俺がオヤジの書斎でウチワを見つけた経緯だけど、俺の家まもなくリフォーム予定なんだよ。
だから簡単な引越しというか、リフォームの間は貸家に住む事になってるから、荷物整理中でな。
オヤジは仕事で中々荷物整理出来ないから、書斎の本だけでも先に積もうと思ったら見つけたという感じだ。
時系列がバラバラで申し訳ないが、>>1は月曜日の出来事。そして>>2は火曜日の出来事な。
俺かなりテンパってるから会話も日時バラバラかもしれないけど、何となく察してくれ。
で、さっきだよ。
さっきつーか、夕方くらいな。今日つーか、水曜日はオヤジ休みだから朝から家にいたんだ。
俺も今日バイト休みだったから家にいて、おふくろだけがパートに出かけていなかった。
15時くらいか。おふくろが帰ってきた。帰ってくるなり、俺の部屋をドンドンドンってノックして、「話があるから来なさい」とおふくろに呼ばれた。
おふくろの顔がかなり怖くて、俺なんかしたっけなってずっと思ってたけど、リビング行ったら、何となく事を察した。
テーブルにぶわーって並べられたウチワとかファイルとか、色々。あと、青くなったオヤジ。
やっぱ昨日の話聞かれてたんだと思って、俺はちょっと申し訳なくなった。おふくろに。
俺はまもなく23だよ。今は22。
そんなつもりないけど、偉そうに感じたらごめーんね。
おふくろがオヤジに、「全部話してちょうだい」とか言って。「なんなの?これ」って言って、机の上のウチワをドンドン手で叩いてた。
おふくろの手で何度も叩かれるしんごのウチワ。
それを見てオヤジが、「あぁ…」って悲しそうな顔してるのを見て、そんなオヤジに俺まで悲しくなった。
「昨日○○(俺)と何話してたの?」
「ほら!お前の声がデカイから!お母さんにバレたじゃないか!」
「俺のせいかよ」
「お前がデカイ声出すからだ!」
「あなたの『しんご』『しんご』って声しか聞こえなかったわよ!!!」
思わず吹いた
ワロスwwwwwwwww
親父いいなwww
吹いちゃいけない場面ではあるけどここで吹いたお前は正しい
しんごしんごwwwww
「……」
「随分様子がおかしいと思ってたのよ。貸家に引っ越すから荷物まとめるわよって言っても、俺が自分でやるから触るなとか言って…」
「……」
「浮気でもしてるのかと思ったら、アイドルの追っかけなんかしてたの!?」
「……」
「おふくろ、追っかけはしてないと思うよ。なぁ、オヤジ」
「……」
「ファンなだけでこんなに変なグッズ揃わないでしょ」
「俺もよく分からないけどwwwなぁ、オヤジ」
「…少しだけなら、追っかけもしてた」
してたんですって。
むしろ俺は昨日の今日で村上信吾という人を知ったから、どういう人なのかは分からん。
ただ、ジャニーズ好きでウチワとか持ってたのが厳しかった。心狭いのかもしれんけど。
ほら見なさい、みたいな顔してるおふくろと、何してんだよオヤジ…と思って、情けなくなった俺。
おふくろが言うには、ずっと預金の額がおかしかったから、多分浮気でもして女に貢いでいるんだろうと思ってた、と。
生活費に手付けたら駄目だろ、オヤジ…
「いくら使ったのよ、このアイドルに」
「……」
「出張出張って全部嘘だったんでしょ」
「…拠点が大阪なんだ、この子は」(俺たち家族は関東住まい)
「大阪まで行ってたの!?」
「ぶ、舞台が大阪とか京都でしかやってなかったんだ!」
「仕事はどうしてたのよ!」
「してたよ!ちゃんと休みにしか行ってない!」
話しながらオヤジはウチワを綺麗に揃えて、テーブルの端に置いてた。
めちゃくちゃ昔に舞台見に京都通ってたの思い出したわ
やっと謎が解けたと言って、もの凄い呆れた顔してた。
母「いつからなの?」
父「……」
母「○○(俺)、お父さんがいつから好きなのか知ってた?」
俺「知らない」(咄嗟に嘘吐いてしまったwww)
母「いくら使ったの。いつから追っかけなんかしてるの。言いなさいよ」
父「…じゅ…6年くらいかな…」
嘘吐くなよ、オヤジwwwww
10年なんて言ったらやばいだろwwww
6年でもやばいけど。
いくら使ったかは気になるなー
親父嘘つきwwwwwww
信じられない!とか言って怒ってるおふくろ見て、6年じゃねーよwwww12年だよwwwwwと面白くなってしまった俺。
何考えてんのよ!!って怒鳴られてるオヤジの横で、俺ぷるぷる震えて笑い堪えてたwww
笑っちゃいけない所なんだけど、何て言うか、オヤジの人間臭い所見たwwwみたいな。変に興奮状態だったからな。こんな家族会議なんか初めてだったし。
「いくら使ったの!?うちの貯金からいくら抜いてたのよ!!」
おふくろの怒りが凄くて、何でこんなに怒ってんのか俺ですらよく分からなくなってた。
おふくろを宥めようとしたら、おふくろに「○○(俺)には黙ってたけど、お父さん借金してた事もあったんだから!」っておふくろに言われた。
俺「いつ?それ…」
母「アンタが中学校上がるくらいの時よ。お母さんの貯金から返したんだから!」
俺「……」
母「時期的に違うけど、その時のお金も女か別のアイドルに使ってたんじゃないの!?」
父「すまん」
いくら借金があったのか知らないけど、間違いなくしんご君に貢いだのだと思われます。
母「結婚前はジャニーズアイドルが好きだなんて言ってなかったじゃない」
父「……」
母「6年前に何があったの?」
父「…いや、最初は、京都に出張してた時あっただろ。あの時の取引先に誘われて行ったんだよ」
俺「何に?」
父「その…しんご君がやっている舞台をね。取引先の方が関係者だったから、誘われたというか。仕事で見に行ったんだよ」
俺「それがきっかけなんだ」
父「あんまり出て来なかったけど、女の子と勘違いしてたんだよ。後から聞いたら男の子しかいませんよって言われて」
俺「……」
父「可愛いなぁ…というか、頑張ってるなぁと思って」
母「でも、あなた京都に出張してのってもっと前じゃない」
父「!!!」
俺「wwwww」
母「10年以上前よね?」
父「…いや、6年じゃないか?」
オヤジ声が裏返ってるしwwwwwwww