AちゃんとAちゃんの夫、それに私と、後に出てくるBさんは小学生くらいから家が近所でした。
Aちゃんははじめは近距離別居だったんだけど
トメさんが亡くなり、元気だったウトさんが脳梗塞で身体が動かなくなり
寝たきりになってしまったので、ウトさんの介護をするために同居になった。
Aちゃんちはまだ小さい子供が二人いて、しかも一人が病気もちだったんだけど
Aちゃん夫は激務などで介護にはノータッチ。
Aちゃん夫のお姉さん(Aちゃんのコトメ)も、仕事が休みでも海外旅行に行ったりして何もしない。
Aちゃんのウトさんはすごく優しい人(私も近所で、幼い頃優しい声を掛けてもらったりした)で
見捨てて置けないからAちゃんもめいいっぱい頑張った。
でも、子供が病気というのもあり、どうしても24時間365日の介護はムリだったんだ。
そこで助けてくれたのがBさん。
Bさんは元看護師(しかも老人施設勤務)で、ヘルパーの資格もあるんだけど
今は優雅に医者の夫とDINKS生活を楽しむ専業主婦。
Bさんは私とAちゃんの共通の友人でもあり、すごくしっかりしてて優しくて
姉御みたいな頼れる人。
このBさんが、週2〜3日介護と家事の手伝いに来てくれることになった。
もちろんAちゃんはBさんと契約書を交わし、きっちりお金を払うんだけど
Bさんのはからいで、本当に激安お友達価格。なのに仕事は完璧以上。
ウトさんの優しい性格もあってか、Bさんも「役に立てて嬉しい」と言っていた。
介護と育児に疲れてげっそりしてたAちゃんも、Bさんのヘルプでみるみる回復し、
万事上手くいってた。Aちゃんのコトメ2人が横槍入れるまでは。
「アカの他人にシモの世話されてお父さんかわいそう」
「嫁、さぼるんじゃないよ」
「介護も育児もお母さん(Aちゃんの亡きトメさん)はやってた」
「報酬払ってるなんてお金のムダ)」
などと文句を言い出した。
Bさんは「私が望んでやらせてもらってる。何なら無償でいい」と応戦。
ウトさんも「Bさんはお前たち(実の娘と息子)より親身になってくれる人。
とても良くしてくれて助かっている」と言った。
ここで出てきたのがAちゃんの夫。こいつはエネだった。
「姉ちゃんが正しい」
「オレは一人で仕事してるのに何故お前は家のことをひとりでしない?」
等とAちゃんをののしり、Bさんには「他人は口出すな」の一点ばり。
ウトさんのことも「動けないヤツはだまってろ」と制した。
なんか、Aちゃん夫とコトメたちは
Bさんがウトさんに気に入られたらウトさんが彼女にも遺産を分けると言い出すかもしれないとか
報酬払って介護してもらったら遺産が減るとか思ってたみたい。
Aちゃんはまた一人で介護と育児をすることになってしまった。
その1年後くらいにとうとう離婚した。
ウトさんを残してくることになってしまったけど、これ以上あそこにいたら
Aちゃんが倒れて死ぬんじゃないかってくらいやつれてた。
Aちゃんは最後まで看取ってあげたかったって泣いてた。
残されたAちゃん夫とコトメたちは「誰が介護をするか」で大もめにもめたらしい。
本当に殴りあい寸前の喧嘩(ご近所に筒抜けの怒声)して押し付けあった挙句、
結局ウトさんは施設へ行くことになった。
今は施設でAちゃんとその子供とウトさんが面会できているとのこと
(たまにBさんも顔を出してる)。
24時間365日、Aちゃん(とBさん)並につくしてくれる施設の費用で、遺産はほぼゼロ。
Aちゃん夫とコトメたちはご近所から顔をひそめられる存在になった。
コトメのうち一人は上記の介護押し付け合い大喧嘩のときに顔にすごいケガをしてしまい、
嫁入り前なのに傷跡がくっきり残ってしまっている。
因果応報かな。
ある意味ハッピーエンドだわ。