エネ夫とは20代前半で結婚しました。
うちの実家は共働きで大みそかのお蕎麦は出前、お節やご馳走は仕出しでした。
お雑煮くらいは作ってた。
祖父母のところも商売やってたりで年末は忙しいので、お節は家では作らないのが普通の家だった。
同僚も料理好きが多かったので、時間さえ合えば数人で単発の料理教室に行ったり、週一で通ったりしてた。
初めてのお正月は義実家から嫁がお節を作って持ってこいと言われていたので、年末一生懸命作った。
お節を義実家で披露すると「はあ〜・・・嫁子さん。出来ないならできないって正直に言ってちょうだい。こんな店のお節でごまかすなんて」「嘘つきは泥棒の始まりよ」と言われてぽか〜んとなった。
いえいえ、これは私の手作りです。エネ夫さんも目の前で見てましたしと言うと、エネ夫は「そうだっけ?」
あれだけ時間かけて作ってる横でつまみ食いしまくったくせに。
その後の親戚周りで、お節もろくに作れない嫁だとか嘘つき嫁とか散々言いふらされて行く先々で晒し物にされました。
家に帰ってからエネ夫に文句を言うと、嫁の躾だよ躾。
楽して○○家の嫁になろうなんて思うなよ。
一種の儀式だよ。
人間叩かれて器が大きくなるんだよ。
こんなの序の口、このくらいでネをあげんなよ。
こういわれて、なんでそんな我慢してこんな奴の嫁にならなきゃならないんだろうと思いました。
それまでは好きだから結婚したはずだったんだけど、不思議なほど嫌悪感しか感じなかった。
しかも茫然としている私の目の前で受話器をとり、「あ、かあさん?御苦労さま。うんうん。もうばっちりだよ。嫁には効果てきめんだったよ。鉄は熱いうちに打てっていうしね。次も頑張ってよ」とこちらをチラチラ見ながら義母と会話。
どういうこと?と聞く私に「どういうこともなにも、これからお前もっと大変だぞ〜。ま、がんばってよ。どこまで頑張れるか見ものだな〜。俺はちょっとやそっとじゃ合格点あげないよ?」
「今回みたいにこれくらいで愚痴愚痴言うようじゃあ、まだまだだな。今後のお前の成長に期待するよ」
少し言い回しは違うかったとは思いますが、こういう風に言われました。
これはもうダメだと思って離婚。
離婚というか、仕事の都合上先に新居を確保して結婚式をして、旧姓パスポートで新婚旅行してから婚姻届という予定でした。
新婚旅行は年明けに休みが取れたのでその時点では、結婚式は済んでるけど婚姻届はまだという状態。
だから、離婚というより婚姻届を出すのを中止した。
うちの母が「娘は厳しく躾けないとそちらの嫁にふさわしく無いほど不出来だそうですので、このまま婚姻届を出すなんてとてもできません」と言った途端、こちらが本気と分かり態度がころっと変わりました。
「いやいや、躾けなんて。よくできた娘さんで〜」とか言い出したので、父が怒って「じゃあなんですか?必要もないのに躾けと称して苛めたのですか?エネ夫くんは自分の妻を苛めさせてニヤニヤしてたのかね?!」と顔を真っ赤にしてた。
ごねてたけど、どうしても婚姻届を出したいのならエネ夫家族がこちらの家へ来てきっちり謝罪することと言うとあっさり諦めてきた。
別れたことに後悔は無いけど、心残りはあのお節。
何度か夢にも出てきた。
次の年、実家で仕出しをせずに私が作った。
自分でもすごく上手く出来て満足なはずだったのに、気がついたら自分でお節を床にたたきつけてた。
今はもう大丈夫だけど、その次の年もお節を見ると過呼吸を起こしてそれ以来我が家ではお節はでなくなったのが申し訳ない。
今年も家ではお節ではなくオードブルとお寿司を注文することになってる。
その場限りでも、こんなこともできないって腐りきってんね
新年を祝うなんて何でもいいんだよ、楽ができておいしければ!