403 :名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)20:03:49 ID:54T
もう四十年以上も昔、俺が高校に入学したばかりのころ。

近所の本屋に行ったら、中学の時の同級生がいた。
そんなに親しくはなかったし、ちょっと怖いやつだったので軽く会釈だけして俺は参考書のコーナーにいった。

そいつはやたら周りを見回していた。
放課後のことで女.子.中学生が何人か漫画売り場にたむろっていたが、なんかそっちの方を気にしてるようだった。

俺は参考書売り場で古語辞典をしばらく見比べていた。
すると、その怖い元同級生が音もなく背後から忍び寄ってきて「おい」と低く声をかけてきた。

俺はビビったね。これが「カツアゲ」というやつか。悪いことに辞書の代金2000円を持っている。
こいつはそれを取り上げてコカ・コーラ飲んだりボウリングするんやと思ったら悲しくなった。(ゲームセンターはその頃まだなかった)

403 :名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)20:03:49 ID:54T
「なあ、漫画買うてくれや」とそいつは小声で言う。
「いや、でも僕お金ないし」
「金はあるねん。ただ、ちょっとな恥ずかしいねん」

俺はさぞかし訝し気な表情をしたんだろう。
そいつは慌てて言葉を足した。

「母ちゃんがな、『ベルサイユのばら』買うて来い、ゆうねん。『いっつもいっつも迷惑かけて! かあちゃん、なんべん恥ずかしい思いしたか!』ゆうてな、『一つぐらい役に立て』いわれて金渡されてん。そやけど、恥ずかしいてな、あっち見てみい」
と女子中生の方を顎で指した。
「あんなとこ、入って行かれへんやん?」

俺はほっとして金を預かり、「ちょっとごめん」と女子中学生の間に割って入って、「ベルサイユのばら」全巻を代理購入してやった。
中学生が背後で「ひゃひゃひゃ、少女漫画買うたはる」と笑っていたが、俺は女子に笑われるのは慣れていたので平気だった。

そいつは、本屋の表で俺を待っていた。漫画とお釣りを渡すと、「お前ガッツあるなあ」と笑って100円駄賃をくれた。

昭和とは、こんな時代でございました。


404
:名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)20:10:59 ID:Qwj
その同級生くんしみじみかわいいなあwww
と思ったが待てよ現状いいだけおっさんなわけか!と我にかえった

でもやっぱりちょっとかわいいw

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