俺は高校時代、同じテニス部だったA、Bと特に仲が良く、よくつるんでいた。
3人とも、嬉しいことも辛いことも打ち明け合い、信頼し合っていた。
大学に進み、俺とAは地元名古屋の大学に、Bは大阪の大学に進学したが、それでも年に5回くらいは会って遊んでいた。
そして今年。A、Bと付き合いだして5年以上経ち、文系法学部のAは大手企業に就職が決まり、理系で工学部のBと俺は大学院への進学が決まった。
全員進路が決まり、落ち着いたということでいつものように遊んでいた春の終わり頃、Bがいそいそと切り出した。
聞けば、2ヶ月ほど前から携帯に無言電話がかかってきたり、名古屋にある実家を撮影した写真、B本人の写真を燃やしたものがポストや玄関前に散乱していたりするという。
あまりの過激さに俺は言葉を失っていたが、Aは 「何でもない風にするのが一番いいんじゃないか?それが嫌ならアパート変わったりはできないの?」
と適格なアドバイスをしていた。しかし、引越しするような資金はない、ということで、結局無視を決め込むということに。
俺とAは「大丈夫。俺たちがついてるから大丈夫」と勇気づけ、その時は別れた。
赤い封筒でBの写真をズタズタにしたものが届いたという。また、Bの母親宛てに送られてきた封筒には、父親の
不倫の証拠写真が入っていたそうで、元々おしどり夫婦だったというBの両親の夫婦仲は最悪になってしまった。
いよいよBは精神的に追い詰められ、覇気のない表情になっていった。
元々とても純真で真っ直ぐな性格だったBが、傷ついてボロボロになっていく姿が痛ましくて仕方なかった。
比較的時間の自由がきくAがBの元に行き、 元気づけようと励ますというような日々が続いていた。Bも、「Aがいるからまだ頑張れる」と弱弱しくも言っていた。
お彼岸の時期には彼岸花が玄関前にたくさん置いてあってゾッとしたというBの顔は、すっかり憔悴しているようだった。
少しでもBの気を晴らそうとUSJに行ったり、梅田で買い物をしたりしてはしゃいでいた。Bも遊んでいる間は楽しそうに見えた。
だが、夜になってBの家に戻ると、Bは泣き出してしまい、俺とAは必死でなだめて、ああでもないこうでもないと解決策を話し合っていた。
俺はひとまず安心して、「そろそろ帰ろうか」と切り出そうとしていた。
するとAが「彼女、浮気したって言ったよね?どんな人?」と静かに呟いた。
馬鹿!何無神経なこと聞いてんだ!と思ったが、案の定落ち着いていたBの表情はみるみる歪み、「知らない」と答えた。
「もう忘れたいんだからその話はやめてくれ」Bは涙声になりながら弱々しく言った。
俺もAに、「お前なに蒸し返すようなこと言ってんだ!」と一喝したが、Aは今まで見せたことのない冷たい目で俺に一瞥を投げた。
「まだわかんねえのか?」突然冷たくなったAがBに言う。
「元カノと浮気したの俺なんだよ」
言葉が出なかった。というより、意味がわからなくて頭がついていかない。
「嘘だよな・・・?」Bの顔は引きつっていた。「嘘じゃないよ、事実色々起こったじゃん」Aは悪びれる様子もなかった。
「何でそんなこと言うんだよ・・・俺が傷ついたのを見て、満足して止めてくれればいいのに。なんでわざわざ言うんだよ!」Bは悲しみと怒りが混じった声でAに詰め寄る。
Aは突然クスクスと笑い出した。
「何でって・・・言わなかったら、その情けない顔見られないだろ?」
「じゃあ、お大事にね」Aは笑いながらそう言い放つと、去って行った。
俺とBは呆然としていたが、しばらくするとBは「嘘だぁ!」と泣き喚き、暴れだした。
放っとくわけにも行かないが帰らないわけにも行かないので、Bの大学の友達に連絡し、後を任せて俺も帰路についた。
何度もAに電話したが、Aは電話を取らなかった。
震災によって超氷河期と言われた就活も難なく成功させており、俺はAの人生は順風満帆だと思っていた。
そんなAが何故あんなことをしたのか、皆目見当がつかなかった。
それから一週間後の土日、Bが俺を訪ねてきた。一段と痩せてしまったBがSDを取り出した。
例のことがあった2日後に届いたという。ノートパソコンでデータを開くと、音声データが入っていた。
『B「・・・でもさ、親に捨てられたとか、親に虐待された人って、そこで人生コケてるよね」
俺「そうか?(笑」
B「だって、一番愛されるべきとこで愛されてないんだよ?親いないと学校で苛められたりとかするし、絶対歪むことない?(笑」
俺「まあ、確かになぁ」
B「結婚して子供作って幸せな結婚生活とか絶対無理っしょ。不幸になる人の典型だよな(笑」・・・』
普段はしないような幸せアピールや上から目線の発言をしていた。その会話の中で、Aの声は聞こえなかった。
確かにちょっと気に障る発言ではあったが、これが理由であそこまでするだろうかと、俺は腑に落ちなかった。
Aに何があったのかと、A宅を訪ねると、Aは近くの入院していると隣人が教えてくれた。
病院に行くと、そこには点滴やら何やら色々つけて眠っているAと担当医、精神科医、児童擁護施設の職員と名乗る人がいた。
話によると、睡眠薬の大量摂取が原因で運ばれたとのことだった。
色々話を聞いたところ、驚くべきことがわかった。
Aの実父はAが5歳のときに蒸発、その後3年間母親と暮らしたが、母親に虐待を受けたため、保護された。
その後短期間の施設での生活を経て、現在の家に引き取られ、後に養子になったと言う。
上手くやっていたのだが、引き取られた先の養父が、2年半ほど前に病死してしまったとのことだった。
そしてA自身も、高校生の頃、突発性難聴とそのストレスからか胃潰瘍を患い高3の夏休みに治療していたが、精神的に不安定になり、
精神安定剤や睡眠薬を使っていたと聞かされた。
平凡に暮らしてきた俺からすれば、「言ってくれればよかったのに」とか、
「『そういう言い方やめてくれ』とか言えばいいのに」とか思ってしまうが、そういう問題ではなかったんだろうか?
何でも知り尽くしていると思っていたAのことを全然知らなかったという事実に、俺は衝撃を受けていた。
Aと話し合うべきなのか、Bに本当のことを告げるべきなのか、そして彼らと今後どのように付き合っていけばいいのか、
正直今はわからないでいる。
Bには真実を。
そして2人と疎遠でいいんじゃね?
それかもう何も言わないで両方とも切り捨てる。
それぞれの答えはあなたは知っているけれど
AにBも悪かったけどお前も悪いって言えるほど
いい人間じゃなかったらもう両方ともお互い話し合えよ、
俺は一抜け、でいい。
姿を隠していやがらせをする選択をする時点でビョーキ。
素人の手には負えない。
お前のその言葉のせいでAがおかしくなって
今病院だよ!!
と切れて、巻き込むなよ、付き合いきれん!!と電話してがちゃんと切って
音信不通を2年くらいしたらどうだろう
全然復讐話じゃないな
発端となった旅行の会話が録音してあったのが違和感あるし
Aについては同情する。
人を呪うは穴二つだってことだね。
つか精神に病気抱えてる人は何が起爆剤になるか分からんのが面倒くさい