うちの母はものすごく男性にモテてた
父健在の今でもモテてるが、子供を産む前は今の比じゃなかったらしい
容姿はひいき目に見て中の上、お世辞でお若く見えますねーって言われるレベルだけど
いわゆるフェロモン的な何かだと思う
女子校を選んだにも関わらず先生が禁断の恋wに燃え上がり、母が在学時はもともと少なかった男性教師がゼロになる
経験を踏まえてタレント講師のような若い男性が皆無な名門女子大に入学するも勤続ウン十年のお爺ちゃん教授がとち狂い、家に遺言状と婚姻届を持って来て「わしの最後の恋じゃ〜!妻とは離婚した!財産全てやるから結婚してくれ!」
祖父母(母の父母)はこれはまずい、勤めに出したら何が起こるかわからないと見合いをして、幸い母が好きな人(父)を見つける事ができたので、当時は珍しくない大学卒業→即結婚の運びとなった
母はお色気タイプではなくか弱い清純って感じで今で言う処女厨に人気だったので、祖父母の狙い通り人妻=他の男の女って事で前ほど深刻な事は起きなくなった
その後、数年して私、妹と二人女の子を産んでフェロモンは更に落ち着いた
ここまでならメデタシメデタシなんだけど、妹が母のフェロモンを受け継いでしまった
不思議な事に外見は妹よりも私の方が母に似ている
顔立ちというか系統は一緒なんだけど妹はかなり父の形質が入ってる感じなんだよね
それなのに、母と同じ苦しみを味わうのは妹という矛盾……
とは言え、受け継いでしまったものは仕方ないので母も祖父母と相談しながら自分の時と同じような対策をしながら妹を守り、大学を卒業して女性だけの職場に就職
数年後に見合いで良い夫を見つけて結婚した
幸い?というべきか妹を好きになる男は「あの子の良さがわかるのは俺だけ」「あの子を見守ってあげたい」系で母の時よりも更に処女厨ばっかだったので、結婚前後に「そんなビッチだったなんで失望した!」って怪文書が届けられたくらい
そういうわけで妹本人も含めて油断していた時に事件が起きた
仕事中の妹に一目惚れした男にいきなり抱き付かれて怪我、現在は警察署にいるとの事
普段は電車で数時間の距離で働いている私が、この日は偶然にも出張で近くにいたので、慌てて教えられた警察署に行ったら部屋の外から妹が泣きわめく声が聞こえる
私たちは母に「怖いとは思うけど、襲って来る男に怯えたら喜んでエスカレートする」「毅然とした態度で淡々と接して」と教えられ、妹もいつもはそう実践していたので、どんな酷い怪我したのかと慌てて部屋に入った
警官数人と泣き叫んで部屋の隅に逃げた妹と、その妹をなだめようとする見知らぬ男
私を見て警官が「お姉さんですね。よかった、妹さんかなり混乱しています。旦那さんもとても困ってるんです!」って言って来たんだけど、そいつ妹夫じゃない!
私も思わず「ぎゃーーー!」みたいに自分でも聞いた事無い悲鳴あげて妹の前に立ちふさがり、面識無し男にへたれパンチへたれキックを繰り返しつつ「知らない人です!」と訴えた
ここでやっと警官が事態を把握して男を拘束して部屋から追い出してくれた
姉妹抱き合ってわんわん泣いてしまって暫く動けなかった
後からわかった事を簡単に箇条書きにすると
・妹夫を名乗ってきた男は妹の勤め先の人事&システム関係にいるマジキチストーカー
・妹に一目惚れ→職権で妹の個人データ内の緊急連絡先を自分に書き換え
・今回の事件が起こり、会社からは当然緊急連絡先に登録された番号に連絡
・「奥様が〜」と説明され「そっか!やっぱり僕たち結婚してたんだ!」と思い込む
・同じく職権で妹苗字で自分の社員証を発行していた
・警察では身分証として社員証を提示、妹の部屋でも言われてもないのに警官に提示(自慢?)
・妹の場所から身分証の文字や写真が見えず知らない男が妹夫の身分証を強奪と勘違い
・身分証を奪われるなんて妹夫に何かされた?!と錯乱
・なお、元々の怪我の原因となった馬鹿は何の関係もない単独犯
妹「30過ぎてもう大丈夫だと思って油断してた。もう働くのはこりごり」
母「年を取ったら数は減るけど大丈夫ではない。60過ぎてもまだ手紙貰うよ」
祖父母「娘産んだら変わると思うけど……でも娘(母)より孫(妹)が重症だし怖いねえ」
あの日、本当にたまたま私が近くに居なかったらと思うとすごく怖い
警察は「確認不足は申し訳なかったけど、騙されて妹を連れて帰らせたりはしなかった」と
弁解したけど、あの異常事態でもし妹が意識もうろうとでもなったら本当にやばかったと思う
モテて大変だなあとは思っていたけど、母と妹の苦労が本当の意味でわかった衝撃的出来事でした
身分証偽造と、それを使って堂々と身分を偽称したんだから明らかに法に触れるだろ
それで解雇程度ならぬる過ぎるわ
あとこっちに接触しないようにもしてるよー
何しろ我が家はある意味ストーカー対応のセミプロだからねw
……とある程度自信?過信?があったのは確かだね、この事件まではしまっていこーを我が家の合言葉に今後も頑張ります
ところで男(妹夫)の目から見て妹がどういう風に見えるのか聞いた事ある
妹夫曰くすごく矛盾してるとは思うけど「一目で内面に惚れる」らしい
言葉を交わす前でも見た瞬間、この子は人生で出会う中で一番だ!っていう絶対的な確信があったそうな
彼自身も巧く説明できなくて、ちょうどその時手元にあった私の漫画の中の「イカ釣り漁船の灯りにどんどん吸い寄せられる」シーンを指さしてこのイメージがすごく近いと言っていた……
母よりも立派な灯りを掲げてしまっている妹丸はいつか落ち着くのかなー
多少なりともやったことの代償を払うことになったんだな
妹さんに惹かれた感じをとても客観的、冷静に分析してる。
出来ない奴らが多いのが問題。でもそれが普通なんだろうね…。
256さん一家、妹さん一家の暮らしが少しでも落ち着きますように。