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:名も無き被検体774号+@\(^o^)/2014/07/15(火) 22:57:09.99 ID:hJgcdUYF0.netこれから始まる教育。自分たちの一生を決めかねない大切な教育。
職種教育と呼ばれるものである。
陸上自衛隊は全部が全部みなさんがイメージしてるような戦闘行動をしてるわけではない。
有事の際、すべての日本の機能が麻痺しても自衛隊だけは動ける。
それは自己完結している組織だから。すべてを自分たちでまかなえる力を自衛隊は持っている。
これは自己完結力と呼ばれるものであり、東日本大震災でその力が遺憾なく発揮されたことは記憶に新しいと思う。
それを支援したりする部隊も必要である。これは一般的に後方支援職種と呼ばれ、戦闘部隊と二分されているものだ。
陸上自衛隊では現在16の職種があり、本人の希望と適正、成績によって振り分けられる。
与えられた職種はある一定の階級に上がらないとかえる権利は与えられないし、運良く変えられたとしても長い自衛隊人生の中でおそらく良くて二回ぐらいだろう。
すなわち、そこで失敗してしまうと自衛官人生を棒にふってしまう可能性/もある。
目玉の教育とあって、僕らの目付きは真剣そのもの。
食い入るように説明を聞いていく。
ここでざっとだが俺の主観を交えて職種を紹介していこうと思う。
オナシャス!!
こいつは昔で言う歩兵であり部隊の基幹を担う職種である。
今も昔も歩兵がその地を踏まなければ勝敗は決さない。
最も隊員数が多いはずである。自分たちも新隊員の七割がここに行くと聞いて戦々恐々としていた。
一番キツイときいていたし。でも自衛隊らしいことがしたいならここがいいのかも。
まさに花形!陸戦の王者こと戦車を扱う職種である!
ただおそらく配属先は北海道になるだろうし、車両適性/もあるから人気はあんまなかった気がする。
ちなみにオートバイで偵察するのも普通科とここのはず。間違ってたらすまん
戦場の神こと大砲の部隊!
難聴必須!
高射特科
迎撃ミサイルを扱う職種。ここにはいればただでアメリカにいけるらすぃ
航空科
ヘリを扱う職種。
ヘリパイロットはある一定の階級になるかつ試験を受けないとなれない。大抵はヘリの整備員要員。
航空自衛隊に入りたかった人の多くがここに行く。
施設科
自衛隊の土建屋さん。
宴会が凄まじいとのうわさ。曰く、酒はガソリン。
力持ちじゃないととくにやってけないよー!
後期教育では丸太を持って走らされてた
武器科
名のとおり武器のスペシャリスト。
車を扱う部署もあるがおそらく火器や車両全般をやるのであろう。
輸送科
陸自のトラック野郎。
適性/が物を言う職種でなかなかなれないとのこと。
ちなみに後期教育はただただ大型免許をとりに教習所に通うらしい。裏山。
通信科
モールス信号とかやるらしいが詳しいことはよくわかんない。
ただ隊員はオタクとガチムチ両極端。
衛生科
メディック!普通科にひっついて行動したりするので部隊によっては普通科以上に体力が求められている。
情報科
最近新設された謎多き職種。情報収集が主な任務か?
基本なれるのは陸曹以上か一般曹候補生のみ。
警務科
自衛隊の警察。これも基本は陸曹以上のみ。
ただ儀仗専門部隊の第302保安警務中隊は陸士でも入れる。
ま、容姿端麗が条件だけども。
需品科
んーまぁ一般的に物資の補給が任務かと思う。
楽という噂だが、需品でも落下傘部隊とかは違う。
音楽科
こいつはまず希望しても入れない。
だいたい音大出の人。入隊時に、入る人はもう入ることが決まるらしい
会計科
地雷職種らしい。俺の同期も忙しい時は深夜二時までの残業当たり前。神経を使う職種である。
化学科
まず希望する人はいなかったような。
理系じゃないと無理だろね。主に化学兵器に対抗する部隊。
警務科ってようするに憲兵のこと?
まぁそれに当たるかな
でも一般人は逮捕できない。
あくまで自衛隊員にのみその力を行使できる
そんなこんなの職種教育。
正直これが一番楽しみだった。
俺もいくつか候補を絞っていたけど、最終的には後方職種に落ち着いた。
俺は運よく希望が通ったからよかったけど、同期の中にはそれがかなわなかったものもいた。
俺は当初、どうせ自衛隊に入るなら!やっぱ自衛隊らしいことがしたい!
そういう考えを持っていた。当然、それに見合う職種(機甲、普通)が候補に上がっていたけれど辞めた。
教育をこなしていくにつれて、俺には向いていないと思うようになったからである。(主に体力面)
とても充実した教育だった。
さて、そろそろコミュ障である俺の苦戦だらけの営内生活を語っていこうと思う。
初めての集団生活。年齢も出身地も生い立ちもバラバラの同期たち。
一番苦痛なのは休み時間。わかるよね?(; ・`д・´)
それではいきます!
ベッドバディと呼ばれる二段ベッドの相方。
俺とは正反対でイケイケな奴だった。
俺はどうにもこういうタイプが苦手で、あまり関わりたくなかった。
最初にバディとやる作業といえばベッドメイク。二人でお互いのベッドを作る。
一人でもできなくはないが、結構な時間がかかる。
「・・・・・・・」
お互い無言。最初はなかなか作れないためお互いやり方を確認していくのだが、いかんせん俺は喋れない。
なんとか完成させてはいたが、作業が終われば赤の他人。
すぐにどっかに別の人のところに話しに行ってしまっていた。
どうしようもない孤独感。
仲良くしたい。でも距離を縮める方法がわからなかった。
なんとか話しかけてもすぐに会話が終わってもしまう。
これはその人だけではなく誰に対してもそうだった。
俺が話しかけても素っ気ない感じ。三人いたら二人が話し始める。
こうして周りは仲良くなっていく中で、俺だけが取り残されていっていた。
だからとても辛かった。
洗濯も複数人でやるのだがなかなか言い出せなかったし、買い物も言い出せない。
誰かが言い出すのを待って、とりあえずついていく。
俺が心配だったのは存在を忘れられて先に帰られたりしてしまわないかということだった。
一人で行動なんてありえないから。
いつもポツンとしていた。
やっぱり俺はどこに行ってもこうなんだ。
苦しい。辛い。逃げたい。辞めたい。
これが入隊式前までのお話。
夜。1030に消灯なのだが、みんな寝ない。
話しっぱなしである。よくこんなに話すことあるよな・・・寝ろよ!これが正直な感想だった。
そうこうしているうちに突然始まる猥/談。どこで誰と致しただのそういう話が大盛り上がりで展開されている。
チェリーボーイの俺には衝撃的だった。ただでさえそういう経験が全くない俺。(今も)
世界が違いすぎる。わかりあえない。低イ谷すぎる。そうやって自己を正当化していた。
突然俺に話が振られた。猥/談の。
班員が気を使ってくれたのであろう。
でも俺には経験もないし面白い返しもできない。
変な空気になってしまった。マジでタヒにたかった。
そればかりが俺の悩みの中心だった。
話術もなければ面白くもない。愛想がいいわけでもない。
どうすれば認めてもらえる?どうすれば・・・
悩みに悩んだ末俺が行き着いた答え。
というより、必然的にこうするしかなかった。
とにかく誠実であろうと。必ず言われたことはやり、嫌なことも率先してやる。
班員が困っていたら見返りを求めず助ける。
すべての雑用を引き受ける勢いだった。
黙々とそういった作業をしていると感謝の言葉が。
とても嬉しかった。それからは少しずつ。本当に少しづつだけど、班員とコミュニケーションを取れるようになってきていた。
滅多に笑わない俺がたまたま大笑いしたことがあってすごく珍しがられた。
それからというもの、俺を笑わせようといろいろと構ってくれるようになってきていた。
無愛想だけど笑ったらかわいいと男に言われても嬉しくないけれど、そんな感じだった。
相変わらず自分から話しかけることはあんま無かったけど、そういう奴なんだなとみんな分かってくれたようで、班員は良くしてくれた。
今の俺があるのは間違いなくこの経験のお陰。
いままでなんでもすぐに投げ出してた。すぐに逃げてた。自分には向いてない。できないと。
でもそれは違っていた。臥薪嘗胆。石の上にも三年という言葉があるように、自分や周りというのはしばらくしてみないとわからない。変わっていくのだ。
同時に、誠実であることの重要性/。情けは人のためならずの実践。
多いに自分の糧となっている。
辛い時も苦しい時も励まし合い、同じ釜の飯を食う。
自衛隊っていいところだなぁと思った。
でもいいことばかりでもなかった。
これだけ違う人間がいるのだ。当然見えなかった嫌なところが見えてくる。
俺が一番痛感したことは。
やっぱりいい加減な奴は信用を失うということ。
最初ムードメーカーでみんなのまとめ役。話術も優れている奴がいた。
でもそいつはいい加減なやつだった。
帰隊時間ぎりぎりに帰ってきたり、整理整頓がめちゃくちゃだったり言ってることが違っていたり。俺は関係ないみたいな顔してたり。
自衛隊は連帯責任が当たり前である。そういう奴が一人でもいると全員が被害を被る。
いくら注意してもやっぱり人間は早々変わらないらしい。
結局全員に愛想を尽かされてしまっていた。
誰かに話しかけてももう相手にもしてもらえない。昔の俺みたいな状況だと感じた。
最終的にはそいつは脱柵。昔の軍隊なら銃杀殳である。
思いやりの心。責任感。とても大事なもの。
でも以外と実践できてない人も多いのかもしれない。
関係ないけど俺は結婚してる人ってすごいと思う。男同士すらここまで苦労する。
衝突なんて日常茶飯事。結局どちらかが折れて均衡を保たないといけない。
それが男女となると・・・うーんやっぱりすごい
みんなで笑い合ってときに衝突して。
初めて出来た繋がりだった。初めて離れたくないと思った。
まぁここらへんは別れの日の事と一緒に詳しく話したいと思う。
まだみんなが気になるであろうこと話してなかった!初めての実弾射撃!
まぁここにいたるまでがまー訓練の連続だったんだけどゆっくり書いてくよ!
とりあえず休憩。読んでくれてありがとうございます(*´∀`*)
者なくして捜索するのもあったなー。教官に先に見つけられてとんでもないところに隠されてたり、どんなに探しても見つからないと思ったら教官が持ってたり。
あるあるですなwむしろ教官隠してんだろみたいな淡い期待・・・w
射撃。自衛官だけの特権ともいえるこの行為。
しかし実弾射撃に至るまでは訓練の連続だった・・・
「ついにきたか・・・!」
明日の予定を確認。書かれている二文字に心躍らせる自分。
だがしかし。俺は期待を大きく外されることとなる。
とりあえずは姿勢を教えこむらしい。
射撃の姿勢には二種類ある。伏せ撃ちとしゃがみ撃ち。
伏せうち。腹ばいになって撃つ姿勢である。
左肘と右肘が付いているのでとても安定する。
そして銃と体のなす角度を40度とかあるけどそんなのはどうでもいい。
「ぐああああ…!ギッ…グヌ・・!!」
左腕がとてつもなく痛い。
寝ながら撃つんだから楽だろ。そう思っていた。
甘かった。この状態をひたすらキープひては立ち上がりもう一度この姿勢へ。
「ハアハァ・・・」
姿勢を維持するだけでこの消耗。
嫌になった。
まぁ膝うちって言ったほうが正しいかな?
うんこすわりで膝の上に肘をおいてそのうえに銃を置く。しんぷるー
これは安定しない。やっぱり膝だとふらつく。
「バァン!バァン!バンバン!」
銃声。で は な く 俺らの声。
「オラァー!腹から声だせー!恥ずかしがってんじゃねえぞコラ!」
やめてください半長靴が汚れてしまいます(^O^)
ゲシゲシ蹴られながら発砲の真似事。
ひたすら来る日までは姿勢とコレである。
ばーんばんばーん(●^o^●)ノシ
そして。ついに。その日はきた。
弾帯、サスペンダー、ガスマスクを装備し射撃場まで行軍。
到着。一通り注意事項やら何やらが話される。ちなみに射撃場では走ってはいけない。これ豆知識。
ゴガ!ギィィィ…!
重々しく開かれた扉。物々しい雰囲気が漂っている。
中は薄暗くとても埃っぽい。
あまり長居したくはないなと思った。
「これより班長が実演をする!安全装置ヨーシ!一発入り弾倉弾込め!」
(゚A゚;)ゴクリ
静まり返る場内。仄かな明かりが班長を照らし、そこに視線が集中する。
慌てて耳栓を装備しその時を待つ。
「射撃ヨーイ…テェ!!」
・・・・・・ズ ド ン !!!(キィーン!)ビリビリビリ…
!?!?!?!?
なんだこの衝撃は!?
想像以上すぎる。開いた口が塞がらない。
「いっぱっーつ!!」
コウカンから飛び出す薬莢。
心臓が痛い。
一度撃ってしまえばなんのことはなかった。
呼吸を意識し、しっかり照準を合わせる。
ちなみに射撃は年に一回検定として実施される。
よい成績を納めれば射撃徽章なるものがもらえて、制服につけることができる。
俺は部隊に配属されてからこれをつけることが出来た。う、嬉し過ぎる…
射撃はのんびり屋さんが成績がいいというのは自衛隊では常識。
その性/格で苦労してきた人も自衛隊で重宝されるかもしれない。
ガス室は最初はなにも感じなかった。
はっはーん?余裕ジャン!?
・・・あれ、あれ?眼痛くね?痛!ヤバイ目開けられない!
涙と鼻水で顔面がぐちゃぐちゃ。
班員全員でその状態で歌を歌えと強要してくる班長。
あんなこーといいなぁ!でーきたらいいなー!(半ギレ)
どんな状況だ。
ガス体験も懐かしいなぁ…
うちの班は自己紹介で名前、出身地、アレのサイズと歌だったわw
しかも班長がハンディカムで撮影してて教育隊終了時、皆に苦労した3ヶ月の総集編ビデオをプレゼントしてくれた(再生時間5時間の大作)
班長の愛を感じる・・・w
手榴弾投擲訓練。
これも姿勢、投げ方、持ち方全部きまっている。
主に膝立ちになり、その状態で投げたあと倒れ込む。
「えーいにゃー!」
ポスン…テンテンテン。
俺はボール投げが大の苦手である。当然飛ばせない。
投げて倒れ込む最中、班長が肩をゆらしながらズンズンズンとこっちに向かってきているのを見た。
靴磨き決定ー(●^o^●)
「テメェーコノヤロー!仲間杀殳す気か!!」ガシガシ!
靴が執拗に蹴られる。
ごめんなー俺に貰われたばっかりに。
大浴場に班員全員で隊列を組んで向かう。
この浴場、新隊員が一斉に集まるためめちゃくちゃこむ。
桶をもったまま大行列。
そこで始まるのはなぜかアレの大きさの比べ合い。
いや本当に勘弁してください(^O^;)
見せびらかすように仁王立ちになり比べ合う同期。
目があってしまった。
「
も参加したいってさ!!」
ああああああ!!
結局参加した。大きさはノーコメントだけど!
そしてこれもまた一斉に外出するため最寄り駅は自衛官が杀殳到し大混雑。
ゴキブリか!
なんの秩序もなくワラワラ湧いてる陸上自衛官の横でビシッ!と隊列を組むセーラー服の集団が。
「いいか!お前らはコイツラとは違う!誇りを忘れるなよ!」
聞こえてるっちゅーねん。
ちなみに最寄りのバス停は使用禁止になってしまった。しょうがないね。
街も自衛官だらけ。自衛官割引がきいたりお得なこともあるけど、気は休まらなかった。
フル装備で歩く。ただこれは根性/でいけた。
きつかったけどね。突飛つして書くことはない。
教育をこなしながら毎日を繰り返す。
貧弱だった肉体も気付けばバキバキになっていた。
多少のことにも動じない精神力もついた。
全ては最後の試練に向けて。
ブロロロロロ・・・・
俺達はトラックの荷台に乗って揺られていた。
中央には積み上げられた荷物。
そこに頭をつけて寝ているものもいれば、神妙な顔つきで佇んでいるものもいる。
後ろから見える風景は建物、高速道路など見慣れたものから徐々に見慣れないものへ。
空気もこころなしか澄んできているように感じる。
エンジン停止。荷物をおろし列を整える。
バダバダバダバダバダ・・・
空でヘリが舞っていた。
突如聞こえる砲撃の音。
大地は整地されておらず大小様々の岩だらけ。
視点を遠方へ向ける。霧がかかってはいたが、はっきりと確認できる。
富士の山だった。
これから俺達は教育の集大成、最後の試練である富士の野営を決行しようとしていた。
短いようで長いこの期間をこの地で過ごす。
天幕はあらかじめはられていて荷物をそこへ。
中隊長からの訓示があるとのことで、列を組みその時を待つ。
きた。緊張が走る。
「気おつけぇー!!!!」
「中隊長に敬礼!!」
「かしらああああー!!!なか!!!」
ビッ!
「休めぇ!!」
この流れももう幾度となく経験した。
もう考えなくても体が反応してしまう。
目付きも。言動も。顔つきも。
数ヶ月前の俺とは別人のようだったに違いない。
よくここまで耐えてきた。
あとはここを超えれば晴れて君たちは自衛官だ。
最後の試練。境遇を楽しめ。
こんな感じのことをいっていた。
もう俺は迷わない。
必ず全員で自衛官になると。
闘志をうちに秘め、俺達は解散した。
正直何日に何をしたかとかは覚えていない。
でも、ここで感じたこと、学んだことを伝えていきたいと思う。
また時系列がとんだらごめんちゃい(´;ω;`)
もともと顔つきも険しい+無口だったが、そこに鍛えてきた体も加わって、貫禄やオーラがすごいらしく風格だけは幹部自衛官と言われていた。
自衛隊じゃなきゃ損なことだらけだろな
・・・・・
その日のうちからもう訓練は開始された。
確か記憶では山をまわっていたような。
そこで区隊長みずから先頭に立ち、薬草の説明。
これは毒がある。これは食える。これはダメだ。
へーと感嘆するばかり。
あとは偽装の説明とかかな?
草を拾い集めて迷彩服に装着しより敵から見つかりづらくする訓練。
だがここで俺は想像を絶するような苦痛を強いられる。
あとにも先にも、これより辛いことはない。というような。
銃を持ち整列。おなじみのハイポートである。
俺はやる気まんまんだった。やったるぜ!と。
お馴染みの掛け声とともにいざ出発。
最初はふんふーん♪だったが途中から違和感に気づき始める。
コ レ ハ イ ッ タ イ ド コ ガ ゴ ー ル ナ ン ダ ?
走っても走っても走っても!
先頭が止まる気配がない。
「ハァハァ…!」
もたつく足。声ももう出なくなってしまった。
気付けば先頭集団から引き離されていた。
周りを見渡すと俺と同じような状況の多くの隊員。
ついに足が止まる。
「ぜーはー…ゼーハー…ウッ!」
こみ上げてくる嫌な感覚。
俺は自衛隊生活二度目のゲロをぶちまけた。
それでも誰も助けてはくれない。
ゴールするまでは終わらない。おわれない。
逃げる訳にはいかない。
同期たちと励まし合いながら、先が見えないゴールへ一歩一歩。
途中途中で悲惨な光景も目撃した。
過呼吸をおこし倒れ込む隊員。
泣きながら走る隊員。
ひきつけや痙攣をおこし、動けなくなる隊員。
結局、2時間近く走っていた。
3分の2の隊員が走破できずヨレヨレになりながらなんとかゴールへ。
ゴール地点は広大な草原だった。
つかの間の休息。空気を目一杯吸い込む。
うまい!水もガブガブ。
だが、本番はこれからだった。
伸びたような…何とも言えない断崖が広がっていた。
ここをこれから登り敵陣を奪取する。
班長から告げられる作戦内容。
…じょうだんだろ?
もう、満身創痍だった。
ほとんどの隊員がそうだったに違いない。
でもやるしかない。
配置につく。
「状況開始!!!」
途中途中でいろいろな自然の障害。
崖だったり、大きな岩だったり。
傷だらけになりながら前に。
小石が突き刺さり出血する。構うもんか!
バババババババ!!
上空の高台から射撃音。
「伏せろ!」
班長の切迫した声。どうやら敵兵が上から狙撃しているという状況。
「前へー!」
匍匐で進んでいく。銃を落とさないように。
ズザザザザザザ…
ハァハァ!ハァハァ!
肉体はもう限界に近い。
「いくぞ登れ!」
ハァハァ!グッ…!
角度が急すぎてなかなか登れない。
下から同期が押し上げる。
「負けるな!すすめ!」
「「うおおおおおおお!!!」」
全員で大声を張り上げ一気に駆け上がる。
登りきったその先には敵に見立てた的。
「やあああああ!」
銃剣を装備して突き刺す。
フラフラしながらへたり込んでしまった。
状況終了。
本当に疲れた。いままでで経験したことがない疲労。
銃も泥だらけになってしまっていた。
ごめんなぁ・・・?
さすがに帰り道はトラックだった。
途中でとまりまたハイポートしだすといった時は流石に区隊長の頭を疑った。
天幕へ帰投。
だがいまは富士の野営中。
暖かいベッドも。ひねれば出る水も。押せばつく電気もなにもない。
痛感。痛感という言葉しかない。
どれほど今の生活が恵まれているのか。
どれほどその恩恵に預かっているのか。
電気はライトで最小限照らし、水は水トレーラーから組み上げる。
寝床は簡易マットで寝心地最悪。
腹が減ったからといってコンビニにもいけない。ジュースもない。娯楽もない。電化製品も使えない。
これは駐当地に戻ってきたからだけど、本当に現代の生活に感謝した。
あまりに当たり前すぎて今まで気が付かなかったこと。
大きな大きな収穫だった。
読んでくれてる人ありがとさん(●^o^●)
は何を患ってたの?
患ってたっつうより抑うつ状態。
メンヘラ気味って言ったほうが正しいのかな?
精神科にも通って薬ももらってた。
この時は薬付にされる。もう終わりだって本気で思ってた。
エピソードね・・・随時やってくかな
任期を満了せずやめる人ってのは滅多にいないよ
俺が経験したのでは脱柵が二名くらい