都内の片隅に住んでる
特に無趣味でただひたすら働いてきた
最初は辛かったが慣れればそうでもなく
特に面白くもつまらなくもなく、続けてきた
毎日毎日、特に刺激もなくて淡々とこなすような日々を送ってたな
コミュ障ってわけでもないが
大学時代あまり友達もいなかったもんで休日はたいてい一人
孤男板なんかをチェックしつつ昼は写真撮りに行ったり
夜は一人で酒を飲むのが唯一の楽しみだったよ
ちょうど今くらいの桜が散りだした時期に
俺は多摩川に写真を撮りに行ったんだよ
休日でいい感じの陽気の多摩川
案の定人は多くて、大学生がバレーしてたりカップルがたくさんいたり
俺もいい気分で写真撮ってたけど、なんとなく落ち着かなかったな
なんとなくぼーっと立って待ってたら、一人の爺さんに話しかけられた
「写真が好きなのかい?」
ハンチング帽をかぶった小柄な爺さんだった
笑うと線になるような優しい目で、すごく人のよさそうなオーラを出してた
爺さん「この辺は景色がいいからね」
そんな感じで談笑してた
すごく暖かい感じがして、もう亡くなった田舎のじいちゃんのこと思い出した
爺さんと10分くらいその場で話したかな
初対面だったのにとても意気投合してた
爺さんとはその場で日本酒の話とかで盛り上がった
俺が地方出身で色んな地酒飲んできたって言ったら凄い喜んだ
そんなこんなで話してるうちに、向こうから若い男女が寄ってきた
爺さんとはリラックスして話せていたが、若い人が来て俺は少し身構えた
爺さん「私の娘夫婦だよ」
と爺さんはニコニコして紹介した
俺「こんにちは」
思い切り愛想よく挨拶した
普段から一人でばかりいたから、こういう当たり前の幸せの中で生きてる人たちと
関わること自体なんだか不思議だった
初対面だったのにとても馴れ馴れしく話しかけてくる爺さんと娘夫婦で、
でも全然嫌な感じはしなかった
その日、俺は爺さんの色んな話に付き合ったが
大学時代に少しだけやったことのある囲碁の話でとても盛り上がった
なんでも爺さんも含めその娘夫婦も囲碁をするらしい
今時、珍しい家庭だなと思ったよ
どうせ見てる人いないと思うがw
周りにスイーツしか居ないから、
絶滅したと思ってた
いるんだねー、いわゆる撫子って
読んでますから
家族みんなで囲碁が好きで、よく碁会所に行くという話を聞いた
俺はそれがとても興味深くてその碁会所について色々と聞かせてもらった
大学時代はあまりに周りにやってる人がいなくて辞めていたから、
同じものを好きな人たちが集まる空間に興味があったんだ
特に連絡先を聞くわけでもない
たまたま出会って懇意になっただけだったし
ただ、よく行くという碁会所の場所だけは聞いておいた。
すごくワクワクしたなあの日は
家についたら久々に昔の詰碁の本とか出してきて
夢中になれるものが見つかるんじゃないか、ってワクワクがあった
人生初の碁会所。
緊張するしどんな人がいるか分からなくてドキドキしたなw
雑居ビルの2階にある碁会所でさ
様子を伺うように中に入ったよ
昔の50円ゲーセンの店長みたいな感じの席主に1000円払ってさ
「初めて?棋力はどのくらい?」
とか聞かれた
ほとんど初心者に近いし凄く焦ったよ
「ちょっと今日は見る感じで…」
みたいなこと言ってけっこうな広さのある店内を見回した
もっと刹伐とした雰囲気かと思ったらみんな楽しそうに打ってるんだよな
店内を見てると、驚いたことにあの爺さんがいた
俺は近くでそっと見てた
盤面を見た感じでは爺さんはなかなか上手い感じだった
少なくとも俺よりは遥かに上
対局中に話しかけるのも悪いし、とりあえず一局終わるまで待つことにした
ヒカルの碁が流行ったのも最早遠い昔のことだしな…
自分がいることにやや場違いな印象を感じた
ぼーっとしていると爺さんの対局が一段落したようなので、話しかけることにした
俺「あの…こんにちは、この前はどうも…」
爺さん「君はこの前の」
突然の若者の訪問に爺さんは凄い喜んでいるようだった
爺さんはニコニコして嬉しそうに話してくれた
俺もなんだかワクワクして、
「じゃあ一局打ちますか」っていう流れになった
棋力は、俺はアマ3級あるかないかくらいだった
爺さんはアマ3段くらいの強い人で、
とりあえず最初は2子置かせてもらって打った
すごい緊張したな
そのあとは石を3つくらい置いてほぼ指導碁のような状態でリラックスして打ったな
純粋に楽しかったよ
久々に打ったし、面白かった
その日俺と爺さんは友達になったんだと思う
歳の差なんて関係ないかもな、って生まれて初めて思った
彼女いませんって言ったらなんかおちょくられた
「私が若い頃は悪いことたくさんして女を騙したもんだ」
とか言ってバカ笑いしてた
あと煙草の銘柄も一緒のやつ吸ってて、至る所で話が噛み合った
すごい不思議な気持ちになった
田舎のじいちゃんもばあちゃんも親父ももう居ない俺は
懐かしい気持ちで胸がいっぱいになった
気持ちわかるわ〜♪
俺「どっかこの辺で飲んできましょうよ」
爺さん「それなら私の家に来るといい」
どっか立ち飲み居酒屋にでも入ってマッタリ飲もうかと思ったら、
家に誘われた
なんでも娘と奥さんが美味しい夕飯を用意してるから帰りたいのだとか
流石に家にお呼ばれするのは申し訳ない、と思ったが
「遠慮はするもんじゃない」と言ってきかないので行くことにしたw
近くもないが、案外遠くもないことに驚いた
電車に乗ってる間もひたすら談笑してた
ここまで話が合うとは思わなかった。
会社にたくさん上司はいるが、気に入られたためしがない
>>1が何十年後かに、偶然知り合った囲碁好きの若者に良くしてやってくれたら
最高のエンディングじゃないか
社畜の朝は早い
さて、続き書きますね
とても綺麗な二階建ての一戸建て。
俺は案内されるがままについていった
行くと、娘夫妻に出迎えられた
爺さんの奥さんもいたが初対面だったので、なんだか恥ずかしい空気になったぜw
4人暮らしのようで
今時こんな形態の家族もいるんだなあって思った
爺さんの奥さんに
「これはこれは若々しいお客さんね」
って笑われながら言われたのを覚えてるぜ
旦那さんと爺さんと俺の男衆はリビングでテレビを見てくつろいでた
これがまた旦那さんもいい人で3人で談笑してた
旦那さんとは異様に音楽の趣味があってそこで大いに盛り上がる
それに爺さんは笑って相槌をうってた
とりあえず台所横のテーブルに3人で座って
酒を飲み交わすことに
俺と旦那さんはビールだったと思うんだけど
爺さんはオサレで蜂蜜ハイボールなんかを飲んでいた気がする
見たこともない大きなトロのブロック?を爺さんがその場で切り分けて
俺に振る舞ってくれた
ほんと美味しくてビックリした
本当に楽しくて美味かった
話も盛り上がって面白いし、酒はすすむすすむ
5年ぶりくらいにこんな美味い酒飲んだなあって思った
いい感じに酒を交わしていると爺さんの奥さんが
「今晩は中華なんですよ」
と言って麻婆豆腐やらエビチリを運んできてくれた
目の前に並ぶ家庭的な料理の数々
多分俺小学生みたいに目を輝かせてたと思う
おいしい料理があって、酒があって、
何年も東京で一人で働いてた俺にとってはこれが本当に嬉しかった
涙が出そうになるくらい素敵な時間だったと思う
なにより奥さんに「おかわりいる?」
って笑顔で聞かれた時はマジで泣きそうになった
もう何年もそんなこと言われたことなかった
いろんなこと思い出したよ
さすがにタダ飯なんて悪すぎると思った
俺はポロッと
「みんなで食べると食器の量が多いっすね〜w」って言ってしまった
すると奥さんが
「寂しかったらいつでも来ていいのよ」
みたいなこと言ってくれた 何か見透かされたのかねw
みんなでリビングでお酒飲みつつまったり
俺と爺さんは大好きな日本酒でマッタリと。
旦那さんや女性.はワインなんかを飲んでいた
そして話は囲碁トークに。
話を聞いていると、みんな俺より棋力が高そうでびっくりした
それにしても家族みんなで囲碁が好きなんて面白いなあって俺は関心してた
支援
仕事だな。
さっき帰宅したので一段落したら書いてこうと思う
もう少し待ってくれ
まったりと待ってる
その後はみんなでマッタリ話しながら
爺さんがアコギを持ってきて音を奏で始めた
リビングにはピアノもあって、娘がピアノを弾き始めた
目の前に広がるあまりの「古き良き家庭」っぷりに
俺は驚きと、憧れと、とても不思議な気持ちだった
それを肴に楽しそうに酒を飲む旦那さんに奥さん
爺さんはチューリップやフォー・セインツと言った往年のミュージシャンの曲を好んで弾いた
みんな酒の影響もあって出来上がっていた
その時聴いた曲で俺も唯一よく知っているのは「青春の影」だけだった
みんなと一緒になって歌った
懐かしい気持ちと無邪気な気持ちでいっぱいだった
人生30年余を生きてきたが、こんな家族には初めて出会った
暖かくて、幸せそのもののように思えた
今まで所帯を持つことに否定的だった俺も、この時ばかりは家族っていいものだと思った
その日は遅くまで爺さんの家にいた
忘れられない一日だったな、今となっては
終電に乗るためにみんなに凄い急かされたっけ
俺飲み過ぎてフラフラになっちゃってさw
頻繁に碁会所に顔を出すようになった
仕事の状況によっては平日の夜も顔を出した
職場と家の往復だった毎日に、なんとなくだけど
ハリと楽しみができた気がした
「次はいつ碁会所に行こうか」
そう思える好きな事ができたことが何より嬉しかった
爺さんは決まって端のテーブルを確保して待ってくれているようになった
灰皿と煙草を準備していて、俺が着くとニコニコしながら
「コーヒー飲むかい?」って言ってコップを持ってきてくれた
完全に友達のような感覚だった
俺も爺さんが迎えてくれるのが嬉しくて
碁会所に通うのが楽しくなった
週末や休日には旦那さんや娘さんがいることもあって
他のお客さん含めみんなで囲碁に打ち込んだ
碁会所からそのまま爺さんに連れて行かれて
爺さんの家に行くのが恒例になっていた
「どうせろくな物食べてないんだろ?」
爺さんは決まってそう言って俺を連れて行ってくれた
碁会所に行かず、じかに爺さんの家に呼ばれて碁を打つこともあった
そうすると爺さんより奥さんが俺と打ちたがって、
爺さんは隣でNHKの囲碁トーナメントを見てる、といった感じだったw
いつも本当に楽しそうに迎えてくれる家族だった
まるで俺をもてなすことを楽しんでいるかのような
爺さんの家は本当に楽しくて大好きだったな
そんなこんなしてるうちに、あっという間に夏になったんだよな
出会ったのが春だったから、本当にあっという間に感じた
なんでも毎年行ってるものらしく
碁会所のお客さんを集めてみんなで伊豆に行き
そこで観光したり囲碁を打ったりマッタリ楽しむものということだった
俺は吉本ばななの「TUGUMI」を読んでから
一度は伊豆に行ってみたいと思ってたので、行こうかと考えていた
でもきっと周りは年齢層も違うし、悩んだな
碁会所には案外若い人も多かった
同年代のリーマンから大学生の子まで
マスターさんの娘さんたち(大学生と高校生)もいて
そこまで閉鎖的なコミュニティでもなかった
爺さんの一家も伊豆旅行に行くというので
俺はそれにあわせて仕事の予定を調整した
何かのために休みを調整するなんて、もう何年もないことだったし
すげえウキウキしたなw
社員旅行に行っても荷物持ちで
上司の相手をするのにウンザリするのに
どうしてかこの旅行はとても楽しみだった
同じものを好きな人が集まっているからかな
こんな気持ちになることは二度とないと思ってたもんな
大学時代に行った夏祭りが最後の夏だと思ってたし
何歳になっても夏は来るんだなあって感じてた
隣には旦那さんが座った
奥さんと娘さんと爺さんもいて
マスターの子どもさんたちもいたし、案外学生の人も多そうだった
とはいえお年寄りはやっぱ多くて
車内は和やかながらもなんとも言えない雰囲気だったw
いい感じの旅館(民宿?)に着くと、学生に混ざって俺は率先して荷物持ちになった
やっぱりお年寄りが多いしこういうとこで若いもんが頑張らないとなw
部屋は、奥さんと爺さん 旦那さんと娘さんが一緒で
俺は碁会所で顔見知り程度だった大学生の男の子と一緒になった
あまり知らない若い人と一緒って少し身構えたけど
旅行のテンションもあったしその時はあまり気にならなかったな
俺は大学生君と海に行くことにした
爺さんたちはと言うと、宿でマッタリしたいとのことだったw
やはり長距離移動はなかなか体力をもってかれるからな
俺は柄にもなくテンションが上がってて、はしゃいで大学生を海に引き連れた
クソ暑くて、泳ぐでもなくカメラを抱えてネ果足で浜をフラフラした
俺「ここTUGUMIの舞台なんだよね。知ってる?」
大学生君「あ、知ってますw俺もあれめっちゃ好きなんすw」
この大学生、妙に話が合う子で一緒にいて面白かった
まだ若いのにしっかりしてて気が利く人で
偉そうで申し訳ないけど、よくできたヤツだなあ〜って思ってた
広間みたいなとこ借りて、板碁盤を何枚も広げる
ますます修学旅行っぽさが増した
大の大人たちが畳に板碁盤ひろげて笑いながら碁を打ってんだ
見てるだけウキウキして恥ずかしい気持ちになってくるw
俺は色んな人と打った
大学生君、見知らぬじいちゃん、マスターの娘さん…
みんな一様に囲碁が好きで
打った後の検討とか楽しかったなあ
旅行後に写真を編集してDVD作ったりしようと考えてたから
みんなのいい表情を捉えるのにも必タヒだった
だからこそだろうな、今でもあの楽しい雰囲気をよく覚えてるよ
爺ちゃん同士が談笑してたり、若い女の子と婆ちゃんが楽しそうに打ってたり
俺は色んな瞬間をカメラに収めようとしてた
まあ、もともと写真が好きだったしなw
俺は爺さんの背中を流してあげた
何年ぶりだったろうな、人の背中を流すなんて
その背中がすごく大きなものに感じたよ
色々寂しい気持ちにもなった
そのあとは夕飯。
何を食べたかもう良く覚えてないんだけどw
とても美味い酒と飯を食べたってことは記憶してるw
皆で酒を囲んでワイワイやってた
俺は爺さんや旦那さん、大学生君と一緒に飲んでた
日本酒を次から次へと口に運んで
俺はすっかり出きあがってたw
爺さんとフォークソングについて熱く語った
9時を過ぎた辺りから宴会場からも人が減り
俺たちもそろそろ部屋戻ろっかーって雰囲気になった
でもこの日の夜はここからが長かったな
「力を貸してくれませんか…?」
一体なんのことだ?と思った
よくよく話を聞いてみると、この大学生君
マスターの娘さんに想いを寄せているんだそうなw
すっげえ面白くてむず痒くて、俺は一気にテンションが上がった
「マジか!?」なんつって声を上げて
俺も一気に若返った気がしたw
歳とってからそういう経験ってなかなか出来ないだろうし
文章も見てて面白いよ
とりあえず宿の外にでて散歩でもするかってことになった
「飲み足りないね〜」なんつって、コンビニへ
缶ビールを飲みながら歩いて宿に戻りながらも俺らのテンションは変だったw
「確かにな〜いい子だもんな〜」
なんて俺がニヤニヤしながら突っ込むと
大学生君は恥ずかしそうに
「そなんす…もうすごい好きで…」
みたいに嬉しそうに言ってた
全てが瑞々しくて羨ましいなあと思った
「お、夜遊びかい?若者たちよ」
なんて言われた
俺は面白くなって事のいきさつを爺さんに話した
すると爺さんは嬉しそうに笑って
「そういうことか、頑張れよ〜」と楽しそうに言った
爺さんも愛嬌に溢れていて
「これからあの娘の部屋に行こうか」なんて言い出したw
すると大学生君は全力で拒んで、「明日!明日!」
って必タヒになってたなw
買ってきた缶ビールをマッタリ飲んでたな
まさに、星見酒って感じだ
最高だったなあ。
一回り世代が違う男が三人。
爺さんは奥さんとの馴れ初めを無邪気に語り
大学生君は顔を真っ赤にしてマスターの娘さんへの想いを語り
俺は大学時代最後に行った夏祭りの事を話したなあ
それが最後の夏になると思ったのに、こうして今また夏を堪能してることを噛み締めてた
「こんなところでなにしてるんですか」
そこにいたのはマスターの娘さんだった
といっても大学生君の好きなお姉ちゃんの方ではなく
妹の高校生の方だった
俺はしめた、と思ってニヤニヤして
「お姉ちゃん呼んでこれる?」って言った
そしたら大学生君がやたらてんぱってたな
って言って部屋に帰ってしまった
お前のために機転をきかせたのに!
マスターの娘さん二人が来た時は、そこには俺と爺さんしかいなかった
なんとも不思議な構図だよw
爺さんと30のオッサンと大学生と高校生w
およそ普段生きてる日常では考えられない状況だったな
可愛らしくて、今時めずらしい落ち着いててて素直な子たちだった
そのまま話してたんだけど、お姉ちゃんの方は酔ってたこともあって饒舌だった
俺が昔の恋バナをしてみせると、彼女も恋の話をし始めた
爺さんは笑って静かにビールを飲んでたな
「大学に好きな先輩がいる、振り向いて欲しい」
うん…大学生君には申し訳ないけど、なんというか青春の甘酸っぱさを感じたよ
その瞬間、すごくいたたまれなくなった
好きな人のことを語る彼女はとても嬉しそうで可愛かったし
でも大学生君の想いも知っていたし
まさかこの歳にしてこんな想いができるとはねw
高校生にでも戻った気分だったよ
また爺さんと二人きりになったんだけど
この話どうします…?w
ってコソコソ話して、爺さんは終始笑ってた
「あとは彼らを見守るだけだよ。若いってのはいいね」
って嬉しそうに言ってた
俺もそう思ってた
若いっていいな、俺もまだまだ色んなことできそうだって思えた
無理せずに
ありがとう。
需要があるか分からんが頑張るよw
とてもほっこりしてる
かなり最初からいてるからな
まつのは慣れてるが続きはみたいってとこだね
同じところに止まらず新しい世界に飛び込む少しの勇気がドラマを産むのかなぁ。なかなか踏み出すことは難しいけれど。
多摩川って、色んな人との出会いがあるよね
このスレ読んでると30年前の上京した時のことを思い出してノスタルジックに…
>>1マッタリと支援
俺もたまには家から出てみるか
ちょっと今帰って来たから
しばらくしたら書き込んでいこうかと思います
爺さんと笑いながら穏やかに話して
「俺君も頑張りなよ。」って楽しそうに言われた
爺さんはいつも俺のことを
「若いのに見所がある」「面白いやつだ」って気に入ってくれてた
「独身には独身の楽しみがあるけどね」
「家族がいるってのも楽しいんだ、私はね」
っていつも言ってた
「爺さん見てるとそう思います」って俺はいつもそう答えてた
「おかえりです」
なんだか俺は顔を合わせられなかった
さっきのお姉ちゃんの言葉がこだましてた
大学生君は俺の方を見ないで話続けた
「俺明日思い切って気持ちを伝えようと思います」
不思議なことに俺はあまり驚かなかった
「いいことだと思うよ、手伝えることがあったら言って」
最後までこの若い青年の恋を見届けようと思った
午前中は各自自由行動で
昼食食べたらそのあとはマッタリして帰る流れだった
朝からとてつもない暑さで、俺はふらふらだった
昼食のあと、大学生君が宿の裏にお姉ちゃんを呼び出した
俺はバドミントンをするふりをして、陰からそれを見ていた
といっても、妹さんの方が気になって覗いていたので
俺も一緒になって見ていたのだがw
と思ってフラフラとタオルを首に巻き、麦わらをかぶって
完璧な夏スタイルで出かけようとしていた
すると玄関先で妹さんに会って、元気な声で
「バドミントンしませんかー!」
って言われたので、こんな機会はないな、と思って快諾した
失敗するたびに「うけるーw」と煽られて、楽しかったけど
若者の体力には勝てず、元気な妹さんに追いつけなくなった俺は
自販機でジュース飲もうって言って二人で宿から離れようとしたら、大学生君に呼ばれた
俺「決心したなら、勇気出さないと…」
そこで、大学生君が妹さんにお姉ちゃんを呼ばせようとしたので
俺はそれを遮った
「だめだよ。自分で呼んできなよ。頑張ろう」
結構強い口調で言ったと思う
そう言うと大学生君は頷いて、宿の中に走っていった
妹さんに「なになに?どうしたの?」
みたいに聞かれたから、笑って「見てれば分かるよ」って答えた
宿の入り口から少し離れた自販機でジュース飲んでた
額から汗が滝のように流れて来て、やかましいくらいにジワジワ蝉が鳴いてた
「夏だねー」なんて言い合ってた
宿題とかやってんの?って聞くと
全然wやばいなーwとか言われた
二日目ともなるとお互い慣れてきていて、リラックスしていた
マスターの娘さん二人は魅力的な子たちだった
今にしては素直で明るくて、いい子たち
大学生君が好きになる気持ちも分かる
そうしてると、宿の中から大学生君がお姉ちゃんを連れて出てきた
妹さんが「あ、出てきたよ!」と言うので
二人してバドミントンのラケットを持ったままついていった
「シーッ」って言われながら後をついていって
まるで中学生が何かいたずらをするかのような
すごく微笑ましくてワクワクした
俺はもうろうとしながら妹さんと二人で陰から大学生君とお姉ちゃんを見ていた
すごく印象的な光景で
今でもよく覚えてる
大学生君「あのさ…聞いて欲しいことがあるんだよね」
お姉ちゃん「どうしたの…?」
頑張れって心の中で思った
お姉ちゃん「ありがとう。でも…私今好きな人がいるんだ、ごめん」
お姉ちゃんは笑っていた、けどどこか寂しそうだった
大学生くんの恋は終わった
俺と妹さんは、黙ってただ眺めていた
すっげえ蝉が鳴いてた
しばらく大学生君とお姉ちゃんはその場で話していたので、俺達はそこを離れた
俺が「青春だね」って言うと
「そうだね、いいなぁ」ってゆっくりと言った
その後、また二人でバドミントンを始めた
ラリーを続けながら妹さんは俺に叫び始めた
「私も」「えー?」「今度ねー」「うん」
「好きな人に」「うん」「告白することにしたー」「まじかー!」
きっと妹さんにとって俺は「なんでも話せる気のいいおじさん」
だったんだろうな
そんなこと言ってくれるのが素直に嬉しかったよ
こっち見て笑うんだ、可愛いもんだよ
きっとこの子ならたくさんの人に好かれるだろうな、とか思って安心した
帰りのバスで大学生君が明らかに落ち込んでいたので
隣に座ってオロナミンCを差し出した
そんで俺のipod貸してあげて音楽を聴かせてあげた
終始涙目になってて
俺が話しかけることはなかった
一所懸命自分の恋を走った大学生君
快闊な態度で俺に告白する決心を話した妹さん
そして幸せそうな爺さん
今まで、これでいいと思っていた自分の価値観が
とても不安定なものに思えてきて
それでいてとても前向きな気持ちになってきている気がした
もうとうに諦めていた青春が、自分の目の前で駆け巡っているのを感じた
旅行も終わってしばらく経った夏の終わり
久しぶりに碁会所に行くと、とても嬉しそうにしている爺さんに会った
「久しぶりだなあ、聞いてよ」といって笑って俺に話しかけてきた
なんと、旦那さんと娘さんの間に子どもができたんだそうな
娘さんが妊娠したらしい。
とてもおめでたいことだった
娘さんも旦那さんも本当に嬉しそうで
爺さんと奥さんもとても上機嫌だった
幸せな家庭の、幸せな瞬間、俺はただそれを
素敵なものだ、と思って眺めているだけだった
それは本当に素敵だった すごく羨ましかった
その日の帰り、爺さんが家の外までついてきてくれた
俺「素敵ですね。羨ましいです。」
「俺も…爺さんみたいな素敵な家庭が築きたいです」
爺さん「君にだって思い残している人がいるはずじゃないか。」
「勇気を出してごらんよ」
爺さんはあの笑うと線になる優しい目でそう言った
俺の大学時代の夏の思い出を爺さんは知ってる
俺はその日の爺さんの一言で決心した
今日から、変わろう
そう決心した
話が進むにつれて、あなたの紡ぎ出す言葉の一つ一つが輝きだしてきたように感じるよ。
よう同級生
無理せず自然体でいこうぜ