前記事⇨女の子「煙草一本くれません?」俺「え、吸うんですか?」女の子「吸わないけど、なんか見てたら…」→運命の出会いをした結果…【1/6】

141:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:28:28.06 ID:WuLtuWlB0
彼女「お兄ね…司法試験全然ダメだった。」
彼女「時々、絵が描きたいって本音を漏らすこともあった。私だけが女で下の子だから、
好きなように美大に行かせてもらえたんだよ。」

http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1326566620/
141:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:28:28.06 ID:WuLtuWlB0
俺は何も言えずにいた。というか、普段まったく自分のことを話さない彼女が、
こんなに話してくれているのに、半ば驚いた。

彼女「司法試験に落ち続けるうちに…お兄はまいっちゃったんだよね。
心を病んじゃって、今入院してるんだ…もう絵を描くどころじゃない。」

なんて言ったらいいか分からなかった。いや、なんて言えば良かったの?w
彼女はそんな重大なことをあっさり笑って言うもんだから、俺は動揺した。

142:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 16:29:43.70 ID:+t3I5efm0
これは何も言えないな
144:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 16:31:02.35 ID:vEZCC0gL0
コミュ障には難易度たかすぎwww
152: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 2012/01/15(日) 16:43:46.85 ID:nhA7ui6A0
いろいろ複雑だね
153:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:44:34.59 ID:WuLtuWlB0
彼女「だから、わたしは…ゲーム会社に入ってゲームを作りたかったんだ。
私は好きなことをやって、自由にさせてもらった。だから絶対、夢を叶えようって…
でも、ダメだったよ。思い出にすがってるようじゃ、ダメなんだね。」

俺「ダメだったんですか…」
俺「でも、まだまだチャンスはありますよ…!」

彼女は、そうだねとは言わなかった。
だた、笑うだけだった。
その笑いが、何を意味するのか、まだ俺には分からなかった。

155:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:50:58.67 ID:WuLtuWlB0
その日、会うのは何回目か分からなかったけど、初めて連絡先を交換した。

色々合点がいった。
なんでゲーセンにいたかも。
最初の印象より、ずっとしっかりした子だった。
もちろん意味不明なところもたくさんあったけど、それが可愛かった。

美大浪人したらしく、俺より2つ3つ上だったんだけど、背は小さかった。
でもその背中がすごく大きく感じた。

俺は嬉しくなった。彼女が話してくれた。
これからはもっと彼女の力になれるかもしれない。
彼女のために、なんでもするくらいの心持ちだった。
彼女の抱えてたものは大きくてビックリしたけど、
何より話してくれたことが嬉しかった。

156:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:54:49.41 ID:WuLtuWlB0
すっかり浮かれていた。
次はいつ会えるだろう?

それから俺はまたしばらくゲーセンに通い続けた。ひたすら。
でもしばらく通っても、彼女はまったくゲーセンに現れなくなった。
メールは割と返ってきていた。

なんだろう?気になった。
土日も来ない。まだ仕事も始まっていないはずだった。

どうしてゲーセン来ないの?とメールで聞いても
「近いうちに行こうかな~」という趣旨のメールが返ってくるだけだった。

157:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:57:21.12 ID:WuLtuWlB0
それからまたしばらく経って、俺は若干凹んでいた。勝手に。
彼女はもしかしたら彼氏もいたかもしれないし、俺は多分忘れられた…と。

ゲーセンではいつも楽しくて、メシを食べることも多かったから、
向こうも俺のことを必要としていると思っていた。

突然、不思議なメールが来た。

「そろそろ、大きな勝負が待っています。勝ってみせるよ。」

160:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 16:58:59.19 ID:WuLtuWlB0
勝負?なんのことだろう?
就職試験?それともイラストレーターデビュー?
俺は楽観的に考えていた。

「勝負?なにそれ?気になる」的なメールを返した。
するととんでもない内容のメールが返ってきた。

161:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:00:26.99 ID:hiNsX/wJ0
ゴクリ・・・
162:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:01:08.33 ID:WuLtuWlB0
「今、入院しています。○○病院のどこどこ。良かったら会いにきてね、
わたしのファンさん」
みたいなメールが来ていた。
卒倒しそうになった。
驚きと同時に怒りも湧いた。
すべてを話してくれたと思ったのに…どうして黙っていたんだろう。
163:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:01:38.63 ID:hiNsX/wJ0
164:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:01:47.99 ID:qP+0jAr80
あ、あぁ…
165:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:02:17.99 ID:+t3I5efm0
嘘だろ…
166:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:04:01.26 ID:WuLtuWlB0
俺は大学をさぼってすぐに会いに行った。必死だった。

俺「どうしたの?すごく心配してたんですよ!!」
「若年性の卵巣がん。」
彼女はニコッと笑って俺が着くやいなやそう言い放った。

俺はことの重大さにすぐ気付いた。
俺はばあちゃんを卵巣がんで亡くしてる。
進行性のとても早い癌として知られていて、ばあちゃんもものの半年で…
だったのを思い出した。

167:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:04:57.32 ID:+t3I5efm0
おいおいおいおい

おい

168:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:05:54.20 ID:hiNsX/wJ0
あぁ・・・
170:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:08:01.67 ID:WuLtuWlB0
彼女は変わり果てた姿でそこにいた。ニット帽をかぶって、やせ細っていて…
彼女「本当はねえ。手術終わるまでは黙ってようって思ってたんだ」
彼女「でもやっぱり直前になって怖くなっちゃった。」
彼女は笑った。

笑顔だけは変わらずそこにあったので、なんだか俺のほうが安心して、悲しくなって、
涙目になってしまった。
しっかりしなくてはいけない。

173:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:09:20.72 ID:+t3I5efm0
最悪の結果でないことを切に願う

マジで泣きそう

176:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:11:28.62 ID:hiNsX/wJ0
>>1さんお願い
ネタだと言ってくれ・・・
178:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:13:39.89 ID:DwYZ6jvr0
1の最初の文章を見ると今はゲーセンに行ってない感じ…ということは…
179:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:15:00.81 ID:WuLtuWlB0
強く、一人で頑張っていたんだろうな…
きっと俺と初めて会った時から、このことで悩んでいた…
そう思うと本当に泣きそうになった。

俺「大丈夫です。教えくれてありがとう。
これからは、俺も一緒にいますから。」
これが俺の精一杯だった。
そうすると彼女は安心したのか、途端に涙目になった。

彼女「こわいんだよ…手術…絵を描けなくなるのも…ゲーセンに行けなくなるのも…
何もかも怖いんだよ…」

彼女は何かがぷつんと切れたかのように、大泣きしだした。
俺も涙をこらえて、ひたすら
「大丈夫、大丈夫…」としか言えなかった。

正直この時俺もダメだと思った。絶望してた。でも俺が
弱音吐いちゃ絶対だめなんだと思って、ふんばったよ。

188:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:20:09.67 ID:WuLtuWlB0
ひととおり励まして、なんとか良い空気に戻った。
彼女が、ブリジット描いてー!(ギルティギアという格ゲーのキャラ)
などと言ってくるので、俺が描いたりして遊んでいた。

すると、不思議と和やかになっていった。
そのうち、彼女のお母さんが機を見て病室に入ってきた。

俺「こんにちは」
母「あ、これはこれは…」
おふくろさんは人当たりの良い方だった。

190:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:22:33.11 ID:oRUw3uTe0
>>188
母は、厳しくないのか
それとも、病気だから?
くそ。。。今北ばっかだが、次レス気になるww
191:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:24:01.35 ID:WuLtuWlB0
俺は昔から大人(特におばちゃん)とは何故か打ち解けるのが得意だったので、
すぐにお母さんとも懇意になれた。

しかし俺と彼女の関係性があまりに曖昧だったので、そこはなんとも言及しづらかった。
母さんは勝手に彼氏だと思っていたようだが。

そして俺は手術までの間通い続けた。
すべてを捨てる覚悟だった。
大学も全部サボった。

196:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:29:07.63 ID:WuLtuWlB0
手術前日。行っていいのか迷ったが俺は行こうと決めた。

父親も、母親もいた。
お父さんは、話に聞いていたよりは温和そうな人だった。
「こんにちは…」

すると、母さんに手招きされて、待合に呼ばれた。
俺は母さんとは電話連絡もして買い出しにも行くくらい、実は懇意になっていた。

母「富澤くんには聞いておいて欲しいの。」
俺「はい…」

正直俺は手術の趣旨も、彼女の癌の状態もほぼほぼ知らなかったから、
何か聞きたいとは思っていた。

202:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:32:52.69 ID:WuLtuWlB0
すまん、打ち続けてちょっと疲れた、ちょっとだけ一服休憩させてください
204:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:33:21.52 ID:hiNsX/wJ0
>>202
ゆ、ゆっくり・・・まったりt・・・。
205: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 2012/01/15(日) 17:33:25.40 ID:nhA7ui6A0
>>202
ゆっくりでいいよ
209:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:34:07.45 ID:oRUw3uTe0
>>202
ここでかぁw
でも分かるぞ、このスレ来てからタバコの吸うペース上がった自分がいる。。。
210:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:35:13.06 ID:oRUw3uTe0
どこまでが釣りだよww
お前文才あるから続きかいてくれwww
218:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:44:40.89 ID:WuLtuWlB0
さて、再開します。遅くてごめん。

お母さんは俺に言った。
母「手術しても…余命は1年くらいだろうって、言われてるの…」

動揺した。思っていたよりも、ずっとずっと、残っていた時間はなかった。

母「君は…それを覚悟しておいてね。それで、このことをあの子に伝えるか
わたしたちは悩んでるの…」

人生20年そこらしか生きて来なかった俺には、もうどうしたらいいのか分からなかった。
母「君は、最後まできっとあの子のそばにいてあげてね。
あの子、あなたがいない時もあなたのことばかり話すのよ」
みたいなことを言っていたと思う。

最後までってなんだ?もういなくなること確定なのか?
混乱した。
大学生の小僧には、あまりに色々重すぎて、どうしたらいいか分からなかった。

220:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:48:00.11 ID:hiNsX/wJ0
話が重過ぎてなに書けばいいのか分からなくなってきた。
221:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:48:01.73 ID:WuLtuWlB0
手術は滞り無く無事終わった。
しばらくは麻酔やらなんやらのせいで、熱も続き、
彼女も起き上がるのは難しいということで俺は病院に行くことを控えた。

俺はしばらくフワフワした気持ちになっていた。
全部夢なんじゃないかとも思っていた。

226:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:51:14.12 ID:WuLtuWlB0
手術が終わって数日して、俺は彼女に会いに行った。
彼女は寝ていた。

目覚めると俺を見て、フラフラと体を起こす。
俺「あ、起きないほうが…」
彼女「いいの、今日は調子いいんだ…」
笑みにも力がない。

俺「手術、頑張ったね。」
彼女「ありがとう。」
彼女の笑顔には本当に力がなくなっていた。

228:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:52:48.34 ID:+t3I5efm0
どうなってまうん
229:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:53:11.25 ID:7Q+M/gV10
女の機能を失ったか……
230:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:53:33.12 ID:qXNWNJRC0
うぅ悲しい
231:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:54:25.81 ID:WuLtuWlB0
俺「何か、欲しいものは…?」
彼女「一緒にゲーセン行きたい」

俺「それは…もうちょっとしたらにしようか。」

彼女「ゲームしたいね。」
そんなこと言われたら、悲しくなるだけだった。

232:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 17:55:30.26 ID:0ZoZjK6b0
あぁぁぁだめだ切ない
せつねぇーよぉぉぉぉぉぉ;;
235:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 17:58:13.28 ID:WuLtuWlB0
彼女「病院の中散歩したいなあ。」
俺「それなら」

俺は看護婦さんとお母さんに聞いて了承を得て、車椅子をひいてちょっと外まで行くことにした。

俺「喉かわかない?辛くない?」
彼女「そんな大丈夫だよwよそよそしいのやめてw」

彼女「あ、でも欲しいもんあるぜ~」
俺「え、なになに?」

243:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 18:10:20.97 ID:WuLtuWlB0
彼女「スケッチブックが欲しいな」

俺「あ、なるほど。それならクロッキー帳なら俺今持ってる。」
彼女「ほんと?やった、それなら絵描きたいな。」
ラウンジみたいなところで、おれは彼女にクロッキー帳を差し出した。

車椅子に座る彼女の体を支えつつ、ペンとクロッキー帳を渡した。
彼女はゆっくりと絵を描き始めた。

247:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 18:14:53.45 ID:WuLtuWlB0
そこには、彼女が好きなアーケードゲームのキャラクタたちと、なにやら
メッセージ描かれていた。
そっとそれを恥ずかしそうに俺に渡す。

「迷惑かけてごめんなさい。こんな病人と一緒にいて楽しい?」

それは多分彼女の大きな不安だったんだろう。
これを、口に出して聞くことが出来なかったんだろう。

248:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 18:20:18.21 ID:WuLtuWlB0
俺は泣きそうになった。

俺「何いってんの?」
俺「俺は吹石さんといる時が、一番楽しいよ」
俺はハッキリ伝えた。絶対に変な不安を持ってほしくなかった。

彼女「よかった。ありがとう。」
彼女は小さく笑った。

俺は彼女の頭を撫でたけど、ヘタレだからそれしかできなかった。
頭を撫でると彼女は笑って「わんわん!」と言った。
本当に、こういうとこがあるから俺は惹かれてしまったんだろう。

249: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 2012/01/15(日) 18:24:46.33 ID:nhA7ui6A0
>>248
泣きそうになってんのは俺らだよ
251:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:26:51.31 ID:rFBqa3vV0
この板きて初めて涙が出たわ
253:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:28:16.83 ID:DwYZ6jvr0
久々に2ちゃん見にきたら、この有様
254:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 18:29:01.53 ID:WuLtuWlB0
と、ごめん。ちょっとバイトだからしばらく離れる。
待ってる人は申し訳ない。
255:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:30:31.75 ID:FGhAtxU80
>>254
行ってこい!
まってるから
260:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:33:52.16 ID:hiNsX/wJ0
帰宅時間だけでも教えていただきたい
261:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 18:35:13.64 ID:WuLtuWlB0
帰宅時間は日付変わる頃かな…でもその時はあまり書けるか分からないです。
おそらくまたまとまって書けるのは明日の夜あたりになると思います。
263:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:37:42.98 ID:0ZoZjK6b0
>>261
切ないが待ってるぜ
バイト頑張ってくれよな
264:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 18:38:16.55 ID:hiNsX/wJ0
>>261
バイトがんばってくれ!
280: 忍法帖【Lv=35,xxxPT】 2012/01/15(日) 19:00:54.79 ID:w8ox2UzZ0
よし。泣きながら待つ
309:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:24:49.79 ID:WuLtuWlB0
こんばんは。
思ったより早く帰れた。
みんなありがとう。少しだけど、書かせて頂きますね。
310:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 23:27:44.58 ID:PlvqQnxo0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
314:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 23:32:02.00 ID:sdG+A9i+0
ティッシュ用意した
315:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:33:14.89 ID:WuLtuWlB0
散歩から帰ると、病室に一人の女の子の姿があった。

どうやら、彼女の高校時代の友人らしかった。
彼女「てて子…」(名前は仮名です。LOVの彼女のお気入りの使い魔から)
友人「心配してたよ…」
俺「こんにちは」

俺は空気を読んで席を外そうとした。すると、
彼女「いていいよ…」
彼女がそういうので病室に残ることにした。

316:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:36:50.00 ID:WuLtuWlB0
彼女たちは懐かしい話に話を咲かせていた。
でも終始、彼女が病気の話に触れることはなかった。

そして30分くらいしたらだろうか、友人さんはお見舞いをおいて去っていった。
見たところ、癌のことすら知らななそうだし、彼女の病気について知らなそうだった。

俺「友達には、病気のこと話してないの?」
彼女「うん、てて子だけだよ。それに癌とか知らない。すぐ治ると思ってる。」

317:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:38:44.86 ID:WuLtuWlB0
俺「誰にも言わなくていいの?」

きっと俺が同じ状況になったら多くの友人に言ってしまう。

彼女「心配かけたくないじゃん。普通、みんなビックリしちゃうよ。
本当に少しの人が分かってくれてれば、それいいんだから」
彼女はとても優しい口調で言った。

319:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 23:39:05.98 ID:LaUs1+ko0
俺もLoVやってたからそっちの話したかったが、全然そんな雰囲気ではなかった;;
でも海種使いだったのかな。
320:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:40:23.76 ID:WuLtuWlB0
>>319 海種使いだったよ。おれも真似して海種使ってた。分かってくれてなんか嬉しいわ。
322:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 23:45:46.06 ID:LaUs1+ko0
>>320
やっぱそうかー。私は不死使ってました。
話の腰を折ってごめんね。続けてください。
321:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:44:45.43 ID:WuLtuWlB0
その少しの人に、俺が入っていたのは、嬉しくもあり、
なんとも言えない気持ちだった。

この子はもし俺がいなかったら、誰にも言わず、家族だけに頼って、
そう思うとなんだか辛くなった。

それからの日々は割と穏やかだった。
彼女は病院から離れられなかったが、俺は大学をできるだけ抜け出し
なんとか毎日でも彼女に会いに行った。

323:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:48:25.22 ID:WuLtuWlB0
花が好きだったから、けっこうな頻度で花を買っていった。
彼女のお気に入りの花はトルコギキョウという花だった。

俺が偶然花屋さんで見つけて買っていった花を、彼女はとても気に入ってくれた。
青と白の色合いが綺麗な花だった。

でも毎回なるべく違う花を買っていった。
そして病室で二人で「花擬人化ごっこ」
をして持っていった花を女の子の絵にして遊んでいた。

324:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:52:41.16 ID:WuLtuWlB0
よく笑った。花を持って行くと彼女は決まって
満面の笑みになって喜んでくれた。

彼女「今日はどうしよっかなー」
なんて言ってふたりで花を見て絵で遊んで、
本当に彼女が病気だってこと忘れるくらいに楽しかった。

326:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:54:46.07 ID:WuLtuWlB0
でもいつもいつも調子がいいわけじゃなく、
日によっては行っても起き上がることすら辛い日もあって、

そうすると俺はふっと病気のことを思い出して途端に辛くなった。
そんな日も俺はお母さんに言って、持っていった花だけは
花瓶に入れるようにしていた。

327:名も無き被検体774号+2012/01/15(日) 23:56:15.53 ID:JH2srFjD0
トルコキキョウの花言葉>>1は知ってる?

その事について触れるとしたらごめんなさいね

328:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 23:58:58.77 ID:WuLtuWlB0
ある日、いつものように病室に向かうと、
やたらテンションの高い彼女がいた。

彼女「ねえねえ、聞いてよ聞いてよ!」
俺「あらら、元気だね。どうしたの?」

彼女「外泊許可がもらえたよ!五日間!」
俺「本当に!?」

彼女「嬉しいなあ。2日間はおうちに帰るけど、わたし三日間は富澤といるよ!」
俺「本当に!」

329:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:00:22.79 ID:WuLtuWlB0
>>327 いや、わかんないですwなんなんでしょう?
330:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:03:18.33 ID:kk4jnI7G0
>>327
調べてしまった
331:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:04:15.57 ID:IBV3JR8S0
>>330
おなじく
341:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:21:28.68 ID:x9+/iUde0
彼女「デート行きたい!デート!」
俺「いいね、いこういこう。」

彼女「ゲーセン行こうよ、ゲーセン!」
こんなに元気で明るい彼女を見るのは久しぶりだったので、
俺はすごく嬉しかった。
どうにか彼女をたくさん楽しませてあげたい、そういう風に思った。

342:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:23:29.33 ID:cGKiHjoj0
もう涙しかでないすわ。f5がきついっす
343:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:23:38.59 ID:+acmGupP0
すでに涙腺が決壊しそうなんだが…
344:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:24:32.71 ID:cNQajzD20
花言葉調べて涙腺崩壊した
345:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:24:34.16 ID:x9+/iUde0
二人で、三日間何をするか考えふけった。

彼女はゲーセンに行きたくて、俺と普通のデートが一度してみたかったのだという。
そして、俺の生まれ育った街が見たいということで、俺の実家に来たいということ。

この二つだった。
彼女は多くを望まなかったし、贅沢も言わなかった。
何か欲しいものとかないの?
と聞いても、「ただ一緒にいたい」と言うだけだった。

346:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:24:41.50 ID:aS8Wbu6T0
涙やばい
彼女可愛すぎだろ…
347:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:26:03.31 ID:4UsJSHbt0
な、なみだがとまらない
うっ、ううう…
348:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:26:20.98 ID:WdAtM8AuO
彼女のテンションの高さが(;ω;)なんかもういや、すごいフラグ、まじ泣けてきた
350:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 00:29:55.53 ID:cOF2U+4D0
このタイミングでの外泊許可は最後の外泊としか思えない・・・
353:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:32:55.02 ID:x9+/iUde0
もしかしたら、最初で最後のデートになるかもしれない。
俺は覚悟していた。
この、外に出られる、普通に過ごせる三日間で彼女を最高に笑わせたいと思った。

俺は色々考えた。プレゼントを買うために、貯金を下ろした。
何を買うか、迷ったが、COACHの帽子をあげることにした。

彼女はCOACHが好きで(と言っても財布しか使っていなかった)、きっと帽子なら喜んでくれると踏んだ。

359:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:37:42.57 ID:x9+/iUde0
当日まで、ドキドキとした。何をどうすりゃいいのか。

彼女にデート初日でやりたいことを聞いた。
彼女「ゲーセンに行って、そのへんフラフラするー」
俺「え、そんなんでいいん?」

彼女「特別にどっか行くより、そっちの方が普通のデートっぽくていいじゃん」
彼女「学校帰りに一緒に帰るくらいの日常さで、いいんだよ」
彼女はにこにこしてそう言う。

彼女が望むのなら、俺もあまり気張りすぎないようにしようと思った。

364:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 00:58:49.39 ID:x9+/iUde0
その日が迫るごとにあたふたした。
実家に、女の子連れてくよって電話した。病気のことは伏せた。

前日に、意気揚々とCOACHに帽子を買いにいったが、あいにく売っていなかった。
彼女が一番好きなブランドはCOACHだった。COACHで帽子が欲しかったのに…

俺「あの…帽子が欲しいんですが…COACHのニット帽、被ってる人見たことあるんです」
店員「もうしわけございません…それはこちらの店頭では…」

あきらめられなかった。
俺は店内を見ていると、ハートの可愛いネックレスを見つけた。3万くらいした。
帽子を買うつもりでそんなに金は使うつもりではなかった。

でも俺はそのネックレスを買った。
しかし、この選択は正解だった。

366:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:03:08.02 ID:x9+/iUde0
いよいよその日になる。
俺はリュックにプレゼントを忍ばせて、いつ渡すか決めかねていた。

お父さんとお母さんに挨拶した。
お父さんは優しそうに笑っていた。
「よろしく、頼むね。」
俺「はい、彼女のことは、任せてください。」
彼女「じゃーね、いってくる!」

俺もニヤニヤしていたけど、彼女も始終にこにこしていた。
楽しい、忘れられない三日間が始まる。

371:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:07:50.15 ID:x9+/iUde0
正直不安もいっぱいだった。
突然体調が変わったら?彼女に何かあったら?

でも彼女は俺のこと信頼して、全てを俺に預けてくれたんだろう。
もしもの時のために病院の番号もメモったし、お父さんとお母さんの番号も分かってる。

きっと、どうにかなる。とにかく彼女といられる時間を大事にしようと思った。

 
374:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:12:32.33 ID:x9+/iUde0
彼女「電車のろ!電車電車!」
俺「え、タクシーとかでもいいんだよ?」

彼女「そんなんセレブなデートないよw」
俺「まあこの時間なら人も少ないしね。電車に乗ろうか。」

駅に着く。彼女は大声を出す。
彼女「わわ、電車だよ電車!いいなあ懐かしいなあ!」
俺「なんだかいいね、こういうの。すごい不思議な感じ、至って普通なのにw」

ずっと、病室でしか会えなかったものだから、色々と新鮮に映った。
電車に乗っただけで、なんだかとても嬉しかった。

383:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:18:29.16 ID:x9+/iUde0
電車ではしゃぐ彼女はどこかヘンテコだったけど、
どう見ても普通の女の子にしか見えなかった。

この小さい体に、色んなものを抱えてると思うと、悔しかった。
電車内には同じような年齢の女性もたくさんいて、それを見てると複雑な気持ちになった。

俺「どこいこっか?」
彼女「あ、決めてないのー?もうしっかりしてよー」

俺「ええ、ノープランでいいって言ってなかった?」
彼女「嘘でしたー!言ってみたかっただけこういう事w」
彼女は笑いながら言った。

384:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:20:43.71 ID:x9+/iUde0
あーすまん、書くのちょっとだけ辛くなってきたよ。
少しだけ一服休憩させてください
386:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 01:21:43.50 ID:cOF2U+4D0
>>384
うん、休め。
388:名も無き被検体774号2012/01/16(月) 01:22:35.80 ID:txRiV3MN0
必要な分だけ休んでいいよ。
おつかれ
389:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 01:24:09.30 ID:llrdI5TH0
もういいっ・・・!休め・・・!>>1ッ・・・!
390:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 01:24:46.08 ID:f5KWgNoP0
こういうスレの時だけお前ら空気読むの上手いよな
391:名も無き被検体774号+2012/01/16(月) 01:24:48.68 ID:qXuEQoPE0
>>384
待ってるお!ゆっくり休んでくれ

が、

続きを明日以降にするなら言ってくれ

392:1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/16(月) 01:26:58.40 ID:x9+/iUde0
>>391 やや、もうちょっとだけ書かせてくれ。

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