書き溜めもしてないから、ガーって書いて行く。
去年の夏だった。
何て言うか、去年も今みたく暑かった、と思う。
たから、俺は最寄りの図書館へ向かう事にしたんだ。
ネトゲできなかったことは苦だったけど、やり過ぎてもダメ人間どうまっしぐらだし……と思ってな。
で、図書館に向かう途中に、その子に出会った。
黒いセーラー服に、赤いネクタイ、ほっそりとしながらも健康的で綺麗な手足。
そんな足の魅力を引き立てる黒ストッキング。
手入れするが大変そうな肩までスラッと伸びた黒髪。
魅力的な高校生ぐらいのJKが交差点に立ってた。
ぶっちゃけ見惚れてた。凄い可愛かった。
一目ぼれって言うやつなのかな?そんな感じだった。
向かい側に立ってて、俺は赤信号で止まってた的な。
ボーッと見つめてると、その子が気が付いてコッチを見た。
思わず目を逸らした。
俺は、バイトの時以外引き籠ってネトゲしている時点で察する体形。
何を言われるか分かったもんじゃない。
正直山手線で昔痴漢冤罪で、JKに腕取られた事ある身。
信号が変わるなり、自転車を立ちこぎしながら、そのJKの横を通り過ぎた。
一人でテーブル席に座りながら、読んでいる時に、何度もあの子を思い出してた。
何て言うか、今でも思い出すとドキドキするぐらい、可愛いだよ、メッチャ。
いやいや、話の流れ的に分かると思うけどよ。ただ、好きになっちゃってたんだと思う。
で、思い出しているうちに、あの子の変な所に気がついてきたんだ。
今日はこんなに暑いのに、何故セーラー服で、しかも長袖だったんだ?
DTの妄想だけど、JKってこの時期ワイシャツ一枚でアイス食べてるの多いよな。
シャツも、長袖ってのはちょっと考えられないし。
それに通り過ぎる時に見たあの子は、汗一つかいてなかった。
ただ、妙な見栄で「考えるとかきめぇwww本読もうぜwwwww」と自分を変に促してた。
どうにか図書館で3時間潰した。
そのウチ、8割はあの子の事を考えてたと思う。
ただ、時間も遅くなるしネトゲしたいなーっと思い出したので、本を返し帰る事にした。
で、居たの。
(――あの子だ。)
図書館の自動ドアの向こうに、周囲を見渡ながらアタフタとしている、JKの子が。
頭の中パニックになりながらも、冷静さを装いながら、自動ドアに歩く俺。
ドアの前には、あの子が立ってる、てか、コッチメッチャ見てる。なんでなんで?
何か言われるんじゃないか、何か誤解されてるんじゃないか、悪い事したんじゃないか。
冷静さを装ったとか言いながら、装えてなったと思う。うん
ドアが開いて、JKがすぐ近くに居て。
俺はチラッと見た。
「あ、あの~」
おいまて、スゲーカワイイ声だぞ。
なんか子犬が鳴いているような?いやいや、あんな甘ったるい声じゃない。
何て言うか、普通に「あ、あの」な感じだったかもしれない。
「は、ハイッ!」
妙にカチコチンな返事をしたのを覚えてる。
凄く周りの人の視線が痛かった。
な ん か 心 の 中 で 壊 れ た 音 が し た 。
すっごく可愛いけど、すっごく面倒で、やっかいで、
ネトゲの姫的な感じを想像してた。てか、俺のちっぽけな観点でそう推測してた。
ものすっごくテンションが落ちたのを、よく覚えてる。
「そ、その、私が見える人が少ないみたいで……」
照れ気味に言うんだよ。
カワイイよ、うん、可愛いけどさ。
(うわぁ……)って俺はなってた。
「え、そうじゃなくて……」
「通ります。失礼します!」
俺は、JKから逃げる様に横を通り過ぎた。
その時、やけに警備員や周りの人が俺をジロジロ見てたんだよな。
「はっ、野次馬の糞共が」って見下してたけど、
今考えれば、周りの人がザワザワしていた理由が分かる。
その日の晩、俺は嫌なほど思い知ったから。
いつもの様に、晩御飯で来たよーの声も無視して、ほしい武器掘り&経験値稼ぎ。
ニートの廃人さんと、どこかの社長さんらしい廃人さんと、専門学生を自称する男の子の、固定PTだ。
そこであったことを、話しながらゲームしてた。
たしか専門さんだったと思う。
専門「オレさん、それって追いかけられてますよ」
オレ「えぇ、専門君どういうこと?」
専門「俺の昔いた彼女が、そんな感じのメンヘラで」(ニートと俺舌打ち
「なんか”私を見えるのは専門君しかいないの”って言いながら家までつけられました」
オレ「で、でも、自転車で逃げる様に帰って来たし、走ったとしても追跡できる距離じゃ……」
俺の家から図書館まで、大体20分ぐらい。
ニト「関係ねーだろ、チャラ男、死ね」
専門「アハハっ、でも本当だよ。なんでか教えてないのに家知ってたり、メアド知ってたり、母親と連絡取り合ってたり、
どこどこで遊んでいたとか、昨日○○食べてたでしょ?とか、そんなの日常茶飯事ですよ」
社長「今の子は、そう言う所の情報が駄々漏れだからねぇ……オレ君は大丈夫かい?本当に?」
オレ「だだ、大丈夫ですよ……、それに女の子だし」
ニト「正当防衛でオレさんが逮捕されるパターンktkr」
専門「女子の乙女パワー舐めると怪我しますよ……っ」
ニト「専門ウゼーな、お前の場合は何かされるようなことしたから、そうなってるんだろ?」
社長「まあまあ!二人とも、とにかくオレ君は、何かあったら警察に直に電話しない。今は何が起こっても不思議じゃない社会だから」
危険な好奇心ってやつだろうね。
そんな会話で談笑しながらネトゲをやって、今日も目的の品はでず。
スカイプ通話を終了して、背伸びをした。
夜になってもカーテンを閉めないので、暗いガラスに映った、自分のだらしない体形にため息がでる。
その時、ふと背後に何か影が見えた気がした。
背後は、パソコンがあり、机があり、人が居る訳じゃない。
ただ、今見えた影の形はヒトだ。
光の反射の具合でそう見えているのか、ネトゲのやり過ぎて錯覚を起こしたのか、どっちかだろう。
そう思いながら風呂場へと向かった。
ネットでもよく見るキチガイ女エピソードでも、そう言う話はよくあるし、もしかして俺が?
いやいや、さっきの影が本当なら家の中に居る訳だし、流石に幻覚すぎるだろ。
「ん……?」(見えるですか?)
「あ……」(私が)
今度は女の子の可愛い声がループし始めた
そう言えば、なんか幽霊の女の子のつけられた話とか、女性と同棲していた話とか聞く限り、
女 性 の 幽 霊 は 存 在 す る。
「まてまてまて、じゃあ俺は憑かれたの!?」
風 呂 場 で 独 り 言 マ ッ ハ な オ ッ サ ン。
ただ、もしもただのリアルキチガイだったら面倒だと思い、父親に相談した。
父親「なんだ、俺。相談って?」
オレ「……女に付けられてるかも」
親父「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
鼻から枝豆が飛び出す糞親父。
オレ「ま、マジなんだよ!」
親父「まあまあ、百歩譲って本当だったとしよう。で、どういう子なんだ?」
オレ「女子高校生ぐらいの子。図書館に行く途中に目が合って……」
親父「ふむ……」
オレ「なんか、”見えるんですか?私が?”って」
親父「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ビール噴き出すんじゃね。
コッチとしてはマジだ。本気だ、メンヘラに刺されてもいいのか?と、怒鳴って行ったと思う。
親父「お前が死んだ所で困りはしないんだが……」
オレ(´・ω・`)ショボーン
親父「確かに危なそうな子なのかもね。ただ、家までつけられてるのか?」
オレ「分からないけど、なんか、そんな気がする」
親父「ヤンデレ?って言うモノが好きなんだし、良かったんじゃないのか?」
オレ「リアルヤンデレは有害だ」
親父「とにかく、戸締りは確りやれ。あと、夜はカーテン閉めなさい。外に丸見えだから」
恐らく夏季パトロールしている同じ班の人にだと思う。
親父は、俺が痴漢冤罪で6時間拘束されたのを知ってるし、だからこそ、真剣(?)に聞いてくれたんだろう。
俺は安心して二階に上がって行った。
そしてカーテンに手をかける。
「……。」
ジーッと、家の門を見つめるあの子が見えた。
直に見つかる前に、まるでカエルが地面に叩きつけられたかのように伏せた。
(なんで、なんでいる!?なんでいるんだ!?)
頭も心も大パニック。
変に身体がガクガク震えて、口も震えている。
俺は潰れたカエルの状態で床を這いずり廊下に出て、父親を呼んだ。
父親が変に頼もしく見えた。
親父は「ナニっ!?」と言うと、ゆっくりと俺があの子を見た窓の所まで向かった。
親父「いないぞー?見間違えじゃないか?」
そんな訳は無い、本当に門の方を見ていた。
親父「うーん……、とにかく何かあったらすぐに警察を呼ぼう。
お前もゲームのやり過ぎと、トラウマでおかしくなってるのかもしれない。
今日は寝ろ」
オレ「うん」
寝れなかった。
別に女の子が攻め込んできた所で大丈夫だと俺は思っている。
ただ、怖いと言う感情だけは、どういう訳だか消えなかった。
矛盾しているかもしれないけど、
女の子が来るって言う恐怖は大丈夫でも、女の子に何かされるって言う恐怖は駄目な感じ。
カーテンを閉め切ったから、中の様子は見えないと思うけど、
カーテンを開けたら立ってるんじゃないかと言う妄想に襲われた。
しかモオタであったからか、何故かレ●のイメージ。あんまり見てないのに……。
恐怖でやばい、そう思いパソコンを立ち上げスカイプを見た。
ニート退席中でログインしている。
誰も見てないと思うけど……
ニト「特定されててワロタ」
オレ「どうしよう」
ニト「うらやましい、死ねよ」
オレ「いやいや、コッチは結構本気で考えてて」
ニト「うっせぇ、幽霊かもしれないと言うのが本当なら、寺生まれのTさんでも召還しろ、破ッ!」
オレ「ぇぇ……」
ニト「マジレスすると、迷ったら警察(´・ω・`)
警察頼りない言って頼らないで、痛い目見るよりは、頼って「頼りねーぞks」って怒鳴る方が百倍いい」
豚面していたが、妙に安心出来た気がした。
親父は寝ていたので、静かにスマホで地元の警察へ相談の電話をした。
今の段階ではどうしようもできないけど、ここ数日続くようなら昼間に相談くださいと、言われた。
あと、付近の警察官に見回りするように伝えておきます、と。
オレ「……って感じになりました。ニトさんありがとう」
ニト「もっと崇めなさい(´・ω・`)」
そんな感じで落ち着いてきた頃、それは始まった。
コツコツ、と音が鳴った。
ガラスを誰かが叩いているみたいな。
「~~?」
何かを訪ねているような声が周囲から聞こえてくる。
オレの孤独な戦いが始まった。
まず、その声の出所を静かに息を殺して探った。
??「~~?す…せん」
オレ(玄関……?いや門?)
でも家から聞こえるような距離なのだろうか?
てか、結構クリアに声は聞こえてる。これが頭に話しかけると言うものなのか?
どちらにせよ、声がしていたのは確かだ。それもだんだんリアルになって行く。
そして声が聞えるたびに、家の中でラップ音と言うのが鳴っていた。
ギギギだったり、パンパンとか、パキンっとか。
俺は『幽霊』だと確信した。
>>23
ありがとう。
>>25
オレはその時、トラウマ思い出してたと思う。
痴漢冤罪された時の女子が、すげーかわいい子でね。いや、可愛いと言うより美人?
結局「ごめん、私の勘違いだったみたい☆」で済まされたけど、その日から女の事を過剰に警戒してたわ。
ここ等辺に車が通ることはあれど、原付は聞いた事が無い。
その間も「~~?すみ…ん」と聞こえてくる。
原付が一台家の前に止まったが、直に発進していった。
俺の中で「幽霊でFA」が現実的になってきた。
オレの町ではちょっとしたオカルトブームが流行って居て、
その時、キリスト教のシスターや、神主さんを呼んで大々的な「怪談会」をやったことがある。
その中の話で、こういうのがあった。
『幽霊とコンタクトを取れば、危険から逃れられる。
そのためにまず、頭の中で声に出さず『貴方は誰ですか?』と尋ねる。
そして、『人なら1回、幽霊だと思うなら2回、音を鳴らしてください』と言うのです
そうやってコミュニケーションを取りましょう。』
……今思い出すとかなり滅茶苦茶な話だわ。めっさ怖いわ。
ただ俺は、藁をもつかむつもりで、それを実践した。
??「~~?す…せん」
オレ(聞こえていますか?聞こえていたら音を一回~(ry
??「~~?すみ…せん」
オレ「…………聞こえてないだろうか。」
と言うか、声が今度はハッキリと聞こえてきた。
??「昼間の人ですか?すみません」
オレ「OH….」
恐らく意思疎通しようとして、声が聞え出してしまったのかもしれない。
そう言う話もよくあるし、意識を集中しては駄目だって言うのも怖い話のあるあるだ。
オレ「……聞こえていますか?」
??「――ッ!」
そとで驚いた様な声が聞えた。
その瞬間、家が地震にでも襲われたかのような、激しい軋み声を鳴いた。
曰く引っ張られる、連れてかれる、神隠し、etc…
ただ、俺はやってしまったのである。
今の外の声の反応的に確かにオレの存在を確信してしまっただろう。
と言うか、今のもの凄い家のきしみなんだよ。
ギギギってレベルじゃなかったと、ギシシーーッッッ!ってレベルで家壊れるかと思ったぞ。
オレ(ああ……、俺ここで死ぬのかな。呪われて殺されるのかな)
ただ、こうとも言う。
本当に酷い呪いは、死ぬギリギリで苦しめるものだと。つまり死ねないと。
何故かこの先十年かけて、この呪いから解放されようと言うような妄想に取りつかれた。
親父「大丈夫か、オレ!?」
ドアを開けて、親父が飛び込んできた。
オレ「今、家の前に居るはず……」
親父「参ったな……、ただお前は大丈夫なはずだ」
曰く、父親の母方の祖先に北海道でも霊感が強く昔は大名に仕えた人が居るらしい。
血が薄まり過ぎていると思ったが、親父は続けた。
親父「お前は昔から霊感が凄く強い」
生まれて3歳の頃、知らない人と遊んでいたり。
両親には見えない人に手を振って居たり、話しかけていたり、そう言う変な子だったらしい。
あまり覚えていないが、五歳の頃、母親の実家で着物を着た女の子と山奥の寺でメッチャ遊んでた記憶が薄らとあるが、それがそうかもしれない。
親父「昔、お前が群馬で地縛霊に憑りつかれたことがあってだな。」
オレ「え?」
親父「その時、地縛霊の方がお前に引っ張られて、東京まで連れて来てしまっていたほどだ」
オレ「何それ、中二病すぎ」
親父「一応、親戚一同でお前のお祓いをして、とっても強い守護霊を憑け、霊感を抑えたから、大丈夫なはずだ」
とにかく、中二病の下手なラノベの様な説明を受けた。
ただ、その間もラップ音と妙な揺れは収まらず、結局親父の部屋で恥を堪え夜を越した。
ただ幸いにもバイト先に間違えて多くの人を出勤させていたらしく、幸いだと言われた。
一回に降り、祖父と祖母に会う。
祖父「……夜中うるさかったな」
祖母「線香立てておきな」
妙に神妙な二人に恐怖を抱きながらも、線香を立てて、仏壇に揚げられていた饅頭を手に取って食べた。
祖父「俺はそう言うのが全くわからないが、良くない事にならないように、気を付けるんだぞ」
祖母「アンタなら大丈夫よwwいつまでも遊んでる能天気な人だしww」
オレ「……門の所に居なかった?朝とか」
オレは饅頭を食べながら尋ねる。
今でも門の所に立ってるのではと、ビクビクしてた。
祖母「誰も居なかったよ、ただね……」
そこで祖母何も語らなかった。
祖母「塩用意しておくから、見ておいで」
昨日、あのJKが立っていた場所が異常なほど濡れ、黒くなっていたのである。
花壇とかする人なら分かると思うけど、黒い土に水を通すと出てくるような黒い濁った水。
それが直径3メートルぐらい、そこだけポツンとあると思うと言い。
念の為に言うけど、水気はない。そもそも、そんな黒い水が発生するようなものはない。
オレは家に帰ると、塩をまいて貰い、祖母が黒い水たまりに塩をかけに行った。
黙って、まっすぐに二階へあがり、カーテンを閉め切った。
そんな状態でベットで横になっていたが、カーテンを開けられるような気がして、そのカーテンをガムテープで止めたほどだ。
ツイッターで呟くのははずいし、2ちゃんねるにスレ建てる?いやいや、何か怖い。
今スレ建てちゃってるけど、何故か立てるって気にならなかったんだ。
仕方なくスカイプにログインし、誰かしらに愚痴ろうと探す。
ニトと専門がいた。
社長は取り込み中なので、仕事中のサインだ。
一度、社内通話にスカイプを利用しているらしく、それで俺に誤爆し、この時間帯に仕事していると俺は知っていた。
専門「幽霊にビビってるオレさんチーッスwwwwwwwwwww」
オレ「殺 し て や ろ う か ?」
専門「え、あ……そうマジにならないでください……」
オレ「ごめん。」
ニト「それで俺が落ちた後どうなったか、説明ヨロ」
専門「アチャー、一番やっちゃダメなパターンの典型」
妙に興奮している専門が本当にウザかった。
ニト「ふむふむ、それで……?」
オレ「気が付かれました」
専門・ニト「「キタアアアアアアアアアアアア!」」
オレ「笑ってるんんじゃねーよ!!」
ニト「はははwごめんごめんw」
ニト「ただ、心配していたのは本当だ。一応、心霊に関して友人とか専門と調べたんだけど」
ニト「結局、俺の中では無視するのが一番じゃねーか?ってなったわ。それと、コンタクト取ろうとしないのが一番って」
オレ「もうだめじゃんorz]
専門「ですねwwただ、一応お祓いに行くのはどうなんでしょうか?」
思い当たる所で二件しかなく、どちらも金がかかる。
実害が出てから……ッと思ったが、あのラップ音のすさまじさを考えると視野に入れなくては。
専門「あと保障できないですけど、地縛霊じゃなさそうだし、大丈夫じゃないんですかね?」
ニト「もしくは生霊って線あったり、呪い殺すって線もあるけど……」
オレ「今の話聞いてた?強弱あれば、強い分類の霊だよね?」
専門「そこなんですよー!」
何故こいつは楽しそうなのか。
専門「俺の予想ですが、多分、凄く未練がある霊だと思うですよ」
専門「だから力も強いし、一生懸命、オレさんにアピールしてきているんだと思います」
専門「こうなったら、コッチから歩み寄るしかないじゃないですか?」
こ い つ は 何 を 言 っ て い る ん だ ?
この時、ニトが裏でチャット送って来たけど、どうも専門は遊び気分らしい。
てか、楽しんでいるそうだ。それも、誰よりも。
ニト『俺も遊び気分だけど、専門の場合は、俺より酷いわ。』
オレ『みてて分かる。ただ、こういう話だし馬鹿にされても仕方がない。』
ニト『ただな、交流するってのもある意味ありかもしれないわ(・ω・`)』
オレ『そうなの?』
ニト『だって、その子はコンタクト取りたいだけかもしれないし、ナマジカ無視している方がハラたつじゃん?』
オレ「ああ……」
ニト『どうなるか安全の保証は出来ないけど、そう言うのも手なんじゃないかな。』
ただ「一番は直にお祓いに行け」とニトさんは言い締めくくった。
その間、会議チャットの方で専門の女たらし話()が流れていた。
あと、友人の霊感話をしてたが、どことなくウザかった。
その日はいつも以上に収獲の悪い日だったのと、俺が足を引っ張りまくってた。
頭の中では、お祓い&無視する考えと、コンタクトを意を決して取るの二択が戦っていた。
無視するには、いつか頭の中がおかしくなるんじゃないか、
そもそもニトが言ってた通りになるんじゃないかと、不安に駆りたてられた。
なので、『無視』と言う案は消えた。
面と向かって立ち向かおう。お祓いか、コンタクトかで。
駄目元で祖父と祖母へ相談したが「金掛かるぞー」と言われ、失敗するリスクもあった。
理由としては親父の話がある。
オレにしたお祓いと封印と憑りつかせ?、この三つを知らない人がお祓いをすれば、何か起こるのではと思ったのだ。
とりあえず、夜中、親父に頼みその親戚に電話する事にした。
じゃあ、コンタクトを取る方は?
2ちゃんねるや、世間的に広まる様な、コンタクト取って成功した例は、生存したからだと思っている。
つまり、失敗した例は、死亡か、失敗した話を伝えられない状況に陥ったか、どのどちらかだと思ったんだ。
オレ「いや、そうじゃなくて……」
専門「これはこれは……コンタクトとるしかないですねー、ですっねー!」
ニト「専門、ちっと黙れ」
専門「あ、はーい……」
ここで決断を迫られた。
と言うか、ここでいつまでもこの怪奇現象を悩みながら生きて行っても仕方がないし、
いつかは絶対に立ち向かわなくてはいけない時が来る筈だ。仕事もいつまでも休めないし。
オレ「……お祓いする。」
専門が露骨につまらなそうにため息をつく。
オレ「ただ……、コンタクト取ってみるよ」
ニトが微妙な感じの笑い声「ええ、ああそう?」って言う。
今日の朝には居なくなっていた、あのJKが何処に居るのか探しに行く事にしたのだ。
オレは祖父と祖母には「息抜きしてくる」と言い家を出る。
真っ先に向かったのは、昨日あのJKと出会った場所、交差点だ。
向かう途中、俺が中学生の頃そこでひき逃げがあったのを思い出した。
もしかしてそれか?
結論を言えば、違った。俺も憶えているが轢かれたのは若い男性だ。
それも工場の従業員だったと思う。
その男の彼女が、後を追って自殺し、その場所を目指した可能性もあるが、
どうもそう言う雰囲気には思えなかった。
いや、ビビってたけど、可愛いと思える感情は嘘ではない。
本当にかわいいだ。DT拗らせてるから補正かかってるけど、マジでかわいい。
ただ、あの時。
交差点で立っていた様子は、何かを待ってたり探していたと言うよりも、
”日常的な行動で信号待ちしている”と言う方がしっくりくる感じだ。
そこで偶々、見えるオレに出会った。
それで俺に興味を覚えて、図書館や家まで追ってきたのだろう。
俺はそう推測を立てて、交差点へ到着した。
今でも思う。この日、この子に会いに来てよかったと。
どんなことが、この先あろうかオレは知らないだろうけど、よかったんだ。
間違いなく。
その子は、昨日よりも悲しそうな顔をしながら電信柱に寄り掛かり座っていた。
こんな暑い日なのに、長袖のセーラー服に、向きによっては下着が見えちゃうだろう態勢。
ただ、自分の手でスカートを上げ隠していた。
そ の 姿 に 微 か に 興 奮 し た。
内心ビビっていた半分、萌えていた半分。
俺の中でもなにがなんだか、今思い出してもくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
ただ、その場では本当に冷静さは装ってた。
自転車ですーっと近寄り、その子の近くに止まる。
だが、女の子は下を向いていて気が付かない。
どうにか気が付く方法はないかと考え、小さく咳払いした。
その子「……っ!」
驚いた顔をしてコッチを見たと思う。
その子「あ、昨日の……、え、うそ……?」
たしかそんな事言ってたと思う。
その子は、立ち上がりオレをの方を見ながら、きょろきょろ周囲を見てた。
ただ、これで、この子が幽霊だと確信した。
昨日の声の主と同じだし、何より。
先ほどから、横を人が通り過ぎるのだが”気が付く様子がない”
オレはスマホを弄る振りして、チラチラと女の子を見ていたが、若干不審者っぽかったかもしれない。
スマホに文字を入力した。
オレ『昨日はすみませんでした。お話がしたいです』
その子「……えっ?」
すまんが、飯だ。食べ終わったら再開します。
ああ……うな重だ。
スマホに文字を入力し、それをその子に見える事を思いついた。
オレ『昨日はすみませんでした。お話がしたいです』
その子「……えっ?」
短い言葉で驚いているのだと、確りと伝わってくる。
オレ『良かったら、家までどうぞ』
その子「は、はい……!」
すごく嬉しそうに笑っていた。本当に効果音がキラキラしているような、
愛くるしい可愛い顔だった。
まさか、俺の肩に右手を置いて、空中を滑る様についてくるとは思わなかったけど。
それと置かれた左肩から腕が、異常なほど結構悪くなり鳥肌凄かった。
本当に「ヒトでない者」なんだと、悟った。
>>48
すまんな!たっぷりと頂いてきたわ!
車が来たときは咄嗟に、避けようとして壁に激突した。
腕の状態は、まるで紐で縛った指かと思うほど痺れ赤紫色になってた。
とは言え、十分ぐらいなら問題が無いだろうと思い、そのまま女の子を連れて帰った。
案の定、女の子が家の前につき手をはなすと、腕の色は元に戻った。
――ただ、問題が発生した。
オレ「え?」
昨日の夜中、一生懸命に外で叫んでいた訳はそれだったそうだ。
あと、地面が黒く濡れていた件に関しては、本人も知らなかった。
ただ、あそこまで真っ黒な水あとが、帰ってきたら無くなっていた。
オレ「うーん……、どうして入れないの?」
S子「近寄ると、強い風が吹くと言うか、押されると言うか……」
オレ「分からないなぁ……祖父と祖母に聞いてくる」
祖父と祖母は「何をしているんだバカモノ」と怒ったが(当然だけど)
祖母「うーん、どちらにしても上がれないなら、”あがれない存在”なんだよ」
そう祖母は俺に諭す様に言った。
そこで、S子と話をした。
その場所は蚊が酷いため、誰も座らない様なベンチで、川の匂いが酷く人気も少ないスポットだ。
ちなみに深夜にここでズッコンバッコンを数度目撃するほど、人気が少ない。
とりあえず、俺が先にベンチに座った所でS子が切り出した。
S子「どうして、急に……?」
S子「でも、昨日……絶対悪い事したと思うのですが……」
オレ「正直、確かにアレは怖かった。今でも恐いよ……」
S子「やっぱり……」
オレ「アレはワザとだったのかな?」
S子「そ、そう言う訳じゃ……」
だよねーっと、オレは笑った。
恐らくあの水たまりの件も知らなかったのだし、ラップ現象などまったく思いもしてないだろう。
案の定、聞けば、その通りだった。
オレ「ただ、夜中にああいうのするのは止めよう……、怖い」
S子「私、夜と昼間が分からないんです」
オレ「え?」
S子が言うには、世界が灰色だったり、薄い青色だったり、ぼんやりとし過ぎて光の区別がつかない世界が見えているらしい。
人の顔は分っても、その顔色まで分からないと。
そこで俺は思った。
さっきの腕の色、この子が見えて分って居たら手を離したと思う。
で、何故かわからないけど、興奮していた気持ちも、怖い気持ちも落ち着いたんだよね。
その後、適当なこと言って、その場を終わらせ、自己紹介をする事で空気を替えた。
オレ「オレの名前はオレです」
ちなみにこの時、一応人目につく事を想定して、電話している振りしながら話した。
S子「オレさんかー……、私は、名前分からないの……」
そうしてS子が、自分の事を話し始めた。
S子「気が付いたら、こんな感じになってて……。日が経つと記憶もぼやけてくの。
私を見える人は、昔にも居たと思うけど、殆どの人が私の事を避けたの。
時々話しかけてくる人も居たけど、凄く怖かった。」
オレ「なんで怖かったの?」
S子「ほとんどの人が成仏しろって……私はまだ生きているのに……」
オレ「ぇ……ぇぇ」
何も言えなくなった。
オレは、それは本当に人なのかと思いながらも、言わずに堪えた。
S子「だから、見えてるのかなーって人に話しかけてたんです。
それで今回オレさんが気が付いてくれて……。
話しかけてきたけど、怖い感じもしないし、ただ嫌がってたのは分かったよ」
オレ「ごめん……。」
S子「うんうん、いいよ。ただ、どうしても話がしたくて。
それで夜中だと知らなかったとは言っても、家まで見つけて……」
S子が言うには、強く思うとあの場所に居たらしい。
それで一生懸命に訴えかけていたと言う。
ちなみに俺が最初に見た家の中に何かいるって言うのは幻覚だったようだ。
S子も「知らない」と苦笑いしていた。
自分がこういう状態だと気が付いた時から、長い時間経っていると言う事。
多分一番古い記憶で二年前のクリスマスだと言う事。
ここ最近、この町に流れ着いたと言う事。
他の自分に似たような人の真似をして、憑いて動く方法を習得したと言う事。
長距離移動方法が車に手を付け、先ほどの自転車の様に滑っていると言う事。
そう言う怖いけど、話すS子は凄く嬉しそうで、楽しそうだった。
かわいかった。
流石に夜だし、帰らないとまずい。
オレ「ごめん、時間が来たから変えるよ……」
S子「ぇ……」
なんか凄い可愛い顔で寂しい顔してた、オレSの気あるのかな、ってぐらい、可愛いと思えた顔をしてた。
一応、腕時計を見せたのだけど、予想外の答えが買ってきた。
S子「時計を見ると、凄く歪んで見えるか、グルグル動いていて見えないの……」
なんだそれと、俺はポカーンとした。
やはりオレとは見ている世界が違うようだ。ただ、その日は別れるしかなかった。
三人もログインしていた。現在、ランダムで発生する大規模イベントに参加中のようだった。
オレ『ただいま帰りました。コンタクト取れました。』
社長『お、おかえり。通話するかい?』
オレ『今日は疲かれたので寝ます』
ニト『憑かれたか。』
専門『明日、話を聞かせてくださいねー!』
この後、社長から個別チャットが来て。
社長『仕事上、お祓いとかよくするのだが良かったら紹介しようか?』と言われた。
どういう仕事だよ!って思った。
社長『たしか、探しに言ったらしいけど、どう見つかった?』
オレ『はい、見つけました……本物みたいです……』
社長『そうか……、私としてはあまり深入り意思ない方がいいと思うなぁ』
オレ『そうですよね……』
社長『信じる信じないは別だが、信じざるが終えない事も世の中にはある。不幸な話でね』
俺にはちょっと分からなかったが、大体2ちゃんねるの洒落怖な話だろうと思った。
社長『そのために、そう言う事を仕事にしている人もいるんだ。いつでも私は相談に乗るよ』
それと最後に「専門君は少し行儀が悪い。適当な事を言い過ぎだ」とお怒りの文章が添えられていた。
専門は若干ネタだと思っていたのと、後に聞いたけど2ちゃんねるに投稿しようと考えていたらしい。
あとは大学生特有のテンションだ。
親父「聞いてみないとなぁ……、多分、親戚の方で紹介してくれると思うが」
オレ「そうだよね……」
親父「ところで――オレ、その子を家に連れて来たらしいな?」
親父の形相が変わった。
その後、一時間以上怒られた。
とてもとても、怒られた。
オレ「……すみませんでした」
親父「いいか、俺は心霊に詳しい訳ではなく、心霊を調べるような行為なら、まだ好奇心だ許そう。
だが、そう言う『モノ』に会いに行くとは、どういう事だ!?何を考えている!?」
正論だなと、思った。
いや、幽霊信じてない人からしたら笑い話だけど、そんな人でも地蔵様を蹴らないだろ?
それと同じような感覚で親父は怒っていたのだと思う。
オレ「あー……、また明日家の前でって約束で、何処に居るかは」
親父「何も無ければいいな、今夜は。」
そう親父は言うとビールを飲み干して、二階に上がって行った。
いつもなら反抗的な態度を取るが、この時ばかりは何も言えなかった。
二階に上がり、ベットで横になった。
S子の顔が浮かび、S子の声と可愛らしい顔を思い浮かべると、色々やばかった。
胸とか下とか、心とか、頭とか。
ただ、幽霊なんだと思うと、すぅーっと冷めた。
それでどうにか落ち着きを取り戻し、いつの間にか眠りについた時、変な夢を見た。
その人は凄く低い声の男なんだよね。
ただ、ものすごく怒ってるんだ。怒男とでも呼ぶか。
怒男「何を考えているか分からないが、そんなんでは私も許せない。」
オレ「すみません……」
怒男「こうして説教をしても貰えるのをありがたく思え。」
オレ「はは……」
怒男「それとお前の未来の為に助言がある。決して心のよりどころにするな」
オレ「……S子をですか?」
怒男「あの箱と板でしている画(ネトゲ?)もそうだが、自分の未来に残らないモノに心寄せるのは、愚の極みだ」
オレ「は、はい……」
怒男「どうしても行うと言うなら私に止める事はできないが、それでも自身を大切にしろ。」
怒男「今の自身も、未来の自身も、大切にできるよう努めろ」
一字一句、それと言葉が合っている訳じゃないけど、最期の一文だけは怒男はそう言ってたと思う。
早朝の天気予報とニュースを見ながら、インスタントの味噌汁と米とお漬物の日本人らしい朝食は、脱帽者だった。
親父!って感じがした。
親父「おう、オレ、早起きだな……何も無くてよかったよ」
オレ「え、ああ……ただ、夢の中でオッサンに怒られた」
あったことを話すと、親父はニコニコしながら話した。
親父「ははは、お前に憑けた守護霊様かもな」
俺に付けた守護霊は、元々神社に祀られていたような存在だったらしい。
守護霊の生前は、生まれた時から『守護霊になる事を定められていた様な人』であるらしく、人を救う事に生きがいを感じ
曰く学問を教え、剣術を教えて、歩いて居たとか。(歴史に残らない偉人ってやつか?
死んだあと神社の守り神として祀られ、戦国時代は名のある武将の守護霊として貸し出された過去もあるとか。
オレの中二病設定が急激に極まって行くのが分かった。
オレ「……たぶん。」
親父「なんで、そこまで会いたいんだ?」
オレ「……なんでだろう」
ここら辺でオレはなんで会いに行くのか分からなくなっていたと思う。
いや、今だから分かるけど、本当にその時分からなかった。
ただ会いたかった。
親父「そうか……、これ親父の数珠だ。常に持ち歩きなさい」
親父はどこからか持ってきていた数珠を俺に手渡した。
線香の様な匂いがして、若者が付けてるような明るい色をしている訳ではない数珠だった。
オレ「……たぶんだけど、S子はそう言う事する子じゃないよ」
親父「オレもそう言うのは分からないから、何とも言えない」
オレ「なら。」
親父「ただ、それはお前も同じだろ?」
ログインしているのはニトと専門。専門は寝落ちだろうが。
ニト「起きたか。よく寝れたか?」
ニトの方からチャットが来た。
オレ「寝れた、けど複雑」
ニト「お姉さんに話してみなさい(´・ω・`)」
オレ(お前お兄さんだろ……)
そう思いながら、昨日話した話の4割ほどを話した。
S子の話を全てまとめ切れていた訳じゃなし、ニトが気になっているだろう部分だけを伝えた。
ニト「マジもんじゃねーか(((゚Д゚)))ガタガタ」
オレ「うん、マジもん」
ニト「お前も大変だな(゚∀゚ )」
オレ「今結構楽しんでると思うけどね……」
ニト「まぁ、そう言うな。とにかく会いに行って分かったのは、やっぱり自分を見て貰いたかったんだなぁ」
ニト「オレはどうしたいんだ、その子?」
オレ「……お祓い、と言うより成仏させてあげたい」
ニト「ただきついぞー、本人自分が生きていると思ってるしな」
オレ「うん、それが……一番聞いてて辛かった」
ニト「お前本当に取り殺されるなよ?」
オレ「それはない。」
専門「おはようございまーす、通話しません?」
オレ「パス」 ニト「死ね」
専門「ぇぇ……」
専門「それで、ログ追いましたけど、その女の子は……?」
オレ「今日会います」
専門「色々聞いて来てほしい質問あるのですがいいですか?」
オレ「なに?」
ニト「逝って良し」
専門「じゃあ言いますねー」
自分が死んだと自覚していないのはなぜか。
覚えている生前だと思える記憶はあるのか。
どうしてこの町を選んだのか。
今までどういう目的でさ迷っているのか。
オレさんの事をどう思っているのか。
……かなりこいつの人間性を疑った。
ただ、俺も気になる質問があったので幾つか利用することにした。
オレ「ま、まあ……」
専門「なら、失敗すると、悪霊化することもあるらしいし、気を付けてくださいね」
オレ「え……。」
専門「俺の友人にお祓い失敗して、酷い事になった奴いますんで……」
オレ(ウッザ……)ニト「死ねよ」
専門「ちょっと厳しくないですかーww」
ニト「はぁ……、こういうのもあれだけど、お前ふざけすぎ」
専門「こういう話題ですしwwww」
ニト「ああ、こういう話題だからふざけて良いよ」
ニト「ただ、ふざけるなら周りが笑えるネタでふざけろ、ガキ」
その日は喋ることはなかった。
同時に俺の中でニトさんの株が急上昇した日でもあった。
その後、ニトと二人でネトゲをしていると、ふと脳裏にイヤーな電気が走るような感覚がした。
外から感じる。直に分かった。
S子が来たと。
この時の忠告をもっと真摯に受け止めるべきだった。
それに気が付くのは、もっと先の話である。
S子「……おはよう、かな?朝だよね?」
相変わらずのセーラー服姿に、黒いストッキングが魅力的な、可愛い女子が門の前に居る。
なんか照れくさそうにニコニコしているが、そのしぐさが愛しい。
オレ「うん、朝だよ」:表 冷静ぶって
オレ(わあああああ):裏 歓喜喝采
こんな日が訪れるとは、このオレに、幼馴染なんかレディースのヘッドになったような化け物しか居なかった、俺に。
こんなエ○ゲーの様な日々が、まさか、この歳で、来るとは。
ただ、ただ……、こんなにかわいいのに幽霊なんだよな……って思うと、冷静さに磨きがかかってきた。
もう、なんていうか。
門の前に居たセーラー服のこの子と、俺が寂しい青春を送った工業時代に会いたかった。
そうすればきっと毎日が天国だっただろう。
制服が違うから、途中で分れることになるが、それもそれでドラマチックで最高だ。
それで放課後あって……うへへへ。
と、DT拗らせた妄想を一秒でして、幽霊だと気が付き冷静になって、そんな精神的異常をきたしながらS子にあった。
S子「……なんかこうして人みたいな行動取るの久しぶりで、嬉しい」
俺も嬉しいよーヽ(゚∀゚ )ノ
もちろん電話をする振りして、S子と会話をする。
オレ「そう言えば、夜中のうちは何していたの?」
S子「猫がしゃべって……」
オレ「え!?」
S子「なんて言ったのか分からなかったから、捕まえようとして追い回してた……w」
別に不穏な影がある訳ではないらしいが、猫が喋るとは……。
やはり彼女と住む世界は違うようだ、とどこか心苦しかった。
オレ「どうやって時間を?」
S子「うーん……、なんとなくオレさんが眼覚めたなーって気がして、気が付いたらここに居た」
あかん、誰かティッシュ、テッシュ……。
凄い思い出しただけで、DT拗らせてヤバイ。
S子「それでオレさん、何のお話するのですか……?」
オレ「あ……、そうだ、今みたいな状態になる前の記憶とかあるのですか?」
ピタッとS子が固まった、地雷だったか?
S子「うーん……」
え、今どきの子って、頭に手を当てて考えるっけ。
何そのしぐさ、二次元だけじゃないの。二次元じゃないけど、三次元でもないけど。
S子「お母さんが居て、お父さんも居て……、弟がいたかもしれない」
オレ「おお……、名前は?」
S子「分からないし、眼しか思い出せない。声も言葉も、思い出せないの……」
オレ「前からそう言う感じなの?」
S子「どうだろう、今オレさんに言われたらパッて思い浮かべた感じ」
な ん じ ゃ そ り ゃ 。
S子「何となく掴まって、気が付いたら、この町に来てたの……かな?」
どうもよく覚えていないらしい。
そもそも、前の町やこの町の名前も知らないそうだ。
S子「で、最近来たんだけど、オレさんにあって……」
ここでS子は急に喋らなくなったんだ。
オレ「ど、どうしたの?」
俺には女心は分からないのが悪かったのかもしれないけど、気の利く言葉をかけれなかった。
オレ「なにか失礼なこと聞いちゃった!?」
S子は静かにクビを横に振る。
S子「違うの……嬉しくて……ただ、変なんだね、涙がでないの……」
S子はそう言うと、顔を下に向けて、セーラー服で顔を隠しながら、小さな声で鳴いていた。
俺は見ちゃいけない気がして、眼を逸らしながらS子の話を聞いた。
S子「本当にここまで生きていてよかった……」
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ごめん、今だから思うだけど。
やっぱりこの言葉。
すげー、辛いわ。お風呂入ってくる。ごめん、情緒不安定すぎて。
S子「ねえ、オレさん」
オレ「は、はい?」
S子「私、お化けな顔してる?」
オレ「そんな事は!」
普通にかわいい顔しているし、普通にパッチリとした顔しているし、
子供っぽさと、大人っぽさが混ざった、俺なんかと比べれば断然整った顔しているS子だ。
S子「ずっと、誰とも話せなかった。話しかけてくる人が居ても恐かった。
私みたいな人に会ったこともあったよ。でも、会話することないし、皆、お化けな顔してたの。
私もいつかああなっちゃうじゃないかと、ずっと怖かった」
S子「だから、オレさんに会えてよかったな……って変だよね。まだあんまり会って時間経ってないし」
オレ「そうだね……」
S子「ふふっ……、それで他に何か聞きたい事あるのですか?」
それから、彼女が見て来た不思議なことの話を聞くことになった。
自分みたいな人間が突然光となって消えたり、暗闇に飲まれたり、倒れて地面へ吸われて逝ったり。
かと思えば、異常なほど長い手足をくねらせて移動していたりと、
かなり怖い話を聞かされた。S子も恐かったらしい。
オレ「ちなみに今この公園にそんな人いる?」
S子「うーん……あのスベリ台の下に女の人が……」
俺は直に場所を変える事を提案した、そして、また腕を変色させながら、大きな川の歩道へ向かう事にしたんだ。
正直、今スゲー寂しい気持ちになってきた。
今日夢の中で怒男が出てきそう。
何とか、語り切るよ。