なんで普通に見えてるし、普通に触れているの!?
俺なんかそれで来ただけで超感動していたのに!?
この家ではデフォなの、普通なの、寺生まれのTさんでも居るの!?
S子は一体どうしたの!?
一同「「「「「…………。」」」」」
やけに静まり返る居間。
オレ「…………。」
ホカ「「「「「……………。」」」」」
姿が見えない人や感じない人も、空気に負けて静かになっている。
北祖母は、S子の手を握り「大丈夫よ」と微笑むと、その手を離した。
そして、怖い目状態で睨みつけている親戚たちへと、視線を向ける。
まるで拍手デモしたかのように、鋭い声だった。
祖母の声が頭へガツーンッとぶつかる。
他の人たちも、段々神妙な顔つきになってきながら、祖母へ言った。
特に人の発言にこだわりないので「叔母or祖父+他」で「叔他・伯他」で言いますね。
伯他「直に除霊しましょう!」と。
叔他「お母さん、見えているんでしょ!?」
伯他「そうです!直にあげた方がいい!」
叔他「ここに置いておくには大きすぎる!」
叔他「神社へ直に連れて行きましょう!」
伯他「その方がいい!」
オレ「な、何を言っているんですか!約束は三日後だと!」
オレは立ち上がり叫んだ。
見ればS子は今にも泣きそうな顔で怯えている。
オレは伯父や叔母、あとその子供から「分からないの!?」とか「これだから都会は」とか、とにかく罵声を浴びた。
いや、罵声より、心配して言ってくれている言葉が多かったかもしれない。
オレはムキになって怒鳴り散らしながら、S子の傍へ行った。
それを見て「憑りつかれてる」とか「操られてるんだ!」とか。
それを聞くたびにS子が悲しい顔をしていき、俺がそれを大声で否定して、励まし。
情況が呑み込めてない人や娘息子さんの中には泣いている人が居た。
そりゃそうだろう。
大の大人たちが、訳の分からない事で大声で怒鳴り合っているのだ。
祖母は正座し、その様子を静かに聞いていた。
テーブルの上に会った物は、いつの間にか台所へ避難されていた。
恐らく北祖母が指示を出したのだろう。
そうなってからは、かなりの乱闘状態だった。
テーブルを叩く人から、テーブルに足をかけ、俺へ怒鳴る人。
オレと同じで立ち上がり、怒鳴ってくる人。
オレはS子の前に立ち、S子を守るつもりで、庇うつもりで、
かなり怖くて足震えていたけど、ひたすら立ち向かった。
その間、やはり北祖母は動かない。
何を言っているかサッパリ分からないが北祖父はS子を庇っている。
従B「いい加減にしろよガキ!!!!!!!」
見事に日焼けしたムキムキのDQN土方の様な従兄が声をあげた。
この従兄、既に子供と奥さんが居る。
歳は俺より下だ。
従B「お前が連れてきたそれは、どう見たって普通じゃない!」
従B「危険に晒す気かッ! ボケ!!」
そう言いながら鳥肌を見せる。
他の人達も「俺も俺も」と見せてくる。
従B「何もできないから、ここに来た奴が何偉そうにしてるんだ!!」
オレ「アンタらこそ、何も知らないクセに偉そうな口叩くな!!」
その言葉に頭に来たのだろう、従兄Bはオレへドスドスと迫る。
北祖父が立ち上がり、何故か従兄Bへ突撃していく。
かなり切れてた。
それに触発されたかのように、伯父連中は立ち上がりテーブルを退かし、コッチへ攻め寄ってくる。
北母「貴方たち、いい加減にしなさい―――ッッッッ!」
ようやく、この家の主が声をあげた。
やけに耳へ突き刺さる声だった。
北母「女の子に寄ってたかって、恥はないのですか?」
正座して微動だにせず、ただその位置から、オレや全員の目を睨んでいた。
正直、かなり怖かった。
S子「……ごめんなさい」
ようやくS子は声を出したが、それは謝罪の言葉だった。
オレは酷く胸が苦しくなった。
S子「ごめんなさい……ごめんなさい……」
オレは今までの経験から察した。
絶 対 不 味 い 事 に な る と 。
それは不幸にも的中した。
S子「ごめんなさい、ごめんなさい。オレさんごめんなさい」
オレは慌てた様子でS子を励ます。
なお姿が見えない人には、かなり奇妙だったらしい。
北母「そうです。ウチの家の者が失礼しました」
S子「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
微かに、家が軋んだ音がした。
従B「――! 退けッ!」
北祖父を伯父さんへ投げつけ、そしてオレへ迫った。
――そしてアッと言う間にオレは従兄Bに殴られていた。
S子「オレさんッ!」
S子の心配する声が聞こえた。
『ギシィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
とんでもなく、恐ろしいほどの軋む音が家じゅうから響いた。
我が家で聞いていたラップ音や軋みと比べものにならないほど大きな音だった。
北母がS子の手を握り、何かお経の様な言葉を呟いていた。
かなり長い間、家は軋んでいて、全員が分かるほど揺れていた。
従Bも、何かお経の様な言葉を呟いていたが。
北母「お前は何も言うな!言う資格はない!」と一喝。
従兄Bは舌打ちをすると、子供を連れ庭の方へ飛び出して行った。
お経なのかな、今までテレビでも葬式でも、聞いた事が無い分類の言葉だった。
それがこの家独自のお経だと気が付くまで時間が掛かった。(特定されるかな?
S子は、泣いていた。
ただ、いつもと一つ違っていた。
いつもは泣いていても涙など見えない。
ただ、この時はボロボロと涙をこぼしていた。
北母「オレもコッチへ並びなさい」
言われるがまま、俺はS子の横に正座した。
そしてS子の手を握る。やはり冷たい。
いつもなにか北母は数珠を持ちながらお経を唱えていた。
他にも何人かの伯父や叔母がしていたが、
北祖母は一人ずつ目で合図を送り、一人ずつ家から出して行った。
そして、最期には北祖父と北祖母だけの状況になり、
庭では不安そうに伯父や叔母、その子供たちがコッチを見ていた。
北祖父は、本当に何を言っているか分からないが怒鳴りながら庭の方へ向かって行った。
北母「まったく……困ったことをしましたね」
S子「……ごめんなさい」
北母「いいえ、貴方はオレを守ろうとしたのでしょ?とてもいい事よ」
S子「は、はい……。」
そして北祖母は何度もS子を褒め、頭を撫で、そして微笑んでいた。
S子は下を向いたまま、泣いていた。そしてオレの手を強く握ってきた。
北母「それより、オレ……」
オレ「は、はい……」
北母「貴方、どこで”封印”を取ったのですか?」
オレ「ふ、封印?」
北祖母が言う言葉が俺にはさっぱり分からなかった。
北母「それと貴方様が居ながら、何で止めないでいたのですか?」
さらに北祖母は、俺のS子と別の方向を見ながら尋ねていた。
オレにはカオスの他、なんでもない情況だったが。
とても大切なことと、色々な謎が全て解けて行く事になった。
また明日来ます。唐突なのですがごめんなさい><;
…………ラップ音が家の中でヤバイなう(´∀`;)
S子ではないのだけど、すげーヤバい。パンパン、パキパキ、ギギィってやばい。
出来過ぎた展開だけど、多分心当たりあるので、今日は一端ストップします。
続き楽しみにしてる!!
S娘は何処かの神。
オレ氏は自身の未知のパワーが暴走。
従兄弟Bは、北海道一族でも面汚しな存在。このあと死す。
マジレスするけど、
俺はお前の話を聞く限り、話してはならない話をしていると思う。
お前自身が壊れ始めない様に注意しろよ。南無阿弥陀仏
その制服ってゲームとかアニメとかに出てくる学校の制服
もしくは制服のデザインが変わったからわからないとか
>>1の住んでいない地域の制服なんじゃないの?
あとそういうたぐいのものって縁故や因縁とか関係するんじゃないの?
朝に用事が入ったのでそれ済ませてからだから、昼になると思います。
>>507
クソワロタwww
話してはならない話か……そうなのかもしれないけど、俺は話しても良いと思ってる。
恐らく従兄(医学生)から北海道に連絡行っていると思うんだ。
ただ、怒られていないし、親父も分っている。もちろん隠すべきところは隠してる。
隠し切れてないのは、俺の変態部分だけだと思ってる……
>>509-510
コスプレって線は疑ったけど、本人は覚えてない状況だったしなー
あと書かなかったけど、S子は結構色々な場所を移動していた、と話しから推測できた。
海とか山とか、流される様にトラックに掴まって場所を移動していたとか、
怖い人(除霊とか幽霊に過剰反応する系の奴)が居ると遠くまで逃げる為に移動していたとか。
そう言うのを聞くとなんか、探し出す自信なくなったww
休憩してから……頭クラクラする……
>>512-514
な ん だ ろ う 、 否 定 で き な い 気 が す る 。
怒男クラスの守護霊は本当に特殊みたい。
北祖母が見つめる先は誰も居ない。
ただオレは不思議と頭の中でそこに居る人が誰だか分り、姿が見えた。
……怒男だ。
あの目付きの悪い着物を着た大男が腕を組みながら仁王立ちして、北祖母を睨んでいる。
目付きが悪いから睨んでいる様に見えただけかもしれない。
この時の俺の怒男の見え方は特殊で、
人を思い出す時の様に、頭の中で情景を思い浮かべる様に、そんな感じで見えていた。
北母「貴方様は、どうしてオレを止めないでしたのでしょうか?」
怒男「……」
北母「まさか……止めれなかったのですね?」
祖母は驚きながら言い、俺の頭の中の怒男は申し訳なさそうに頷いていた。
オレは意を決して北祖母へ頼んだ。
この時、北祖母がやたらと怖く思えていただけに、絞り出したかの様な声だった。
ただ、それを見て北祖母は「ぷっ」と口を押えて笑った。
北母「そう構えなくて良いですよ」
オレ「へ、え?」
北母「オレは分からないままでしたからね」
話しはかなり遡る。
オレが群馬で地縛霊を引っ張ってきた時だ。
この時の地縛霊は怨霊の中でも害悪な女性だったらしい。
ただ、”地縛霊”と言う名前の通り、その怨霊は土地に縛られている筈だった。
その土地で悪さを働き、誰かを呪い、誰かを苦しめる、そう言う存在だったらしい。
北母「そんな存在をも貴方は引き剥がし、強引に引き寄せる、それほどまでに強い力を持っている」
簡単に言うと、俺が幽霊に憑りつけるような感じだろうか。
地縛から解放された怨霊は、引き寄せるオレを利用し、周囲へ悪影響を与える様になっていたらしい。
半場、俺が”霊を自縛する土地”の様な状態だったそうだ。
親父と母親が、除霊事を出来ると知る北祖母らへ、助けを求めたらしい。
それを察した当時の北祖母とその母親、北祖父、親戚たちは、今の様に集まり、
これからS子を天国へ連れて行く神社(元々は寺)へ、怒男が祀られている社で、お祓いをしたそうだ。
同時に、俺の無差別に強すぎるチカラも封じ込める蓋を付けたらしい。
オレの蓋は無く、抑え込む事も任されていた怒男も抑えられず。
結果、俺のチカラが暴走していたらしい。
どんな中二病だよ。俺腕から龍でも出てくるのかよ。
また、そのような状態になれば、周囲の霊を無差別に引き寄せていただろう、と北祖母は言った。
だが、そうならない”存在が二人”が居た。
一つは、怒男だ。
怒男が、S子以外の霊を追い払っていたのである。
守護霊としての仕事をちゃんとこなしていたのだ。
もう一人は、何を隠そう『S子』であった。
S子の霊力は、それは怒男と同規模で、時代が時代なら祀られている様な存在らしい。
きっと生前もかなりの霊力の持ち主だったと伺えますね、と北祖母は言っていた。
そのS子の霊力は凄まじく、また存在が一般的な霊と異なる。
故に、引き寄せられてきた霊が一方的にS子に追い飛ばされる状態だったらしい。
言うなら、強引に合コンに呼ばれたのに、途中で帰っていいよと言われてるような状態。
それが周囲の霊たちだ。
なんか可哀相だと失礼ながら思った。
北祖母は『迷惑な二人』とごもっともすぎる様子で笑っていた。
北母「それにオレが、その子へ、周囲のチカラや自分のチカラを渡しているですよ?」
オレ「は、はい……?」
それは愛のパワー……なのかどうか分からないけど、
S子と俺は霊的部分で深く繋がっているそうだ。
言わばパイプのようなもので、それを絆と言うなら絆だし、互いの生命を共有しているとか、なんかよくわからない状態らしい。
フェイトの様な感じだろうか?
S子は一体なんの英霊だろうか。
ともかく、俺のそのパイプがもの凄く厄介で、とにかく周囲を巻き込むらしい。
今回、S子が起こしたラップ現象がすさまじかった理由。
それは俺が周囲の人達(霊力強い人たち)から、霊力を吸い上げて、全てS子へ供給していたからだそうだ。
S子自身もかなりのチカラを持っているが、それを過剰に上乗せするかのように俺がチカラを渡していたらしい。
北祖母がそれに気が付いたのは、S子を慰め清めているのにも拘らず、力があまり衰えなかったからしい。
本来なら、S子が泣き落ち着いてきた時点で、怪奇現象は収まるはずなのだ。
なのに収まらない、……と言った所でオレが原因だと気が付いたらしい。
なので祖母が一人づつ、家の外へ出して行き、オレを北祖父と結界の中へ閉じ込め
ようやく完全に落ち着いた……と言う所だそうだ。
ちなみに>>504はオレが原因である^q^
S子との思いでを強く考えすぎたせいで、なんかやらかしそうだった。
北祖母からは、とにかく落ち着きなさいと言われた。
オレとS子は、北母に「もう大丈夫だから」と言われながらも、
S子には頭を撫でながら何かを唱え、オレには北祖母がしていた数珠を渡された。
なんか、本当に申し訳ないことをしたのは分かったのだけど、
今一現実的じゃなさ過ぎて、なんかもう、ヘラヘラしてた。お互い。
ちなみにS子は「神霊的存在」と言われてメッチャ照れてた、可愛かった。
うん、親戚には悪いけど、可愛かった。
それ所か、北祖父が頑張ったのか、なんか「オレ君凄いの連れて来たなーw」と笑う人の方が多かった。
その一方で叔母さんや娘さん、伯父さんや息子さんの何人かは、神社へ向かい、
北祖母は家の結界を張り直すのと、土地の傷を治すのに務めていた。
S子や俺には、裏庭の小さな石を重ねただけの祠に手を合わせ、謝りをするぐらいしかできなかった。
その時、蝋燭の炎がかなり激しく燃えていたのを北祖母は見た。
北母「今の状態でオレが死んだら、ろくな死に方しないね」
となんか笑顔で言われたんだけど、怖い。
オレも感情的になってすみませんでした、と謝りながら相手をしないつもりで居た。
ただ、少ししてから、祖母が「さあ、家で今日は盛り上がりましょう」と言い始まった宴会。
その席で、伯父さんらの計らいでオレと従兄Bは隣の席になった。
なお主のすぐ横であるため、かなり背筋をお互い伸ばしていた。
従B「……さっきは本当に悪かったなァ」
ビールを飲みながら深い声で言う従兄B。
オレ「い、いえいえ……」
オレはスクリュードライバーを飲みながら抵抗。
従B「あそこに居るのが俺の娘なんだよ、かわいいだろ?」
そうして、従兄Bが激怒していた理由が判明した。
従兄Bは、見た目通りのかなりの不良で、娘さんを授かったのは12の頃。
まじかよ!?俺なんか未だにDTだぞ!?まじかよ!?
12とかエロ同人誌みただけで、パソコンウィルス感染したとか思って泣きながら親父に白状していた年齢だぞ!?
従B「いやー、大変だったよ……」
もちろん北祖母はかなり激怒して、従兄Bを半殺しにしたそうだが、従兄Bは只管謝罪し許しを得たそうだ。
Bの彼女さんは、不良とはかけ離れた優秀な女の子だったらしい。
Bが自慢する娘さんは確かに頭が良さそうで、学校でもモテるんだろうなーっていう美女だった。
なお、俺は従兄Bに「美女だろー美女だろー」となんかスゲー言われる度にイライラしたけど、認めるよ(´∀`#)
ともかく、Bはその子を遊んでやろうと詰め寄り、
そう言う子ほど危険な遊びに心揺さぶられ行為に及んだ……
かなりあり過ぎて困る不良武勇伝だ、
ただ、違ったのは、そのまま彼女のことが好きになってしまったことだろう。
従B「向こうの親御さんにも殺されかけたよw」
ただ、妊娠を隠していた時期が長く堕ろすのは無理な状態になっていた。
さらに何より北祖母と向こうの親も「水子」にするのは嫌っていたらしい。
かなりの難産だったそうだが、その年齢にしてはかなり元気な娘さんが生まれたそうだ。
従B「だから一生懸命、アイツを支える為に働いていた。もちろん中卒」
そう言いながらどんどんビールを飲んでいく従兄B。
この先閲覧注意。
かなり重い話だった。
イカツイ従兄Bはボロボロ泣いていた。
出産したが、周囲の好奇な目と、嫌がらせ、暴言、恥ずかしい言葉。
オレは経験してないから分からないけど、町の人が全員知っているような状況だったらしい。
それでも負けずに二人は頑張って生きて子供を育てていた。
ただ、三年前、従兄が18の頃、悲劇が起きた。
彼女さんは娘さんが幼稚園に行くようになったのをきっかけに稼げるように大学に入ったらしい。
ちなみにその大学の先生と、北祖母が知り合いで、恐らく裏口じゃないけど、何等かの取引したんだろうね。
最初こそうまく言っていたが、なんと彼女さんの元同級生が居たそうだ。
そこから彼女の噂は一瞬にして広まり………。
なんと彼女を襲った馬鹿が居たらしい。
それもギリギリ未遂だったが、幼い娘の目の前でやろうとしたそうだ。
そこに従兄Bが早帰りし、発見し、半殺しにし……の状態に。
オレは何も飲めないし、近くで聞いたS子なんかメッチャ泣いてた。
そりゃ泣くわ。
ただ、それが耐え切れず、大学でのイジメも酷く……。
何より襲われかけた事実に心身疲労。
彼女の家族とは絶縁状態。
何度も足を運んでいた北祖母ともあまり合わなくなり。
従B「……もう娘しかいない」
その言葉で、もう全てを悟れた。
その日、北祖母の家に娘さんが一人で現れたらしい。
聞けば彼女さんと来たが、彼女さんはいない。
――察する通り、自●していた。
その日の夜、「なんで一緒に居てくれないの?」や「貴方に会いたくなかった!」と夢の中で従兄Bは責められたらしい。
そして、数日後にその一報を聞いた時は、あと追おうと考えたとか。
従兄は、子供の支援団体のボランティアしていて、結構こういう出来事を持っている人だし、学校で話して回っているらしい。
ちなみに、書き込みする前に本人に一応許可得た。
意外と笑ってて、ちゃんと広めろよ!とか言われた。
なにをどう広めればいいのか……(困惑
>>527
ただ、娘さんを一人にする訳に行かず、真面目に刑期を務め短縮し、出所。
と言うか、刑務所内でも内容が内容だっただけに、刑務官や受刑者たちとの関係は良好だったそうだ。
その後は、北祖母に頭を下げ同居させてもらい
真面目に働きながら娘さんを育てているらしい。
さて、激怒した理由について語ると。
従B「さっき、妻の声が聞こえた。”●●(娘)を守って”ってな。
振り向けば、娘は顔色悪くして座り込んでるし、その原因がその子だって直に分かったよ
俺も鳥肌凄かったし、その子は本当にマズい存在だって意識しなくても分かる。」
従兄Bはそう言いながらも、頭を下げ、再び謝罪された。
流石に俺もS子も何とも言えなくて、寧ろコッチが頭を何度も下げていた。
そんなこんながあり、従兄Bも「良い奴だな」と言われ、関係はこの親戚一同の中で一番仲良くなった。
明後日、儀式をするそうだけど、その前の日ぐらいは気楽に遊びましょう、ってことだった。
北祖母「……実は、従兄Aと親父からのお願いなんだよ」
そうとだけ言われた。
察するに、従兄Aと親父はオレがS子に好意を抱いているのは分り切っていた事で。
だからこそ、天国に送る前に思い出をつくらせようと言うことなのは見え見えだった。
北祖母は、もう一度俺らに何かを念じたあと「大丈夫」と言い去って行った。
客室には、律儀に布団が二つ並べられていた。
一つはオレので、もう一つはS子の……と言う事らしい。
ただ、寝つくまで大変だった。
S子は只管謝って来るし、オレもなんか謝っていたし。
ただ、長い旅で疲れていたし、色々あって疲れていたし、……で気がついたら寝てしまっていた。
気がすむまで話します。にしても、かなりの長文なのは気になっていた。
ぶっちゃけ読んでいる人少ないし、滅茶苦茶レス独占して投稿しちゃおっかなーってぐらい、
憂さ晴らしに利用していたけど
見ている人が意外に多いのかな……、もうすこし完結に話せるように努めます。
あと、多分、話していてなんか辛いのは、説明部分が多すぎたからかな。
ちょっと、話をまとめるついでに、休憩してくるよ。
やっぱり今日は暑すぎる……クーラーきかねェ。
>>534続き
まだ薄らと暗い早朝にオレは目が覚めた。
慣れない畳の上で寝ていた事もあり、背中が凄く痛かったのをぼ得ている。
ただ、そんなのを考えているのもつかの間。
隣居るはずのS子が居なかった。
それで「また消えた!?(・∀・;)」とか思って、とりあえず大慌てで居間へ向かうオレ。
やはり昨日の一件で……とか思いながら、また大騒動になると思っていた。
居間につくと、親戚さん達が布団を並べて寝ていた。
オレとS子に気を使ったのか、S子が居るからか分からないけど、皆大きな今で寝ていた。
テレビで見る山小屋のような感じ。
もちろんS子の姿はない……と思ったら台所から声がした。
北母「まだ寝ている人もいるから、静かにしなさい」
S子「オレさん、おはようございます!」
台所のテーブルに座る北祖母とS子の姿。
オレ「……は?(´∀`)」
一瞬思考が停止した。
ちなみにその時のS子は元気そうで笑顔で手を振っていた。
寝起きで顔洗いと歯磨きとか漫画でしかみたことなかったけど、言われるがまま洗面台へ。
どう考えても、この家で北祖母に逆らうのは無理だ。
S子「厳しいですよ……w」
北母「いいえ、ウチで預かる以上は……」
そんな北祖母の厳しい会話が聞こえたり聞こえなかったり。
やはりS子と北祖母は楽しそうに会話している。
オレ「……どういうことなの(´∀`)」
もうここにきて、何が何だか、。
今も話すのもメチャクチャになってるけど、本当に何何だか分からない事が多い。
S子「朝起きたら、北祖母さんが起きていてお話を……w」
(*´・ω・)(・ω・`*)ネーと、北祖母とS子。
北母「聞いたわよ、”S子”って言う名前を付けたらしいじゃない」
それから、北祖母とS子で今までの話をした。
最初に出会った時とか、オレがS子に話しかけていた時とか、警察とか、植物園行ったことやら。
おどろいた事に、オレが話すよりS子の方が積極的に話していた。
祖母はニコニコしながら「あらあら」とか、適当に相槌しながら話を聞いていた。
北母「オレはよくやった。」
北祖母は微笑みながら、俺の方へ親指を立てたグットポーズをした。
ちょっと老婆がやるには想像できず笑った。
S子「本当に……オレさんありがとう」
何度目だろうか、S子は俺にそう言いながら笑っていた(´∀`*)
北祖母は台所へ立ち朝飯の用意を始める。
それを見て「手伝います」と言って手伝って行く叔母さんや娘さん……。
何人か伯父さんたちも起きて、外へ煙草吸いに行ったり、散歩に行ったり。
従兄Bも起きていた。
従B「オレ、散歩行くか!」
ニカカッ!朝からスゲー元気な笑顔と大声!
一瞬面倒だと思ったが、結構すがすがしい関東では味わえない空気を吸いながら散歩もいいなーと感じた。
オレ「は、はい……w」
ただS子も……。
S子「あ、じゃあついて行きます……!」
オレが尋ねる前に、S子の方から名乗り出ていた。
オレ「あ、S子もついて行くのですがいいですか?」
従B「お、おお……いいぞ……ww」
従兄Bは少し困惑しながらも、S子が同伴するを承諾した。
散歩しながら分かったが、S子の姿を従兄Bも見えているらしい。
声に関しては、ブツブツとしていて聞き取れないそうだ。
従兄Bは結構S子に質問をしていた。
何処から来たのや、どうしてそうなったのか分かるのか?とか。
それを通訳し伝える。もちろん殆どS子は覚えていない。
従B「大変だったなぁ……俺も確り送れる様にがんばるよ」
従B「昨日はすまなかった……!」
S子の方を見ながら頭を下げる従兄B。
S子は最初はジッと見ていたが、直に「いいですよっ」と笑顔を向けていた。
言葉は分からないかったそうだが、S子が許してくれたのは分かったようで、
従兄Bは何度も「優しいな!」と言っていた。
従兄Bの話で「三年前」とか言っていたが、もっと前だった。曖昧に書いてしまった。
去年は娘さんは12歳だし、年齢が合わなくなる。すまない。
ちょっとした旅館状態になっていた。
それと大量のオニギリが用意されていて、炊飯器が5台フル稼働していた。
今日は山の方へ行くので、そこで食べる昼飯を用意しているらしい。
その光景を奇怪に思いながら、朝食を取った。
味噌汁とご飯と漬物、子供が喜びそうな油物と、昨日の残りが並んでいた。
S子は「おいしそー」と。
オレには、なんか今まで以上に人間的に見えていた。
と言うか、俺の横に本当に生きているS子がいる、そんな感覚が当たり前と言うか、当然と言うか
なんかよくわからないけど、とにかく感じてた。
親戚の殆どがS子の存在に吹っ切れていたとは言え、
やっぱり疑り深く距離をいて食べてる人も居た。
ちなみにS子は、祖母のチカラをもってしても食事を取ることはできなかった。
それを祖母が「すみませんね……」と言っていた。
とにかく食べる。子供も食う。すげーくう。
俺も巻き込まれてお変わりを3杯した。
S子は「す、すごい……」と終始気押しされていた。
朝食から30分ぐらい経ったら、もうあっと言う間に出発した。
北祖父と四人は明日の準備や、体調の問題で来なかったがそれでも……。
何て言うか、ワゴン車や軽自動車が沢山あった……
大家族と言うより、もはや旅行ツワー。
俺らは、北祖母が乗るワゴンに乗り、目的地である山を目指す。
……朝食べ過ぎたのと、運転の粗さで、道中2回も悲劇に見舞われたのは言うまでもない。
S子は子供の様に外の景色を見てはしゃいでいた。
北祖母はそれを聞いて「アレは●●」とか、「あの山の神はー」とか、とにかく色々教えていた。
森の様な山道を進み、駐車スペースのあるキャンプ場の様な場所へ到着した。
いや、キャンプとしても利用できるようで、川の方にはテントが幾つかあったと思う。
北母「では、いきましょーっ!」
アンタ本当に何才だよ……。
空気もおいしいし、緑豊かだし、涼しいし……。
S子はと言うと、ゆっくりと歩きながら登っていた。
ただ、時々すぅー……と宙を滑り登っているのも見えた。
心なしか「ズルイ(´∀`)」と思いながら、登るのがメチャクチャ早い北海道一族を追いかけた。
S子「オレさん、がんばれ!」
時折S子がオレへそう声をかけてくれた。
もう、なんかメッチャ可愛かった。
その笑顔が励みになるよ(´∀`*)ただごめん、デブには辛い……
従兄Bで、親戚の幼い男の子を肩車しながら登っていた。
危ないだろ……と思うが、そんなの知らずダッシュしながら登って言ったりとかしていて……。
S子「オレさん、おいて行かれますよ?」
オレ「もういいもん。」
S子「皆さん早いですね……」
オレ「本当に……運動不足過ぎるのかな……」
結局、おいて行かれました。
と言っても、途中途中で伯父さんや従兄が待っていましたが。
決められた道を歩けば言い分、迷子になるような事はなかった。
S子は自然をかなり満喫していたようで、周囲をよく見ていた。
あの鳥なんだろうとか、何故か鹿を見たと言っていた。シカ居たっけ?
S子「ただ、キツネとかは居ないんですね……」
オレ「ほら、場所によるらしいし」
そう寂しく言うS子。
まあ、その時、S子にキツネミミを装着して妄想する事で萌えていた(´∀`*)
北祖母らは、一か所に集まり露店で買ってきたアイスやおつまみ、持ってきたオニギリを食べている。
北母「遅いです!」
すみません、としか言えなかった。
S子「その分、山を一杯見れましたーw」
北母「あら、それは良かったぁ……」
対応が違いすぎないか、北祖母よ。
いや、S子は俺を待ってくれていたんだとは思うけど……
そんな風に思いながら、早めの昼飯を取った。
オレ「へ、何が?」
S子「親戚さん方が凄い人ばかりだし、オレさんも凄い人だし」
オレ「う、うん……」
親戚が凄いのは認めるが、オレはたいしてすごくない。
S子「はぁー……うらやましいな」
S子はそう言いながら、親戚たちを見ていた。
何人かの親戚はチラチラとこちらを気にしていた。
S子「なんていうか、大勢に囲まれていると言うか……
そう言う立場で居る人って、凄くうらやましいです」
オレ「そ、そうなのかな?」
S子「そうですよ、大切にした方がいいですよw
どうしてこう思うか分からないですけど、本当に羨ましいです!」
やはり元気に笑っている。けど、嘘の笑顔だ。
ただ、オレはそれを指摘しては駄目だと、思った。
S子「はぁー……オレさんと綺麗な景色が見れて良かった」
オレ「こんなオッサンなんかと?」
S子「はい、それに……あんまり自分のことを軽蔑する発言は止めた方がいいですよ!」
ムッと怒った顔でS子は言う。
なんか可愛い(´∀`*)
S子「少なくとも私はオレさんの事が大好きなんです……から。
大好きな人が自分を馬鹿にしている言葉を聞くのは凄く寂しい……
それに、こういう場所なんだし、もっと楽しみましょう、明るく考えましょう!」
S子「ねっ、オレさん!」
そんなような言葉だったかな、って言う自信がなくなるけど。
またしてもオレは夢の世界状態で、S子の言葉を聞いてしまっていた。
なんか言葉の一つ一つが、すごく夢のように聞こえた。
いやある意味幽霊だから、夢でも間違いないのかも知れない。
ただ、そうだとしても、この目の前に居る素敵な笑顔の女の子は、まぎれもない本物だろう。
誰が何と言おうと、姿が見えないであろうと、あの子は本当に居た。
ちなみに北祖母には聞こえていたらしい。
だって、すげー(・∀・)ニヤニヤしてたもん、それに今でも時々言うw
結構今まで泣いていたけど、泣かなかった。
S子「朝、北祖母さんとお話をしていたんです」
S子は山の上から景色を見ながら言った。
S子「オレさんとの時間も短い」
オレは胸が苦しくなった。
S子「だから二人でいる時間を大切にしなさいって」
オレは”お別れが近い”と心のどこかで思う。
S子「ただ、やっぱり急には無理ですよね!
本当に残り短いけど一緒の時間を楽しみましょう!」
そしてS子はオレの名前を呼んで、最高の笑顔を向けてくれた。
オレは、テレビやドラマや感動シーンとかで泣き顔の笑顔をみたことあるけど、
そんなのゴミに思えるような最高の笑顔を見ていた。
なお、DT拗らせていないぞ。
何て言うか、一気に「おっしゃやるぞ!!」って言う変な活力が湧いてきた。
そしたら、なんかS子がスゲー、すげー、すげーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
もうなんか言えないわw本当に書けないww
とにかく可愛く見えて仕方がなかった!
オレ「……」
そしたら、S子は一瞬驚いた顔をしていた。
見えている人がお茶を数人吹き出し、むせている人もいる。
北祖母なんか「あらあら(・∀・*)」となんか目線逸らす。
そんなのが見えているのみも関わらず、俺はS子に キス をしていた。
その後、ギュッと冷たい身体のS子を抱きしめてしまっていた。
気がついたら本当にしちゃってた、やらかしてた、やってしまってた。
言い逃れできない、
衝動的だったけど、そうなるのは当たり前で、なんか必然だと思う!!
それになんか凄く凄く恥ずかしくなかった!
つーか、親戚以外の他の人たちの数人が「なにあれーw」って感じで見てた気がするけど、
美味い具合に親戚さんたちが隠してくれた気もする!!!
とにかく、幸せをかみしめていた。
ただ、抱き着いてからはS子もオレの背中を抱き着いてくれた。
こないだみたいな励ます感じの抱き着きと言うより、
本当になんかなんかw幸せって感じで互いに意識し合って抱き着いてた。
うん、あとでちょっと「一言言ってよ~」と言われたけど、デレてたからOKだろう!
従兄Bにはスゲーおちょくられた。
「あれじゃ彼女できねーぞーw(゚∀゚)」ってさ。
分ってるわボケェ!今ではこの有様じゃ!
伯父さんや叔母さんには「若いねー」ってありがちな事言われた。
でも、なんかメッチャ(・∀・)ニヤニヤしてた。
うん、更になにがあったか伝えまくってる伯父が居た。
勘弁しておくれ。さすがにそこまでされると恥ずいわ。
なお見えない親戚からは「なーにやってるんだ、あれ……」と戦慄物だったらしい。
ただ見ているうちに、俺がS子と抱き合っているのが見えて来たーとか、何人かの中学生以下のお子さんたちに言われた。
北祖母には、この後、家に帰ってから呼び出され尋ねられ、>>482で語った通り話しました。
S子同伴で。
公開処刑なんかより、恥ずかしかった。
ちなみにこんな感じ↓
北母「先ほどの行為は……まあ、気持ちは分ります」
オレ「す、すみません……」
S子「は、はい……(照れ気味)」
北母「正直に申しなさい」
ジロッと俺を見る。
北母「やっちゃった?(・∀・)ニヤニヤ」
オレ「え!?」S子「ええ!?」
北母「時々いるからねー、幽霊とやっちゃう人。幽霊が襲っちゃう事も」
オレ「いやいやいやいやいや、前に抱き合った程度で!」
北母「怒男を見ればわかりますよ?」
怒男、まさかの裏切り。
いや言った訳じゃないけど、なんか「┐(´∀`)┌ヤレヤレ」って顔していたそうです。
つーか、お前見てたのかよ。
S子「……ちょ、ちょっとやりかけました、すすs、スカートをめくって足を見せて……」
S子さん何アタフタしながら言ってるんですかーーーー!
S子「(・∀・)ニヤニヤ」
工エエェェ(´д`;)ェェエエ工
裏切り、と言うよりもS子はこの人には全て話してオレさんを任せようとしたそうです。
余計なことを……いや、のちに言わなきゃならない人が出て俺も言いましたけどねぇ……
北母「……ふむ、ただし程々にしておきなさい。あと、今晩が最後ですからね」
ば、ババ様……!何言ってるの、ババ様……!
親戚一同と記念写真を取る間もずっと手を握り、
親戚の一団から少し離れたベンチに座り景色を眺めたり。
S子に、初めて図書館で会った解き冷たくされたーと、何度も言われ弄られたり
オレは、警察官( ´_ゝ`)(´<_` )←の話でアレは面白かったと言ったり。
とにかく、幸せな一時を、過ごしました……
どうでもいいけど、撮影が大変でした。
叔他「私のこの携帯つかって!」ピロリーン
伯他「カメラカメラ……」パシャパシャ
子供「お母さんも入って―><」はい、チーズ
娘 「スマホで取っておきましょうw」カシャン
その他大勢「「「オレも俺も」」」「「「この携帯でカメラで」」」
圧倒的カオス
……すごいね、大家族じゃないけど、ああなると凄いね。
一人が現像して回すって言う訳にはいかないのね。
ちなみに数人がとった写真にオーブが移り込んでいたり、主にオレの手が欠損していたりしました。
オーブは山の霊で、欠損したオレの手はS子。
他の人の怪奇状態にS子は、北祖母公認で関わりないそうです!変にS子を疑わないで!
S子は笑って許していたけどね……ww
それが個人的には安心できて、何よりでした。
帰りは、北祖母が事前予約していた高級そうなお店へ向かい、北海道の名産品のフルコース。
S子を上座と言うのかな?凄く良い所に座らせ、その目の前にオレが要る感じだったのですが。
ビールもどんどん持ってこられ、オレはビールを普段飲めないのですが、少し頑張って飲みました。
S子の方にも、誰も手を付けないのだけど、どんどん物が運ばれて行って、
ちょっと、千と千尋のカオナシに豪華な料理をたくさん持って行く様を思い出したりしました。
で、気が付くと、オレとS子が隣り合わせに座っていた。
ずーーーーーーーっと、酔いもあってか、ヘラヘラしながら寄りかかっていた。
S子は困った顔をしながらも、何度も「もうぉ……」と言っていて、
それに萌えてました(´∀`*)
オレもニコニコしていた。
ちなみに酔いもあったけど、意識が失うほどじゃないです、気分が高揚する程度の酔いです。
其処まで酷い事にはなりませんでした。
ただ……S子の足を……ゲフンゲフン。
その後、クルマの中で眠りにつき、家に帰り、>>560の様な事態になりました。
この調子なら、今日中に話終わりそうです!
何故か自分で安心した……w
その日の晩、オレはとにかく寝れなかった。
いや、筋肉痛の前兆を感じていたし、疲れて布団に沈み込む様に横になっていた。
隣にはS子が居て、S子はボーッと天上の模様を見ていた。
帰って来てから、あんなことを北祖母に言われ妙に意識していたけど、
そう言う気にはならなかった。少し残念だったけど、仕方がない。
寝る前に北祖母から、明日の除霊について説明された。
ここからそう離れていない小さな山の神社を借りて、S子を天国へ送ると。
北母「いいかい、オレ。
S子ちゃんと一緒に過ごせるのは今日で最後になります。
決して悔いの残らない様、
同時に貴方もS子ちゃんも、強い未練が残らない様に務めなさい。」
そう北祖母は、オレだけを呼んで話した。
頭の中では十分に分かっているつもりだった。
ただ、いざ目の前に来ると、何とも言えないほど、何も出来なかった。
いや、何をすればいいか分からないと言う感じだろうか。
先ほどまでの幸福感は嘘の様に、悲しさと寂しさと不安がこみあげていたのを、よく覚えてる。
ただ、何を話しかければいいか分からない。
とりあえず喋ればと思ったが、その言葉が出る寸前で止まっちゃうんだ。
いつもなら、S子の方から何か話題を振ってくる……こういう時なら。
毎回S子へリードされていることが多いし、気にはしていたけど、今回は期待していた。
S子「……。」
ただ、S子は上を見たまま、何かを言う気配がない。
オレ「……。」
対抗するつもりは無いけど、俺も無言になる。
本当に済まない。
>>567
時計の針の音と、外で鳴く生き物の声しか聞こえない寝室。
電気が消えてから異常なほど長く感じた夜。
この空気は気まずいと言うより、そう言う空気なんだ。
お通夜と同じだ。
声を出しちゃいけない、笑っても、出来ることなら泣いてもいけない。
泣いちゃうなら仕方がないね、悲しいのも仕方がないね。
ただ、色々な人が、色々なことを想っている時間。
あの時間が流れていた。
いや、お通夜の雰囲気は人それぞれだと思うけど、オレはそうお通夜ではそう感じてる。
だから、ここで声を出さないのは正解だと思うと、不思議と安心してきた。
そもそも、悲しいとか寂しいとか不安だとか、そう言う考えになるのは間違えだ。
オレ(強気で行こう。S子に心配かけない為にも)
そう思うことで、気持ちを誤魔化しながら落ち着かせた。
外はまだ暗かった。
S子の方を見ると、S子は可愛い寝顔でいた。
両手を胸の下で組、落ち着いた表情で眠いっている。
はぁ……制服だから寝苦しそうだけど、はぁ……可愛すぎる……っ!
そんな変態思考で目覚め、とりあえず台所の方へ向かった。
オレ「お、おはようございます……」
北祖母はすでに起きていた。
小さなライトスタンドを使い本を読んでいる。
おいおい、幾らなんでも早すぎるだろ。
外じゃ、まだ虫が鳴いているし、陽太様だって登ってねーぞ。
と内心思いながら、それを見透かされ「年を取ると早起きするのよ」と言われ。
本当に敵わない人。
心の底からそう思った。
洗面台へ向かい、顔を洗い、歯を磨き、台所へ戻ると祖母はお茶を出してくれる。
北母「昨日の夜中はどうでしたか?」
北祖母は本を閉じながら優しく尋ねてくる。
オレ「特になにも……」
北母「あら、そうなの……寂しいわね……」
オレ「本当に……寂しいです……」
北母「ふふっ、そうね、オレには寂しい事かもね」
オレ「……これで良いのですかね」
北母「それは私が判断することではないです」
オレは何も言い返せない。
オレ「……北祖母さんなら、良かったと思いますか?」
北祖母は目を潰し考えて。
北母「今のままじゃ、お別れするのは嫌かな~」
そう笑った。
北母「私だったら、そもそも除霊されたくないもの」
オレ「えっ?」
それは、予想外過ぎる質問だった。
ハトがまめ鉄砲を喰らうような顔とはあの時のオレの顔かもしれない。
何をおどろいているのですか?
それは凄く当然で当たり前のことじゃないのかしら。
好きな人と過ごし、好きな人とお話して、好きな人と生きる。
それほど素晴らしい事が、この世に他にあるかしら?」
一か月前の俺なら即「ネトゲ」とか答えたかもしれない。
ただ、今の俺には「 ”その通りです” 」と言う以外、言葉は無かった。
北母「私はこう見えて我侭ですからね。
もっと生きていたいし、もっと子供たちの顔が見たい。
今はヨボヨボだけど北祖父さんとも、ずーっと一緒に暮らしたい。
不老不死の薬があるなら、私は間違いなく飲みます。
それぐらい私は生に対して、鬼で、我がままで、狡い人間です」
オレはただ茫然と聞くしかなかった。
死んじゃいます。お別れは絶対に来ます。お別れして天国へ行きます。
ただ普通の人が、普通に天国にたどり着くには難しい。
だから、生きている人たちで集まって、天国へ行けるようにお呪いをし、天国へ逝かせる。
それが普通なんです。
……だけど、私は『天国に行くのが正しい』とは少しも思ってません。
そう持って除霊しなかったことも沢山あるのですよ?
もしも、今からS子ちゃんの除霊を止めたいと言うなら、私は賛成します。」
予想外の言葉の数々に、俺は言葉が出なかった。
『もっともお祓いが、彼女の幸せな気もしないけど』
それに社長は霊と共同生活している。
けれど、受け入れ、問題もあっても幸せそうだ。
ただ、ニトは成仏が正しいと言っていた。
そうだ、S子は基本的何もできない……それは嫌だろう。
――結局オレは、オレでの答えを見つけようとして居なかった。
そ れ を 北 祖 母 は 見 抜 い た 。
北母「……貴方はどうしたいの?
流されて、周りに言われて、そんなんでS子を振り回して何がしたいの?」
その言葉にオレの頭の中は一気に真っ白になった。
親父の言葉や、従兄の言葉も、なんも聞こえなくなる。
本当にオレがしたいのはなんだ?
周りの声なんか聴くな、オレは何がしたい。
S子と幸せになりたい。
その幸せってなによ?
じゃあ、その幸せってなんだ?
S子を見て萌えてること?違うだろ。
S子の足を見て萌えてること?違うだろ。
ああ、そうだ。
S子と家庭を設けることだ。運じゃ叶うのか?
バーカ、叶う訳がねーんだよ、あほ。
S子と結婚する、叶うかもしれない。
今でも幽霊と結婚ってニュースになる、日本じゃ聞いた事が無いけど。
でもそれは、違う。そう言う幸せじゃない。
いや幸せだけど、そう言う幸せは、オレは望まない。
バーカみたいに、アホみたいに、DT拗らせないで。
仕事よりも、ネトゲよりも、今までの受験勉強よりも、とにかくとにかく考えた。
ただ、答えは本当に何の前触れもなく、頭に過った。
最初は疑問だった。
ただ、S子が笑っている時、オレは幸せだった。
S子と楽しい事を話している時は幸せだった。
S子が暴走した後の和解した時は幸せだった。
S子がスカートたくし上げた時、いやその後だ、幸せだった。
昨日もそうだよ。
S子は幸せそうにしていた。その時俺だって幸せだった。
ちがう、俺が幸せかどうかじゃない。嬉しいのは其処じゃない。
”S子が幸せだと思っていただろう事”を思い出すと、嬉しい。
結局オレの独りよがりな視点でしか言えない。けど、そうだ。
もーーーーーーーー何て言うか。
とにかくウザイ、臭い、キモイ、死ね、くたばれってレベルだけど。
このさい恥なんか知るか。
オレ「S子が幸せだと……思う事をオレはしたいです……」
ぷっはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あはははははwwwwwww恥ずかしいけどwwwwwwww
はぁ。草刈る。
とにかく、俺はそう言いました。言っていました。
北母「…………良いじゃない?私は良し悪し決めれないけど、素敵よ」
なんかとても優しい顔で言われた。
照れながらオレは笑った。
北母は語った。
きっと、これが本当の『本音を言う』状態で、
こう言う辿り着いた答えが『真理』って言われるんだと思う。
幾つも答えがある。
その中で、一つの答えを掴む。
他に答えはあるけど、それでも。
オレは”これが答え”だと思い掴み、持って歩く。
そう言う状態が真理なんだと。
ぶっちゃけS子への真理には辿り着いたけど、オレへの真理は辿り着いてません。
DTです、ちょっと痩せたけどデブのままです。仕事も大したことしてません。
ふぅ……。あっかん、顔熱い。
なんでネットで変なこと熱く語ってるんだろう。.
うわあああああああああああああああああ
本当に聞いてくれてる、見てくれてる人が居たら、感謝します。
S子「おはようございます」
オレ「うわっ!」
本当にビビりました。突然オレの後ろに立っているんですよ。
オレ(今の恥ずかしい言葉効かれたかな~……)
とか思いながら、恐る恐るS子を見るけど、S子は「?」な表情で俺を見る。
心の中で小さく「うっし」とガッツポーズ。
北母「あら……、そうだオレ、S子ちゃん。
少し外をグルッと散歩してらっしゃい」
その時、俺は北祖母の気遣いに気が付けずあらぬことを言いました。
オレ「き、筋肉痛で……」
北母「はぁー……なら自転車でも使いなさい。
とにかく外は気持ちが良いから。いってらっしゃい。」
何か、妙に北祖母は俺らを追い出したいのかな?って感じた。
今日はお祓いごとがあるし……と、見事的外れな思考をして、自転車の鍵を取る。
そして、ボロボロで空気の甘い黒い自転車を借り、明け方の外へとS子と出て行った。
それが、最後のS子との散歩だった。
……うし、食べたらラストになります。
ゆっくり食ってこいよ
…もうラストか…
ラストに近づくにつれてさみしくなってくるな
オレ「さ、寒くね……?」
S子「寒いの?」
夏だと言うのに外は意外と涼しかった、それ所か半袖の俺には寒い気がした。
S子「どこまでいくの?」
オレ「うーん……適当に行こう」
なんと気の利かない言葉だと、今だから思う。
どこまで散歩に行けばいいか分からないけど、
少なくとも迷子にはならないように、と心がけながら自転車をこいだ。
ただ、準備があるんだろうなーって勝手に思って気を使っていたので、
時間も掛けるつもりではいた。だから結構遠い所まで行っていた。
ただ静かにと道を走って行く。
自然豊かな場所だなーと思いながら、それをS子と話しながら、静かな道を走った。
S子はいつもの様にオレの肩に掴まり、オレに憑いてくる。
なんだか、これも最後かと思うと寂しいと思ったが、S子にはそんな顔見せずにいた。
S子「……今日で最後ですね」
オレ「そうですね」
俺もS子も何も言えなかった。
今一実感がわかない、このまま、また明日「オレさん」って呼ばれそうな気もした。
S子「はい?」
オレ「S子は成仏するのが幸せ?」
S子「……。」
何を聞いているんだorz
そう聞くとS子は何とも言えぬ表情で、少なくとも笑ってはいない顔になる。
何を考えたんだろう。
何を思ったんだろう。
分からないけど。
S子「……”幸せになれる”って、オレさんだけでも、信じてくれませんか?」
あの日、従兄に促されて、納得した気になっていたけど、
オレは納得できてなかったし、従兄の話を一ミリも呑み込んでいなかったと、思い知らされた。
だけど、今は。
オレ「分かったよ」
とにかく、S子がそれが幸せだと言うなら。
それを信じるべきなんだ、そう言うとてつもなく強い使命感を抱いた。
オレはそれを見て同じように安心した表情になった。
S子「オレさん、あの時私を見つけてくれてありがとう」
オレ「……。」
S子「オレさん、夜中怖い思いさせてごめんなさい」
オレ「……。」
S子「あの後、私を探しに来てくれて、お話までしてくれて、ありがとう」
オレ「……。」
S子「植物園に連れてってくれて、ありがとう。
私を助けてくれて、ありがとう。
私を許してくれて、ありがとう。」
何度も何度も、色々なことを、ありがとう。
俺も気が付いて居なかったことも、ありがとう。
S子しかそう思わない事も、ありがとう。
S子「最後に、私のことを信じてくれて、ほっとーーに……ありがとうございます」
そう言い切る頃には、S子の口はモニャモニャになって、顔はグチャグチャになってて、
いつの間にか、俺の肩に顔を埋めて泣いていた。
左肩はとにかく重い。……そして冷たい。
涙を流せるようになったS子の涙はヒンヤリとしてる。
自転車を止めて、前にS子がしてくれたように。
今度はオレが、S子の頭を抱え、何度も撫でてあげた。
変態や、やましい心はなく、ただ、撫でて励ましてあげました。
泣いているS子は本当に子どものようだった。
ゲシュタルト崩壊したみたいだ。ありがとうが。見えない。
ガンバる。頑張るから、待ってく。
うっせーけど、こうやって書くと落ち着くんだ、まってくれ
自分のペースでいいからな
俺はお前が語りきる事に真理を感じた。
お前を信じてる。
今でも思い出す。
S子が泣きながらも経ちだした頃、オレはS子の手を握りながら見た。
段々日が昇って行くのよ、それがとても綺麗でね。
もう段々と空に色がついて行くし、周囲は明るくなっていくし、何となく自然や緑が光ってるような情景になってね。
あの美しさは見なきゃわからないけど、それでオレもS子も、凄い明るい顔になった。
もう北祖母様、ババ様、分ってたんだね。
この町の夜明けは、観光名所に出来るぐらい綺麗だって(言い過ぎ?)。
S子も俺も「わぁ」とか、心の底から出している様な声漏らしてて、
グルッと周囲見渡していた。
誰だっけ、清少納言だっけ。
「やうやうしろくなりゆく山ぎ」って言葉を残した意味が凄い分かったよ。
もうアレは、見た者は書き記してしまう。
それぐらい素晴らしい朝だった。人生最高の朝だった。
大分、時間も経ってた。
S子「……行こっか。」
オレ「うん……」
オレとS子は手を繋ぎながら来た道を戻った。
その間、言葉は一つも交わさない。
静かに歩いていた。
S子「……そうだ、オレさん!」
大分歩いた所で、S子が俺の顔を見ながら言った。
オレ「なに?」
S子「……自転車で二人乗りしませんか、そう言えば私そう言うの憧れていたんです!」
未だになんで、ああいう提案してきたのか分からない。
聞き直しても思い出したと言うけど、本当にそれがS子の憧れだったか、謎のままです。
でも俺は、S子を自転車の後ろに乗せ、来た道をこぎ戻りはじめました。
後ろに可愛い女の子を乗せて、川とかで、二人乗りして下校する。
もちろん、そんな青春は、妄想の夢は、訪れませんでした。
オレはドキドキしながら、自転車にまたがりました。
その後ろでS子が、どう乗ろうか必死に考えてるんです。
ちょっとして、オレが、非現実的だけど「横に座ったら?」と言いました。
S子「それ凄くいいね!そうしよっ!」
オレの後ろへ、ポンっと、乗るS子。
心なしか自転車が少し揺れた気がした。
見ると少しS子は自転車にすり抜け埋まりながら、座って居ました。
そして、オレの腰にしっかりと抱き着きました。
S子「いこー!」
オレ「おおー!」
馬鹿みたいにはしゃいだ声出して、自転車をこぎ戻りました。
それこそ、ガキのようにw
お腹に感じる冷たさは気にならず、ただ、なんか、やけにハイテンションに。
S子も「キャッ」とか言いながら、楽しそうに乗ってくれました。
途中、なぜか宙に浮きあがったりしたけど……それはそれで良い思い出です……w
そんなせいで、家まであっと言う間でした。
本当にあっと言う間で、「もう一度……w」とS子と話しして、もう一周しに行っちゃいました。
その様子を見ていた北祖母は多分かなり呆れていたと思います。
そのせいで家に帰る頃には、変にぜーぜー状態でした。
北母「どうだった?」
オレ「最高でした!」
S子「楽しかった!」
北母「それは良かった、アンタたち、良い顔しているよ!」
北祖母はそう言ってくれて、なんだか、オレもS子も変に笑いました。
S子は「本当のお婆ちゃんに褒められたみたいで嬉しい」と言ってたかな。
それ聞いて北祖母が「もう、うちの子よw」と笑いながら冗談を言ってました。
そして、出来ていた朝食を取りました。
S子の所には、山盛りのご飯とオカズ、さらに多くの親戚が寄ってました。
面白いです。
親戚さんたちが、S子へ色々話しかけて「何て言ってる!?」
ってオレや、聞こえる人達に聞いて、会話しているんですよ。
もちろん、ちょっとした変な家状態でしたが、オレにはS子が、そこに本物の身体を持って居る気がしました。
北祖母「さて……、オレ、S子ちゃん。時間だよ」
その目を紅くして、何度も目じりを拭いて。
ただ、誰よりも怖く強い目をして祖母が言いました。
S子の成仏させる儀式が、もう目の前まで来ていた。
腹が出ていてはだらしがないと、伯父さんに腹を着つく腹巻され、
北祖父は何度も服のシワや、よれを直し、慣れない足袋を履いて。
伯父さんたちの中には、スーツの様な喪服姿の人も居ましたが、殆どが着物。
しかもビシッと着こなしていて、なんか異様だった。
ちなみに従兄Bは、成人式に暴れそうな不良の様だと、皆で弄られていました。
主に従兄Bに煽られ「カッコイイだろ?」と若干某芸能人風に言って来いとか言われて、
そんなんでS子の前へ。
オレ「ど、どうかな……?」
S子「かっこいいよ!すごく似合ってる!」
そう笑顔で言われ、ちょっと照れくさくなり。
女性の方々の用意が終わるまで、S子と一緒に居ました。
S子「そうだね……」
オレ「しっかりと…応援するからね……」
S子「ありがとう。」
オレ「……。」
S子「……。」
そんな感じで沈黙化。
お互い寂しさを隠し合っていたと思います。
ただーーー、なんでだろうな。
忘れてたけどS子ってすごい子なの。
S子「足、見ますか?」
オレ「ぶ――ッ!」
座りながらS子はスカートを握って居ました。
S子ってすごい子だわ……。
S子「昨日……見せれなかったの……」
ぇぇ。
それはつまり昨日、見せようとしていたと言う事ですか?
ちなみに親戚は北祖父の気の利いた策略により、退散しています。
S子「見たい?」
オレ「い……いや……」
このタイミングで見せて貰ったら、なんか駄目だ。
恐らくオレが天国へ逝けなくなる。
気持ちは嬉しいよ、とありがちな文句を言い、S子の手をスカートから退けました。
オレ「きゅ、急にどうしたのさ」
S子「だって……」
オレ「だって?」
S子「オレさん元気ない顔していたから……」
はう。
S子「うん、もう見せませんよー!」
オレ「えぇ……」
ちょっと悲しい半分、嬉しい半分。
S子「もうオレさんいつもの元気な顔になってますしね!」
そう言えば、寂しさは消えていました。
オレ「S子、ありがとう」
S子「足見て元気になるなんて……オレさんらしいよw」
それはそれで、元気失いそうなセリフだった。
けど、俺はまた大笑いして、S子もクスクス笑い出していた。
なんかピシャンッとした声を、オレとS子、親戚一同にぶつけてくる北祖母。
必然と背筋が伸びて、S子もジッとした強い顔つきになって行く。
オレとS子は手を繋いでいたけど、その手がだんだん強く握ってくるのが分かった。
家の鍵を閉め、家の祠に一人づつ頭を下げ、北祖父母を先頭に道を歩く。
あれ、何も知らない人が見たら奇怪な光景だったらそうなー……。
前にも書いたけど、トトロでメイとサツキが住んでいる家、
あのような感じの入り口から階段が続き、一番奥に社がある神社だ。
そこの神主と祖父母……と言うより、北祖母の一族は長い関わりを持って居てるらしい。
表向きと言うより、本業は農家だが。
北海道の親戚たちは、度々ご縁があって除霊の依頼が来る度にここを利用しているらしい。
今回は、お札や事前に蝋燭の配置、お浄めの水と酒に力をこめるなどを、
先週から準備していたと聞いていた。
あと、この神社、怒男の家のようなもの。
元々怒男が祀られていて、本堂には怒男そっくりの仏様が居る。
神主さんは俺らを見て「ようこそいらっしゃいました」と一礼。
そしてオレには「お久しぶりです。そして、よくぞ参られました」と不思議な挨拶をされた。
オレが「そ、そんな」とキョドっていると、北祖母からは「怒男様に言っているのよ」と笑われました。
隣に居たS子はクスクス笑ってました。
なんか、良い感じで緊張がほぐれたと思っていました。
なんかそう真顔で言われたけど、俺もS子も笑わなかった。
オレ「……S子さん、大好きでした!」
ちょっと歓声があがる、何故オレはああ言ったし。
S子「ありがとう、オレさんは私より良い人を見つけてくださいねっ」
ちょっと泣きかけるオレ、でも我慢。
ちなみに未だに見つけていないし、見つけようとしていない。ごめん、S子。
北祖母は、なんかそのやり取りを見て「拍子抜けね」と呆れて笑ってた。
北母「こんな強い御霊様を前にして、こんな空気で供養を始めるのは初めての経験だわ」
北祖母はそう笑い、周囲の緊張をほぐすのに務めてた。
オレとS子、北祖父母、北親戚は、本堂へ。
本堂に上がり、怒男そっくりの仏様を見て少し驚いたけど、直に神妙な空気になって行く。
四方八方に大きなお札と、ロウソクが何重もの形を作る様に重ねられ。
オレとS子は、その中心に敷かれたザブトンへ。
親戚一同は、決められたザブトンへ座って行く。
祖祖母はS子の横に座り、
北祖父はオレの横に座り、
――S子の成仏を願った供養が始まった。
それがかなり面倒なことになっているようで、俺が憑りついてしまっていたらしい。
S子はそれを笑う事なく真剣な顔で聞いていた。
オレはちょっと笑った。
北祖父に頭をペチンと叩かれる。結構痛い。
オレは清めの酒を飲み、
S子は北祖母に飲むような動作をマネする様に言われていた。
すると、S子の身体が一瞬薄くなった。
おどろいて声をあげると、北祖父にまた頭を叩かれた。
伯父さんたちが良いだし、連鎖させながら、お経が唱え始められた。
最初こそ、黙ってじっとしていたが、
だんだん周囲がグルグルと回っている様な感覚になって来て、
北母「今はどんな感じだ?」
オレ「目が周ってるような……」
そう言うと、北母はオレの背中をさすり始める。
そして、背骨に沿って人差し指をあげ来たかと思うと、フッと上へ高く上げた。
その瞬間、S子の方がグラっと揺れ、
ああ、オレは、俺の霊体の糸の様なモノを祖父母が握りしめたのだと分かった。
その時のオレの間隔は、なんか身体を祖母の方に引っ張られてるような、弱い重力を感じていた。
S子はどうだか分からないけど、同じように頑張っていた。
絶対にザブトンから降りてはならないと言われていたので、俺も頑張って耐えた。
そうして、十数分後、体全体が急に軽くなった。
北母「取れた……、S子ちゃんお疲れさま」
北父「オレはやらしいやつじゃ」
なんかちょくちょく北祖父は笑わせてくるんじゃないかって思い出した。
なんと言うか、本当に申し訳ない。
S子「……次は?」
北母「貴方が成仏する番です……」
その声を聞いて、胸が重くなった。
S子も「もう……」と寂しそうな顔をした。
オレ「S子、頑張れ」
無情にも俺には応援しかできない。
ただ、ザブトンから降りはしないが、S子の顔をしっかりと見た。
ちなみに抱き着きや手を握るのは、これが最後だと言われた。
ザブトンから出てはいけない……その状態で抱き着くなんて無理で。
オレ「……握手しよっか」
S子「うん」
――ただ、握手した後、S子はフッと顔を近づけてキスしてきた。
流石の時代に、周りは動揺していたが祖母は「黙りなさい!」と一喝。
S子はザブトンから降りなかったけど、かなり危ない事をしたと、北祖母に怒られる。
曰く、もしも今度はS子の方がオレへ繋がってきたら、オレを連れてってしまうぞ、と。
でも……そんなに怖い事言ってるけど、北祖母の顔は笑ってたよ。
ちょっとした盛り上がりは嘘の様に鎮まる。
北母「ここに名前を書かなくてはなりません。その方が昇りやすいので」
S子「はい」
北母「名前は”□□ S子”で良いですか?」
この話は事前に聞いていた。
本来なら、その人の名前で送り出せるほうが良いのだが、S子は自分の名前を持って居ない。
となると、
”その人を送れる名前を付ける”か、
”その人に新しい名前を分からせる”か
その二択だそうだ。
今回は、オレは、散々S子と言っていた。
なので苗字は「S子」で決まった、上の名前は北母が名付けるありがたい名前となる。
――筈 だ っ た 。
一瞬、ボーッとした表情になるS子。
オレは何事かとS子の顔を探るけど、分かる訳がない。
オレや北祖母も、その時何が起こったか分かららないと、今でも言っている。
オレがなんで「S子」と名前を付けたのかと、北祖母に尋ねられ、何十回説明しても「馬鹿」としか言われない。
そうだ、S子はラノベの女キャラクターの名前だ。
そんなキモオタがつけた、何の変哲もない名前だった。
――そ の 筈 だ っ た 。
オレ「へ?」
北母「!?」
S子「●●S子」
S子「そ れ が 私 の 名 前 で す 。」
奇跡だった。
オレは訳が分からず「え?え?」と何度も言っていた。
北祖母は「……他に覚えている事は?」と冷静だった。
S子は「分からない」と言い、「嘘ではないですね?」と祖母は口うるさく聞く。
S子「はい、名前は●●です。苗字です。それ以外は分りません」
嘘を言っているような顔じゃなかった。
北母は動揺を隠しきれない様子だったが、
「本当の名前があるなら、それが良い」と良いと笑い
木のお札にS子の本名を書いた。
苗字と、下の名前逆だね。
ちょっと暴走してた。
S子→本名、下の名前。
●●→苗字、S子の生前の名前。
□□→北祖母が付けようとした苗字。
木の札には「●● S子」と書かれた。
こんなことは今まで一度もなく、ましてや事前に付けていた名前が本名など例がない。
ただ北母は「静かにしなさい――!」と一喝。
北父は、ボロボロ泣きながら「名前思い出せてよかった」と言っていた。
>>613
そう言う事。
マジで名前がS子だった。
苗字(上の名)まではオレは当てられなかったけど、下は当たってたの。
ごめん、本当にごめん、良い所でやらかした。