当時は東京の電車の煩雑さにも恐れを抱いていたため大学の最寄り駅に部屋を借りた。
勿論貧乏だったから三畳一間だ。
一人暮らしによくあるパターンだな。
そんな墜ちきった俺でも、唯一週間にしてたことがあったんだ。
それがスレタイにあるように、毎日夜にトンカツ屋に行くこと。
料理もできない貧乏な俺は、そこで毎日、ソースカツ丼の大盛と無料のキャベツの大盛りの一食だけで餓えを凌いでた。
どんだけ揚げ物ジャンキーなんだよ
体質なのかわからんが、いくら食っても太らないんだ。
しかも大食いだったから食費の心配がかなりあった。
でも、金がなくてキャベツだけの日とかもあった。
半月ぐらい通ってたある日、店で一人の女の子が声を掛けてきたんだ。
「太宰治、好きなんですか？」と。
もしかしてお前、又吉じゃね？
正直、かなりの美人で、よく常連客のおっさん共がちょっかい出してた。
ちなみにボッチ常連の俺はボッチ相応に女性.と話すのも苦手だったわけで、
美人だなー、と思いつつも横目で見るというような気持ちの悪い行為に勤しんでいた。
スペックは？
又吉、確か大学行ってなくね？
俺
176cm
55キロ
顔は藤原達也？をなんかどんまいにした感じらしい
ソロソロ太り始めるな
ガリガリだな
話し掛けられた時、俺は太宰治の斜陽を読んでいた。
「え…ぁ……ええ、はい」とキョドりぶりを発揮し、終わった、と思った。
だけれど女の子は俺が肯定した時、顔を笑顔でいっぱいにし
「そうなんですか！私も太宰大好きなんです！」と言った。
こいつ人間失格だな
「全集を一通り読みましたけれど、一回りして人間失格が一番好きなんです。」
「皆、共感できると人気ですよね」
「そう！駄目具合がもう私とそっくりでｗｗ……あ、ごめんなさい」
その時の酔ったおっさんどもの罵声は今でもよく覚えている。
太宰はジサツしてから女に縄で入水してくれるよう頼んだんだ、彼は相当のナルシストだったからぶくぶくに膨れた惨めな姿を見せたくなかったんだよね。という自慢にもならない太宰に対する持論を、少女は目を輝かせて聞いてくれたりもした。
一方俺は、大学をサボり続けていて、留年が早々に確定していた頃合いだった。
「太宰はジサツしてから女に縄で入水してくれるよう頼んだんだ」
これってどういう意味？
入水ジサツすると、水飲み込んでぶくぶくになってﾀﾋぬんだ。
だけれど、太宰は綺麗な姿でﾀﾋんでいた。
つまり、太宰は入水する前からﾀﾋんでたんだ。
ﾀﾋ体を投げ入れたら、水吸い込まないから浮いてきてしまうんだ。
だから生きてる女は太宰を自分の体に縛り付けて、川の中に飛び込んだ。
解説ありがとう
続けてくれ
いよいよ、俺の素性.が気になったのか、ついにあのことばを聞かれてしまった。
「お兄さん、何をしている人なの」
「もう！そういうことを聞いてるんじゃないわ」
「んーー？」
「お仕事よ、お仕事」
「んーーー。」
「話さないと出禁にする」
「わかった、わかった。………○○大学だよ。」
「！！、なんで言ってくれなかったの」
「……サボってるから…かな。」
ついに言ってしまった。
「うん」
「そっか」
その日はこれ以上居られないと思い、勘定を済ませた。
随分昔の話
読んでる
１は某大学の学生である
本を読み、かつ丼を食して暮らして来た
１の書きやすいスタイルでよろ
慣れない料理をする気にもなれず、毎日レトルトのカレーとパンの耳というアンバランスな食品で生き長らえてた。
実に１ヶ月ぶりのカツ丼、マジで美味い。マジで安い。
それから、行きだしたんだが、どうも少女が来る気配がない。
再び通いはじめて、その数字が二桁になる頃、ようやく少女が現れた。
「あ、やっときた」
「お…おう」
「餓ﾀﾋしているのじゃないかと心配してたんだから」
「耳食ってた」
「ミミ？誰の？」
「いや、なんでもない」
「変な人。そんな変な人に朗報があるよ」
「なんだ」
「お兄ちゃんの大学無事合格して、春から通わせて頂くことになりました」
なんと、気付いたら受験シーズンも終わってたらしい。小説の魔力とは恐ろしい。
「あれから猛勉強して、特待生になったの」
「」
恐ろしい子っ
「だから、春から家まで毎日朝起こしに行く。」
「おいおいマジかよ……」
「マジ。大マジ。」
相変わらず俺は自堕落な生活を送ってたわけで、春から大学に行く気などさらさらなかった。
だが、外から声が聞こえた
「お兄ちゃーーん、朝だよ！！！早く準備して！！！！」
小説とはかくも恐ろしきものかな。
「お兄ちゃーーん、朝だよ！！！早く準備して！！！！」
「お兄ちゃーーん、朝だよ！！！早く準備して！！！！」
・・・どこのｷﾞｬﾙｹﾞｰだよww
