吉木「慣れてますから」
俺「つかめばいいのに、危ないよ?」
吉木「背伸びしないと届かないんですよ・・・」
顔を赤らめた吉木さんはホントに可愛かった
同時に、あ、俺やっぱこの子の事好きなんだなって思った。
そして、どうしようもなく悲しくなった。
次の駅に着くのは一瞬のようだった
俺と彼女は再び前みたいにもしかしたら前以上にメールをしたりするようになった
学校でもいっぱい話した
電話もしたりした
なんだか、2人の間に出来た溝が埋まっていくような感じだった
俺は打ち上げにはいかないことに決めていた。
全員参加だったけど、部活もあったし
なによりクラスのやつらがそんなに好きじゃなかったから
松岡と吉木さんがクラスの連中に煽られるのは目に見えてる。
そんなとき、彼女からメールが来たんだ
俺「うーん、俺はパスかな。俺が行っても別にかわんないっしょ(笑)」
吉木「私は行きますよ。そんな、行かないんですか?もし遠慮とかそういうのだったら、そんなの駄目だよ?」
俺「いや、フツーに部活あるしさww疲れちゃう」
吉木「私は、俺くんに打ち上げに来て欲しいです!!」
俺「うーん…ま、考えとくよ」
この時は絶対行かないつもりだったし
吉木さんは何度も俺をメールで説得してたけど、毎回お茶を濁すようにしかしなかった。
吉木さんのやさしさは、きっと俺だけに向けられたものじゃないから。
彼女はみんなに平等でみんなに優しくて、そして誰のことも見ていない。
なんとなくそんな気がした
まあ、そんなこんなで打ち上げ当日
部活は7時に終わり、さあ帰ろうとケータイを見た
クラス会は6時開始だから行ってももう無駄だろうと思ってた
ケータイには、すごい数の着信と1件のメールがきてた
送り主は、全部吉木さんだった
俺はソフトテニス
吉木さんは硬式テニス
保存してたから残ってる
「何度も
電話しちゃってごめんね
もしメールに気付いたら
イヤじゃなかったら
折り返してもらえると
うれしいです
怒ってるかな? 」
もういいや…
クラス会行こうそんで、そのあと吉木さんに気持ちを伝えて
すっぱり嫌われて全部終わりにしよう
俺はそう決心したんだ
吉木さんに電話した
1コール目で出てくれた
吉木「もしもし!?」
俺「もしもし。打ち上げ、終わっちゃった?」
吉木「ううん!まだやってますよ。みんな俺くんが来ないってさみしがってたよ!!」
俺「そっか。あのさ・・・俺行くわ」
吉木「本当!?ありがとう!!よかったあ!!じゃあ、近くに着たら電話して!!迎えに行くからさ」
俺「わかった、そんじゃ….」
声の主が変わった
松岡「いようwwwwwwwww俺wwwwwww楽しんでるぜえwwwww」
俺はケータイをきった
俺はダッシュでファミレスに向かった
ファミレス近くまで来ると、 吉木さんらしき人影が、外でこちらに
手を振っていた
もちろん隣にはあの忌々しい松岡が立っていたんだけど
俺「ハァハァ…遅くなって悪い…」
松岡「みんな盛り上がってるぜwwwwww早く入るべwwwwwww」
俺「ああ」
と動いてるの見て、気使ってくれてるんだなって思った。
打ち上げになんとか合流できた俺は適当に飯を食べたり、友達とダベったりした
吉木さんは終始俺に気を使ってくれて
本当に嬉しかった
そして俺は、クラス会の最中に
こっそり真菜さんにメールを送った
「クラス会が終わったら伝えたいことがある。
こっそり会えない?」
俺「わかった。今日は本当にありがとう。
終わったら、場所決めて落ち合おう」
吉木「わかりました。連絡お願いしますね?」
俺「了解です。電車とか大丈夫?」
吉木「大丈夫だよ!!心配しないで」
俺たちは打ち上げで盛り上がってる最中テーブルの下でひそかにメールのやり取りをしていた。
思いのほか打ち上げは長引き、9時をまわっていた
写真を撮ったりだのなんだのした後、打ち上げはそこで完全にお開きとなった。
公園でもやはり松岡へのキスコールが
響いたが、吉木さんはそれでもしなかった
松岡が彼女に「送るよwwww」と言っていて心配になったが、吉木さんはそれを何回も断ってくれた
涙が出そうになった
吉木「もしもし、どうすればいいかな?」
俺「さっきの公園わかる?あそこでまた落ち合おう」
吉木「わかりました」
俺は公園へ向かった
緊張はピークだったし、心臓とか灰とか吐き出しそうなくらいバクバクいってた
公園に戻ると、真菜さんは階段のところに
立っていた
彼女と目が合い、俺は近くのベンチに座った
吉木「…隣いいですか?」
俺「うん…どうぞ」
彼女は俺の隣に座った
思いのほか凄く近く感じて動揺しまくった
ああ、これから俺…告白すんのか、なんてどこか冷静な自分もいたりしたかもしれない
3月も終わりだというのに外は夜の公園は真冬のように寒くて、緊張だか、寒さだかわからないけど
歯がガチガチになってた。
たわいもない話。
この日は終業式式前日だったから
10分くらい話しただろうかな
俺は覚悟を決めた
彼女は真剣なまなざしで俺の話を聞いてくれていた。
こんな言い方をしたのには理由があって、彼女はものすごく鈍感だったということと
メールとかで「私俺くんのこと好きですよ」とかなんとか言いあってたからだ。
もちろん友達としてだけど。
俺「うん、マジで。ていうか、ずっと前から好きだった。」
吉木「うそ…」
俺「吉木さんに彼氏がいるのは分かってるし、こんなの許されない事もわかってる。
嫌だったら、なにも言わないでいいから。 俺の話しを….その、聞いて欲しい」
吉木「うん…」
俺は吉木さんにはじめて見たときから
気になってた事、いっぱい話せてもらえて嬉しかった事
松岡と付き合ってしまって苦しかったこと
それでもどうしようもないくらい君が好きだったこと
自分の気持ちを全部彼女に伝えた
その度に吉木さんが
「ゆっくりでいいよ…」とか
「私も嬉しい」
とか言ってくれて
本当に救われたし、嬉しかった
俺「俺…吉木さんとクラス離れたくないよ…もっといっぱい吉木さんとしゃべったり、メールしたり、会ったりしたかった」
吉木「うちも、俺くんとクラス離れたくないです。俺くんに、気持ちをうち開けられてびっくりしたけど、すごく、すごく嬉しかったよ?ありがとう」
それでも俺はこの時間が永遠に続けばいいなとか、そんなことばかりかんがえながら
一つ一つ言葉を吉木さんに紡いで行った
俺「俺、悔しくて」
吉木「うん」
俺「なんで・・・なんで松原なの!?」
俺は言ってはいけないことを言ってしまったと思い、ここでたしかボロ泣きした
吉木さんも俺の袖をキュッと掴んで
涙してた
聞こえるのは俺と吉木さんが鼻をすする
音だけだった
俺「吉木さん…ごめんね、迷惑だよね」
吉木「ううん…大丈夫。言いたいことあるならいっていいですから」
俺「吉木さん、一つだけいい?嫌だったら、嫌って言って」
吉木「うん」
俺「…ギュッてしていい?」
吉木さんはなにも言わず頷いた
だけど本名は出してないから安心しろ
泣きはらして真っ赤になってる彼女の顔がものすごく愛おしかった
ホントに
俺は吉木さんの小さい体をゆっくり抱きしめた
人生で初めて女の子を抱きしめた瞬間だった
女の子特有のふわっと甘い匂いがした
2人ともすごく震えてたし
俺はホントにこの子が大事だと思った
俺「今までありがとう。吉木さんのことが大好きです。本当にありがとう。」
ここで2人でまた大泣きした
吉木さんのしゃくりあげる声を聞いて
胸がすごく苦しくなった
10秒くらいたって
俺は吉木さんから離れようとした
でも、そのとき吉木さんは俺の両腕を
ぎゅっと掴んだ
もう仲良くしてもらえないんですか?」
俺「俺だって、吉木さんと仲良くしたいし、もっといっぱいしゃべったりしたいよでも、ダメだよ。吉木さんが俺の気持ちを知っちゃった以上、仲良くするなんてしちゃいけないと思う」
吉木「なんでそんな悲しいこというんですか?クラスの離れたからって、それっきりさよならなんて寂しすぎるよ」
俺「仕方ないよ。吉木さんには彼氏がいるし、俺は吉木さんに近づきすぎたよ。もうダメだって」
2人でこんな感じに反発しながら
ベンチでわんわん泣いてた
駅まで一緒に帰った
終業式の日、俺は吉木さんに一通の長文メールを
送った。これで最後にするつもりだったから、
今までありがとう、ずっと大好きでした的な文面で送った
数時間後、彼女から、返信がきた
「 メールくれてありがとう
俺くんは
助けてもらった って
言ったけど
なにもできなかったし
なにもあげれなかったよ?
打ち上げも来てほしいからわがまま言っちゃった
だけだし…
それに気付かないうちに
いっぱい俺くんを
傷つけちゃった
ごめんね…
でも、こんな
いやでダメなやつと
もっとしゃべりたかった、
遊びたかった なんて
言ってくれて
大事な人って
大好きって言ってくれて
本当にうれしかった。
私は
幸せものだって思う
ほんと、ありがとう。
これからも、私は
メールや電話をしたい
話したりしたいし
仲良くしたいんだ
私のわがままだから
ほんとにごめん。
俺くん、
ほんとうにほんとうに
ありがとう。
俺くんが
言ってくれたこと
全部すごくうれしかった
ありがとね。 」
吉木さんはどこまでも優しい。
だけど、その優しさは、違う。俺に向けたものじゃない。
俺は、松岡に敵わなかった。本当に悔しかった。
彼女は、俺のことを、恋人とは見てくれないということを俺は知っていた。
知っていたはずなのに、やっぱり悔しい
二年生から書きためてないので書いてくる
大恋愛しすぎだろ…