オカスレか迷ったんだけど、こっちの方が馴染み深いからこっちで建てた
俺の田舎には土地神さまが居るらしい。
その土地神様が俺の娘を連れて行くかもしれないとの事。
正直、今もどうしていいのかわからない。
聞いた時は吹き出した。でも、親父の反応を見て血の気引いた…。
一応書き溜めてる。
娘は小学校の低学年で、俺は普通のサラリーマン。嫁も、祖父祖母も元気で、普通の家庭だと思ってた。
上京した俺は、嫁とは大学で知り合い、そのまま就職と同時にゴールイン。
結婚二年目で、子供を授かった。
そこから幸せの日々。俺も割りといい企業に就職でき、
嫁も専業主婦として、家事と育児に力を入れてくれてた。
まぁ、ここら辺は割愛する。
入学祝いのついでに家族全員で、俺の実家に行く事が決まった。
有給込みで三日程滞在する予定。
俺の住んでた実家は、かなりド田舎で、何もない。
だけど、自然は素晴らしいと今でも思う。
娘も久しぶりにお爺ちゃん、婆ちゃんに会って楽しそうにしていた。
一日目には何もなかった。
だけど、二日目に問題が起きた。
五時には帰ってくる様に言ってたんだけど、親父の飼い犬と散歩に行ったっきり、帰ってこなくなった。
あんまり遠くに行かない事を約束させて。娘を少しの間自由にさせてた俺が悪いんだけど…。
親父は、母親と嫁に近所に訪ねて、力を貸してくれる人を当たるようにお願いしてこいと言い
俺と親父は、トラックに乗り込んだ。
すると、予想外にも簡単に見つかった。
見つけたのは近所の人で、娘は森の入り口の小屋付近で寝てたらしい。
残念ながら、飼い犬は見つからなかった。
遅れて俺と親父が家に戻ると、嫁が娘を抱いていた。
俺自身、ブレ切れと心配でぐっちゃぐっちゃになってた。
娘を叱ろうと思ってたんだけど、寝てる姿を見て溜め息に変わった。
外傷も、衣服にも異常はなくて本当に安心した。
母親が手伝ってくれた方々にお酒と料理を出し、俺もお礼を一人一人回りながら、飲んでた。
暫く経って、娘が目を覚ました。
俺が軽く叱ると、半泣きになり、それを嫁がなだめてた。
嫁「ちーちゃん(娘)、なんであんな所で寝てたの?」
娘「うーん…。わかんない」
嫁「ワンコは?」
娘「お猿さんが連れて行った。」
この瞬間、空気が止まった。
親父も母親も、俺たち家族以外の動きが完全に止まった。
嫁「お猿さん?」
娘「うん、お猿さんとワンコと遊んでた。」
父「どんな姿やった?? どんな鳴き声やった?? 触ったか??」
俺「おいおいおい!!」
掴みかかり、叫ぶように親父は娘に質問を浴びせていた。
娘は怯え、嫁の腕に飛び込んでいった。
親父がそういうと母親がどこかに電話をかけだした。
父「みんなはもうええ。ここからはうちの問題。有難うな。」
手伝ってくれた方々は「すまんな」「大丈夫だから」と言いながら、
ソサクサと帰って行った。
親父は猟銃を持ってくると、塩とお酒をそこら中に巻き始めた。
母「○○さん。三十分程で来てくれる!」
父「そうか…。△△(俺)、話がある。」
俺「…。」
親父が真剣な顔で話し出した。
この土地には土地神がいてるらしい。その土地神は様々な富を落とすと言われているが、いい神様ではなく、非常に残虐でもある。
動物にとり憑き、他の動物の臓物を喰い散らかすとの事…。
猿の姿で目撃される事が多いが、猪や人間も例外ではないと言っていた。
こんな事を真剣に話し出して、俺も苦笑いしてた。
嫁もどうしていいかもわからず、困っていた…。
そして、○○さん(以後、Aさん)が到着する。
見た目は品のある年配の女性で、スーツを着ていた。
親父と俺が状況を詳しく説明をする。
母親は黙って何か準備していて、嫁は寝てる娘を抱いてた。
父「助かりますかね?」
A「助かるかもしれません…。おそらくアレなのは間違いない。でも、幸いな事に接触してない。この年頃だと好奇心が旺盛なんだけど、この子自体が勘がいいのかもしれない。」
A「あなた、信じてないのは仕方ないけど、今は騙されたと思って手伝って欲しい。悪い様にはしないから…。ね?」
正直、胡散臭いと思ってたし、この発言も信じられなかった。
親父がいつにもなく真剣で、それに煽られた感じだった。
Aさんが母親と一緒に準備を始め、途中に
「娘さんの髪の毛が欲しい。それも出来るだけ多く欲しい。」
と言ってきた…。
俺は断ったが、普段大人しい嫁が半な強引に娘の髪の毛を切った。
何故か娘は起きず、ずっと眠っていた。
説明は続き、条件として
・血縁者である。
・娘と同じ性別である。
・歳が近い
が条件だった(別に守らなくてもいい。
もう、嫁しかいてないんだよね…。
だけど、俺は一度もそれを口に出せなかったんだよ。
家族全員で話し合ったけど、嫁は折れなかった。
でも。嫁に説得させられて、代役に決まった。
娘の髪の毛と嫁の髪の毛を袋に入れ、そこにAさんが取り出してた紙を入れて、お経のような物を唱え始めた。
それを嫁が持ち、Aさんは家の柱と言う柱に文字を書いたり、紙を貼ったりしてた。
そこから特に異変もなく、時間だけが過ぎた。
相変わらず娘は寝ていた。
だけど、深夜を回った辺りから異変がおき始めた。
外で何かの鳴き声が聞こえてきた。
文字にするのは難しいけど、「うぉもーす うもーす うぉもーす」みたいな唸り声に近い鳴き声。
それを聞いて、Aさんがバタバタし始めた。