるんじゃね?
だと5000円だと一人当たり約1660円になってしまうが、
俺だけならばタバコも買ったうえに、5000円がフルに使えるのでは・・・?
隣では彼女が俺の手をとってエレベーターへと誘っている。
俺の彼女はいい彼女だ。
俺がエスカレーターやエレベーターの手すりやボタンなど
不特定多数の人間が触ったものに触りたくないことを知ってて、
エレベーターでもボタンを押してくれて、さらに
他の乗客の視線にさらされることのないよう、豆腐メンタルの俺を
守るように立っててくれている。
しかし、なんか無駄ににやにやしてる彼女の横顔を見てると腹が立ってきた。
俺は・・・バックレたくなってきた。
おいwww
やめろ
あかん
おいwwww
さすがだwwww
俺「うんわかった。降りよ。ちょっとトイレいっていい?」
彼女「うんいいよトイレの前で待ってるけど」
彼女「もうバックれたくなった?今日だけはだめだよ笑」
さすがは腐っても俺の彼女だった。
こいつも俺の影響で
バックレに関する雰囲気を察知する能力がついてしまっているらしい。
しかし達人は刃のない刀でも物を斬ることができるという。
これを即ち心剣と呼ぶ。
俺も心剣のように彼女を傷つけることなく、
オブラートに包んだやり方でバックレたかった。
だがもうそれはこの彼女相手には通用しないらしい。
しかし、行くのは嫌になってしまった。
バックレたい・・・
俺は一回バックレたいと思うと冷や汗が止まらなくなる体質なのだ。
いたくもないはずなのに、自分がなぜここにいるのか、
その矛盾は俺の脳をぎりぎりと締め付ける。
「やりたくないのに、やる」
俺にとってそれは矛盾だった。
いや、今でも大いなる矛盾だ。
無論好きなことだけして生きていけるはずがないけれど、
嫌なことだけして生きているのは生きているとは言わない。
だから俺は、
俺「アンガールズくるらしいよ!」
彼女「へー」
俺「一階の出し物ホール。ポスター見てみ」
彼女「え、どこどこ」
彼女が髪の毛を揺らして架空のポスターを探す。
見つかるはずがない。
俺の指差した先にはカーネルサンダースが立っているだけなのだから。
俺「よ、よく探しな」
言い終わると同時に、駆ける。
いや、翔ける。
リノリウム床を蹴る、蹴る。前進。
俺は、今、この瞬間。
読書よりも、楽器よりも、キスよりも、行為よりも、気持ちいい。
このバックレる瞬間が、一番輝いてる!
彼女が遅れて気づく。だがもう遅すぎる。
俺は既に非常階段を駆け下り始めていた。
彼女「バカ!!!!待って!!!!」
既に鼻声になっている彼女の叫びが聞こえた。
ごめん。
心の中でそう唱えながら、俺はショッピングセンターを出て、
1時間かけて歩いて帰った。
その晩。
俺は焼き肉食べ放題を堪能した。
おわり
今日も会いました。えへ。
終わりです。
残り少ないしごちゃごちゃ居残るのは嫌いなので消えます
長々とありがとうございました。
また機会があればぜひ。
さよなら。
彼女、大事にしろよ