ところが、うちの両親特に母親はかなり教育熱心。中学受験を強く勧めてきた。
もともと勉強は出来る方だった(それまでの母親の教育の成果)のもあり、塾に通い、無事首都圏ではかなり偏差値高めのいわゆるお嬢様系の中高一貫校に進学。
ただ、お嬢様系って言っても、実際のところ家にお手伝いさんがいたり、登下校に送迎なんてのはなかった。割合裕福な勉強の出来る子の集まりってかんじで、中学に入ってからもちょこちょこやらかす私と楽しく過ごしてくれるいい友人が沢山できた。
そんな中、中学二年で同じクラスになった友人Aちゃんとは、特に仲が良かった。
お家は結構大きめな会社を経営し、尚且つ不動産系の収入もあり。
本人は小さい頃からお茶やお花の稽古をしてて、物腰も柔らか。
今考えるとアニメやドラマに出てくる典型的な大和撫子タイプだった。
しかも美人で頭も良く、性格もいい。そんな子となぜかすごく仲良くなり、登下校一緒に通っていた。
ある時、土曜日の部活に向かう途中で、満員電車に乗ったときに私が痴漢にあった。
今なら平然とひっつかんで警察に連れ込むところだが、当時はまだ中学三年生。
びっくりして何もできなかった。
その日はAちゃんとは一緒じゃなかったので、後日「こんなことがあったんだよAちゃんも気をつけて」と伝えると、「お互いに心配だし、来週の土曜日は一緒に行こう」と。
もちろん賛成し、翌週の土曜日は一緒の電車に乗った。
満員電車で押しつぶされそうになりながらつり革につかまっていた。
すると、斜め前に見覚えのある姿が。
先週痴漢してきたやつが、そこにいた。
しかも、Aちゃんの直ぐ後ろに立ってて、心なしかAちゃんの様子がおかしい。
これはもしや今度はAちゃんが痴漢されているんじゃと思い、動こうとするも、人に挟まれた状態で身動きが取れない。
どうしようどうしようと考える内に駅が近づいて来たので、ドアが開いたら何が何でもAちゃんに近づいて助けなきゃと思ってた。
そしてAちゃんの横顔を見ると何やらすごく思いつめた顔。
え、なに、Aちゃんどうしたの、と焦ったところで駅に着き、ドアが開いた。
一瞬何が起きたのかとフリーズする痴漢・乗客・駅で並んで待ってた人。
次の瞬間には痴漢、ハッとして全力で逃走を開始。しかしAちゃんの握ったネクタイは剥がれない。
Aちゃん凄まじい殺気的な何かを出した状態で、他の乗客も手を出せない。
キレた痴漢が怒鳴りながらAちゃんを殴ろうとしたが、そのタイミングでAちゃんはネクタイを手放し、痴漢のバランスが崩れたところに鳩尾と顎にAちゃんの拳がヒット。
痴漢がものすごい形相でAちゃんに掴みかかったところ、Aちゃん、痴漢の着てたスーツの襟元を掴んで背負い投げた。
しかも背負い投げたところでどうやったのか未だによくわからないんだけど痴漢をうつ伏せにして腕を固めて完全に身動きが取れない状態にしてた。
私も完全に呆然としてて、そこでAちゃんに
「私ちゃん、警察と駅員さん!」
と言われてようやく動き出した感じ。
そのあとは駅員さんが来たり警察に行ったり、
警察で危ないから自分で捕まえようとしちゃダメって軽く怒られたりして大変だった。
二人とも勿論親に連絡が言って迎えが来たし。
後でAちゃんに「何か武道やってるの?」と聞くと、
「親戚が武術の道場をやってて、小さい頃から習ってた」と。
「身のこなし凄すぎてびっくりしたわー。」と言うと、
「親戚からは下手すると相手の命に関わるものなんだから、自分や友達の身が危ないときだけ使いなさい。」と、きつく言われていたと話してくれた。
しかも、「やりすぎだって怒られちゃうかもしれないけど、私ちゃんがいたし、何が何でも私が守らなきゃ!と思ったから、加減が出来なくなっちゃった。精進しないとダメだね。」って笑ってた。
そんな人そうそういないわ、と思ってたけど無事に結婚が決まったそうなので記念に書き込み。
あれからもう10年以上経つけど、今でもAちゃんとは仲良くしてる。
痴漢騒ぎ以外にもAちゃんには流石すぎる武勇伝が幾つかあって、本当にいろんな意味で強い人だなぁと思う。
一緒に出かけるときに、これ以上ない心強さだわ。
まあ、あの一件以来、私も護身用に武道を習って有段者にまでなってしまったので、今なら痴漢ぐらいは捕まえられるとは思うけど、
習ったことによってAちゃんの強さ身にしみる。
私足元にも及ばないわ。
面白かったよ!
AちゃんもGJ!
一応アドバイスだが、チカンを見かけたときは
「チカンは止めましょう!」と大声で声をかけるだけで大体大丈夫
捕まえなくたっていいし、安全