私も、ぼーっとすることが多くなっていました。停滞期というやつかもしれません。
ゆきのお婆ちゃんが、家に訪ねてきました。野菜のおすそ分けをしてくれました。
玄関に腰掛けて、お婆ちゃんは言いました。
ゆき婆「1ちゃん、ゆきと喧嘩でもしてるのね?」
1「」
ゆき婆「今週の初めくらいから、ゆきが元気ないのよ」
ゆき婆「いんにゃ、ゆきも自分が悪い自分が悪いって言いよるよ」
1「えっ」
ゆき婆「すれ違いねぇ」
お婆ちゃんは、にやにや笑っていました。
美形の性格良い幼なじみに熱愛されるとか二次元でしか有り得ないことを
実現してるのが凄いわ…前世で、よっぽど徳を積んだんだな
殆どの人にはこんなラッキーイベント起きること無く
青春なんてものも無く無味乾燥な、むしろ苦痛よりの一生を送るというのに…
1はゆきを逃したら後が大変だろ結婚エンドを望むわ
1「まあ、たしかに」
ゆき婆「だからね、1ちゃんといると、すごく頼もしく見えるのよ」
1「そうですか?」
ゆき婆「そうよ。だから、良かったら、1ちゃんが大人になってリードしてくれんかw」
1「…」
ゆき婆「勿論、腹が立つだろうけど、ゆきもゆきなりに、1ちゃんを大事に思ってると思うんよ。だから、 ゆきと仲直りしてくれんか。ゆきのことを任せられるのは、1ちゃんだけなのよ」
1「します、します。今すぐにでもします」
涙目になりながら言いましたw
お婆ちゃんが帰った後、すぐにゆきの高校へ向かいました。
丁度部活が終わっていたようで、ゆきが俯き加減で校門から出てきました。
1「よう」
ゆき「!!!??」
1「お前のばあちゃん嫁にくれよ」
ゆき「は、え?は?」
1「ごめんなさい」
私は校門の前でおもいっきり土下座しましたw人に見られてなくてよかったw
1「ゆきのアピール無視してごめんなさい。男として見なくてごめんなさい。ゆき、先輩よりずっと格好いいよ」
ゆき「ちょww顔あげて」
1「ゆき愛してるよ」
ゆき「うん、うんww俺もwwだから止めて、脚火傷するよww」
ゆきに引張り上げられました。アスファルトあつい。
ゆき「ばあああああああちゃあああああああああん」
1「めっちゃ良い女ですね」
ゆき「あー…」
1「ちゃんと話し合うか」
ゆき「うん。俺も、ごめん。我儘言ってごめん」
私は素直に、ゆきのことは好きだけど、そういう行為に少し抵抗感があると告げました。
ゆきは真剣に聞いてくれました。
私は、ただ、ゆきに魅力がないということではないと付け加えました。女装のことが気になってる訳じゃない、と。
詳しいことは伏せますが。
そういうことも、ちゃんとゆきに話しました。
ゆきは、納得したようでした。1ちゃんがそういう気持ちになるまで、ちゃんと待ちたいと言ってくれました。
ゆきは、喧嘩した日から全然部活に集中できなかったと漏らしました。
1「精神弱っ」
ゆき「いやいや、だって思いっきりこけちゃったもん。膝見てよ」
ゆきの膝には、大きい絆創膏が張ってありました。私はふざけて、そこに触れました。
ゆきの体が強張りました。痛いの?と聞くと、いや、別にと歯切れが悪い。
ゆきは、真っ赤になっていました。その顔を見ていたら、どうしようもなく、胸がぎゅーっとなる感じがしました。
ゆきはびくっとなり、「汗かいてるよ」と言いました。
気にせず、ほっぺたをぷにぷにしまくりました。ゆきは、目を逸らしながらもじもじしていました。
そっと顔を近づけると、またびくっとなりました。
もうなんか、暑さにやられて、私はゆきにキスをしました。
勢い良くしたので、歯と唇が当たって痛かったw
しかも眼鏡のままなので、ずれたしw
1「ごごごごごごめん」
ゆき「い、いや、いいけど、いいけど」
1「なんか、ほら、暑いから。暑いから」
ゆき「うん、そうだね、うん」
私はごめんごめんと呟きながら顔を背けました。
ゆき「1ちゃん、平気なの?」
1「は、はい?」
ゆき「俺にちゅーしても、平気なの?」
1「い、いや。うん、別に」
ゆき「そっかー。嬉しい」
ゆきはふにゃっと笑いました。恥ずかしくて、顔中に汗が噴出してきました。
ゆき「良かったら、こっち向いてくれない?」
1「…」
ゆき「1ちゃーん」
下を向いたまま、ゆきのほうに顔をむけました。
ゆきが顎を優しく掴んできました。びっくりして、「うおっ」と叫ぶと、ちょっとふきだしていました。
ゆきがまた、キスしてきました。この前のように唇を噛まれて、音を立ててきました。
くすぐったくて、逃げようとすると、頭を押さえられました。
ゆきが小さい声で、口を開けてほしいと言ってきました。
なんで、と言おうとして口を開けると、ゆきがいきなり舌を入れてきました。
ちょっと、不覚にも、ちょっとだけとろんってなりました。力が抜けました。
ゆきは女の子みたいな、甘えた声で喘ぐみたいにしながら、何回も何回もキスしました。
私はずっと、硬直していたと思います。
ゆきは私の髪に顔をうずめて、ぎゅーっとしてきました。
ゆき「苦しかった?」
1「いや、うん、別に」
ゆき「しちゃったね、べろちゅー」
1「うんw」
なんとなく、おかしくて、二人で笑いました。