大学時代関東近郊の大学に
都内から電車で通っていた時のことです。
小さい頃から自分は両足親指の巻き爪持ちでした。
1-2年に1回は巻き爪になってしまいます。
さらに大学に入って運動を辞めたので結構体重は増えており
巻き爪になると日に日に足の親指が悲鳴をあげはじめ、
歩く度に足から血は出るし、化膿したら痛さは倍の酷さになります。
巻き爪は基本的に麻酔なしで爪が突き刺さってる肉と爪の間に
長い医療用の細長い鋏を入れて爪を切り、
さらに爪を挟んで力強く引き抜きます。
間違いなく人生で一番痛い経験なんですが、
中学時代に変な女医にあたり、
中々切開せずに傷口をグリグリやられ
失神したことがありました。
だからなるべく医者には行かず、自分でやるか
放っておくクセがついてしまっていました。
しかし、大学2年生になって間もないころ、
太った体を戻そうとランニングを始めたら
まさかの両足親指が巻き爪になるという奇跡。
もう化膿もしてしまっているし、
病院にいかなければいけないほどに。
大学が進めてくれた皮膚科に行きました。
すると
「ひどいね、自分で切って失敗したでしょ?
クセも付いてるみたいだし。
局部麻酔して切開して劇薬塗って
もう爪が生えなくしちゃおう」
と、軽い手術(なのかな?)を受けることに。
右足親指からやることになったんですが、
これもまた想像を絶する痛さ。
痛みを麻痺させる麻酔がすでに激痛で
足の指に何本注射指してるんだという状態。
何とか手術終えて、大学に向かうも
片足はまだ巻き爪、もう片方は手術明けで
爪が3分の1しか残っていない。
病院に松葉杖を借りて電車に乗って大学に向かいました。
運よく座ることができたのですが、
途中から混雑してきて自分の前には趣味で登ったのか
登山帰りと思われる爺さん1人婆さん2人が立ちました。
ある駅についた時、隣に座っていたカップルが降りました。
婆さん2人が空いた席に座ります。
すると怨めしそうに自分を見る婆さん達と爺さん。
何が言いたいかは薄々分かりましたが、
さすがに足痛いし勘弁してくれないかと思って
無言でいました。
「疲れてるんだけど」
口を開いたのは爺さんでした。
何を言ってるのか分からず、キョトンとしていると
「山登りで疲れてるんだよ。席変れ!」
こいつマジかと思いました。
「ごめんなさい、足を怪我してるんで
勘弁してもらえませんか?」
と言うと
「怪我?何の怪我だ」
「巻き爪です」
「巻き爪ごときで!甘ったれんな!」
と思い切り足を踏んできました。
尋常じゃない痛みが走り
「ヴァー!ガァー!」
と悲鳴を上げて、
前屈みになって足を抑えようとしましたが、まだ爺さんの足があります。
気が動転してパニックの中、この足どけなきゃ!と直感が働いてそのまま爺さんをタックルしました。
爺さんはそのまま腰と頭を打って泡吹いて倒れてるし、自分は足を抑えてのたうち回ってるし、婆さんどもは叫んでるし一時車内がパニックに。
次の駅で警察や救急車は来るは、野次馬はくるわ大変でしたが何とか爺さんも自分も病院へ。
自分は言っても巻き爪だけだったので、その日のうちに退院。
しかし爺さんは骨盤、背骨にヒビ。脊椎も少し痛めたらしく元の生活には戻れないだろうと。
巻き爪と言えど仮にも松葉杖を持った怪我人の足を踏んだとして(目撃者多数)、
逆に金を請求される立場だということを警察に説明され穏便にと示談を提示してきました。
まぁふんだくっても後が怖いので少し高めに頂くくらいにしました。
そういう人って若い時からそんなかんじなんかな
怪我は気合いで治すことを美徳とでも思っているんだと。