当時ちょっと色々あって古いオフィスビルに住んでいた。
すごく住みにくかったが、当時不景気で家賃が安く、その時していた仕事の移動にとても便利だった。
自分の事務所を構えるまでの数か月の辛抱だし、とのんきに構えていた。
自宅として住んでいたというより、仕事の拠点についでに住んでた感じ。
トイレとガスはあったけど料理禁止だったんで不便だったけどね。
当然夜になると人はいなくなるので、女の一人暮らしだし、と鍵は3つつけていた。
ある夏の日、他のフロアの廊下を人が歩いてる音がすることに気づいた。
オフィスの人が残業してるんかなーって思ってたが、どうも人数が多い。
でも話声はしない。あれ?窃盗団?と怖くなり明かりを消して携帯握りしめてた。
結局何事もなかったが、そういうことが何度か続いた。
でも何か盗まれたら警察来るよなぁと。やっぱり残業だったんかなと納得した。
そしてある日、物音もすっかり気にならなくなったころ。
電気スタンドだけつけて仕事をしていると、私の部屋のドアをガチャガチャやる音が。
管理人がくる時間ではないし、やっぱり窃盗団?と思っていると「ここ誰かいる」というような声が聞こえて、走り去る音がした。