ちょっと安心しました。」
嫁「あんしんて?」
師長「いつも冷静だから、もっと看護婦に対していろいろ言ってくれればいいの何も言わないし
だんなちゃんどうなってんだろって。
でも、さっきのことで、ちゃんと人間ぽいところがある人なんだなぁって安心しました。
よかったよかった。
やっぱり病気になってもそれは変わらないのかw
だんなちゃんがよくいってた。
かあちゃんに出会って初めて感情を表に出すことができた。
甘えたいときはあまえるし、いやなものはいや。
かあちゃんの前だからいえるよ。
かあちゃんだいすき。
そういってた。
主治医の先生の手術が予定より早く終わり
一緒に同行してくれることになったのだ。
だんなちゃんは、主治医をものすごく信頼している。
その先生が一緒に来てくれるそれだけでもすごく頼もしいことだと思う。
それで行く決心も固まったんだと思う。
わたしたちはタクシーを手配したり、行く準備をはじめた。
ちゃんと専用の席もあります。とのことだった。
病院から学校に医者と看護婦が同行するということも伝えて出発。
わたしと、主治医がタクシーにのって
看護婦さんと、もう一人の先生は別の車でがっこうに向かうことになった。
道中では当然こんな話になりますよね?
主治医「むすめさん、劇でどんな役やるんですか?」
うちのだんなちゃんは満面の笑みで
ダ「濁流役ですー(´v`)」
主治医「・・・・・・・・・・汗
濁流役ですか?
ダ「そう、濁流役なんですよ。でもねぇ、すごくかっこいいんですよ。
ヨメルヨみたいな踊りして登場して、ダンスして、めちゃめちゃかっこいいの」
たのしみーw」
主治医「それはたのしみですね」
娘が濁流役っていわれたら反応困るだろふつーは。
生徒が運動場で遊んでいるにもかかわらず、運動場の真ん中つっきって
運動場脇に車を止めた。
あたしたちは、車の中で
こどもこええぇぇぇぇえwwwwwwwwwwwwwwww
轢きそうwwwwwwwwwwwwww
運動場に車でのりつけるとかwwwwwwwwwwwwwwwwww
DQNドラマだぁwwwwwwwwwwwwww
とか、もりあがっておりました。
主治医の先生が操作あやまって車椅子が校庭の土にうもれていった。
先生、なにやってんすかw?
いや、うもれてしまった。
ほと、このおっさんなにやってんだよ。
あたしは、娘が濁流役ということしか知らず、
娘が出ちゃったあとだったらどうしようか?
すごくこまっていた。
物語りも終わりに近づいていてきたのにまだでない。
もしかして・・・・
もう、出演してしまったのでは!?
ぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁ
ぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅ
ここまできて、まさかみれないとか。
そんな最悪なことがおこっていいものだろうか。
だんなちゃんに、
濁流にのまれるシーンて小説だとたしか、おわりのほうだよね?
とかきいてみても、
おれ、このはなししらねーw
とかいわれるし、もう、ドキドキしてた。
すると、わーっと濁流役の子が舞台の袖から出てきて踊りはじめた。
よ、よかったーーーーーーっ。まにあってたーーーーーーっ。
だんなちゃんも、娘でてきたー。
濁流wwwwwwwwwwかっけぇぇぇぇぇぇwwwwwwwwwwwww。
主役くってる。踊りうますぎるwwwwwwwwwwww
大絶賛。
すごくたのしんでた。
俺のじっちゃんもガンになったみたいだからさ、
うん。なんか。どうしたらいいのかね。
うちの娘は小学五年生なのにすごく寂しがりやなのだ。
あたしがきているかどうかわからないと、すごく不安で。
いつも半べそかいているのだ。
だから、あたしがきたよーっていつもわかるようにしてる。
すこし娘と話してから、席に戻るとだんなちゃんたちが帰る準備をしていた。
ダ「もう終わったから帰るんだけど。かあちゃん待ちなのになにしてんのよ」
嫁「このあと、娘の部活の出し物あるんだけどそれみないの?」
ダ「え?そんなのあるの?」
嫁「前からいってんじゃん。笛吹くぞ」
ダ「見たいけど、主治医がこれから学会行かないといけないからいいわ。かえる」
主治医「まだまだ時間あるからせっかくだから見ていきましょう」
その一言で、だんなちゃんは最後まで学芸会を見ることができた。
ほんとうに、病院の先生たちにはかんしゃしてる。
ガンは早ければどうということはない。ただ、遅いとどうもならん。
だんなちゃんはいってた。
ガンといって態度が変わらなかったのはかあちゃんだけだ。
みんなにガンというと腫れ物をさわるような扱いになる。
もっとふつうにしてもらってていいのに。と。
だんなちゃんの場合も、お尻が痛くなるまでは普通に仕事言ってたし、
普通にご飯も食べてたよ。
答えられる範囲で答えていく。
テレビのがん患者闘病生活は編集されすぎてるからな。
うそもおおい。
きがねなくきいてくれ。
でも、いまからちょっと役場に行かなくては行かなくなったのでまた夜にでもきます。
それではまたあとで。
こんばんは
わたしはその日、結婚記念日ということで仕事をお休みしていました。
いつもどおり一番下の子(二歳三ヶ月)の子を保育園に送っていき
その足でびょういんにむかいました。
もちろん、いい夫婦。っていう語呂合わせの意味もあるんですが。
話は2000年にさかのぼります。
2000年のとある冬の日。
一緒に暮らしていただんなちゃんに向かって。
「三月くらいに結婚しない?」
っていったんですよ。
でも、返ってきた答えは。
「オレ、結婚するきない。」
でした。
あたしは、かなりショックを受けました。
めちゃめちゃ仲がよかったし、まさか断られるなんて思いもよらなかったから。
こいつの考えてることがいまいちよく分からんのだが(´Д`;)ヾ
などと思ってみたもので。
翌日、あたしの部屋から朝ごはん食べてふつーに出勤していくわけよ。
ますます意味が分からないと。考え込てしまった。
そして、その日の晩。
昨日の結婚のはなしなんだけどさぁ。11月はどうよ?
と、再度結婚の話をもちかけた。
「11月なら結婚してもいいよーっ(´∀`)」
と言い返してきた。
嫁「はぁ?3月だと結婚できないけど、11月は結婚できるのかい?( ̄□ ̄;)
ごめん、その線引きがよくわからんのだが・・・」
ダ「オレもよくわからんがなんとなく?まだ付き合って三ヶ月くらいじゃん。
でも、11月なら半年以上たってるからいいかなぁーって」
嫁「そんなもんですか・・・・」
ダ「そんなもんですよ」
そして、あたしは記念日とか忘れっぽいから忘れないようにと
11月22日に結婚することにした。
あたしは結婚して二年目くらいからもう、忘れてたw
だんなちゃんは一度も忘れたことないのに。
医者に、「余命二ヶ月。ここから先は週単位で何が起こってもおかしくない。」
といわれていたから。
会社の休みもきちんととったし、子供を保育園に送っていっていつも通りその足で病院に向かった。
「ただいまーっ」ていうと「おかえり」と、
病室で立ってごはんを食べているだんなちゃんに会うのだ。
その様子を見てだんなちゃんは今日も元気にご飯食べてるなーって安心する。
このころには、ガンが体の栄養をいっぱい食べちゃってて痩せちゃってた。
結構な栄養取り入れててもガンがどんどん食べていく。
だから、あたしはいつも。
「あんたは食欲ないかもしれないけど、ガン細胞は食欲が旺盛だから
がん細胞に栄養あげるつもりでたべなよ」
といつもいっていた。
だからいつも、アレ食べたい。コレ食べたいと言って来る。
だからあたしもそれに合わせていろいろ作る。
やっぱりかぁちゃんの作ったごはんはおいしいなぁ
いつも言ってくれてた。
この日持ってきたのは 豚の角煮 だった。
やたらと時間がかかる。少なくとも一日以上はかかる。
だから、食べたいといった日から二日間は我慢してもらうことになる。
そして、出来上がったのがたまたま結婚記念日だったのだ。
だんなちゃんに角煮渡すと
「おっw角煮キターーーーーーーーーwあざーっす。」
とめちゃくちゃ喜んでくれた。
「でも、角煮上手に食べられるかなぁ。むせちゃったらどうしよう。」
と心配し始めた。
余命先刻受ける数ヶ月前から、唾液の分泌量が減ってきていて上手に物が噛めなくなってきていたのだ
案の定、だんなは角煮を一口食べたらむせていた。
「うあぁぁぁ。すげーうまいのにむせたーーーーーっ。でもたべたーい
たべたーい。たべたいのだぁ。一緒にはいってるにんじんとか、ジャガイモは平気なのに
なぜ肉だけだめなんだぁぁぁぁぁぁ。脂身だけくってやるぅ」
なんか、ほえながら一生懸命たべていた。
かわいいやつめ。
嫁「今日、何の日かしってるー?結婚記念日だよ。
あたし、今年はちゃんと覚えてたよ。会社も休みにしちゃった。」
ダ「そんなのかあちゃんに言われなくてもしってますーーっ。」
ってかえってきた。
そうだよね。毎年わすれたことなかったよねーっ
下の子供を来年度から別の保育園に入れる手続きをとるため、保育園にいかなきゃならなかった。
キャンセル待ちしていた保育園に空きができたのだ。
結婚記念日の挨拶もそこそこに。
「またあとで病院に来るねー」ってあたしは病室をでていった。
四時ぐらいに病院についた。
いつもよりかなり遅め。
あたしがあわてて病院に行くとだんなちゃんは横になっていた。
ねちゃってるのかなぁ。と思ってかおを覗き込むと。にこって笑って
「おかえりーっ」って言ってくれた。
あたしも「ただいま」って。だんなちゃんのベットの横に座った。
ベットのゆれ加減で痛みがぶりかえしたりするから。
いつもゆっくり慎重に座るのだ。
でも、その日はそんなに痛くないみたいで割りとひょいっとすわれた。
そして、今日一日あったことを話す。
「前日に保育園から入園できます。っていうあんないもらって、今日行ってきて。
ほんとはここで一日だんなちゃんとのんびりするはずだったのにーっヽ(`Д´)ノ
もう、いやだわぁ。」
そして、ベットにボフってして。
「今日はたいちょうどうよ?」ってきくの
そういうから。
嫁「じゃぁ、結婚記念日だし売店にでも行かない?売店しかないけどなんか買おうよ」
ダ「そだね。一緒に行こうか」
そういって、手をつないで病室でたの。すると看護婦さんとすれちがって。
看護婦さん「あれ?だんなちゃん歩いてるの久しぶりに見たよ。どこかいくの?」
嫁「売店にいってきマース。体調いいみたいだから連れ出した。」
ダ「オレ、二日ぶりに病室から出た気がする」
看護婦さん「そうだよね、ずっと歩いてなかったよね。きを付けていってらっしゃーい」
ダ・嫁「いってきまーす」
売店に言っては見たものの、しょせん病院の売店。
たいしたものは売ってないし。特にほしいものもない。
嫁「なんかほしいものあるー?」
ダ「特にほしいものもないんだけど。。。」
嫁「じゃぁ、だんなちゃんの好きなベビスターでも買ってったら?」
ダ「そだね、ちょうどなくなってたし買ってくわ」
だんなちゃんは、ベビスターがすきだ。むちゃくちゃ好きか?って聞かれるとそうでもないらしい。
家の中に1つ2つあるとなんか安心するらしい。
家の中にあればいいわけで、それをすぐ食べるのか?っていわれるとそうでもない。
一週間でも、二週間でもそのまま放置してある。
あたしはそれを知らなくて、ずーっと置いてあって食べる気配もないから勝手に食べちゃう
すると、また買っておいてある→ずっとそのまま放置→食べないと思ってあたしがたべる
の無限ループ状態。
つい最近、かあちゃんはオレのかってきたベビスターをいつも食べるから、
オレが食べたい時にはいつもない。なんでたべちゃうの?
っていわれた。
ダ「あれは、あるとちょっと安心するから買ってあるわけで、食べても食べなくてもいいの。
ちょっとだけおいてあるのがいいの。結婚して10年以上たつけど
いままできがつかなかったの?」
嫁「そんな気がつくわけないじゃん。言われるまできがつかなかった・・・」
ダ「きがつこうよ。。。」
ダ「あれは、あるとちょっと安心するから買ってあるわけで、食べても食べなくてもいいの。
ちょっとだけおいてあるのがいいの。結婚して10年以上たつけど
いままできがつかなかったの?」
嫁「そんな気がつくわけないじゃん。言われるまできがつかなかった・・・」
ダ「きがつこうよ。。。」
そんな思い出のあるベビスターを買ってノタノタあるくだんなちゃんの手を引いて
病室に向かった。エレベーター近くの時計を見ると。5時半をまわっていた。
嫁「そろそろばんごはんだね」
ダ「えーっもうそんな時間なの?」
嫁「うん。もう5時半だよ」
ダ「早いなぁ。ベビスターばんごはん食べ終わってから食べよう。」
嫁「そのほうがいいかもね」
そんな話をしながらだなちゃんとエレベーターにのった
だんなちゃんは、そのばんごはんにてをつけることなく、
ダ「疲れたからちょっと横になるよ。」
嫁「今日はがんばって売店までいったからねーっ。でも、ばんごはんはちゃんとたべなよ。
ゆっくりでいいからさ。」
ダ「うんわかってる。おきたら食べるよ」
そういって横になった。
嫁「きょうさぁ、11月22日だからどっかのニュース番組のコーナーで
絶対いい夫婦ってやってると思わない?」
ダ「うん。やってると思うよぉ。みてみよか」
だんなちゃんも体を起こしてごはんを食べようとしてた。
2人でテレビを見ながら、なかなかやってないねーって話をしながら見てた。