俺 25歳
身長 173cm
体重 62kg
容姿 メガネ。韓国人だったらもてそうな顔と言われる。
その日は金曜日で、俺は忘年会だった。
酒が飲めない俺は、家に帰るとクラクラしながら、
テレビを付けコタツに潜り込んでいた。
気持ち悪くて仕方がなかった。
それからしばらくした、たぶん12時ぐらいだったと思う。
「だれか!どろぼう!」
声と同時に、外を走る靴の音が聞こえた。
クラクラする頭で俺は考えた。
(酔っ払いの大学生か?ふざけてんのか?)
(でも、本当だったら面倒だな)
(まぁ誰かいるだろ。俺が出なくても…)
(でもなぁ…とりあえず様子でも見てくるか…)
で、外へ出た。
酒が吹っ飛んだ。
目の前に、全身黒ずくめのジャージ姿の男がいた…
うっすらと笑みを浮かべて俺を見ていた。
いきなり見つけちまったよ…俺。
この服装にこのバック、こいつ犯人でしょ。
自分の運の強さというか無さを悔やんだ。
でも、開き直った。
「おい、そのバック返せよ。」
俺「それ返せよ」
男「なんだよ!」
俺「何度もいわせんな、ぼけぇ!」(声が震えてました)
そんなやり取りをしているうちに俺の後ろから車が来た。
俺が手を差し出すと、男は無言でバックを出してきた。
俺「最初からそうすりゃいいんだよ。」
そして、俺がバックをつかむと同時に男が逃げ出した。
バックは俺の手に残った。
追いかけるか少し悩んだが、
すぐに俺は後ろの車の人に声を掛けた。
俺「助けてください!ひったくりです!」
俺「追ってください!」
兄ちゃん「あいつですか!わかりました!」
俺「お願いします!」(声が震えてました)
車で走り出す兄ちゃん。
車の後ろを走る俺。
しかし、車で先を走っていた兄ちゃんには見えていた様で、
車を停めて住宅の裏へ走り出した。
車からもう一人の兄ちゃんと、女の子が出てきた。
気がつくと周りの家からも人が出てきていた。
なかにはゴルフクラブを持って出てきてるオッサンもいた。
それを見て、少し安心した。心強かった。
できるだけ周りの人を巻き込もうとして叫んだ。
オッサン「どこ?どこにいった?」
俺「この家の裏です!」
走り出すオッサン。眺める俺。
手に持ったバックをどうするか考えていたら、
兄ちゃん二人が男を捕まえて出てきた。
オッサンがクラブを握って後ろを歩いている。
ドヤ顔だった。
男「何にもしてねぇよ!離せよ!」
俺「自分がしたことがわからねえのか!」
男「何もしてねえよ!なんだよ!」
俺「正しいことを言ってんのはこっちだ!
間違ってるのはお前だ!」
兄ちゃんA「うるせぇ!二人とも黙ってろ!」
俺「…はい」
兄ちゃんB「警察に電話しました?」
俺「してません!」
兄ちゃんAB「してください!」
俺「はい!」
さっき車から出てきた女の子が俺の肩を叩いた。
女「あの、彼女…」
俺「彼女?いません!」キリッ
女「いえ、あの娘が…」
俺「えっ?」
女「あの娘…」
少し離れた道路を指さした。
俺は走り寄った。
俺「大丈夫ですか?
これあなたのバックですよね?大丈夫ですよ」
orz娘「ぶえぇぇぇえ。ありがとうございまずずずずz」
俺「ケガは?」
orz娘「だいじょうぶれすすうすす、ぶえええぇぇぇえ」
兄ちゃんB「おい!早く警察に電話して!」
俺「はいぃぃぃ!」
俺は警察に電話するのが初めてだった。
俺「もしもし、ひったくりです!」
警察「はっ、はいいいい!ど、どこですか?」
俺「○○のあたりです!」
警察「○○ですね!!ところであなたはだれですか?」
警察の対応者もテンパっていた。
警察「吉田さんですね?えっとどなたですか?」
俺「え?」
警察「えっと…どういった関係ですか?」
俺「え?」
警察「え?」
電話を切ろうと思った。
警察「いま向ってます。
あなたはなぜそこにいるのですか?」
俺「えっ?…捕まえたからかな?」
警察「犯人はいますか?」
俺「います!あっ逃げた!」(まじで逃げ出してた)
警察「えッ!」
俺「あっ、捕まえた」
(兄ちゃんBのタックルが決まった!兄ちゃんBすげぇ!)
くらいまでは覚えてるけど、あとは何を話したか覚えてない…
とにかく噛み合ってなかった。
男が放心状態で虚ろな目をして道路を見つめてた。
なんだか物悲しい気持ちになった。
兄ちゃんたちに掴まれて、ズボンが下がっていた。
白ブリーフが見えていた。
捕まえたの吉田じゃなくね?
そう!そうなんだよ。俺じゃないの。
でも、その場の流れで俺になったの。
警察にもちゃんと言ったんだが
「吉田で良いじゃん」的な流れになった。
警官からなんか説明をされてる様だった。
男がこっちをむいて口を開けた。
しかし、何も言わず俯いた。
すごく虚しかった。
なんであの男はこんなことをしたんだろう。
怒りと悲しさで何とも言えない気持ちになった。
警官「えっとね。事情を聴きたいので
今から署に来てもらえます?」
俺「いまからですか?」
警官「すぐにでも犯人を検察に送りたいので、
協力してくれませんか?」
俺「あっ、はい」
警官「ご自分で来られます?」
俺「ちょっと酒飲んでるんで車は無理です…」
警官「忘年会ですか?いいですね」
俺「あっ、はい」
警官「じゃぁ、乗ってください。
寒いので着替えてきますか?」
俺「あっ、はい」
警官「じゃぁ、待ってますので」
俺「あっ、はい」
結構やりとりが強引だったけどこんなもんなのか?
ちょっと戸惑ってしまった。
orz娘「ありがとうございました。」
俺「いえ…あの、大丈夫ですか?」
orz娘「ちょっと転びましたけど、大丈夫です」
警官「怪我してるんですか?傷害もつけられますよ」
orz娘「ちょっとだからいいです。」
口調は強かった。
orz娘「いいです」
警官「あんなやつに遠慮することはないですよ」
orz娘「いいんです、ちょっと擦り剥いただけだし…
フラフラ歩いてる私も悪いんです」
さっきまで泣いてたのに
すっかり気を持ち直してるようだった。
女って強いと思った。
NHKのアナウンサー「井上あさひ」に似ていた。
以下orz娘→あさひ
井上あさひ(参考資料)
美人だったぞクソ
たぶん取り調べ室。
なんだか小難しい言い回しで書類を作ってた。
刑事「吉田さんは、○○と知ったる家の庭に入り…」
俺「えっ、その人知りませんよ」
刑事「これ見て」と地図を出してきた。
名前入りの地図だった。
刑事「分かった?」
俺「分かりました。」
刑事「いまは、この家がだれの家か知ってるよね?」
俺「…はい」
書類を簡単に仕上げるために、
いろいろ調整しながらやってるのが分かった。
てっとり早く仕上げるために…。
相手は私服だったから刑事と思って書いてます。
犯人の免許証を見せてきた。
俺「知りません」
住所はここから5キロぐらい離れた場所だった。
生年月日は昭和30年だった。親父と同じ年だった。
虚しくなった…
白ブリーフを思い出した。
途中、机やソファーのある場所を通ると、あさひがいた。
警官「ちょっとこのカバンを指さしてください」
あさひは写真を撮られてた。
バックの中身を調べていた警官が二人で話していた。
中年警官「このDSは幾ら位するものなの?」
若い警官「えっと、2万くらいですかね?
でも先輩、これDS liteですよ」
中年警官「おおぅ。これがDS liteか。初めてみるな」
など、会話をしていた。
俺は非日常にいるのに、
こいつらにとっては日常なんだと感じた。
解放されたのは朝の5時だった。
俺は、その日も仕事だった。
刑事「あいつは2~3日のうちに検察に送りますから」
俺「はい」
刑事「今日も仕事なんだって?休めないの?」
俺「お客さんがいますから…」
刑事「相手のあることは仕方ないね。
とりあえず気を付けて」
俺「ありがとうございます」
ちょうど、あさひも署から出てきた。
俺のアパートの前で停めてくれた。
あさひも同じアパートだった。
あさひ「そうですねw疲れましたw」
俺「ゆっくり休んでください。
俺は、少ししたら仕事いきますから」
あさひ「怖くて眠れなそうです…
あの…仕事がんばってください。」
俺「えぇ。なんかあったら201に居ますから、じゃぁ」
あさひ「はい、じゃぁ」
やっぱり、その日の仕事はgdgdだった…
警察「現場検証をしたいのですが、
お帰りは何時ころになりますか?」
俺「はやくても夜の6時7時ぐらいです。」
警察「そうですか…外は暗くなっちゃいますね。
明るい時にやりたいんですよ。写真とか撮りますので」
俺「明日なら日曜で休みです。」
警察「じゃぁ、明日の午前9時でどうでしょう?」
俺「わかりました。家に居ます」
やっぱりなんか強引だった。
近所の人がチラチラ俺を見てきた。
堂々としていればなんとかなると思って、
普段より大きい声で話してやった。
俺は無罪だとあえてアピールしてみた。
人が余計に出てきた…
スーパーで買い物をし、洗車をし、マンガ喫茶に行ってきた。
気づいたら夜10時になっていた。
肩が凝っていた。背中が痛かった。
家に帰って何気なくポストを開け、
チラシを捨てていたらメモが出てきた。
あさひからだった。
メモには…
「先日はありがとうございました。
お礼をしようと思って来ましたが、
いらっしゃらないようですのでまた。」
と書いてあった。
マンガ喫茶でキン肉マンなんて読んでる場合じゃなかった。
アホだwx
おれもアホだ
ありがとう。
おれもアホだ。
部屋番号すら書いてなかった。
また、来るんだろうと思っていた。
しかし、月曜火曜が過ぎ水曜日になっても
何の連絡もなかった。
俺もどうでもよくなっていた。
わけがない
連絡が待ち遠しかった。
キン肉星王位争奪戦を読んでた自分を悔やんだ。
金曜日になり、また俺は忘年会に出た。
飲めない俺にこの時期は苦行だった。
やっぱり気持ち悪いままコタツにもぐっていた。
先週と同じ12時を迎えようとしたそのとき…
玄関のチャイムが鳴った。
ジャージではあったが、
身だしなみを整えうがいをしてドアを開けた。
そこには…
ぐでんぐでんに酔っぱらった友人がいた。
しかも二人。
刹意を覚えた。
などと考えつつも部屋に入れてやった。
駅前で飲んでいたらしい。
おねーさんのいる飲み屋に行ってきたらしい。
刹意を覚えた。
次の日の朝、友人を外まで送った。
A「悪かったな。またな」
俺「おお、気にすんなよ」
B「また来てやるよ。」
俺「来なくていいよ。またな。」
C「髪の毛すごいですよ。」
俺「パーマかけてるから、毎朝こうだよ。」
声のした方を振り返った。
駐輪場に何かがいる。
眼鏡をしていない俺にはまったく見えなかった。
裸眼視力0.09は伊達じゃない。
目をこすった。
目を開けたらあさひがいた。
ダッフルコートを着て、スカートにブーツ姿だった。
白いマフラーだけ俺にはよく見えていた。
俺の顔を覗き込んできた。目がキラキラしている。
深々とお辞儀をして
あさひ
「おはようございます。先日はありがとうございました。」
ニッコリ笑った。
そして、俺の心がひったくられた。
うまいこと言ったつもりか
すいません。
俺「あっ、どうもw」
あさひ「なかなかお礼にいけなくてすいません」
俺「あっ、ああ。都合のいい時で構いませんから」
あさひ「う~んじゃあ、今日の夜は居ますか?」
俺「います。居るようにします。」
あさひ「じゃぁ、学校から帰ってきたら寄りますねw」
俺「えぇ。わかりました。いってらっしゃいw」
あさひ「いってきますw」
ニコニコ笑いながら手を振るあさひ。
俺の心が強盗に遭いました。
ドヤッ
まじめにやります。
掃除用具を買うためだ。
マツキヨはやってなかった。時計を見ると午前8時だった。
とりあえず、近くにある
24時間営業のビデオショップに向かった。
時間調整のつもりだったが、昼まで吟味してしまった。
床も水拭きした。窓も磨いた。
念のために布団も干した。
そして、午後8時チャイムが鳴った。
俺「おかえりw」
あさひ「ただいまw」
俺「部屋、入ります?」
あさひ「できたら、コタツにも入りたいですw」
俺「そうwwwどうぞ」
お礼はクッキーだった。
俺「ところで、名前は?www」
あさひ「あっ!言ってませんでしたか?」
俺「一言もwww」
あさひ「聞いてくれてもいいじゃないですかw」
俺「聞けないでしょwあんな状況でw
俺も言ってないけどw」
自己紹介が始まった。照れ臭かった。
身長 168cm
体重 不明
スリーサイズ 不明
趣味 旅行
あさひ
「酔って歩いてたんですよ。
で、駅から付けられてるのは気づいてて怖かったんです」
あさひ
「で、そこの電灯の下で振り返ったんです、
そしたら男が走ってきて、
バックの奪い合いになってご覧の通りですw」
あさひ
「追いかけたんですけど、見失っちゃって転んだんです。
で、顔を上げたらお地蔵様がいて、
次に顔を上げたら吉田さんがいたんですw」
ものすごい勢いで話された。
相づちを打ち続けた俺は、目が回っていた。
DVDを見て二人で爆笑した。
しかし、DVDを見ている俺は必タヒに考えた。
「次に会うきっかけを作らねば」
「爆笑したふりをしつつ、ボディタッチは可能か?」
「帰ると言い出すタイミングはいつ来るんだ」
答えのでたものは一つもなかった。
しでかしたい想いだけがいっぱいだった。
更新が遅くなります。すいません。
また、明日書きます。おやすみなさい。