あんまりちょっとしてないかもしれない。
私夫婦は義母所有のアパートに住ませて貰っている敷地内別居同然の距離でよくアレやれコレしろと呼びつけられてた。
義父が10年以上前に亡くなっていて、結婚前から男手が必要な事は旦那がやるのが当たり前だったのもあると思う。
私も義母と上手くやって行きたいと思っていたし、ある程度以上は旦那がガードしてくれていたので、手伝い程度の事や料理を教わるくらいの事はしていた。
どうしてくれようかと思っていた所に義姉さんが出産を控えて長期の里帰り。
義母からおさんどん要請が来た。
旦那は「(私)がいつか出産する時の勉強になるだろうから」と義母側につく。
そこで、緊急時以外は週3日までにする事、勉強になると言うなら旦那も知っておくべき事が山ほどあるだろうから週に一度は旦那が行く事、どうしても私が義母と上手くやっていけないと思ったら引越しを早める事(元々子供ができたら引越す予定)などを約束させて義母の要請に応じた。
私が週に3日までと言った事で、義母に薄情だの役に立たない嫁だの言われながらも、これは使えると思って適宜日記につけつつテキトーに対応。
義姉はというと、デジタル一眼レフを買ったばかりだそうで「子供が生まれる前に慣れておきたい」と四六時中写真を撮っていた。
急に撮られる事もあって正直ちょっと鬱陶しいなと思ったりもしたけど、マタニティハイの一種だろうと思って特に止めなかった。
「これが妊婦と老人に食べさせるものか? 私だけなら我慢もするけど妊婦に食べさせようって気が知れない。(義姉)ちゃんが先に授かったからって嫌がらせのつもりなの?」という内容の事をねちっこく言ってきた。
ちなみにメシマズではないはずだし出したのもごく普通のメニュー。
「(義姉)ちゃん、食べなくていいよ。作り直してあげるから」とまで言われ、さすがに言い返そうかと思ったら先に義姉さんが「お母さんこそ食べなくて宜しい。気分悪くなるから黙って」とピシャリ。
私に「ごめんね、美味しいよ」と言って二人分のパスタをぺろっと平らげた。
義母はバツが悪そうで、気まずいながらも私も食べ終わると、義姉が「2人ともちょっと待ってて」とリビングを出ていき、20枚くらいの写真を持って戻ってきた。
そして義母の前に「これが(私)ちゃんに嫌味言ってるお母さんの顔。これは私と話してる時。これは(私)ちゃんとで、これは(旦那)と話してるお母さん」と交互に写真を並べていった。
しょっちゅう写真を撮ってたのはコレか、と思った。
義姉が「どう? 嫁いびりしてるお母さんの顔はこんなに醜いんだよ。元はそこそこ美人なのにさ。これからそんな醜い表情を貼り付けて老いていくつもり? お父さんは三途の川でさぞガッカリするだろうね」と義姉が言うと義母は呆然としていた。
確かに義姉や旦那に向かっている義母は昔はさぞかし美人だったんだろうなぁと思わせる顔に写っていた。
結婚後しばらくは私もこの顔を見ていたな。
義母は呆然としていたけど、しばらくして「ごめんなさい……」と謝られた。
あとは「本当にごめんね、絞り上げとくから」と言う義姉に任せて、手土産に貰った写真を旦那に見せたらこっちもまた拍子抜けするくらいあっさり謝られた。
その後、義母は改めて謝ってくれた上で「嫌な事ばっかり言うより笑っていた方が気持ちいいってなんで気付かなかったんだろう」と言うようになり、嫌味ババアは封印された。
今は義母との関係も良好でとても快適。
義姉さんありがとうーー!!!