ゆき「昨日のメール、ちゃんと読んだの」
1「ううん」
ゆき「!な、なんで」
1「うそ。読んだ」
ゆき「え、じゃあ、じゃあ返事は…?」
ゆきは今にも泣きそうな顔でこっちを見てきました。
1「…いやー、釣り合わないよ」
ゆき「1ちゃんに俺が?」
1「逆だよ馬鹿か」
ゆき「なんで。そんなことない」
1「いーや、あるね。ゆきの顔と性格なら、もっと可愛い子彼女にできるって」
我ながらひねくれた返事でした。
1「そういうお世辞がいっちばん嫌い」
ゆき「俺から見たら、可愛い」
1「眼科行け眼科」
ゆき「俺視力AA。1ちゃんと違って」
1「とにかく無理、ってかダメ」
1「だから、ゆきと私じゃレベルが違いすぎるから」
ゆき「…」
ゆき「俺が、女装趣味だから?」
ハーゲンダッツ噴出するかと思った。
1「そういう理由じゃない、絶対違う!」
ゆき「そっか。何か安心したw」
ゆき「それじゃあ、あの理由じゃ納得できないんだけど」
ゆき「レベル云々とかじゃなくて、こう、違うでしょ。上手くいえないけど」
1「…んー」
ゆき「1ちゃんは、俺の事嫌い?」
1「…普通」
ゆき「普通かー…。じゃあ、これから何をすれば好きになってくれる?」
1「必死か」
ゆき「当たり前じゃん。本当に、本当に好きなんだもん」
1「…」
なにこいつ、恥ずかしい。
ゆき「…やっぱ、嫌?」
1「…」
かわいいなー、と思いました。犬みたいで。
ゆきはしょんぼりして、うつむいてしまいました。
ムネが痛くなるくらい、その顔が切なげで、どうしていいか分からなくなりました。
ゆき「ちょww犬ですかww」
1「うん、犬みたいww」
ゆきは笑いながら、おふざけに付き合ってくれました。その顔は、絶対無理して笑っていました。
ゆきは、私の腕の中で硬直していました。ゆきの、汗と制汗剤の匂いがしました。
ゆきはその硬直もつかの間、すぐに私の背中に手を回してきました。
苦しそうに荒く息をしながら、ぎゅーっと抱きしめてきました。
ゆきは何度も、私の名前を呼んできました。
ゆきの声は掠れていて、情けなかった。
やがてゆきは、焦れたように言いました。
ゆき「1…」
1「はい」
ゆき「俺、好きなんだけど…」
1「ど、どうも」
ゆき「…付き合って。ね?」
その言い方が、すごく甘えん坊なかんじがして、正直萌えました。
もういいや、ままよ、と思って、しょうがないな!いいよ!と叫びました。
ゆきは、顔を真っ赤にして「くぅううううう」と耳元で声を絞り出していました。
私は恥ずかしくて、苦笑いしながらそれに付き合いました。
その日は、二人で手を繋いで帰りました。
ゆきは、スキップでもしそうな浮つきようでしたw
これが、夏休み2週間目くらいのことです。だらだら書いてますが、結構展開が早かったような。
余談ですが、その日の夜おばちゃんとご飯を食べてると、何故か赤飯が出てきました。
嫌な予感がしました。
1「」
おば「ゆきのばーちゃんが、近所中に触れ回ってたわwww」
1「」
何故言う、ゆき。そして何故広める、お婆ちゃん。
おば「ってか、まだ付き合ってなかったのねwww」
1「…」
おば「まあ、お幸せにねwwwww」
死にたかった。
かといって、ゆきの女装癖は止みませんでした。
二人でおしゃれをして、お出かけするという奇妙なデートもありましたねw
大体、ゆきの方に視線が集まっていて嫉妬しましたww
トイレから帰ってきたとき、ゆきがナンパされていたこともありました。
ゆきは顔を真っ白にしてキョドってましたw
めちゃくちゃ情けない顔で、助けてーという合図を送ってきました。
お腹を抱えて笑っていると
ゆき「す、すみません!あっちに、あの、彼氏、彼氏待たせてるので、行きます、はいっ」
と大声でまくしたて、こっちへダッシュしてきましたw
彼氏って何だコラ。 ナンパ集団は不思議そうにこっちを見てたなw
が、一つ問題が。
私は、どちらかというと、まだゆきのことを「男」として見ていませんでした。
彼氏というより、「女装好きの友達」といった位置づけに近かった気がします。
今思えば、ゆきに申し訳ないです。
いきなり手を握ってきたり、くっついてきたりといって落ち着きがない。
1「なにw邪魔なんだけどw」
ゆき「うん…」
1「暑いから離れてよ」
ゆき「いや…」
1「何?」
ゆき「…1ちゃん、好きです」
1「何だいきなりww」
付き合い始めてから、ゆきは私の手を握る以上のことは、できていませんでした。
なんとなく、私とゆきの間には、そういうことをしてはいけないような雰囲気が流れ始めました。
ゆきはとてつもなく我慢してたんだと思います。
ある日、私は暇だったので、またゆきの部活の見学に行きました。
おもわず「おー」と感心していると、ゆきが、見たこともないような暗い目でこっちを睨んできました。
部活の帰り、ゆきは私を置いてすたすた帰ろうとしました。
ゆき「…」
1「早い早い、普通に歩いて」
ゆき「…」
1(えっ、キレてる?)
ゆきに、ここまで露骨に無視されるのは初めてだったので、怖くなりました。
無言のまま、ゆきの少し後ろを歩いていると
ゆきが、前を向いたまま言いました。
1「は、はい」
ゆき「…俺の事、本当に好きなの?」
1「はww」
いきなりの質問に、あたふたしていると、ゆきはイライラしたように頭をかきました。
やっとの思いで、「好きだけど」と呟くと
1「うん」
ゆき「じゃあ、態度で示してほしいんだけど」
1「態度って」
ゆき「だってさ、1の俺に対する対応って、友達のころと変わらないじゃん」
1「そ、そんなことないわ」
ゆき「あるし」
ゆき「…なんか、そういう雰囲気にもならないし…」
ゆきのことは素直に好きでした。ただ、なんとなく、踏み入った事をするのが怖い気持ちがありました。
モヤモヤして、ゆきにメールをしてみました。
1「ゆき、今日はなんか怒らせちゃってごめん」
ゆき「怒ってない」
1「いや、怒ってたじゃん」
ゆき「怒ってたっていうか、悲しくなった」
ゆき「理由分かってないのに謝るの?」
1「いや」
ゆき「やっぱり1ちゃん、俺より△△先輩みたいなタイプが好みなんじゃない?」
1「は?何いきなり」
ゆき「だってそうじゃん。今日なんかずっと見てたし」
1「見てないよ」
ゆき「見てた」
ゆき「ほら、やっぱり分かってない。何も分かってない」
1「もうなんなの」
いつもはふざけてるメールの文面が、めちゃくちゃ殺伐としていました。
だんだん私も、いらいらしてきて口調が攻撃的になりました。
ゆき「信じられない」
1「なんで!?」
ゆき「だって、付き合ってるなら、もっとベタベタしあうじゃん」
1「どういうこと」
ゆき「分かってるくせに聞くなよ、そういうとこ嫌い」
1「確かに、△△先輩のほうがさっぱりして男らしいよね」
この一言に、ゆきは傷ついたようでした。
メールがぴたっととまりました。
私はむしゃくしゃして、携帯を放って泣きました。
罪悪感でいっぱいでした。でも、ゆきにどう対応していいか分かりませんでした。
可愛そうなことをしたと思っています。今でも申し訳ないです
1は母親の心配とかはしてないのかな?
こんな小説があるんですかw読んでみたいです。
母親は、毎日電話をしあい、お見舞いにも頻繁に行っていました。
結構元気になるのが早かったような。
ちなみに、自論なんだが付き合っても別にベタベタする必要無いでしょ
まあ、別の男の事を見てて嫉妬するのには理解
美形の性格良い幼なじみに熱愛されるとか二次元でしか有り得ないことを
実現してるのが凄いわ…前世で、よっぽど徳を積んだんだな
殆どの人にはこんなラッキーイベント起きること無く
青春なんてものも無く無味乾燥な、むしろ苦痛よりの一生を送るというのに…
1はゆきを逃したら後が大変だろ結婚エンドを望むわ